ワークフローとは?簡単に分かる基礎知識・作り方・ツール選びを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

紙やExcelでの申請業務に限界を感じている...

総務・経理・人事担当者の多くが、「紙の申請書が多すぎて管理が大変」「外出中の上司の承認待ちで業務が止まる」「テレワーク時に押印のためだけに出社しなければならない」といった課題を抱えています。 こうした課題を解決する手法が「ワークフロー」です。ワークフローとは、業務の流れを図式化したものであり、それを電子化する「ワークフローシステム」を導入することで、業務効率化・ペーパーレス化・テレワーク対応が実現できます。

この記事では、ワークフローの基礎知識から、BPMとの違い、導入メリット、Excelでの作り方、ツール選びのポイントまで、実務で使える情報を解説します。

この記事のポイント:

  • ワークフローは業務の流れを図式化したもの、ワークフローシステムは申請・承認・決裁を電子化するソフトウェア
  • ワークフローは部門単位の手続き効率化、BPMは部門横断の業務プロセス最適化が目的
  • 導入メリットは、業務効率化・ペーパーレス化・内部統制・可視化・テレワーク対応の5つ
  • ワークフロー作成には特別なスキル不要で、ExcelやGoogleスプレッドシートで図形を組み合わせるだけ
  • 2024年現在、52.5%の日本企業が既に電子ワークフローシステムを導入済み

1. 導入:なぜ今ワークフローが業務効率化の鍵なのか

2024年現在、52.5%の日本企業が既に電子ワークフローシステムを導入済みであり、業界標準となりつつあります。 また、ITトレンドの調査によると、2024年3月〜2025年3月の期間、ワークフローシステム情報を求める企業の63.1%が新規導入、36.9%が入替という市場動向が見られます。

ワークフローシステムを導入すると、紙の申請書や稟議書を電子化でき、スマートフォンやタブレットからいつでもどこからでも承認・決裁ができるようになります。 テレワークが普及した現代において、場所を問わず業務を遂行できる環境の整備は、企業の競争力を左右する重要な要素です。

ワークフロー導入の背景:

  • 紙の申請書による業務の非効率性(郵送・保管・検索の手間)
  • テレワーク環境での承認プロセスの遅延
  • 2024年から電子取引データ保存が完全義務化

2. 基礎知識:ワークフローとは?ワークフローシステムとBPMの違い

(1) ワークフローの定義:業務の流れを図式化したもの

ワークフローは、Work(仕事)とFlow(流れ)を組み合わせた言葉で、業務の流れ、もしくは流れを図式化したものを意味します。

典型的なワークフローの流れ(申請→承認→決裁):

  1. 申請: 申請者が稟議書や申請書を起案
  2. 承認: 承認者(課長・部長など)が内容を確認・承認
  3. 決裁: 最終決裁者(役員・社長など)が意思決定

ワークフローの例:

  • 経費精算の流れ(申請→上長承認→経理確認→支払い)
  • 休暇申請の流れ(申請→上長承認→人事記録)
  • 稟議書の流れ(起案→部門長承認→役員決裁)

(2) ワークフローシステム:申請・承認・決裁を電子化

ワークフローシステムは、各種申請や稟議をはじめ、組織内で行われているあらゆる業務手続きを電子化する仕組み・ソフトウェアです。「稟議システム」「電子決裁システム」とも呼ばれます。

ワークフローシステムの主な機能:

  • 申請フォームの作成(経費精算、休暇申請、稟議書など)
  • 承認ルートの自動設定(申請内容に応じた自動振り分け)
  • 進捗状況の可視化(現在どの段階で誰が承認待ちか)
  • スマホ・タブレット対応(いつでもどこからでも承認可能)
  • 電子署名・タイムスタンプ(改ざん防止・法的有効性の確保)

(3) BPMとの違い:部門単位vs部門横断、手続き効率化vs業務プロセス最適化

BPM(Business Process Management:業務プロセス管理)は、部門横断的な業務プロセス全体を対象に、可視化・分析・改善することを目的とします。

ワークフローとBPMの7つの違い(ITトレンド):

