SalesforceのMAツール完全ガイド|Marketing CloudとPardotの違いと選び方

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/12

SalesforceのMAツールを導入したいが、どれを選べばいいか分からない...

Salesforceを既に導入している中堅〜大企業のマーケティング担当者にとって、マーケティングオートメーション(MA)機能の追加は、リード獲得から商談化までのプロセスを効率化する有力な選択肢です。しかし、「Marketing CloudとAccount Engagementの違いは何?」「Pardotとは何?」「他社製品と比べてどうなの?」といった疑問が尽きません。

この記事では、Salesforceエコシステム内でのMAツールの選択肢を整理し、企業規模・業種・マーケティング成熟度に応じた選定フレームワークを提供します。他社MAツール(HubSpot、SATORI、BowNow等)との比較も公平に提示し、自社に最適な選択ができるよう解説します。

この記事のポイント:

  • SalesforceのMAツールはB2B向けの「Account Engagement」とB2C向けの「Marketing Cloud Engagement」の2種類
  • 2022年にPardotは「Account Engagement」に名称変更(機能は同じ)
  • Account EngagementはSalesforce CRMとシームレスに連携し、営業とマーケティングの一体管理が可能
  • 料金は月額15万円~、初期導入支援費用は200万円~1,000万円以上
  • 予算制約や使いやすさを重視する場合は、HubSpot・SATORI・BowNowなどの他社製品も検討する

1. SalesforceのMAツールが注目される背景

マーケティングオートメーション(MA)市場は、B2B企業を中心に急成長しています。ITRの調査によると、MA市場は2024年から2028年にかけて拡大が予測されており、日本のMA導入率は上場企業で14.6%に達しています(HubSpot 2023年調査、2018年から倍増)。

GrowthInsightの調査では、日本のMA市場規模は2024年時点で約612億円、2033年には約1,272億円まで拡大する見込みです。この成長の背景には、以下のような要因があります:

MA市場が成長している理由:

  • リード獲得コストの上昇: 広告費が高騰する中、既存のリードを効率的に育成する必要性が高まっている
  • 営業効率化のニーズ: 人手不足の中、営業チームが優先度の高いリードに集中できる仕組みが求められている
  • デジタルマーケティングの浸透: ウェビナー、ホワイトペーパー、メルマガなど、デジタル施策の効果測定・自動化が重要視されている
  • CRMとの連携: 顧客情報を一元管理し、営業とマーケティングが連携する必要性が高まっている

Salesforceは、世界的に導入実績のあるCRM/SFAプラットフォームであり、MA機能を追加することで、リード獲得から商談成立までのプロセスを一気通貫で管理できる点が評価されています。

2. SalesforceのMAツールの全体像(基礎知識)

Salesforceは2つの主要なMAツールを提供しています:Account Engagement(旧Pardot)Marketing Cloud Engagementです。

(1) Account Engagement(旧Pardot)とは

Account Engagementは、B2B向けのマーケティングオートメーションツールです。リード獲得から商談化までのプロセスを自動化し、営業チームとの連携を強化します。

主な機能:

  • リード獲得(ランディングページ、フォーム作成)
  • リードスコアリング・グレーディング(見込み客の関心度・属性を数値化)
  • メール配信・ナーチャリング(自動配信、パーソナライズ)
  • Salesforce CRMとのシームレスな連携
  • ROI分析・レポート機能

特徴:

  • 長い購買プロセス(数ヶ月〜数年)に対応
  • 複数の意思決定者(役職者、現場担当者)への対応
  • 営業チームへのリード引き渡しが円滑

(2) Marketing Cloud Engagementとは

Marketing Cloud Engagementは、B2C向けのマーケティングプラットフォームです。大量の消費者データを扱い、パーソナライズされたメッセージを複数のチャネル(メール、SMS、SNS、プッシュ通知等)で配信します。

主な機能:

  • マルチチャネルメッセージング(メール、SMS、SNS、プッシュ通知)
  • ジャーニービルダー(顧客の購買行動に応じた自動メッセージ配信)
  • 大量データ処理(数百万〜数千万の顧客データ)
  • AIによるパーソナライゼーション

