なぜSalesforceでカスタマーサポート業務を管理すべきか
BtoBカスタマーサポート担当者の多くが、多様なチャネルからの問い合わせ対応や、対応品質のばらつきに悩んでいます。「メール・電話・チャットなど複数のチャネルからの問い合わせが分散して管理しにくい」「担当者によって対応品質が異なる」「顧客情報が一元化されていない」といった課題は、特にBtoB企業で顕著です。
SalesforceのService Cloudは、カスタマーサービス向けの統合プラットフォームで、これらの課題を解決する機能を提供しています。多様なチャネルからの問い合わせを一元管理し、AI機能で業務を効率化できます。
この記事では、Service Cloudの主要機能から具体的な活用方法、導入事例、導入時の注意点まで実践的に解説します。
この記事のポイント:
- Service Cloudは電話・メール・チャット・ソーシャルメディアなど多様なチャネルからの問い合わせを一元管理できる
- ケース管理、ナレッジ管理、オムニチャネルルーティング、AI機能、フィールドサービス管理の主要5機能がある
- BtoB特有のサポートニーズ(複雑な製品・長期的な顧客関係)に対応可能
- 日立ハイテク・freee・Box Japanなどの導入事例がある
- 導入時は既存システムとの連携、料金プラン選定、オペレーターのトレーニングが重要
(1) カスタマーサポート業務の課題(多様なチャネル対応・対応品質のばらつき)
BtoBカスタマーサポート業務では、複数チャネルからの問い合わせ分散、顧客情報の分散、対応品質のばらつき、ノウハウの属人化といった課題が一般的です。BtoB製品は複雑で、顧客との関係が長期にわたるため、これらの課題は特に深刻です。
(2) Service Cloudによる一元管理のメリット
Service Cloudを導入することで、多様なチャネルからの問い合わせを一元管理できます。
一元管理のメリット:
- 電話・メール・チャット・ソーシャルメディアなど、すべてのチャネルからの問い合わせを統合プラットフォームで管理
- 顧客情報と対応履歴を一元化し、担当者間での情報共有がスムーズ
- ケース管理機能で対応状況を可視化し、マネージャーが進捗を把握しやすい
- ナレッジ管理機能で対応ノウハウを蓄積・共有し、対応品質を標準化
こうした一元管理により、業務効率化と対応品質の向上が期待できます。
(3) Sales CloudとService Cloudの違い(営業支援とカスタマーサポートの特化)
Salesforceには、Sales CloudとService Cloudという2つの主要製品があります。
Sales Cloud:
- 営業支援ツール(SFA/CRM)
- リード管理、商談管理、営業活動の可視化が主な機能
- 新規顧客獲得と既存顧客への営業活動を支援
Service Cloud:
- カスタマーサポート業務に特化
- ケース管理、ナレッジ管理、オムニチャネルルーティングが主な機能
- 顧客からの問い合わせ対応と課題解決を支援
Sales Cloudは営業部門向け、Service Cloudはカスタマーサポート部門向けです。両方を組み合わせて使う企業も多く、営業とサポートの連携を強化できます。
Service Cloudの基礎知識と主要5機能
Service Cloudの基本的な概念と主要5機能を解説します。
(1) Service Cloudとは(AI搭載のカスタマーサービス向け統合コンソール)
Service Cloudは、Salesforceが提供するカスタマーサービス向けの統合プラットフォームです。
Service Cloudの特徴:
- AI搭載のカスタマーサービス向け統合コンソール
- 電話・メール・チャット・ソーシャルメディア等の多様なチャネルに対応
- 世界トップクラスの普及率と評価(Salesforce公式情報による)
- クラウドベースのため、導入後すぐに利用開始可能
Service Cloudは、カスタマーサポート業務に必要な機能を網羅しており、大企業から中小企業まで幅広く利用されています。
(2) ケース管理機能(問い合わせ分類・対応状況の可視化)
