Salesforce Marketing Cloudという名前は聞くけれど、具体的にどのような製品か分からない...
「Salesforce Marketing Cloudを検討しているが、どのような機能があるのか分からない」「Account Engagement(旧Pardot)との違いは?」「料金はいくらか、費用対効果はどうなのか」——BtoB企業のマーケティング担当者やマーケティングマネージャーの多くが、このような課題を抱えています。
Salesforce Marketing Cloudは、Salesforceが提供するマーケティングオートメーション(MA)プラットフォームの総称で、BtoC向けとBtoB向けで製品が分かれています。製品構成が複雑なため、自社のニーズに合った製品を選定することが重要です。
この記事では、Salesforce Marketing Cloudの概要、製品構成と主要機能、導入のメリット・デメリット、料金体系、導入事例と2024年の最新動向を解説します。
この記事のポイント:
- Marketing CloudはBtoC向け「Engagement」とBtoB向け「Account Engagement(旧Pardot)」に分かれる
- 主要機能:マルチチャネル配信、Einstein AIパーソナライゼーション、Data Cloud連携、Sales Cloud/Service Cloud連携
- メリット:統合マーケティング、AIによる自動化、Salesforceエコシステム活用
- デメリット:高額な料金設定、製品選択の複雑さ
- 2024年はMarketing Cloud Growth、Advanced Editionが新登場し、SMB/B2B向けの選択肢が拡充
1. Salesforce Marketing Cloudとは何か
Salesforce Marketing Cloudは、Salesforceが提供するマーケティングオートメーション(MA)プラットフォームの総称です。
(1) MAプラットフォームとしてのMarketing Cloud
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を自動化するツール・手法です。リード獲得から育成、顧客エンゲージメントの向上までを効率化します。
Marketing Cloudの特徴:
- メール、SMS、SNS、プッシュ通知など、マルチチャネルでの顧客接点を統合管理
- Einstein AIによるパーソナライゼーションとレコメンデーション
- Data Cloudと連携し、統一された顧客プロファイルを作成
(2) Salesforceエコシステムにおける位置づけ
Salesforce Marketing Cloudは、Salesforceエコシステムの一部として、他のSalesforce製品と連携します。
主な連携製品:
- Sales Cloud: 営業支援システム(SFA/CRM)
- Service Cloud: カスタマーサポート管理システム
- Data Cloud: 顧客データプラットフォーム(CDP)
Marketing Cloud Connect: Sales CloudやService CloudとMarketing Cloudを連携させるコネクタです。これにより、マーケティングと営業・カスタマーサポートのデータを統合できます。
(3) BtoB向けとBtoC向けの違い
Marketing Cloudは、BtoC向けとBtoB向けで製品が分かれています(参考: Salesforce公式)。
BtoC向け: Marketing Cloud Engagement
- メール・SMS・プッシュ通知などマルチチャネル配信が強み
- 大規模な顧客ベースへのパーソナライズ配信に最適
BtoB向け: Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)
- リードスコアリング、リードナーチャリングに特化
- Salesforce Sales Cloudとの深い連携が強み
2. Marketing Cloudの製品構成と主要機能
Marketing Cloudの製品構成と主要機能を詳しく見ていきます。
(1) Marketing Cloud Engagement(BtoC向け)
主な機能:
- Email Studio: メール配信(A/Bテスト、セグメント配信)
- Mobile Studio: SMS、プッシュ通知配信
- Social Studio: SNS管理・配信
- Journey Builder: カスタマージャーニーの設計・自動化
- Advertising Studio: Facebook、Google広告との連携
向いている企業:
- BtoC企業で大規模な顧客ベースを持つ企業
- マルチチャネルでの顧客接点を統合管理したい企業
(2) Marketing Cloud Account Engagement(BtoB向け・旧Pardot)
主な機能:
- リードスコアリング(見込み客の評価)
- リードナーチャリング(見込み客の育成)
- メール配信
- ランディングページ・フォーム作成
- Salesforce連携
向いている企業:
- BtoB企業でリード獲得・育成に注力したい企業
- Salesforce Sales Cloudを導入済み、またはこれから導入する企業
(3) Data CloudとEinstein AIの活用
Data Cloud: Salesforceの顧客データプラットフォーム(CDP)です。複数のデータソースを統合し、統一された顧客プロファイルを作成します。
Einstein AI: SalesforceのAIエンジンです。パーソナライゼーション、予測分析、レコメンデーションなどに活用されます。
活用例:
- 顧客の過去の購買履歴をもとに、おすすめ商品をメールで自動配信
- 購買可能性の高いリードを予測し、営業チームに優先的に引き渡す
(4) Sales Cloud/Service Cloudとの連携(Marketing Cloud Connect)
Marketing Cloud Connectを使うと、以下が実現できます:
- Sales Cloudのリード・商談データとMarketing Cloudのキャンペーンデータを同期
- Service Cloudのサポート履歴をもとに、パーソナライズされたメールを配信
