ワークフロー申請とは?ペーパーレス化とテレワーク対応が進む背景
申請業務のペーパーレス化を検討しているけれど、「紙の申請書をどうデジタル化すればいいのか」「システム導入は大変そう」と悩んでいませんか?
ワークフロー申請は、経費精算・稟議・休暇申請など、紙で行っていた社内申請業務をシステムでデジタル化する仕組みです。承認プロセスの効率化、テレワーク対応、コスト削減など多くのメリットがあります。
この記事では、ワークフロー申請の定義・仕組みから、紙申請との違い、導入メリット、対象業務、導入手順まで解説します。
この記事のポイント:
- ワークフロー申請は申請・承認・決裁業務をデジタル化する仕組み
- 2024年度のワークフロー市場は前年比111.7%の157.9億円に成長見込み
- 紙申請と比べて「場所と時間の制約がない」「承認スピードが速い」などのメリットがある
- 経費精算・稟議・休暇申請など幅広い社内申請業務に活用できる
- クラウド型なら初期費用無料、月額250円/ユーザー程度から利用可能
(1) ワークフロー申請の定義と電子申請との関係
**ワークフロー(Workflow)**とは、業務についての一連のやりとりの流れのことです。組織内で複数人が関わる業務を、ルールや慣習によってあらかじめ決められた流れに沿って処理することを指します。
ワークフローシステムは、申請・承認・決裁といった一連の手続きをデジタル化し、自動化するためのシステムです。電子承認システムとも呼ばれます。
電子申請は、申請業務における書類の作成から申請、承認、決裁、管理までをワークフローシステムなどを使って電子化することを指します。
関係性:
- ワークフローシステムと電子申請システムはほぼ同義として使われることが多い
- どちらも「紙の申請業務をデジタル化する」という目的は共通
- 一般的にワークフローシステムの方が広義で、業務フロー全体を管理する機能を含む
(参考: Desknet's NEO「ワークフローとは何か?」、manage「申請書の電子化とは?」)
(2) ワークフローシステム市場の成長(2024年度157.9億円)
日本国内のワークフローシステム市場は急速に拡大しています。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると、2024年度の市場規模は前年比111.7%の157.9億円に達する見込みです(出典: ITトレンド「ワークフローシステムのシェア・市場規模」)。
市場成長の要因:
- SaaS型が2023年に市場の約6割、2027年には約8割に拡大すると予想される
- 初期費用の低さとクラウド利用の利便性が中小企業にも普及
- グローバル市場は2024年に217億米ドル、2029年までに341.8億米ドル(CAGR 9.52%)に達する見込み
(3) リモートワークとDX推進による需要増加
市場成長の背景には、以下の要因があります:
リモートワーク普及:
- コロナ禍を経てテレワークが定着
- 紙の申請書では在宅勤務者が対応できない課題が顕在化
- どこからでも申請・承認できる仕組みが必須に
ペーパーレス化:
- 紙・印刷・郵送コストの削減ニーズ
- 電子帳簿保存法の改正により電子化が推進される
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進:
- 業務効率化と生産性向上の重要性が高まる
- バックオフィス業務のデジタル化が経営課題に
ワークフローシステムの基本的な仕組みと代表的な機能
(1) 申請・承認・決裁の流れをデジタル化
ワークフローシステムは、以下の流れで業務を処理します:
従来の紙ベース申請:
- 申請者が紙の申請書に記入
- 直属上司に手渡しまたは社内便で送付
- 上司が承認印を押印
- さらに上位承認者に回覧
- 最終承認者が決裁
- 総務・経理部門が紙を保管
ワークフローシステムでの申請:
- 申請者がシステム上で申請書を作成
- 承認ルートに沿って自動で承認者に通知
- 承認者がシステム上で承認ボタンをクリック
- 次の承認者に自動で通知
- 最終承認者が決裁
- 電子データとして自動保存
(2) 承認ルートの自動設定
承認ルートは、申請が誰の承認を経て決裁に至るかを定めたルートです。ワークフローシステムでは以下の設定が可能です:
- 固定ルート: 常に同じ承認者を経由(例: 経費精算は直属上司→経理部長)
- 分岐ルート: 申請内容に応じて承認者が変わる(例: 金額が10万円以上なら部長承認も必要)
- 代理承認: 承認者が不在の場合、代理者が承認できる設定
- 並列承認: 複数の承認者が同時に承認する設定
承認ルートを自動設定することで、承認ミスや承認漏れを未然に防げます。
(3) 進捗状況のリアルタイム可視化
進捗可視化機能は、申請がどこまで承認されているかをリアルタイムで確認できる機能です。
申請者のメリット:
- 「今どの承認者のところで止まっているか」が分かる
- 承認が遅れている場合、直接催促できる
- いつ承認されるか予測できる
管理者のメリット:
- 承認の滞留や遅延を早期に発見できる
- 承認フロー全体のボトルネックを特定できる