ケース管理機能は、顧客からの問い合わせを分類・管理し、対応状況を可視化する機能です。ケースを優先度・カテゴリ・担当者で分類し、SLA管理も可能です。これにより、対応漏れを防ぎ、マネージャーが対応状況をリアルタイムで把握できます。
(3) ナレッジ管理機能(情報蓄積・共有・対応品質の標準化)
ナレッジ管理機能は、FAQ や対応手順を蓄積・共有し、対応品質を標準化する機能です。オペレーターがナレッジを検索して迅速に回答でき、顧客向けセルフサービスポータルでの公開も可能です。これにより、対応品質のばらつきを減らし、新人育成期間を短縮できます。
(4) オムニチャネルルーティング(スキル・専門知識に応じた自動割り振り)
オムニチャネルルーティングは、電話・メール・チャット等の多様なチャネルからの問い合わせを、オペレーターのスキル・専門知識・稼働状況を考慮して自動割り振りする機能です。顧客は適切な担当者に迅速につながり、オペレーターの専門性を活かした対応が可能になります。
(5) AI機能(生成AI)の活用(問合せ要約・返信文章作成・ケース要約の自動化)
2024年のカスタマーサービス戦略で、生成AIは欠かせない存在になっています。Service CloudのAI機能は、問合せ内容の要約、返信文章作成、ケース要約、ナレッジ記事作成を自動化し、オペレーター作業時間を削減します。対応の質を標準化し、ヒューマンエラーを減らす効果があります。ただし、適切なデータ準備とトレーニングが必要で、導入初期は効果が限定的な場合があります。
BtoBカスタマーサポート業務での具体的な活用方法
BtoB企業でのService Cloud活用方法を解説します。
(1) 多様なチャネルからの問い合わせ一元管理(電話・メール・チャット・ソーシャルメディア)
BtoB企業では、顧客が多様なチャネルから問い合わせを行います。Service Cloudは、すべてのチャネルからの問い合わせを統合プラットフォームで管理できます。
多様なチャネル対応の例:
- 電話: コンタクトセンターからの問い合わせ
- メール: サポート窓口へのメール問い合わせ
- チャット: Webサイトのチャットボット経由の問い合わせ
- ソーシャルメディア: Twitter・Facebookでの問い合わせ
すべてのチャネルからの問い合わせをService Cloudで一元管理することで、顧客情報と対応履歴を統合し、担当者が過去のやり取りを参照しながら対応できます。
(2) BtoB特有のサポートニーズへの対応(複雑な製品・長期的な顧客関係)
BtoB企業のサポート業務には、製品の複雑性、長期的な顧客関係、企業内複数部署からの問い合わせ、契約内容による対応の違いなど、特有のニーズがあります。Service Cloudは、ナレッジ管理での専門知識共有、Sales Cloudとの連携、オムニチャネルルーティング、長期的な対応履歴管理により、これらのニーズに対応できます。
(3) カスタマーサクセスとの連携(問題解決から継続利用支援へ)
カスタマーサポートは問い合わせ対応(リアクティブ)、カスタマーサクセスは継続利用支援(プロアクティブ)と目的が異なります。Service Cloudは両方の活動を支援でき、サポート履歴からリスクの高い顧客を検出してカスタマーサクセスチームに引き継ぐことも可能です。
導入事例と効果測定
BtoB企業でのService Cloud導入事例と、効果測定のポイントを解説します。
(1) BtoB企業の導入事例(日立ハイテク・freee・Box Japanのコンタクトセンター業務改善)
日立ハイテク、freee、Box Japanなどの企業がService Cloudを導入し、コンタクトセンター業務の効率化、対応時間短縮、カスタマーサクセス活動強化を実現しています。ただし、個別企業の事例であり、すべての企業で同様の効果が得られるわけではありません。
(2) 効果測定のKPI(対応時間・顧客満足度・初回解決率・ナレッジ活用率)
効果測定には、対応時間、初回解決率、顧客満足度(CSAT)、ナレッジ活用率、SLA達成率などのKPIを設定し、導入前後で比較してROIを評価します。効果測定により、導入の成果を可視化し、組織内での合意形成が容易になります。
(3) 2024年のトレンド(生成AIの活用拡大・カスタマーサービス最新事情レポート第6版)
