CRMとMAツール、どちらを導入すべきか悩んでいませんか?
B2B企業のマーケティング・営業担当者の多くが、CRMとMAツールの選定に悩んでいます。「そもそも両者の違いがよく分からない」「どちらを先に導入すべき?」「両方必要?」といった疑問は尽きません。
CRMは「既存顧客との関係管理」、MAは「見込み顧客の獲得・育成」という異なる役割を持ちます。自社の課題に応じて適切なツールを選択し、必要に応じて連携させることで、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで一貫した顧客対応が可能になります。
この記事では、CRMとMAツールの違いから連携のメリット、主要製品の比較、選定基準まで詳しく解説します。
この記事のポイント:
- CRMは「既存顧客の満足度・ロイヤルティ向上」、MAは「見込み顧客の獲得・育成」が主な役割
- 連携により、マーケティングから営業へのスムーズな引き継ぎと継続購入促進が可能
- 統合型(Salesforce、HubSpot等)と専門特化型(Marketo、SATORI等)で選択肢が異なる
- 新規顧客獲得が課題ならMA優先、既存顧客管理が課題ならCRM優先で導入
- 月額費用は数千円〜数十万円と幅広く、企業規模・機能によって変動
CRM・MAツールとは(基礎知識と重要性)
まずCRMとMAツールの基本的な概念を整理します。
(1) CRM(顧客関係管理)ツールの概要
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客関係管理を意味します。すでに商品・サービスを購入した「既存顧客」を対象に、購入履歴や属性の分析を行い、顧客満足度やロイヤルティの向上を目指すツールです。
CRMツールの主な機能:
- 顧客情報管理・分析(属性、購入履歴、行動履歴)
- キャンペーン・プロモーション管理
- 問い合わせ・顧客対応管理
- 売上予測・レポート作成
CRM導入のメリット:
- 顧客情報を一元管理し、全社でデータを共有
- 顧客に対する適切なフォローが可能に
- 継続購入・クロスセル・アップセルの促進
- 顧客離れの防止と顧客生涯価値(LTV)向上
(2) MA(マーケティングオートメーション)ツールの概要
MA(Marketing Automation)は、マーケティング活動を自動化するツールです。まだ顧客になっていない「見込み顧客(リード)」を対象に、Web広告やメールマガジンなどを通じて興味関心を高めるのが主な役割です。
MAツールの主な役割(3つの「M」):
- 獲得(Muster): Webサイト、広告、展示会などからリードを獲得
- 育成(Mature): メール配信、コンテンツ提供でリードの興味関心を高める
- 管理(Manage): リードの行動履歴を追跡し、商談化の可能性をスコアリング
MA導入のメリット:
- 見込み顧客の属性・行動に応じた自動アプローチ
- 営業への引き渡しタイミングの最適化
- マーケティング活動の効率化・生産性向上
- ROIの可視化と施策改善
(3) SFAとの違いと役割の棲み分け
CRM、MA以外にSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)も関連ツールとしてよく挙げられます。3つの役割を整理します。
| ツール | 対象 | 主な役割 | 主な利用部署 |
|---|---|---|---|
| MA | 見込み顧客 | 獲得・育成・スコアリング | マーケティング |
| SFA | 商談中の顧客 | 案件・商談・活動管理 | 営業 |
| CRM | 既存顧客 | 関係維持・満足度向上 | 営業・カスタマーサクセス |
一般的な利用フロー:
MA(リード獲得・育成)→ SFA(商談・契約)→ CRM(既存顧客管理)
なお、最近のツールはこれらの機能が統合されていることも多く、明確な境界がなくなりつつあります。
CRMとMAツールの違いと役割分担
CRMとMAの違いをより詳しく理解しましょう。
(1) 対象顧客の違い(見込み客 vs 既存顧客)
CRMとMAの最も大きな違いは「対象とする顧客」です。
MA(マーケティングオートメーション):
- 対象:見込み顧客(まだ購入・契約に至っていない潜在顧客)
- 目的:興味関心を高め、商談化・購入につなげる
- 活動:リード獲得、ナーチャリング、スコアリング
CRM(顧客関係管理):
- 対象:既存顧客(すでに購入・契約した顧客)
- 目的:顧客満足度を高め、継続購入・LTV向上につなげる
- 活動:顧客情報管理、サポート対応、リピート促進
(2) 主な機能と目的の違い(獲得・育成 vs 満足度・ロイヤルティ向上)
機能面での違いを比較表で整理します。
| 比較項目 | MA | CRM |
|---|---|---|
| 主な目的 | 見込み顧客の獲得・育成 | 既存顧客の満足度・ロイヤルティ向上 |
