SlackとSalesforceを両方使っているけれど、うまく連携できていない...
B2B企業の多くがSlackとSalesforceを導入していますが、「情報がツール間で分断されている」「商談の進捗がリアルタイムで共有されない」といった課題を抱えているケースは少なくありません。2021年にSalesforceがSlackを買収して以降、両ツールの連携機能は大幅に強化されています。
この記事では、SlackとSalesforceの連携方法について、設定手順・メリット・活用事例を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 2021年にSalesforceがSlackを約277億ドル(約2.9兆円)で買収
- 連携により商談更新の通知、Slack上でのレコード検索・編集が可能に
- 2025年6月から全Salesforce顧客がSlack無料プランを利用可能に
- 新機能「Salesforce Channels」でCRMレコードがAI搭載会話に変換
- 連携には「私のドメイン設定」などの事前準備が必要
SlackとSalesforceの連携が注目される背景
2021年7月、SalesforceはSlackの買収を完了しました。買収金額は約277億ドル(約2.9兆円)で、SaaS業界史上最大規模の買収となりました。日本では2021年12月にSlack Japan株式会社との合併が完了しています。
買収の狙い:
- Customer 360の開発強化(顧客情報の統合管理)
- Microsoftに対抗(Teams対策)
- Slack Connectの獲得(企業間コミュニケーション)
日本企業の導入状況: 日本でも多くの大手企業がSlackを導入しています。
- DeNA: 2017年10月から利用開始、3,300ユーザー、150ワークスペース
- Yahoo Japan: 2018年4月に導入、約12,000ユーザーライセンス
- DMM: 日本で初めてSlack Enterprise Gridを導入
SlackとSalesforce連携の基礎知識
(1) SalesforceによるSlack買収の経緯
買収の詳細:
- 買収完了: 2021年7月
- 買収金額: 約277億ドル(約2.9兆円)
- 買収条件: Slack株1株につき26.79ドルの現金と0.0776株のSalesforce普通株式
- 日本での合併完了: 2021年12月
買収後、SlackはすべてのSalesforce Cloudに深く統合され、「Slack-first Customer 360」として提供されています。
(2) Customer 360とSlackの統合
Customer 360は、Salesforceのクロスクラウドテクノロジーイニシアティブです。
Customer 360の特徴:
- B2Cマーケティング、コマース、サービス製品を連携して動作
- 顧客レコードを中央ハブ内部にある固有の顧客IDにマッピング
- 関係部門が連携して顧客ニーズに対応可能
SlackとCustomer 360を活用することで、顧客情報を部門横断で共有し、迅速な意思決定が可能になります。
連携のメリットと活用シーン
(1) 業務自動化と情報共有の効率化
SlackとSalesforceの連携により、以下のメリットが得られます。
主なメリット:
- 業務自動化の実現(通知・タスク割り当ての自動化)
- 部門を超えた意思決定の精度とスピード向上
- 顧客情報と活動データの一元化
- 連携ミスの防止
- サポート業務の問題解決時間の短縮
(2) 営業現場での活用パターン
パターン1: 商談更新の通知
- Salesforceのレコード更新時に、Slackの任意のチャンネルに通知
- リアルタイムでの情報共有が可能
- チーム全体で商談の進捗を把握
パターン2: Slack上でのレコード検索・共有
- 6つの標準オブジェクト(取引先・ケース・取引先責任者・リード・商談・タスク)を検索可能
- 検索結果をSlackチャンネルで共有
- 外出先からスマホでSalesforceレコードを確認・編集
パターン3: 承認フローの効率化
- Slack上で承認依頼を受信
- その場で承認・却下が可能
- 承認プロセスの迅速化
(3) 2025年の新機能(Salesforce Channels)
2025年6月に「Salesforce Channels」が導入されました。
Salesforce Channelsの特徴:
- CRMレコードをリアルタイムでAI搭載の会話に変換
- Salesforce UI内に直接埋め込み
- 両プラットフォーム間でシームレスに連携
さらに2025年10月のDreamforceでは、Slackのネイティブ AIとエージェントアプリが発表されました。
発表された新機能:
- 完全に再構築されたSlackbot
- Channel Expertエージェント
- Agentforce(SalesforceのAI機能)との統合