- 業務改善のデータとして活用できる
(4) 電子帳簿保存法への対応
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類を電子データで保存する際の要件を定めた法律です。ワークフローシステムで経費精算や稟議を電子化する場合、以下の要件を満たす必要があります:
- 真実性の確保: 改ざん防止のためタイムスタンプを付与
- 可視性の確保: 検索機能で過去のデータを素早く取り出せる
- 保存期間: 法定保存期間(7年または10年)にわたって保存
電子帳簿保存法に対応したシステムを選定し、法令遵守を確保することが重要です。
(参考: create!Webフロー「ワークフローとは?|基礎知識と業務改善効果」)
紙の申請業務とワークフローシステムの違い:5つの比較ポイント
| 比較項目 | 紙ベース申請 | ワークフローシステム |
|---|---|---|
| 場所と時間 | オフィスで印刷・押印が必要 | どこでも・いつでも申請可能 |
| 承認スピード | 社内便で数日〜1週間 | 即時通知、数時間〜1日で完了 |
| 進捗管理 | 現在どこにあるか不明 | リアルタイムで確認可能 |
| 書類保管 | 物理的な保管場所が必要 | 電子データで省スペース |
| 内部統制 | 承認履歴が不明瞭 | 承認履歴の自動記録 |
(1) 場所と時間の制約(どこでも・いつでも申請可能)
紙ベース:
- オフィスに出社して申請書を印刷する必要がある
- 承認者も押印のためオフィスにいる必要がある
- テレワーク時は対応できない
ワークフローシステム:
- インターネット環境があればどこからでも申請・承認が可能
- スマホアプリ対応のシステムなら外出先でも承認できる
- クラウド型なら特別な設備不要
(2) 承認スピード(即時通知と迅速な承認)
紙ベース:
- 社内便で回覧するため数日〜1週間かかる
- 承認者が出張中だとさらに遅延
- 承認者が多いほど時間がかかる
ワークフローシステム:
- 承認者にメールやアプリで即時通知
- 承認者が気づけば数分〜数時間で承認可能
- 承認スピードが大幅に向上
(3) 進捗管理(リアルタイム確認)
紙ベース:
- 申請書が今どこにあるか不明
- 承認者に電話やメールで確認が必要
- 承認状況の把握に手間がかかる
ワークフローシステム:
- 申請者がシステム上で進捗を確認できる
- 「どの承認者が承認済みか」「誰が未承認か」が一目瞭然
- 承認が遅れている場合、すぐに催促できる
(4) 書類保管(電子データで省スペース)
紙ベース:
- 紙の申請書を物理的に保管する必要がある
- 保管場所(キャビネット・倉庫)が必要
- 法定保存期間(7年または10年)分の書類が蓄積
ワークフローシステム:
- 電子データとして保存するため省スペース
- クラウド上で管理すれば自社サーバーも不要
- 検索機能で過去のデータを素早く取り出せる
(5) 内部統制(承認履歴の自動記録)
紙ベース:
- 承認履歴が押印のみで不明瞭
- いつ誰が承認したか記録が残らない
- 不正や改ざんのリスク
ワークフローシステム:
- 承認履歴が自動で記録される(誰が・いつ・何を承認したか)
- 改ざん防止機能で内部統制を強化
- 監査対応が容易
(参考: エイトレッド「ワークフローシステム導入のメリット」)
ワークフローシステム導入の4つのメリットと具体的な効果
(1) 業務効率化とスピード向上
紙ベースの課題:
- 申請書の印刷、記入、押印、回覧に時間がかかる
- 承認者が出張中だと承認が止まる
- 申請状況の確認に時間を取られる
システム導入の効果:
- 申請から承認までの時間が大幅短縮(数日 → 数時間)
- 承認者はスマホで外出先から承認可能
- 申請状況をリアルタイムで確認でき、問い合わせ対応が不要に
具体例:
- 経費精算の承認時間が平均5日 → 1日に短縮
- 稟議の承認時間が平均10日 → 3日に短縮
(2) ペーパーレス化によるコスト削減
紙ベースのコスト:
- 紙代、印刷代、インク代
- 社内便の配送コスト
- 書類保管場所の賃料
- 書類廃棄のコスト
システム導入の効果:
- 紙・印刷コストが削減(年間数十万〜数百万円規模)
- 保管場所が不要になり、オフィススペースを有効活用
- 環境負荷の低減(SDGs対応)
具体例:
- 従業員100人の企業で年間紙・印刷コスト50万円削減
- 書類保管スペース10m²削減(賃料換算で年間数十万円)
(3) 内部統制強化とコンプライアンス対応
紙ベースのリスク:
- 承認履歴が不明瞭で不正が発生しやすい
- 申請書の改ざんや紛失のリスク
- 監査対応に時間がかかる
システム導入の効果:
- 承認履歴が自動記録され、誰が・いつ・何を承認したか明確
- 改ざん防止機能で不正を未然に防ぐ
- 電子帳簿保存法に対応し、税務調査対応も容易
具体例:
- 承認履歴の検索が数秒で完了(紙では数時間かかっていた)
- 監査対応の準備時間が80%削減
(4) テレワーク対応と柔軟な働き方の実現
紙ベースの課題:
- テレワーク中は申請・承認ができない
