Salesforce MAツール(Marketing Cloud / Pardot)の特徴と選び方ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/11

Salesforce MAツール選びで迷っていませんか?

「Salesforceは使っているけれど、MAツールはどれを選べばいいの?」「Marketing CloudとPardotの違いは何?」「HubSpotと比べてどちらがいい?」

B2B企業のマーケティング担当者の多くが、Salesforce MAツール選びに悩んでいます。Salesforceには複数のMAツールがあり、それぞれ対象顧客や機能が異なるため、自社に最適な選択肢を見極める必要があります。

この記事では、Salesforceが提供する2種類のMAツール(Marketing Cloud Engagement / Account Engagement)の特徴、他社ツールとの比較、導入コスト・効果・成功事例を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • SalesforceのMAツールは2種類:B2C向けのMarketing Cloud EngagementとB2B向けのAccount Engagement(旧Pardot)
  • Account Engagementは月額390,000円から。HubSpotは無料プランからスタート可能
  • 大企業・複雑な業務プロセスならSalesforce、中小企業・スモールスタートならHubSpotが推奨される
  • Salesforce CRMとの一体化により、マーケティング部門と営業部門の活動を可視化し顧客管理を一元化できる
  • NTTコミュニケーションズはSalesforce連携で5年で売上10倍を実現

SalesforceのMAツール2種類の基礎知識

Salesforceは2種類のMAツールを提供しており、ビジネスモデルと顧客管理の目的によって選択する必要があります。

(1) Marketing Cloud Engagement:B2C向けマルチチャネルMA

Marketing Cloud Engagementは、B2C向けのマルチチャネルマーケティングツールです。メール、SMS、SNS、Webなど複数のチャネルを統合し、顧客とのコミュニケーションを自動化します。

主な特徴:

  • マルチチャネル対応(メール、SMS、SNS、Web、モバイルアプリ)
  • ジャーニービルダーによる顧客体験の設計
  • B2Cマーケティングに最適化された機能

適している企業:

  • B2C企業(ECサイト、リテール、メディア等)
  • 不特定多数の顧客とのコミュニケーションが必要な企業
  • 顧客体験の最適化を重視する企業

(2) Account Engagement(旧Pardot):B2B向けリード管理MA

Account Engagementは、B2B向けのリード管理MAツールです。2022年にPardotから名称変更されました。リード獲得・育成・選別を自動化し、営業部門への引き渡しを効率化します。

主な特徴:

  • リードスコアリング・グレーディング機能
  • Engagement Studioによるシナリオメール自動化
  • Salesforce CRMとの完全一体化
  • AI『Einstein』によるリード予測

適している企業:

  • B2B企業(SaaS、製造業、専門サービス等)
  • リード育成プロセスが長い企業(検討期間が数ヶ月〜1年)
  • 営業部門との連携を重視する企業

(3) どちらを選ぶべきか:ビジネスモデルと目的で判断

ビジネスモデルと顧客管理の目的によって、最適なMAツールは異なります。

選定基準:

  • B2C企業: Marketing Cloud Engagement
  • B2B企業: Account Engagement(旧Pardot)
  • B2C・B2B両方: 両方を導入するか、目的に応じて選択

※この記事では、B2B企業向けのAccount Engagementを中心に解説します。

Account Engagement(旧Pardot)の主要機能と特徴

Account Engagementは、B2Bマーケティングに必要な機能を包括的に提供しています。

(1) リード獲得・育成・選別の自動化

Account Engagementは、リードのライフサイクル全体を管理します。

リード獲得(Lead Generation):

  • ランディングページ作成
  • フォーム作成・埋め込み
  • Web行動トラッキング
  • 広告連携(Google Ads、Facebook Ads等)

リード育成(Lead Nurturing):

  • シナリオメール(ステップメール)の自動配信
  • 顧客の行動に基づくコンテンツ出し分け
  • エンゲージメントヒストリーの記録

リード選別(Lead Qualification):

  • リードスコアリング(行動履歴に基づく点数付け)
  • グレーディング(企業属性に基づくA+〜Fの分類)
  • 営業部門への自動通知・引き渡し

(2) Engagement Studio:シナリオメール・ステップメールの自動実行

Engagement Studioは、顧客の行動に合わせたフォローアップを自動化する機能です。

主な機能:

  • ドラッグ&ドロップでシナリオ作成
  • 条件分岐(メール開封、リンククリック、フォーム送信等)
  • タイマー設定(「3日後」「1週間後」等)
  • アクション実行(メール送信、タスク作成、通知送信等)

活用例:

  • ホワイトペーパーダウンロード後の自動フォローアップ
  • ウェビナー参加者へのシナリオメール配信
  • 商談化前のリード育成プロセス自動化

(3) AI『Einstein』によるリードスコアリング・購買予測

SalesforceのAI技術『Einstein』を活用し、リードの優先順位付けと購買タイミングの予測が可能です。

Einstein機能:

  • リードスコアリング: 過去のデータに基づき、最も有望なリードを自動的に割り出す
  • 購買タイミング予測: いつ購入する可能性が高いかを予測
  • コンテンツ最適化: 顧客ごとに最適なコンテンツを自動選択

