BtoB向けMAツール選定で失敗しないために押さえるべきポイント
最も重要なのは、MAツール選定で重要なのは機能比較だけでなく、自社の運用体制・リード獲得基盤・営業連携を踏まえた「活用できる前提条件」を整えることであり、それが導入後の成果を左右します。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。リード管理、メール配信、スコアリング、ナーチャリング機能を持ち、BtoB企業のマーケティング効率化に貢献します。
日本のMA市場は急速に成長しています。ある調査によると、日本のMA市場規模は2024年時点で約612億円、2033年には約1,272億円に拡大する予測で、2025〜2033年のCAGRは8.5%とされています(民間調査)。一方、Nexalの2021年調査(約58万社対象)では、MA導入済みサイトは6,866サイトで、導入率は約1.2%にとどまっています(現在は上昇している可能性があります)。
このギャップが示すのは、MAツールへの関心は高まっているものの、導入後に活用できている企業はまだ限られているということです。ツール選定の段階で「活用できる前提条件」を整えておくことが、導入後の成果を分ける鍵になります。
この記事で分かること
- MAツールの基本概念とBtoB向けの主要機能
- BtoB向けMAツールの比較と価格帯の目安
- 自社に合ったMAツールを選ぶためのポイント
- 導入前に整備すべき前提条件とチェックリスト
MAツールとは|BtoB向けの特徴と主な機能
MAツールはリードの育成・活用を効率化するツールであり、リード獲得自体は別の施策が必要です。この点を理解しておくことが、導入後の期待値を正しく設定する上で重要です。
BtoB向けMA市場は急成長しています。ある調査によると、国内BtoB MA市場は2015年の21.7億円(約1,690社)から2020年には82億円(約4,600社)へ、5年間で3.78倍に成長しています(民間調査)。また、ITR調査によると、BtoB向けMA市場は2027年度に売上金額220億円予測、2022〜2027年度CAGRは12.0%と高い成長が見込まれています。
MAツールは高機能なものを選べば成果が出ると考えがちですが、運用体制やコンテンツ準備が不十分なまま導入すると形骸化します。これがMA導入における典型的な失敗パターンです。MAはあくまで「リードを育成・活用するツール」であり、リード獲得基盤や営業との連携体制が整っていなければ効果を発揮しにくいのです。
BtoB向けMAの主要機能
BtoB向けMAツールの主要機能を整理します。
リードスコアリングとは、リードの属性や行動に点数を付け、商談化可能性の高さを数値化する機能です。BtoB MAの中核機能の一つであり、営業に引き渡すタイミングを判断する基準となります。
リードナーチャリングとは、見込み顧客の検討度合いを高め、商談化タイミングまで育成するマーケティング施策です。メール配信やコンテンツ提供を通じて、リードの温度感を維持・向上させます。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で獲得し、営業に引き渡す基準を満たした見込み顧客のことです。スコアリング結果に基づいてMQLを判定し、営業部門に引き渡します。
SFA連携とは、MAツールとSFA(営業支援システム)を連携し、マーケ・営業間でリード情報を共有する仕組みです。BtoB MAでは、SFA連携の有無が重要な選定ポイントの一つになります。
BtoB向けMAツールの比較|主要製品の特徴と価格帯
BtoB向けMAツールは、対象とする企業規模や特徴によって選択肢が異なります。ここでは主要な製品タイプの特徴と価格帯の目安を整理します。
以下の比較表は、MAツール選定の参考情報としてご活用ください。特定ツールの優劣を示すものではなく、それぞれの特徴を中立的に整理しています。
【比較表】BtoB向けMAツール主要製品の特徴
| ツールタイプ | 主な特徴 | 価格帯(目安) | 適した企業規模 |
|---|---|---|---|
| 国産エントリー型 | 日本語UI・サポートが充実、導入しやすい | 月額数万円〜 | 中小・中堅企業 |
| 国産本格型 | 高度なスコアリング・シナリオ設計が可能 | 月額十万円台〜 | 中堅・大企業 |
| グローバル型 | 多機能・拡張性が高い、グローバル展開向け | 月額数十万円〜 | 大企業・グローバル企業 |
| CRM一体型 | CRM/SFAとの連携が標準搭載 | CRMプランに依存 | SFA導入済み企業 |
| 特化型 | メール配信やWeb接客など特定機能に特化 | 月額数万円〜 | 特定用途に絞りたい企業 |