項目 ワークフロー BPM
対象範囲 部門単位の手続き 部門横断的な業務プロセス全体
目的 申請・承認の効率化 業務プロセスの可視化・分析・改善
導入難易度 比較的容易 やや高度
コスト 低〜中(月数百円〜) 中〜高
適用場面 稟議・経費精算・休暇申請 受注プロセス全体の最適化

選定のポイント:

  • 部門内の申請・承認を効率化したい → ワークフローシステム
  • 部門横断的な業務プロセス全体を改善したい → BPMツール

中小企業の場合、まずはワークフローシステムで部門内の手続きを電子化し、その後必要に応じてBPMツールを検討するのが一般的です。

3. ワークフローシステム導入の5つのメリット

(1) 業務効率化:申請・承認プロセスの高速化

ワークフローシステムを導入すると、申請から承認までの時間が大幅に短縮されます。

従来の紙ベース:

  • 申請書を紙で作成 → 上長に手渡し → 上長が不在で承認待ち → 決裁者に郵送 → 承認まで数日〜数週間

ワークフローシステム:

  • 申請書を電子フォームで作成 → 自動的に承認者に通知 → スマホから即承認 → 承認まで数時間〜1日

シヤチハタクラウドの事例では、キューサイ株式会社がワークフローシステムを活用し、契約業務にかかる時間を月62.7時間から15時間に短縮し、大幅な効率化を実現しました。

(2) ペーパーレス化:紙の削減とコスト低減

紙の申請書や稟議書を電子化することで、印刷コスト・郵送コスト・保管スペースのコストを削減できます。

コスト削減の目安:

  • 紙代・印刷代:年間10-30万円削減
  • 郵送費:年間5-15万円削減
  • 保管スペース:書庫不要でオフィス賃料削減

(3) 内部統制:承認経路の透明性確保

ワークフローシステムにより、誰がいつ承認したかのログが自動的に記録され、承認経路の透明性が確保されます。

内部統制のメリット:

  • 承認漏れ・不正の防止
  • 監査対応の容易化(ログを即座に提示可能)
  • コンプライアンス強化

(4) 業務の可視化:進捗状況のリアルタイム把握

現在どの段階で誰が承認待ちかをリアルタイムで把握できるため、業務の滞留を防ぐことができます。

可視化のメリット:

  • 承認待ちの申請をすぐに確認できる
  • 承認が遅れている場合にリマインド通知
  • ダッシュボードで全体の進捗を一元管理

(5) テレワーク対応:スマホ・タブレットからの承認

ワークフローシステムを導入すると、スマートフォンやタブレットからいつでもどこからでも承認・決裁ができ、テレワーク対応が容易になります。

テレワーク対応のメリット:

  • 外出中・出張中でもスマホから即承認
  • 押印のためだけに出社する必要がなくなる
  • 場所を問わず業務を継続できる

シヤチハタクラウドの富士通エフサスの事例では、スマホからの押印により、外出先から即座に見積提示が可能になり、顧客満足度が向上しました。

4. ワークフローの作り方:ExcelやGoogleスプレッドシートで簡単作成

(1) ステップ1:現状の業務フローを洗い出す

ワークフロー作成の第一歩は、現状の業務フローを洗い出すことです。

洗い出しのポイント:

  • 誰が(担当者)
  • 何を(タスク)
  • どの順番で(フロー)
  • どのような条件で(分岐条件)

例(経費精算の場合):

  1. 申請者が経費精算書を作成
  2. 直属の上長が内容を確認・承認
  3. 経理担当が領収書と照合・承認
  4. 経理部長が最終承認
  5. 支払い処理

(2) ステップ2:図形を使って業務の流れを図式化

rakumoの資料によると、ワークフローの作成には特別なスキルは不要で、ExcelやGoogleスプレッドシートを使い、図形をパズル感覚で組み合わせて作成できます。

使用する図形:

  • 長方形: タスク(「申請書作成」「承認」など)
  • 菱形: 分岐条件(「金額1万円以上?」など)
  • 矢印: 業務の流れ

ExcelやGoogleスプレッドシートでの作成方法:

  1. 「挿入」→「図形」を選択
  2. 長方形・菱形・矢印を挿入
  3. 図形内にテキストを入力
  4. 矢印で図形をつなぐ

(3) ステップ3:タスクを短い動詞で表現(「押印する」「承認する」)

rakumoの資料によると、ワークフローを作成する際は、タスクを「押印する」「承認する」といった短い動詞で表現するとすっきりと理解しやすくなります。

良い例:

  • 「経費精算書を作成する」
  • 「上長が承認する」
  • 「経理が確認する」

避けるべき例:

  • 「経費精算書を作成し、領収書を添付し、上長に提出する」(長すぎて分かりにくい)

(4) ステップ4:関係者とレビュー・修正

作成したワークフローは、関係者(現場担当者・上長・経理など)とレビューし、実際の業務フローと合っているか確認します。

レビューのポイント:

  • 承認ルートは適切か
  • 分岐条件は明確か
  • 抜け漏れがないか

5. ワークフローシステムの選び方と成功事例

(1) 選定ポイント:機能・価格・使いやすさ・サポート体制

ワークフローシステムを選定する際は、以下のポイントを確認しましょう。

機能:

  • 申請フォームのカスタマイズ性
  • 承認ルートの柔軟性(条件分岐・代理承認など)
  • スマホ・タブレット対応
  • 他システムとの連携(会計システム、人事システムなど)
  • 電子署名・タイムスタンプ機能

価格:

  • 初期費用:0円〜数十万円(クラウド型は初期費用0円が多い)
  • 月額費用:1ユーザー300円〜1,000円程度
  • 従量課金か固定料金か

使いやすさ:

  • 直感的な操作性(ITリテラシーが低い社員でも使えるか)
  • 無料トライアルで事前に試せるか

サポート体制:

  • 電話・メール・チャットでのサポート
  • 導入時の設定支援
  • ヘルプドキュメント・FAQ

(2) 成功事例:キューサイ株式会社(契約業務62.7時間→15時間に短縮)

シヤチハタクラウドの資料によると、キューサイ株式会社では、ワークフローシステムを活用し契約業務にかかる時間を月62.7時間から15時間に短縮し、大幅な効率化を実現しました。

導入効果:

  • 契約業務時間: 62.7時間/月 → 15時間/月(約76%削減)
  • 承認スピード: 数日 → 数時間
  • ペーパーレス化: 紙の契約書が不要に

(3) 中小企業向け低コスト導入方法

中小企業でも、クラウド型のワークフローシステムなら低コストで導入できます。

導入のポイント:

  • 初期費用0円のクラウド型を選ぶ: オンプレミス型は初期費用が高額(数十万円〜)
  • 月額1ユーザー300円〜のプランを選ぶ: 従業員30人の場合、月額9,000円〜
  • 無料トライアルで試す: 多くのシステムが14日〜30日の無料トライアルを提供
  • 小規模から始める: まずは経費精算や休暇申請など一部の業務から開始

費用対効果の目安:

  • 導入コスト: 月額1万円〜3万円(従業員30人の場合)
  • 削減効果: ペーパーレス化で年間10-30万円、業務時間削減で年間50-100万円

6. まとめ:導入ステップと2024年のトレンド

ワークフローは、業務の流れを図式化したものであり、ワークフローシステムを導入することで、業務効率化・ペーパーレス化・内部統制・可視化・テレワーク対応が実現できます。

ワークフロー作成には特別なスキル不要で、ExcelやGoogleスプレッドシートで図形を組み合わせるだけで簡単に作成できます。 システム選定時は、機能・価格・使いやすさ・サポート体制を確認し、無料トライアルで事前に試すのが推奨されます。

ワークフローシステム導入のステップ:

  1. 現状の業務フローを洗い出す(誰が・何を・どの順番で)
  2. ExcelやGoogleスプレッドシートで業務フローを図式化する
  3. 無料トライアルで複数のシステムを試す
  4. 小規模(経費精算・休暇申請など)から導入開始
  5. 効果測定・改善(業務時間削減・ペーパーレス化効果を測定)

2024年のトレンド:

ITトレンドの資料によると、2024年は以下のトレンドが主流になっています:

  • AIとRPA自動化の進展: 申請内容の自動チェック、データ自動入力
  • ノーコード/ローコード開発の普及: プログラミング知識不要でフォーム作成
  • クラウドネイティブとモバイル対応の強化: スマホ・タブレット対応が標準化

次のアクション:

  • 現状の業務フローを洗い出し、ワークフローを図式化する
  • 無料トライアルで3-5社のワークフローシステムを試す
  • 経費精算や休暇申請など、一部の業務から導入を開始する
  • 導入後、業務時間削減・ペーパーレス化効果を測定し、改善を継続する

ワークフローシステムで業務効率化を実現し、テレワーク環境でも円滑に業務を遂行できる体制を整えましょう。

よくある質問:

Q: ワークフローとワークフローシステムの違いは何ですか? A: ワークフローは業務の流れそのもの(または図式化したもの)、ワークフローシステムはその業務を電子化するソフトウェアです。例えば、稟議書の承認フロー(申請→上長承認→部長承認→役員決裁)がワークフローであり、それを電子化したものがワークフローシステムです。

Q: 中小企業でもワークフローシステムは必要ですか?導入コストは? A: 月10件以上の承認業務があれば効果が期待できます。クラウド型なら初期費用0円、月額1ユーザー300円〜導入可能で、従業員30人の場合は月額9,000円〜が目安です。ペーパーレス化で年間10-30万円、業務時間削減で年間50-100万円のコスト削減も期待できるため、まずは無料トライアルで試すのが推奨されます。

Q: ワークフローシステム導入時の注意点は? A: ①既存業務フローの見直しが不十分だと効果が半減するため、事前の業務整理が重要です。②承認ルートが複雑すぎると逆に効率が悪化するため、シンプルな設計を心がける必要があります。③2024年から電子取引データ保存が完全義務化されており、真実性と可視性の確保が法的に求められる点に注意が必要です。

Q: ワークフローとBPMはどちらを選ぶべきですか? A: 部門内の申請・承認を効率化したい場合はワークフローシステム、部門横断的な業務プロセス全体を改善したい場合はBPMツールが適しています。中小企業の場合、まずはワークフローシステムで部門内の手続きを電子化し、その後必要に応じてBPMツールを検討するのが一般的です。

Q: ワークフローの作成にプログラミング知識は必要ですか? A: 不要です。ExcelやGoogleスプレッドシートの図形機能を使い、長方形(タスク)・菱形(分岐条件)・矢印(フロー)をパズル感覚で組み合わせるだけで作成できます。タスクを「押印する」「承認する」といった短い動詞で表現するとすっきりと理解しやすくなります。

よくある質問

Q1ワークフローとワークフローシステムの違いは何ですか?

A1ワークフローは業務の流れそのもの(または図式化したもの)、ワークフローシステムはその業務を電子化するソフトウェアです。例えば、稟議書の承認フロー(申請→上長承認→部長承認→役員決裁)がワークフローであり、それを電子化したものがワークフローシステムです。

Q2中小企業でもワークフローシステムは必要ですか?導入コストは?

A2月10件以上の承認業務があれば効果が期待できます。クラウド型なら初期費用0円、月額1ユーザー300円〜導入可能で、従業員30人の場合は月額9,000円〜が目安です。ペーパーレス化で年間10-30万円、業務時間削減で年間50-100万円のコスト削減も期待できるため、まずは無料トライアルで試すのが推奨されます。

Q3ワークフローシステム導入時の注意点は?

A3①既存業務フローの見直しが不十分だと効果が半減するため、事前の業務整理が重要です。②承認ルートが複雑すぎると逆に効率が悪化するため、シンプルな設計を心がける必要があります。③2024年から電子取引データ保存が完全義務化されており、真実性と可視性の確保が法的に求められる点に注意が必要です。

Q4ワークフローとBPMはどちらを選ぶべきですか?

A4部門内の申請・承認を効率化したい場合はワークフローシステム、部門横断的な業務プロセス全体を改善したい場合はBPMツールが適しています。中小企業の場合、まずはワークフローシステムで部門内の手続きを電子化し、その後必要に応じてBPMツールを検討するのが一般的です。

Q5ワークフローの作成にプログラミング知識は必要ですか?

A5不要です。ExcelやGoogleスプレッドシートの図形機能を使い、長方形(タスク)・菱形(分岐条件)・矢印(フロー)をパズル感覚で組み合わせるだけで作成できます。タスクを「押印する」「承認する」といった短い動詞で表現するとすっきりと理解しやすくなります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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