効果:

  • 営業部門のフォローアップ効率が向上
  • 商談化率・成約率の改善
  • リソースの最適配分

(4) Salesforce CRMとの一体化:営業・マーケの活動可視化

Account EngagementはSalesforce CRMと完全に一体化しており、マーケティング部門と営業部門の活動をシームレスに連携できます。

連携のメリット:

  • リード情報の自動同期(重複入力なし)
  • マーケティング活動と営業活動の可視化
  • ROI測定の精度向上
  • 営業部門へのリアルタイム通知

具体例:

  • マーケティング部門:リード獲得・育成の進捗を可視化
  • 営業部門:リードの行動履歴(メール開封、資料ダウンロード等)を確認
  • 経営層:マーケティング投資対効果(ROI)を正確に把握

他社MAツールとの比較と選び方のポイント

Account Engagementと他社MAツールの比較を通じて、自社に最適な選択肢を見極めましょう。

(1) HubSpot vs Salesforce:企業規模・予算・スタート方法の違い

HubSpotとSalesforceは、どちらもB2B向けの代表的なMAツールです。企業規模・予算・スタート方法によって選択が異なります。

HubSpot:

  • 無料プランからスタート可能
  • 中小企業向け(従業員50〜500人)
  • 直感的なUI、学習コストが低い
  • オールインワン型(MA・SFA・CRM一体)

Salesforce:

  • 月額390,000円から(Account Engagement)
  • 大企業・複雑な業務プロセス向け
  • 高度なカスタマイズが可能
  • エコシステムが強力(AppExchangeで1,300以上のアプリと連携)

選定基準:

  • 中小企業・スモールスタート: HubSpot
  • 大企業・複雑なプロセス: Salesforce
  • 予算重視: HubSpot(無料プランあり)
  • 高度なカスタマイズ: Salesforce

(2) 機能比較:基本機能と差別化ポイント

主要MAツールの機能を比較しました。

基本機能(ほぼすべてのツールに共通):

  • リード管理
  • メール配信
  • フォーム作成
  • ランディングページ作成
  • Web行動トラッキング

差別化ポイント:

機能 HubSpot Salesforce Account Engagement
リードスコアリング ○(AI『Einstein』搭載)
Salesforce CRM連携 △(別途連携設定必要) ◎(完全一体化)
カスタマイズ性 ◎(Apex開発可能)
学習コスト 中〜高
サポート体制 充実(日本語) 充実(日本語)

(3) 料金比較:初期費用と月額料金

料金プランを比較しました。

HubSpot:

  • 無料プラン: 基本機能のみ
  • Starter: 月額2,160円〜(小規模)
  • Professional: 月額96,000円〜(中堅)
  • Enterprise: 月額432,000円〜(大企業)

Salesforce Account Engagement:

  • Growth: 月額390,000円/組織(10ユーザーまで)
  • Plus: 月額780,000円/組織(10ユーザーまで)
  • Advanced: 月額1,560,000円/組織(10ユーザーまで)
  • Premium: 月額3,120,000円/組織(10ユーザーまで)

※料金は2024年11月時点の情報です。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

注意点:

  • Salesforceは公式価格以外にも、導入支援、カスタマイズ開発、運用サポートなどの追加コストが発生する可能性があります。
  • 総額を把握するために、導入前に見積もりを取得することが推奨されます。

(4) 連携性:AppExchangeで1,300以上のアプリと連携

Salesforceは、AppExchange(アプリマーケットプレイス)を通じて1,300以上のアプリと連携できます。

主な連携先:

  • SFA/CRM(Salesforce Sales Cloud等)
  • BI/分析ツール(Tableau、Datorama等)
  • 広告プラットフォーム(Google Ads、Facebook Ads等)
  • ウェビナーツール(Zoom、Webex等)
  • コミュニケーションツール(Slack、Microsoft Teams等)

HubSpotとの連携:

  • HubSpotとSalesforceを連携させることも可能です。
  • HubSpotでリード獲得・育成を行い、Salesforce CRMで営業管理を行うハイブリッド構成も選択肢の一つです。

導入コスト・効果・成功事例

導入コスト、期待される効果、実際の成功事例を確認しましょう。

(1) 料金プラン:月額390,000円から(隠れコストに注意)

Account Engagementの料金プランは、月額390,000円/組織からスタートします。

料金プラン詳細:

  • Growth: 月額390,000円/組織(10ユーザーまで)
    • 基本的なMA機能
    • リードスコアリング・グレーディング
    • Engagement Studio
  • Plus: 月額780,000円/組織(10ユーザーまで)
    • Growthの全機能
    • A/Bテスト
    • 高度なレポート
  • Advanced: 月額1,560,000円/組織(10ユーザーまで)
    • Plusの全機能
    • AI『Einstein』機能
    • プレミアムサポート
  • Premium: 月額3,120,000円/組織(10ユーザーまで)
    • Advancedの全機能
    • 専任サポート
    • カスタムオブジェクト対応