| 主な機能 | リード管理、メール配信、スコアリング | 顧客情報管理、問い合わせ対応、売上予測 |
| 対象顧客 | 見込み顧客(リード) | 既存顧客 |
| 成果指標 | リード獲得数、商談化率、CVR | 顧客満足度、継続率、LTV |
| 自動化対象 | マーケティング活動 | カスタマーサクセス活動 |
(3) 利用部署と活用シーンの違い
MAツールの主な利用部署:
- マーケティング部門(リード獲得・育成)
- インサイドセールス(リード選別・初期アプローチ)
CRMツールの主な利用部署:
- 営業部門(顧客情報参照・商談管理)
- カスタマーサクセス(サポート・継続促進)
- 経営層(売上予測・顧客分析)
活用シーンの例:
| シーン | 使うツール | 活用内容 |
|---|---|---|
| 展示会でリード獲得 | MA | 名刺情報登録、フォローメール自動配信 |
| 資料請求のフォロー | MA | スコアリング、営業への引き渡し |
| 商談中の顧客管理 | SFA | 商談進捗管理、活動履歴記録 |
| 契約後のサポート | CRM | 問い合わせ対応、定期フォロー |
| 継続購入の促進 | CRM | クロスセル提案、更新リマインド |
CRM・MA連携のメリットと効果
CRMとMAを連携させることで得られるメリットを解説します。
(1) 部門間の情報共有とスムーズな引き継ぎ
MAとCRMを連携させることで、マーケティング部門と営業部門の間でスムーズな情報共有が可能になります。
連携による効果:
- MAで獲得・育成した見込み顧客の情報を営業へ自動引き継ぎ
- 見込み顧客の行動履歴(閲覧ページ、メール開封等)を営業が参照可能
- 「どの程度興味を持っているか」をスコアで共有し、優先度判断に活用
連携なしの場合の課題:
- 部門間で情報が分断され、同じ情報を何度も入力
- 見込み顧客の温度感が営業に伝わらない
- 引き継ぎの抜け漏れによる機会損失
(2) 一貫したマーケティング・営業活動の実現
連携により、見込み顧客から既存顧客まで一貫したアプローチが可能になります。
カスタマージャーニー全体での一貫性:
認知 → 興味関心 → 検討 → 購入 → 継続利用 → 推奨
└─────MA─────┘ └────SFA────┘ └─────CRM─────┘
連携により、各段階での顧客とのコミュニケーション履歴が統合され、顧客にとっても企業にとっても一貫した体験を提供できます。
(3) 継続購入促進とLTV向上
連携のもう1つの大きなメリットは、継続購入の促進です。
MAで得た情報をCRMで活用:
- 継続購入していない既存顧客に対して、MAで得た興味関心データをCRMで応用
- 過去のメール反応履歴から関心のある製品・サービスを推測
- パーソナライズされた継続提案で解約防止・アップセルを実現
LTV向上への効果:
- 適切なタイミングでの継続提案
- 顧客ニーズに合った製品・サービスの推奨
- 顧客離れの早期検知と対策
主要CRM・MAツールの比較
代表的なCRM・MAツールを比較します。
(1) 統合型ツール(Salesforce、HubSpot等)の特徴
CRM、MA、SFAを統合的に提供するプラットフォームです。
Salesforce:
- 世界最大のCRMプラットフォーム
- Sales Cloud(SFA/CRM)、Marketing Cloud/Pardot(MA)を提供
- 大企業・エンタープライズ向け
- 豊富なカスタマイズ性と連携機能
HubSpot:
- オールインワンのマーケティング・営業プラットフォーム
- CRM、MA、SFAを統合して提供
- 中小〜中堅企業向け
- 無料プランあり、導入ハードルが低い
統合型のメリット:
- 1つのプラットフォームでCRM・MA・SFAを完結
- データの一元管理、連携設定が不要
- サポート・学習リソースが充実
統合型のデメリット:
- 機能が多く、習得に時間がかかる場合も
- 自社に不要な機能も含まれることがある
- コストが高くなる傾向
(2) 専門特化型ツール(Marketo、SATORI等)の特徴
MAまたはCRMに特化したツールです。
Marketo(Adobe Marketo Engage):
- BtoB向けMAツールの代表格
- 高度なリードスコアリング・ナーチャリング機能
- 大企業・エンタープライズ向け
- Salesforce等のCRMと連携して利用
SATORI:
- 国産MAツール
- 日本語サポート充実
- 中小〜中堅企業向け
- 匿名リードの可視化・育成に強み
List Finder:
- 国産MAツール
- シンプルで使いやすい操作性
- 中小企業向け
- 低コストで導入可能
専門特化型のメリット:
- 特定領域に特化した高度な機能
- 自社のニーズに合った選択が可能
- コストを抑えやすい
専門特化型のデメリット:
- 別途CRM/SFAとの連携設定が必要
- 複数ツールの運用管理が必要
(3) 企業規模別おすすめツール構成