選定にあたっては、自社のリード数、営業体制、既存SFA/CRMとの連携要件を踏まえて比較検討することをおすすめします。価格帯はあくまで目安であり、導入規模や契約条件によって変動します。
BtoB向けMAツールの選び方|自社に合ったツールを選定するポイント
MAツール選定で最も重要なのは、自社のリード数・営業体制・既存SFA/CRMとの連携要件を起点に比較検討することです。機能の多さだけで選ぶと、使いこなせずに形骸化するリスクがあります。
選定時に確認すべきポイントは以下の通りです。
- 自社のリード数: MAは一定数のリードがあって初めて効果を発揮します。リード数が少ない場合は、まずリード獲得施策の整備が先決です
- 営業体制との連携: 営業部門とどのようにリード情報を共有するか。SFA/CRMとの連携要件を明確にしておく必要があります
- 運用リソース: 誰がMAを運用するのか。専任担当を置けるか、兼務になるかで適切なツールの複雑さが変わります
- 自動化の範囲: どこまで自動化したいのか、どこまで可視化したいのかを明確にしてから選定を進めます
選定前に確認すべき自社の状況
選定を始める前に、以下の観点で自社の状況を整理しておくと、候補ツールを絞り込みやすくなります。
- 現状のリード獲得状況: 月間どの程度のリードを獲得しているか
- 既存システム: SFA/CRMを導入済みか、導入予定があるか
- 営業体制: インサイドセールスの有無、営業との連携フロー
- 運用想定: MA運用の責任者・担当者を誰にするか
- 予算感: 初期費用・月額費用の許容範囲
これらが曖昧なままツール選定を進めると、「導入したが使いこなせない」という事態に陥りやすくなります。
MAツール導入前に整備すべき前提条件と準備チェックリスト
MAツールを導入しても成果が出ない原因の多くは、導入前の準備不足にあります。ツール選定と同時に、活用するための前提条件を整えることが重要です。
矢野経済研究所調査では、日本のMA市場規模は2021年に600億円、2026年には865億5,000万円に達すると予測されています(民間調査)。市場の成長は続いていますが、導入後に活用できている企業とそうでない企業の差は広がっています。
導入前に整備すべき条件は大きく4つの観点に分けられます。
- 目的・KPI設定: MAで何を達成したいのか、どの指標で測るのか
- リード獲得基盤: MAに流すリードが十分にあるか
- 運用体制: MA運用の責任者と担当者が明確か
- 営業連携: MQL定義と引き渡しルールが営業と合意できているか
【チェックリスト】MAツール導入前の準備確認
以下のチェックリストを使って、自社のMA導入準備状況を確認してください。
- MA導入の目的(リード育成/商談化率向上/休眠掘り起こし等)が明確になっている
- 目的に対応するKPI(MQL数/商談化率/受注金額等)が設定されている
- 現状のリード数と獲得経路を把握している
- リード獲得施策(広告/SEO/セミナー/展示会等)が稼働している
- ナーチャリング用のメールコンテンツの企画がある
- ホワイトペーパーやダウンロード資料が複数用意されている
- MA運用の責任者として1名をアサインできる
- MA運用の実務担当者が決まっている
- 運用担当者の週稼働時間を確保できる
- 既存SFA/CRMとの連携要件を整理している
- 営業部門の責任者との連携体制が構築されている
- MQL(マーケから営業へ引き渡す基準)の定義案がある
- マーケ・営業・ISの定例会議を設定できる
- 導入後の効果測定方法(何をいつ計測するか)が決まっている
- 導入後の目標値(3ヶ月後・6ヶ月後)が設定されている
すべてにチェックが入らなくても導入は可能ですが、チェックが付く項目が少ないほど「導入後に活用できない」リスクが高まります。特に「目的・KPI設定」「MA運用責任者のアサイン」「営業との連携体制」は最低限クリアしておくべき条件です。
まとめ:MAツール選定と導入を成功させるために
MAツール選定で成功するためには、機能比較だけでなく「導入後に活用できる体制」を同時に設計することが重要です。
本記事で解説した通り、MA導入で成果を出すためのポイントは以下の3つに集約されます。
- 機能だけで選ばない: 高機能なツールを選んでも、運用体制が整っていなければ形骸化する
- 前提条件を整える: リード獲得基盤、運用体制、営業連携を導入前に整備する
- 活用体制を設計する: 目的・KPI設定、責任者アサイン、効果測定方法を明確にする
本記事で紹介したチェックリストを活用して、自社のMA導入準備状況を確認してください。チェックが付かない項目が多い場合は、まずその項目を整備することから始めることをおすすめします。
MAツール選定で重要なのは機能比較だけでなく、自社の運用体制・リード獲得基盤・営業連携を踏まえた「活用できる前提条件」を整えることであり、それが導入後の成果を左右します。
