ABM×インバウンド併用で成果を出すMA/SFA実装ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/810分で読めます

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ABMとインバウンドを併用しても成果が出ない理由

意外かもしれませんが、ABMとインバウンドマーケティングの併用は、戦略を立てるだけでは機能せず、MA/SFAでターゲットアカウントの行動を可視化し、営業との共通KPIで運用する仕組みを構築することで成果につながります。

マーケティングオートメーション世界市場は2024年に67億9,000万米ドル、2025年には73億9,000万米ドル(CAGR 8.8%)に達し、2029年には103億3,000万米ドルまで拡大すると予測されています。この成長要因の1つにABMの台頭が明記されています(The Business Research Company調査)。

ABM(Account Based Marketing) とは、自社にとって価値の高い特定の取引先企業(アカウント)を絞り込み、個別最適化したアプローチを行うBtoBマーケティング手法です。

インバウンドマーケティングとは、コンテンツ、SEO、SNS等で見込み顧客からの問い合わせ・資料請求を自発的に発生させる手法を指します。

国内MA市場も2021年に600億円(前年比110.3%)に達し、2026年には865.5億円まで成長すると見込まれています(矢野経済研究所データ引用)。しかし、ABMとインバウンドの両方に取り組んでいるにもかかわらず、成果が出ていない企業も少なくありません。

この記事で分かること

  • ABMとインバウンドマーケティングの違いと併用の考え方
  • 併用を成功させるためのマーケ・営業連携のポイント
  • MA/SFAを活用した実装方法と開始前チェックリスト
  • 併用が機能しない失敗パターンとその対策

ABMとインバウンドマーケティングの違いと併用の考え方

ABMとインバウンドは二項対立ではなく、インバウンドで母数を獲得しABMで絞り込む「ハイブリッド戦略」が主流です。両者を組み合わせることで、リードの質と量の両方を追求できます。

TAL(Target Account List) とは、ABMにおいてターゲットとする企業リストを指します。営業・マーケ共同で策定することが重要です。

MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング施策で獲得し、一定のスコアリング基準を満たした見込み顧客のことです。

【比較表】ABMとインバウンドの役割分担比較表

項目 ABM インバウンド
アプローチ ターゲット企業を絞り込んで個別に最適化 広くコンテンツを発信して問い合わせを待つ
リード獲得の特性 質重視(狙った企業からのリード) 量重視(幅広い企業からのリード)
主な施策 個別メール、パーソナライズドLP、営業連携 SEO、ブログ、ホワイトペーパー、ウェビナー
KPI例 ターゲットアカウントからの商談数 MQL数、リード総数
適したケース 大口顧客・エンタープライズ向け 中小企業・新規市場開拓
併用時の役割 インバウンドで獲得したリードから優良アカウントを抽出 ABM対象外のリードも含め母数を確保

インバウンドだけでは不十分な理由

インバウンドマーケティングだけに依存すると、自社にとって価値の高いアカウントからのリードが十分に獲得できないケースがあります。

Webサイトを訪れるユーザーの多くはターゲット外である可能性もあり、インバウンドで獲得したリードの質にばらつきが生じやすいとされています。また、大口顧客や戦略的に獲得したいアカウントは、自発的に問い合わせをしてこないことも多いです。

そのため、インバウンドで母数を確保しつつ、ABMでターゲットアカウントに対して能動的にアプローチする併用戦略が効果的とされています。

ABM×インバウンド併用を成功させる設計ポイント

併用を成功させるには、マーケ・営業・インサイドセールスが共通のターゲット定義とKPIを持つことが重要です。部門間で認識がずれていると、せっかくの併用戦略が機能しません。

ホワイトスペースとは、既存顧客内でまだ取引のない部門・製品領域を指します。ABMで攻略対象となることが多い領域です。

併用設計のポイントは以下の3つです。

  1. 共通のTAL策定: マーケ・営業・インサイドセールスでターゲットアカウントの定義を共有
  2. 共通KPIの設定: 部門ごとに異なるKPIではなく、商談化や受注に連動した共通指標を設定
  3. データの一元管理: MA/SFAでインバウンドとABMの活動データを統合