Slackは「企業向けエージェントOS(Agentic OS)」として位置づけられ、CRM、HR、IT、Tableauからのデータを接続する統一会話インターフェースとして機能するようになっています。
連携設定の手順
(1) 事前準備(私のドメイン設定)
連携を開始する前に、Salesforce側で「私のドメイン設定」を行う必要があります。
事前準備のチェックリスト:
- Salesforceの「私のドメイン」が設定されているか確認
- システム管理者権限を持つアカウントを用意
- 連携するSlackワークスペースを決定
(2) SlackとSalesforce両方でのアプリ設定
Step 1: Slack側でのアプリ追加
- Slackのアプリディレクトリから「Salesforce」アプリを検索
- ワークスペースにインストール
- 必要な権限を付与
Step 2: Salesforce側でのアプリインストール
- Salesforce AppExchangeから「Slack」アプリをインストール
- 組織へのインストールを承認
- ユーザー権限を設定
Step 3: アカウント接続
- Slack上でSalesforceアカウントと接続
- 認証を完了
- 接続テストを実施
(3) 主な連携機能(通知・レコード検索・編集)
レコード通知の設定:
- Salesforceのワークフローまたはプロセスビルダーで通知を設定
- 通知先のSlackチャンネルを指定
- トリガー条件(レコード作成、更新等)を設定
レコード検索・編集:
- Slackのメッセージ入力欄で「/salesforce search」コマンドを使用
- 検索結果からレコードを選択
- プレビュー表示から直接編集が可能
導入時の注意点とよくある課題
(1) 設定時の技術的要件
必要な技術的知識:
- Salesforceの標準およびカスタムオブジェクトの構成
- ユーザー権限の設定
- ワークフロー・プロセスビルダーの設定
よくある課題と対策:
- 課題1: 私のドメイン設定の不備 → 事前に設定を確認
- 課題2: 権限不足でインストールできない → システム管理者に依頼
- 課題3: 通知が多すぎる → トリガー条件を適切に設定
(2) 2025年の価格改定
2025年6月にSlackの価格・パッケージが更新されました。
主な変更点:
- 全Salesforce顧客がSlack無料プランを利用可能に
- Slack無料プランでSalesforce統合機能にアクセス可能
- Business+プラン: 月額12.50ドル → 月額15ドルに値上げ
- 新たにEnterprise+プランを導入
既存のSlack利用企業は、価格改定の影響を確認することが推奨されます。
まとめ:連携を成功させるポイント
SlackとSalesforceの連携は、業務効率化と情報共有の強化に大きな効果をもたらします。特に2025年の新機能(Salesforce Channels、AI機能)により、両ツールの統合は一層深まっています。
連携を成功させるためのポイント:
- 事前準備(私のドメイン設定)を確実に実施
- システム管理者による初期設定を行う
- 通知の頻度やトリガー条件を適切に設定
- まずは基本機能から始め、段階的に活用を拡大
- 2025年の価格改定・新機能を確認
導入を検討する際の次のアクション:
- 自社のSlack・Salesforce利用状況を整理する
- システム管理者と連携設定の計画を立てる
- 無料プランで連携機能を試用する
- 営業チームの活用シーンを具体化する
- 公式ドキュメントで最新の設定手順を確認する
※この記事は2025年時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
よくある質問:
Q: SlackとSalesforceの連携設定は難しいか? A: 基本設定は管理画面から行えますが、「私のドメイン設定」などの事前準備が必要です。システム管理者による初期設定が推奨されます。技術的知識がない場合は、パートナー企業への支援依頼も検討してください。
Q: 連携に追加費用はかかるか? A: 2025年6月から全Salesforce顧客がSlack無料プランを利用可能になりました。無料プランでもSalesforce統合機能にアクセスできます。有料プランはBusiness+が月額15ドル、Enterprise+プランも用意されています。
Q: どのSalesforceオブジェクトが連携できるか? A: 取引先・ケース・取引先責任者・リード・商談・タスクの6つの標準オブジェクトが検索・共有可能です。カスタムオブジェクトについては、設定によって対応可能な場合があります。
Q: Salesforce Channelsとは何か? A: 2025年6月に導入された新機能で、CRMレコードをリアルタイムでAI搭載の会話に変換します。Salesforce UI内に直接埋め込まれ、両プラットフォーム間でシームレスに連携できます。
