SalesforceのMAツールを導入したいけれど、どの製品を選べばいいか分からない...
B2B企業のマーケティング担当者の多くが、「SalesforceのMA(マーケティングオートメーション)機能を導入したいが、Marketing CloudとAccount Engagementの違いが分からない」「料金はどれくらいかかるのか」「他のMAツールと比較してどうなのか」といった疑問を抱えています。
この記事では、SalesforceのMA製品の特徴、CRM連携のメリット、料金体系、他のMAツール(HubSpot、Marketo等)との比較を公平に解説します。B2B企業の実務担当者が自社に適したMA選択を判断できるよう、実用的な情報をお届けします。
この記事のポイント:
- SalesforceのMA製品は「Marketing Cloud」と「Account Engagement(旧Pardot)」の2つがあり、ビジネスモデルと規模に応じて選択する
- Account EngagementはB2B向けに特化、Marketing CloudはBtoC含む広範なマーケティングプラットフォーム
- Sales CloudとのCRM連携により、マーケティングと営業の効率的な連携が可能
- 料金は見積もりベースで、導入前に要件(目的、規模、既存システム連携)を明確にすることが重要
- 他のMAツール(HubSpot、Marketo等)と比較検討し、自社に適した選択を行うことが推奨される
1. SalesforceのMA(マーケティングオートメーション)機能とは
マーケティングオートメーション(MA)は、リード獲得・育成・選別を自動化し、マーケティング活動を効率化するツールです。SalesforceはCRM(顧客情報管理・営業支援)で広く知られていますが、MA機能も提供しています。
(1) MAツールの基本機能(メール配信、スコアリング、キャンペーン管理)
MAツールの主な機能には以下があります:
基本機能:
- メール配信自動化: 見込み客の行動(Webサイト訪問、資料ダウンロード等)に応じた自動メール配信
- リードスコアリング: 見込み客の関心度や購入可能性を数値化し、優先順位をつける機能
- キャンペーン管理: 複数のマーケティング施策を統合管理
- Webサイト訪問履歴分析: どのページを閲覧したか、どのコンテンツに関心があるかを追跡
- ランディングページ作成: 独自のランディングページを簡単に作成
- 動的フォーム: 訪問者の属性に応じてフォーム項目を変更
これらの機能により、マーケティング担当者は見込み客の育成(リードナーチャリング)を効率的に行えます。
(2) SalesforceのMA製品群の全体像
Salesforceは複数のMA関連製品を提供しており、主に以下の2つの製品群があります:
1. Marketing Cloud Engagement
- BtoC、BtoB両方に対応する広範なマーケティングプラットフォーム
- Email Studio、Mobile Studio、Social Studio等の複数モジュールから構成
2. Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)
- B2B向けに特化したMAツール
- 2022年4月に「Pardot」から「Account Engagement」に名称変更
- リードスコアリング、リードナーチャリング、Sales Cloud連携に強み
この製品体系の複雑さが、導入検討時の混乱の原因となっています。自社のビジネスモデル(BtoB or BtoC)と規模に応じて適切な製品を選択することが重要です。
2. Salesforceが提供する2つのMA製品:Marketing CloudとAccount Engagement
(1) Marketing Cloud Engagementの特徴と適用シーン
Marketing Cloud Engagementは、より広範なマーケティングプラットフォームです。
主な特徴:
- マルチチャネル対応: Email、Mobile、Social、Web、広告など複数チャネルを統合管理
- パーソナライゼーション: 顧客データを活用した高度なパーソナライズドマーケティング
- BtoC向け機能: 大量の顧客データを扱うBtoC企業に適した機能
適用シーン:
- 大規模なBtoC企業(小売、金融、旅行等)
- マルチチャネルマーケティングを展開する企業
- 高度なパーソナライゼーションが必要な企業
導入事例: オンワードパーソナルスタイルでは、顧客データを一元化し、パーソナライズドマーケティングを実現しています。
(2) Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)の特徴とB2B向け機能
Account Engagementは、B2B向けに特化したMAツールです。