TAL(ターゲットアカウントリスト)の策定方法

TAL策定は、ABM×インバウンド併用の起点となる重要なプロセスです。既存の大型顧客・優良顧客の共通属性を洗い出し、類似する企業をターゲットとして設定します。

TAL策定のステップ

  1. 既存顧客分析: 売上貢献度の高い顧客の共通属性(業種、従業員規模、課題など)を洗い出す
  2. ワークショップ実施: マーケ・営業・インサイドセールスで合同ワークショップを開催し、ターゲット企業の条件を合意
  3. リスト作成: 条件に合致する企業をリストアップし、優先順位を付ける
  4. 定期的な見直し: 商談結果や市場変化に応じてTALを更新

MA/SFAを活用した併用運用の実装方法

ABMとインバウンドの併用をMA/SFAで実装することで、戦略を「動く仕組み」として運用できます。ツール導入だけでなく、設定と運用ルールの整備が成果を左右します。

ある事例では、ABMテンプレートを活用することでテレアポの平均アポ率が約10%で安定し、リスト作成時間が約半分に短縮されたという報告があります(ただしこれは個社事例であり、業界平均ではありません)。

また、ある大手IT企業がABM導入により部門横断で顧客管理を一元化した結果、BtoB領域のリード転換率が従来比5倍以上に向上したケースも報告されています(電通デジタル事例。成功事例であり再現性は企業の状況により異なります)。

【チェックリスト】ABM×インバウンド併用 開始前チェックリスト

  • マーケ・営業・インサイドセールスでTAL策定ワークショップを実施した
  • ターゲットアカウントの定義を文書化し、関係者で共有した
  • TAL(ターゲットアカウントリスト)を作成し、優先順位を付けた
  • ABMとインバウンドの共通KPIを設定した
  • MA/SFAでターゲットアカウントを識別・管理する設定を行った
  • インバウンドで獲得したリードからTAL対象を自動抽出する仕組みを構築した
  • ターゲットアカウントのWeb行動データを可視化する設定を行った
  • マーケからインサイドセールスへのリード引き渡し基準を明確にした
  • インサイドセールスから営業へのパス基準を明確にした
  • 週次・月次のレビュー会議のスケジュールを設定した
  • 共通ダッシュボードを作成し、関係者がアクセスできる状態にした
  • ABM専用のコンテンツ(個別メール、パーソナライズドLP等)を準備した
  • インバウンド用のコンテンツ(ブログ、ホワイトペーパー等)を整備した
  • ホワイトスペース(既存顧客内の未取引領域)を特定した
  • 運用開始後の効果測定方法を決定した

インバウンドデータからABM対象を抽出する方法

インバウンドで集まったWeb行動データからABM対象アカウントを抽出し、アウトバウンドに連携する「併用パターン」が効果的とされています。

抽出のポイント

  1. 企業名の特定: リードの企業名・ドメインからTAL対象かどうかを判定
  2. 行動スコアの設定: ページ閲覧数、資料ダウンロード、ウェビナー参加などをスコアリング
  3. 閾値の設定: 一定スコア以上のTAL対象リードをインサイドセールスにパス
  4. アラート設定: ターゲットアカウントからのアクセスがあった場合に通知

この仕組みにより、インバウンドで「待ち」の姿勢を取りつつ、優良アカウントには能動的にアプローチできます。

併用が機能しない失敗パターンと対策

ABMとインバウンドを「別々の施策」として捉え、それぞれに異なるKPIを設定した結果、マーケと営業の連携が取れず、リードの質と量の両方で中途半端な成果に終わるパターンは典型的な失敗です。

この失敗が起きる原因は以下のとおりです。

  • 部門間の分断: マーケはMQL数、営業は受注額と、別々のKPIを追っている
  • データの分断: インバウンドとABMで異なるツール・リストを使い、情報が統合されていない
  • 定義の不一致: 「良いリード」の定義がマーケと営業で異なる