- 承認のためだけに出社する必要がある
- 柔軟な働き方の障害に
システム導入の効果:
- インターネット環境があればどこからでも申請・承認可能
- 承認のための出社が不要に
- フルリモート勤務が実現
具体例:
- テレワーク実施率が30% → 80%に向上
- 承認のための緊急出社が月10回 → 0回に
(参考: ITトレンド「ワークフローシステムのメリット」)
ワークフロー申請の対象業務と活用シーン(経費精算・稟議・休暇届等)
(1) 経費精算(出張費・交通費)
対象業務:
- 交通費精算
- 出張費精算
- 接待費精算
活用のポイント:
- 経費の種類ごとに申請フォームを作成
- 領収書をスマホで撮影して添付
- 承認後、会計ソフトに自動連携
(2) 稟議・決裁申請(稟議書・契約書)
対象業務:
- 稟議書(新規取引先、設備投資、人員採用等)
- 契約書承認
- 予算申請
活用のポイント:
- 金額に応じて承認ルートを分岐(10万円未満は部長承認、10万円以上は役員承認等)
- 契約書PDFを添付して関係者に回覧
- 承認履歴を記録し、監査対応に活用
(3) 休暇・勤怠管理(休暇届・残業申請)
対象業務:
- 休暇届(有給休暇、特別休暇)
- 残業申請
- 出勤簿承認
活用のポイント:
- 休暇の残日数を自動表示
- 勤怠管理システムと連携
- 承認後、自動でカレンダーに反映
(4) その他の社内申請(備品購入・社内文書承認)
対象業務:
- 備品購入申請
- 社内文書承認(規程改定、通知文書等)
- 社内イベント申請
- 車両使用申請
活用のポイント:
- 申請書のテンプレートを整備
- 承認後、自動で関係部署に通知
- 履歴を記録し、次回申請時の参考に
(参考: ワークフロー総研「ワークフローの利用シーンは?」)
まとめ:ワークフローシステム導入成功のポイントと選定基準
ワークフロー申請は、紙で行っていた社内申請業務をシステムでデジタル化する仕組みです。業務効率化、コスト削減、テレワーク対応など多くのメリットがあります。
この記事のポイント再掲:
- ワークフロー申請は申請・承認・決裁業務をデジタル化する仕組み
- 2024年度のワークフロー市場は前年比111.7%の157.9億円に成長見込み
- 紙申請と比べて「場所と時間の制約がない」「承認スピードが速い」などのメリット
- 経費精算・稟議・休暇申請など幅広い社内申請業務に活用できる
- クラウド型なら初期費用無料、月額250円/ユーザー程度から利用可能
(1) 自社の業務フローとの適合性確認
システム選定時には、以下を確認しましょう:
- 現在の申請業務の流れを整理する
- 承認ルートの複雑さを把握する(分岐が多いか、並列承認があるか)
- 無料トライアルで実際に操作してみる
- システムが自社の業務フローに適合しているか検証する
(2) システムタイプの選定(SaaS型・オンプレミス型)
SaaS型(クラウド型):
- 初期費用無料が多く、月額250円/ユーザー程度から
- インターネット環境があればどこからでも利用可能
- システム保守が不要
オンプレミス型:
- 初期費用が数十万〜数百万円
- カスタマイズ性が高い
- 自社サーバーで運用するためセキュリティ要件が厳しい企業向け
5つのタイプ:
- 中小企業向け(シンプルで使いやすい)
- 大企業向け(複雑な承認ルートに対応)
- Excel型(Excelの申請書をそのまま使える)
- バックオフィス統合型(会計ソフトと連携)
- グループウェア統合型(既存のグループウェアと一体運用)
(参考: ASPIC「ワークフローシステム比較14選」)
(3) 既存システムとの連携性
以下のシステムと連携できるか確認しましょう:
- グループウェア(スケジュール、メール)
- 会計ソフト(経費精算データの自動連携)
- 勤怠管理システム(休暇申請データの自動連携)
- 人事システム(組織変更時の承認ルート自動更新)
(4) 段階的導入で確実に定着
一度にすべての申請業務を移行するのではなく、以下のステップで段階的に導入しましょう:
ステップ1: パイロット導入(1〜2ヶ月)
- まず一部業務(経費精算など)から始める
- 特定部署でテスト運用
- 課題を洗い出して改善
ステップ2: 段階的拡大(3〜6ヶ月)
- 他の申請業務(稟議、休暇申請等)に拡大
- 全社展開前に従業員向け研修を実施
- 操作マニュアルを整備
ステップ3: 全社展開(6ヶ月〜1年)
- 全社で本格運用開始
- 定期的に利用状況を確認
- 改善要望を収集してシステムを最適化
次のアクション:
- 現在の申請業務の流れを整理し、課題を洗い出す
- 無料トライアルで複数のシステムを比較する
- 自社の企業規模・業種・既存システムに合ったタイプを選定する
- パイロット導入で効果を検証してから全社展開する
ワークフローシステムで申請業務を効率化し、テレワーク対応と生産性向上を実現しましょう。
※この記事は2024年時点の情報です。ワークフローシステムの機能や仕様は製品によって異なるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