特徴:

  • 短い購買プロセス(数日〜数週間)に対応
  • 個人の意思決定者(消費者)への対応
  • 大量の顧客データをリアルタイムで処理

(3) B2BとB2Cの違い

項目 B2B(Account Engagement) B2C(Marketing Cloud)
購買プロセス 長い(数ヶ月〜数年) 短い(数日〜数週間)
意思決定者 複数(役職者、現場担当者) 個人(消費者)
リード数 数千〜数万 数百万〜数千万
主なチャネル メール、ウェビナー、ホワイトペーパー メール、SMS、SNS、プッシュ通知
重視する指標 リードスコア、商談化率、ROI 開封率、クリック率、コンバージョン率

自社のビジネスモデルがB2B(企業間取引)かB2C(消費者向け取引)かによって、選ぶべきツールが異なります。

(4) リブランディングの経緯

**Pardotは2022年に「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更されました。**機能は同じで、名称のみが変更されています。Salesforce公式サイトでは「Account Engagement(旧Pardot)」と表記されることが多く、どちらの名称も同じツールを指します。

この記事では、以降「Account Engagement」と表記します。

3. Marketing Cloud vs Account Engagement(機能比較)

Marketing CloudとAccount Engagementは、ターゲットとする顧客層が異なるため、機能にも大きな違いがあります。

(1) 基本機能の比較

機能 Account Engagement Marketing Cloud
メール配信
リードスコアリング △(一部プラン)
リードグレーディング ×
ランディングページ作成
フォーム作成
CRM連携 ◎(シームレス)
マルチチャネル配信 △(メール中心) ◎(メール・SMS・SNS・プッシュ)
ジャーニービルダー
AIパーソナライゼーション
大量データ処理 △(数千〜数万) ◎(数百万〜数千万)

Account Engagementが優れている点:

  • リードスコアリング・グレーディング機能が充実
  • Salesforce CRMとのシームレスな連携
  • B2Bの長い購買プロセスに最適化

Marketing Cloudが優れている点:

  • マルチチャネル対応(メール・SMS・SNS・プッシュ通知)
  • 大量の顧客データをリアルタイムで処理
  • AIによる高度なパーソナライゼーション

(2) 料金プランの比較

Account Engagement(旧Pardot)の料金:

  • Growth Edition: 月額約15万円〜
  • Plus Edition: 月額約20万円〜
  • Advanced Edition: 月額約30万円〜
  • Premium Edition: 月額約50万円〜(要見積もり)

※Account Engagementを最大限活用するには「ADVANCED」以上のプランが推奨されます。

Marketing Cloud Engagementの料金:

  • 月額数十万円〜(プランにより大きく変動)
  • 顧客データ数・メッセージ送信数により従量課金

※最新の料金情報はSalesforce公式サイトでご確認ください。

初期導入支援費用: MA導入には、初期設定・既存システムとの連携・運用設計などの支援が必要なケースが多く、Salesforceパートナー企業による導入支援費用は200万円〜1,000万円以上と幅があります。事前見積もりが推奨されます。

(3) Salesforce CRMとの連携

Account Engagement:

  • Sales Cloudとのシームレスな連携が特徴
  • リード・商談データが自動的に同期
  • 営業担当者がCRM画面でマーケティング活動の履歴を確認可能

Marketing Cloud:

  • Sales Cloudとの連携は可能だが、設定がやや複雑
  • データ同期に専用コネクタが必要な場合あり

既にSales Cloudを導入しており、営業とマーケティングの連携を強化したい場合は、Account Engagementが適している傾向があります。

(4) サポート体制の違い

Salesforceは日本語サポートを提供していますが、プランによってサポート内容が異なります。

サポート内容:

  • オンラインヘルプセンター(すべてのプラン)
  • メール・チャットサポート(有料プラン)
  • 電話サポート(上位プラン)
  • 専任のテクニカルアカウントマネージャー(Premiumプラン)

導入初期はパートナー企業のサポートを活用し、運用が軌道に乗ってから自社運用に移行する企業が多いケースです。

4. 選定基準(企業規模・業種・予算別)