- マーケティング施策の成果を営業担当者と共有し、連携を強化
3. 導入のメリットとデメリット
Marketing Cloud導入のメリット・デメリットを整理します。
(1) メリット:マルチチャネル統合、AIパーソナライゼーション、Salesforce連携
メリット:
- マルチチャネル統合: メール、SMS、SNS、広告などを一元管理できる
- AIパーソナライゼーション: Einstein AIで顧客ごとに最適なコンテンツ・タイミングを自動提案
- Salesforce連携: Sales Cloud/Service Cloudとのシームレスなデータ連携で、マーケティング〜営業〜サポートを統合
- 豊富な導入実績: 世界中の大企業で導入されており、ベストプラクティスが蓄積されている
(2) デメリット:高額な料金設定、製品選択の複雑さ
デメリット:
- 高額な料金設定: Salesforce製品の中では比較的価格設定が高額。詳細見積もりはSalesforceへ直接問い合わせが必要(参考: 電通総研)
- 製品選択の複雑さ: 製品構成が複雑で、どの製品を選ぶべきか判断が難しい場合がある
- カスタマイズコスト: サブスクリプションモデルで、カスタマイズの環境構築や追加アドオンのコストも考慮が必要
(3) スモールスタートから段階的に機能拡張する方法
おすすめのアプローチ:
- 最初は一部の機能に限定してスモールスタートする(例: Email Studioのみ)
- 顧客規模が拡大してきたら、Journey Builder、Einstein AIなどの高度な機能を追加
- Marketing Cloud Connectで、徐々にSales Cloud/Service Cloudと連携範囲を拡大
4. Marketing Cloudの料金体系
Marketing Cloudの料金体系は、機能やデータ量によって大きく異なります。
(1) 料金体系の概要(機能・データ量で変動)
Marketing Cloudの料金は、以下の要素で変動します:
- 使用する機能(Email Studio、Journey Builderなど)
- データ量(管理する顧客数、送信するメール数など)
- カスタマイズの有無
公開価格はない: Marketing Cloudには公開価格がなく、詳細な見積もりはSalesforceへの直接問い合わせが必要です。
(2) サブスクリプションモデルとトータルコストの考え方
サブスクリプションモデル: Salesforceはサブスクリプションモデル(月額課金)を採用しています。
トータルコストに含まれるもの:
- 月額サブスクリプション料金
- 初期導入費用(カスタマイズ、データ移行など)
- トレーニング費用
- 追加アドオン(Einstein AI、Data Cloudなど)
(3) 見積もり取得の方法
Salesforceへの問い合わせ: 公式サイト(salesforce.com/jp)から問い合わせフォームで見積もりを依頼できます。
Salesforceパートナー経由: Salesforce認定パートナー経由でも見積もり・導入支援を受けられます。
5. 導入事例と2024年の最新動向
Marketing Cloudの導入事例と2024年の最新動向を紹介します。
(1) 導入事例:アダストリア(EC売上5%以上をMarketing Cloud経由で獲得)
アパレル企業アダストリアは、ECサイト[.st]にMarketing Cloudを導入し、以下の成果を達成しました(参考: Uhuru):
成果:
- EC売上の5%以上をMarketing Cloud経由で獲得
- パーソナライズされたメール配信で、顧客エンゲージメントが向上
- カート落ち(カゴ落ち)リカバリー施策で、購入率が改善
(2) 2024年新製品:Marketing Cloud Growth、Advanced Edition
Marketing Cloud Growth: 2024年にリリースされた新製品です。Salesforceのコアプラットフォームにネイティブに構築され、Data Cloudからデータにアクセス可能です(参考: Merkle)。
Marketing Cloud Advanced Edition: Dreamforce '24で発表されました。SMB/B2B向けのGrowthの上位版で、Path Experiment、Unified Conversations with SMSなどの機能を搭載しています(参考: Salesforce Ben)。
(3) Einstein AIとData Cloudのトレンド
2024年のトレンドは、Einstein AIによるパーソナライゼーションとCDP(Customer Data Platform)/Data Cloudの活用です。
トレンド:
- 顧客の購買履歴やウェブ行動を分析し、パーソナライズされたコンテンツを提供
- Data Cloudで複数のデータソースを統合し、統一された顧客プロファイルを作成
6. まとめ:Marketing Cloud導入の判断基準
Salesforce Marketing Cloudの概要、製品構成、メリット・デメリット、料金体系、導入事例と2024年の最新動向を解説しました。
Marketing Cloud導入が向いている企業:
- 中堅〜大企業で大規模なマーケティング施策を行う企業
- 既にSalesforce(Sales Cloud/Service Cloud)を導入している企業
- マルチチャネルでの顧客接点が多い企業
- AIパーソナライゼーションで顧客エンゲージメントを向上させたい企業
次のアクション:
- 自社のターゲット層や使用チャネル、アプローチ方法を整理する
- BtoB向けかBtoC向けかを明確にし、適切な製品(EngagementかAccount Engagementか)を選定する
- Salesforce公式サイト(salesforce.com/jp)で最新の製品情報を確認し、見積もりを依頼する
- スモールスタートから段階的に機能拡張する計画を立てる
Marketing Cloudの機能を正しく理解し、自社に最適なMAツールを選定して、マーケティングを成功させましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。料金や機能は変更される可能性があるため、最新の情報は公式サイト(salesforce.com/jp)でご確認ください。