マーケと営業の分断を防ぐ運用ルール

マーケと営業の連携を機能させるには、以下の運用ルールが効果的です。

週次レビュー会議

  • 参加者: マーケ、インサイドセールス、営業の担当者
  • 内容: 過去1週間のリード獲得状況、商談化状況、課題の共有
  • ポイント: 数値だけでなく、リードの質に関する営業からのフィードバックを収集

共通ダッシュボードの活用

  • MA/SFAで全員がアクセスできるダッシュボードを作成
  • ターゲットアカウントからのリード数、商談化率、受注率を可視化
  • 部門ごとのサイロ化を防ぎ、全員が同じ数字を見て議論できる状態を作る

月次での振り返りと改善

  • TALの妥当性を検証(狙ったアカウントから成果が出ているか)
  • KPI達成状況の確認と、未達の場合の原因分析
  • 必要に応じてTALやスコアリング基準を見直す

まとめ|ABM×インバウンド併用で成果を出すために

本記事では、ABMとインバウンドマーケティングの併用について、基本的な考え方から実装方法、失敗パターンと対策まで解説しました。

ポイントの整理

  • ABMとインバウンドは二項対立ではなく、インバウンドで母数を獲得しABMで絞り込む「ハイブリッド戦略」が主流
  • 併用を成功させるには、マーケ・営業・インサイドセールスで共通のTALとKPIを持つことが重要
  • MA/SFAでターゲットアカウントの行動を可視化し、インバウンドデータからABM対象を抽出する仕組みを構築する
  • ABMとインバウンドを「別々の施策」として捉え、異なるKPIを設定すると成果が出ない

本記事で紹介したチェックリストと比較表を活用し、自社のABM×インバウンド併用戦略を点検してみてください。

ABMとインバウンドマーケティングの併用は、戦略を立てるだけでは機能せず、MA/SFAでターゲットアカウントの行動を可視化し、営業との共通KPIで運用する仕組みを構築することで成果につながります。「戦略レポート」ではなく「動く仕組み」として併用運用を実装することが、成功への鍵となります。

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よくある質問

Q1ABMとインバウンドマーケティングの違いは何ですか?

A1ABMは特定の取引先企業(アカウント)を絞り込んで個別最適化したアプローチを行う手法で、インバウンドはコンテンツやSEOで見込み顧客からの問い合わせを自発的に発生させる手法です。両者は二項対立ではなく、インバウンドで母数を獲得しABMで絞り込む「ハイブリッド戦略」が主流となっています。

Q2ABM×インバウンド併用で期待できる効果は?

A2ある事例ではABM導入により部門横断で顧客管理を一元化した結果、リード転換率が従来比5倍以上に向上したケースがあります。また、ABMテンプレート活用でアポ率が約10%で安定し、リスト作成時間が約半分に短縮された例もあります。ただし、これらは成功事例であり業界平均ではない点に注意が必要です。

Q3ABMとインバウンドの併用を始めるには何から着手すべきですか?

A3まずマーケ・営業・インサイドセールスでTAL(ターゲットアカウントリスト)策定ワークショップを実施し、既存大型顧客の共通属性を洗い出します。その上で、インバウンドで獲得したWeb行動データからABM対象アカウントを抽出する仕組みをMA/SFAで構築します。

Q4ABM×インバウンド併用でよくある失敗パターンは?

A4ABMとインバウンドを「別々の施策」として捉え、それぞれに異なるKPIを設定した結果、マーケと営業の連携が取れず、リードの質と量の両方で中途半端な成果に終わるパターンが典型的です。共通KPIで運用し、定期的なレビューを行う体制が必要です。

Q5MA/SFA導入済みでも併用がうまくいかないのはなぜですか?

A5MA/SFAを導入しても、ターゲットアカウントの行動を可視化する設定や、マーケ・営業間での共通KPI設計ができていないケースが多いです。戦略を立てるだけでなく、ツールでの実装と運用設計まで一気通貫で構築することが成果につながります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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