Account EngagementとMarketing Cloud、どちらを選ぶべきかは、企業規模・予算・マーケティング成熟度により異なります。

(1) 企業規模別の選び方

中堅企業(従業員300〜1,000名):

  • Account Engagementが適しているケースが多い
  • リード数は数千〜数万程度
  • 営業チームとの連携が重要
  • 予算: 月額15〜30万円程度

大企業(従業員1,000名以上):

  • B2Bの場合: Account Engagement(Advanced以上)
  • B2Cの場合: Marketing Cloud Engagement
  • リード数は数万〜数十万以上
  • 複雑なマーケティング施策・マルチチャネル対応が必要
  • 予算: 月額30万円以上

(2) 予算別の選び方

予算: 月額10〜20万円:

  • Account Engagement(Growth/Plus)
  • または他社製品(HubSpot Starter/Professional、BowNowなど)

予算: 月額20〜50万円:

  • Account Engagement(Advanced)
  • または他社製品(HubSpot Professional/Enterprise、SATORI)

予算: 月額50万円以上:

  • Account Engagement(Premium)
  • または Marketing Cloud Engagement
  • 高度な機能・専任サポートが必要な大企業向け

(3) マーケティング成熟度別の選び方

マーケティング施策を始めたばかり:

  • シンプルで使いやすいツールが適している
  • 推奨: HubSpot、BowNow、Account Engagement(Growth)
  • 段階的に機能を追加していく

マーケティング施策が軌道に乗っている:

  • リードスコアリング・ナーチャリングを本格化
  • 推奨: Account Engagement(Plus/Advanced)、SATORI
  • 営業チームとの連携を強化

マーケティング施策が高度に成熟:

  • ABM(アカウントベースドマーケティング)、AIパーソナライゼーション
  • 推奨: Account Engagement(Premium)、Marketing Cloud
  • 複雑なワークフロー・マルチチャネル対応

5. 他社製品との比較(HubSpot、SATORI、BowNow等)

SalesforceのMAツールは強力ですが、予算制約や使いやすさを重視する場合は、他社製品も検討する価値があります。

(1) HubSpot

特徴:

  • 中小〜中堅企業向けのオールインワンMAツール
  • 直感的なUI、豊富なテンプレート
  • 無料プランあり(月間2,000通まで)
  • Salesforce CRMとの連携も可能

メリット:

  • 初期費用が低く、段階的にプランをアップグレードできる
  • 日本語サポートあり
  • コミュニティ・学習リソースが豊富

デメリット:

  • Salesforce CRMとの連携は「可能」だが、Account Engagementほどシームレスではない
  • マーケティングコンタクト数に応じた従量課金

適している企業:

  • 中小〜中堅企業(従業員50〜300名)
  • 予算: 月額数万円〜20万円程度
  • Salesforce CRMを使っていない、または連携の優先度が低い

(2) SATORI

特徴:

  • 国内企業向けに特化したMAツール
  • 匿名リード(サイト訪問者)のトラッキングが強み
  • 手厚い日本語サポート・導入支援

メリット:

  • 国内企業の導入実績が豊富
  • サポート体制が手厚い(オンボーディング支援)
  • Salesforce CRMとの連携も可能

デメリット:

  • 海外展開している企業には不向きな場合あり
  • 料金は月額10〜30万円程度(やや高め)

適している企業:

  • 中堅〜大企業(従業員300名以上)
  • 国内市場に注力
  • 手厚いサポートを重視

(3) BowNow

特徴:

  • 低価格で導入しやすいMAツール
  • 国内市場シェア1位(DataSign調査、2025年)
  • シンプルな機能で初心者向け

メリット:

  • 初期費用0円、月額数万円〜
  • 操作が簡単で、マーケティング初心者でも使いやすい
  • Salesforce CRMとの連携も可能

デメリット:

  • 高度な機能(ABM、AIパーソナライゼーション等)は限定的
  • 大規模なリード数には不向きな場合あり

適している企業:

  • 小規模〜中小企業(従業員50名未満〜300名)
  • 予算: 月額数万円程度
  • MAを初めて導入する

(4) その他のSalesforce連携ツール

Salesforce連携が可能なMAツールは18種類以上あります(Imitsu調査)。選定時は以下の観点で比較しましょう:

比較ポイント:

  • 目的: リード獲得、ナーチャリング、ABMなど、何を重視するか
  • 機能: 必要な機能がすべて揃っているか
  • 料金: 初期費用・月額費用・従量課金の有無
  • サポート体制: 日本語サポート、導入支援の有無

複数のツールを比較し、無料トライアルで実際に操作性を試してから決定することが推奨されます。

6. まとめ:シーン別おすすめMAツール

SalesforceのMAツールは、ビジネスモデル・企業規模・予算により最適な選択肢が異なります。

シーン別おすすめMAツール:

シーン おすすめツール 理由
B2B企業、Salesforce CRM導入済み、予算潤沢 Account Engagement(Advanced以上) シームレスな連携、営業チームとの一体管理
B2C企業、大量の顧客データ、マルチチャネル対応 Marketing Cloud Engagement 大量データ処理、マルチチャネル配信
中小企業、予算限定、MAを初めて導入 HubSpot、BowNow 低価格、使いやすさ、段階的な機能追加
中堅企業、国内市場に注力、手厚いサポート重視 SATORI 国内企業特化、手厚いサポート

MA導入を成功させるポイント:

  • 目的を明確化: リード獲得、ナーチャリング、営業連携など、何を最優先するか
  • 段階的に導入: 最初は基本機能から始め、慣れてから高度な機能を追加
  • サポート体制を確保: 導入初期はパートナー企業の支援を活用
  • 継続的な改善: データを分析し、運用を改善し続ける

次のアクション:

  • 自社のビジネスモデル(B2B/B2C)、企業規模、予算を整理する
  • 3〜5社のツールを比較し、公式サイトで詳細を確認する
  • 無料トライアルで実際に操作性を試す
  • 導入パートナー企業に相談し、見積もりを取得する

MA市場は急成長しており、ツールの機能も日々進化しています。最新情報は各社公式サイトで定期的に確認しましょう。

※この記事は2025年時点の情報です。最新の料金・機能については、Salesforce公式サイトおよび各ツールベンダーの公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q1PardotとAccount Engagementの関係は?

A12022年にPardotは「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更されました。機能は同じで、名称のみが変更されています。Salesforce公式サイトでは「Account Engagement(旧Pardot)」と表記されることが多く、どちらの名称も同じツールを指します。

Q2Account EngagementとMarketing Cloudの違いは?

A2Account EngagementはB2B向け、Marketing CloudはB2C向けです。B2Bは長い購買プロセス(数ヶ月〜数年)と複数の意思決定者が特徴で、リードスコアリング・グレーディング機能が充実しています。B2Cは短い購買プロセス(数日〜数週間)と個人の意思決定者が特徴で、マルチチャネル配信(メール・SMS・SNS・プッシュ通知)に対応しています。

Q3料金はどのくらいかかるのか?

A3Account Engagementは月額約15万円〜、4つのプラン(Growth/Plus/Advanced/Premium)があります。初期導入支援費用は200万円〜1,000万円以上と幅があり、Salesforceパートナー企業による見積もりが必要です。最新の料金情報はSalesforce公式サイトでご確認ください。

Q4Salesforceとの連携が可能な他のMAツールは?

A4HubSpot、SATORI、BowNowなど18種類以上のMAツールがSalesforceと連携可能です。予算制約(月額数万円〜20万円程度)や使いやすさを重視する場合は、他社製品も検討する価値があります。複数のツールを比較し、無料トライアルで実際に操作性を試してから決定することが推奨されます。

Q5MA導入時の失敗を防ぐにはどうすればよいか?

A5目的の明確化(リード獲得、ナーチャリング、営業連携など)、段階的な導入(最初は基本機能から)、サポート体制の確保(導入初期はパートナー企業の支援を活用)が重要です。導入前に「目的」「機能」「料金」「サポート体制」の4つの観点で比較検討しましょう。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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