2024年は生成AIがカスタマーサービス戦略に欠かせない存在になっています。Salesforceは2024年7月に「カスタマーサービス最新事情」(第6版)日本語版を公開し、コンタクトセンター業務でのAI活用拡大を報告しています。Service CloudのAI機能を積極的に活用することで、業務効率化と顧客満足度向上が期待できます。
導入時の注意点とよくある課題
Service Cloud導入時に注意すべき点と、よくある課題を整理します。
(1) 既存システムとの連携と移行計画の設計(専門知識を持つパートナーの活用)
Service Cloud導入時は、Sales Cloudや社内システム(ERP・会計システム等)との連携、既存データの移行範囲と方法、段階的な移行計画を慎重に設計する必要があります。複雑な設定やカスタマイズには専門知識が必要なため、Salesforce認定パートナーの導入支援を活用することが推奨されます。
(2) 料金プランの選定(Starter・Professional・Enterprise・Unlimited等)
Service Cloudには、Starter、Professional、Enterprise、Unlimited等のプランがあり、機能と規模に応じて選択します。小規模企業にはStarter、中堅企業にはProfessional、大企業にはEnterpriseまたはUnlimitedが適切です。公式サイトで最新の料金体系を確認しましょう。
(3) AI機能活用のための適切なデータ準備とトレーニング
AI機能の活用には、過去の対応履歴やナレッジの整備、データ品質向上、AIモデルの学習と継続的なフィードバックが必要です。導入初期は効果が限定的な場合があり、時間とコストがかかります。段階的に進め、効果を検証しながら改善することが重要です。
(4) オペレーターのトレーニングと組織変革(システム導入だけでは効果が出ない)
Service Cloud導入では、システム導入だけでなく、オペレーターのトレーニング(操作方法・ナレッジ管理・AI活用)と組織変革(プロセス見直し・KPI設定・継続的改善)が必要です。システム導入とあわせて、組織全体での取り組みが重要です。
(5) 他カスタマーサポートツールとの比較(Zendesk・Freshdesk等)
カスタマーサポートツールは、Salesforce以外にも複数のベンダーが提供しています。
主要なカスタマーサポートツール:
- Salesforce Service Cloud: AI搭載、Sales Cloudとの連携が強み
- Zendesk: 使いやすさ重視、中小企業に人気
- Freshdesk: 低価格で導入しやすい
ツール選定のポイント:
- 料金プラン・必要な機能・既存システムとの連携・サポート体制を比較
- 無料トライアルで実際に操作性を試し、自社に最適なツールを選定
ツール選定時は、公式サイトで最新の料金・機能を確認し、複数のツールを公平に比較することが重要です。
まとめ:Service Cloud導入に向いている企業
SalesforceのService Cloudは、電話・メール・チャット・ソーシャルメディアなど多様なチャネルからの問い合わせを一元管理できる、カスタマーサービス向けの統合プラットフォームです。ケース管理、ナレッジ管理、オムニチャネルルーティング、AI機能、フィールドサービス管理の主要5機能があり、BtoB特有のサポートニーズ(複雑な製品・長期的な顧客関係)に対応できます。
日立ハイテク・freee・Box Japanなどの導入事例があり、業務効率化と顧客満足度向上が報告されています。導入時は、既存システムとの連携、料金プラン選定、オペレーターのトレーニングと組織変革が重要です。
Service Cloud導入に向いている企業:
- 多様なチャネルからの問い合わせを一元管理したい企業
- 対応品質を標準化したい企業
- Sales Cloud導入済みで営業とサポートの連携を強化したい企業
- BtoB特有のサポートニーズに対応したい企業
次のアクション:
- 自社の課題を整理し、公式サイトで機能・料金を確認
- 他ツールと比較し、無料トライアルで操作性を試す
- Salesforce認定パートナーに導入支援を相談
Service Cloudを活用して、カスタマーサポート業務の効率化と顧客満足度向上を実現しましょう。