隠れコストに注意:

  • 導入支援費用(初期設定、シナリオ構築等)
  • カスタマイズ開発費用(Apex開発等)
  • 運用サポート費用(月額保守、トレーニング等)
  • ユーザー追加費用(10ユーザー超過時)

これらの追加コストを含めた総額を事前に見積もることが重要です。

(2) 導入効果:リード獲得・育成・選別の仕組み化

MAツールを導入することで、以下の効果が期待できます。

定量的効果:

  • リード獲得数の増加(広告・コンテンツ最適化)
  • 商談化率の向上(リードスコアリングによる優先順位付け)
  • 成約率の改善(適切なタイミングでのフォローアップ)
  • 営業工数の削減(自動化による効率化)

定性的効果:

  • マーケティング・営業部門の連携強化
  • データに基づく意思決定(KPIの可視化)
  • 顧客体験の向上(パーソナライズされたコミュニケーション)

ROI測定:

  • MAツールの効果は6ヶ月〜1年で評価するのが一般的です。
  • 短期間で劇的な成果を期待するのではなく、長期的な視点で運用体制を整備することが成功のポイントです。

(3) 成功事例①:KDDI(同時実行施策数を3倍に)

KDDIは、Marketing CloudとData Cloudで新MA基盤を構築し、マーケティング活動を大幅に拡大しました。

課題:

  • 既存システムでは同時実行できる施策数に限界があった
  • データ連携の複雑さが運用負担となっていた

導入内容:

  • Marketing Cloud導入
  • Data Cloudによるデータ統合

成果:

  • 同時実行施策数が200から600へ3倍に増加(2024年)
  • データ連携の効率化により、運用工数を削減

(出典: Salesforce World Tour Tokyo 2024)

(4) 成功事例②:NTTコミュニケーションズ(5年で売上10倍)

NTTコミュニケーションズは、Salesforce連携によるデータ活用で5年間で売上10倍を実現しました。

成功要因:

  • Salesforce CRMとMAツールの完全連携
  • 顧客行動データの一元管理と分析
  • データに基づくマーケティング戦略の策定
  • 営業・マーケティング部門の連携強化

学び:

  • ツール導入だけでは成果は出ない
  • データ活用戦略と運用体制の整備が不可欠
  • 長期的な視点で取り組むことが重要

(出典: Salesforce World Tour Tokyo 2024「AI時代のBtoBマーケティング~売上10倍を支えるデータ活用」)

まとめ:自社に最適なMAツールの選び方

Salesforce MAツール選びでは、ビジネスモデル(B2C/B2B)、企業規模、予算、必要な機能を明確にすることが重要です。

選定フロー:

  1. ビジネスモデルで選択: B2CならMarketing Cloud Engagement、B2BならAccount Engagement
  2. 企業規模・予算で絞り込み: 中小企業ならHubSpot、大企業ならSalesforce
  3. 必要な機能を確認: リードスコアリング、AI機能、CRM連携等
  4. 導入コストを見積もり: 公式価格+隠れコスト(導入支援、カスタマイズ等)
  5. 無料トライアル・デモで試す: 実際の操作性を確認

次のアクション:

自社に最適なMAツールを選び、マーケティング活動の効率化とリード獲得の最大化を目指しましょう。

よくある質問

Q1SalesforceのMAツールはどれを選べばいい?

A1B2C企業にはMarketing Cloud Engagement、B2B企業にはAccount Engagement(旧Pardot)が推奨されます。ビジネスモデルと顧客管理の目的で判断しましょう。両方のニーズがある場合は、両方を導入するか、目的に応じて選択することも可能です。

Q2料金はいくら?

A2Account Engagementは月額390,000円/組織からスタートします。HubSpotは無料プランからスタート可能です。ただし、Salesforceは公式価格以外に導入支援、カスタマイズ開発、運用サポートなどの追加コストが発生する可能性があるため、総額を事前に見積もることが重要です。

Q3HubSpotとSalesforce、どちらがいい?

A3大企業で複雑な業務プロセスがある場合はSalesforce、中小企業でスモールスタートしたい場合はHubSpotが推奨されます。HubSpotは無料プランから始められ、学習コストが低いのが特徴です。一方、SalesforceはCRMとの完全一体化や高度なカスタマイズが可能です。両ツールを連携させるハイブリッド構成も選択肢の一つです。

Q4カスタマイズは難しい?

A4Salesforceのカスタマイズには、Apex開発などの専門知識が必要です。内製化には学習コストと時間がかかるため、導入支援ベンダーの活用も検討しましょう。一方、HubSpotは直感的なUIで、学習コストが低いのが特徴です。

Q5MAツール導入だけで成果は出る?

A5ツール導入だけでは成果は出ません。マーケティング戦略の策定と運用体制の整備が不可欠です。NTTコミュニケーションズやKDDIなどの成功事例も、戦略と体制が整っていることが共通点です。MAツールの効果は6ヶ月〜1年で評価するのが一般的で、長期的な視点で取り組むことが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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