自社の規模・状況に応じた一般的な構成パターンを紹介します。
| 企業規模 | おすすめ構成 | 理由 |
|---|---|---|
| スタートアップ | HubSpot(無料プラン) | 無料で始められ、成長に合わせて拡張可能 |
| 小規模(〜50人) | SATORI or List Finder + スプレッドシート | 低コストでMA導入、CRMはまずは簡易管理 |
| 中堅(50〜300人) | HubSpot or SATORI + CRM連携 | MA・CRM両方を導入し連携運用 |
| 大企業(300人〜) | Salesforce + Marketo/Pardot | エンタープライズ向け高機能ツールで全社統合 |
※上記は一般的な目安であり、業種・課題・予算により最適な選択肢は異なります。導入前に複数ツールを比較検討することを推奨します。
選定基準と導入ステップ
自社に最適なCRM・MAツールを選定するための基準とステップを解説します。
(1) 自社課題の整理と優先順位付け
ツール選定の前に、自社の課題を整理することが重要です。
課題別の優先ツール:
| 課題 | 優先すべきツール | 理由 |
|---|---|---|
| 新規リードが足りない | MA | リード獲得・育成を自動化 |
| リードはあるが商談につながらない | MA | スコアリング・ナーチャリング強化 |
| 既存顧客が離れていく | CRM | 顧客情報管理・サポート改善 |
| 営業活動が属人的 | SFA/CRM | 案件・活動の可視化 |
| 部門間連携ができていない | 統合型 or 連携 | データ共有・引き継ぎ改善 |
(2) 予算・機能・連携性の評価基準
ツール選定時に確認すべきポイントです。
予算:
- 初期費用:0円〜数百万円
- 月額費用:数千円〜数十万円(ユーザー数・データ量により変動)
- 運用費用:設定・運用に必要な人件費・外注費
機能:
- 自社に必要な機能が備わっているか
- 将来の成長に対応できる拡張性があるか
- 日本語対応・サポートは十分か
連携性:
- 既存システムとの連携は可能か
- 他ツールとのAPI連携は充実しているか
- データ形式の互換性は確保されているか
(3) 導入計画と運用体制の構築
導入を成功させるためのステップです。
導入ステップ:
- 課題整理・目標設定(1〜2週間)
- ツール比較・トライアル(2〜4週間)
- 選定・契約(1〜2週間)
- 初期設定・データ移行(2〜4週間)
- 運用開始・効果測定(継続)
運用体制:
- 専任担当者の配置(最低1名)
- マニュアル・運用ルールの整備
- 定期的な効果測定・改善サイクル
まとめ:自社に最適なツール構成の見極め方
CRMとMAツールの選定ポイントを整理します。
押さえるべき3つのポイント:
- 役割の違いを理解する: MAは「見込み顧客の獲得・育成」、CRMは「既存顧客の満足度・ロイヤルティ向上」。対象と目的が異なる
- 自社の課題から優先順位を決める: 新規顧客獲得が課題ならMA優先、既存顧客管理が課題ならCRM優先
- 連携を視野に入れて選定する: 将来的な連携を考慮し、統合型か連携可能な専門特化型を選ぶ
次のアクション:
- 自社の課題を「新規獲得」「既存顧客管理」の観点で整理する
- 月間リード数、既存顧客数を確認し、ツール導入の必要性を判断
- 2〜3つのツールで無料トライアル・デモを依頼
- 導入前に連携可能性・費用・サポート体制を確認
CRMとMAは「どちらが優れている」ではなく、「それぞれの役割が異なる」ツールです。自社の状況と課題に応じて適切なツール構成を選び、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまで一貫した顧客対応を実現しましょう。
よくある質問:
Q: CRMとMAツールはどちらを先に導入すべきですか? A: 新規顧客獲得が課題ならMA優先、既存顧客管理が課題ならCRM優先で導入することをおすすめします。自社の最も重要な課題から着手し、段階的に統合を図るのが一般的です。
Q: CRMとMAの連携は必須ですか? A: 必須ではありませんが、連携により効果は大幅に向上します。部門間の情報共有、見込み客から既存顧客への一貫した対応、継続購入促進などが可能になります。
Q: 中小企業でもCRM・MAツールは必要ですか? A: 月間リード数50件以上、既存顧客100社以上であれば効果が見込めます。それ以下の規模であれば、まずはスプレッドシートでの管理で十分な場合も多いです。
Q: CRM・MAツールの費用相場はどのくらいですか? A: 月額数千円〜数十万円と幅広く、機能・ユーザー数・データ量により変動します。無料プランから開始し、必要に応じて有料プランへ段階的に拡張するのがおすすめです。
※本記事の情報は2024年時点のものです。ツール仕様・料金・機能は変更される可能性があり、導入前に各ツールの公式サイトで最新情報を確認することを推奨します。