主な特徴:
- B2B特化: リードスコアリング、リードナーチャリングに強み
- Sales Cloud連携: 営業チームとマーケティングチームのシームレスな連携
- リード管理: 企業情報と担当者情報を紐付けた管理
適用シーン:
- B2B企業(製造業、IT、コンサルティング等)
- 営業プロセスが長く、リード育成が重要な企業
- 既にSales Cloudを導入済みの企業
導入事例: プログリットでは、法人向けサービスでSalesforceを戦略基盤として活用しています。
(3) 2つの製品の違いと選び方
| 項目 | Marketing Cloud Engagement | Account Engagement(旧Pardot) |
|---|---|---|
| 対象 | BtoC、BtoB両方 | B2B特化 |
| 主要機能 | マルチチャネル、パーソナライゼーション | リードスコアリング、リードナーチャリング |
| 適した企業規模 | 大企業 | 中堅〜大企業 |
| 価格帯 | 見積もりベース(高額) | 見積もりベース(中〜高額) |
| 学習コスト | 高い(複雑) | 中程度 |
選定基準:
- BtoB企業: Account Engagementを検討
- BtoC企業: Marketing Cloud Engagementを検討
- 既にSales Cloudを導入済み: Account Engagementの連携メリットが大きい
- マルチチャネル展開が必要: Marketing Cloud Engagementを検討
3. SalesforceのMA機能の特徴とCRM連携のメリット
(1) Sales Cloudとのシームレスなデータ連携
SalesforceのMA製品の最大の強みは、Sales Cloud(CRM)とのシームレスなデータ連携です。
連携のメリット:
- データ同期: マーケティングで獲得したリード情報が営業チームにリアルタイムで共有される
- スコアリング連携: リードスコアが高い見込み客を営業チームが優先的にフォロー
- 活動履歴の統合: Webサイト訪問履歴、メール開封履歴が営業活動と統合
(2) マーケティングと営業の効率的な連携体制
CRM連携により、マーケティングと営業の連携が強化されます。
連携のメリット:
- ホットリードの見逃し防止: スコアが一定値を超えたリードを営業に自動通知
- 営業活動の可視化: 営業担当者がどのリードにアプローチしたかをマーケティングチームも把握
- ROIの測定: マーケティング施策から商談化、受注までの一連の流れを追跡
(3) 主要な活用シーン(リード育成、スコアリング、キャンペーン管理)
リード育成(リードナーチャリング):
- 資料ダウンロード後、定期的に関連コンテンツをメール配信
- Webサイトの訪問ページに応じたフォローアップメール
リードスコアリング:
- Webサイト訪問回数、閲覧ページ、メール開封率等から関心度を数値化
- スコアが80点以上のリードを営業に自動通知
キャンペーン管理:
- ウェビナー参加者へのフォローアップ自動化
- 展示会で獲得したリードの一括管理と育成
(4) 導入事例(オンワードパーソナルスタイル、プログリット等)
オンワードパーソナルスタイル:
- 顧客データを一元化し、パーソナライズドマーケティングを実現
- 顧客の嗜好に応じた商品提案で購買率向上
プログリット:
- 法人向けサービスでSalesforceを戦略基盤として活用
- マーケティングと営業の連携強化でリード獲得効率化
※導入事例は企業規模・業種・既存システムにより結果が異なります。自社の状況に応じた検討が必要です。
4. Marketing Cloudの料金体系と導入時の考慮点
(1) 見積もりベースの料金体系と予算の考え方
Marketing Cloudの料金は、固定料金ではなく見積もりベースです。
料金に影響する要素:
- 必要な機能: どのモジュールを導入するか(Email Studio、Mobile Studio等)
- 規模: コンタクト数(管理する見込み客数)、送信メール数
- 既存システム連携: Sales Cloud以外のシステムとの連携有無
予算の考え方:
- 中小企業: 月額数十万円〜
- 中堅企業: 月額数十万円〜数百万円
- 大企業: 月額数百万円〜
※最新の料金は公式サイトで確認してください。(この記事は2025年1月時点の情報です)
(2) 導入前に明確にすべき要件(機能、規模、既存システム連携)
導入前に以下の要件を明確にすることが重要です:
1. 導入目的の明確化:
- リード獲得数を増やしたい
- リード育成の効率化
- 営業との連携強化
2. 必要な機能の特定:
- メール配信だけで十分か、マルチチャネルが必要か
- リードスコアリングが必要か
- 高度なパーソナライゼーションが必要か
3. 規模の把握:
- 管理する見込み客数(コンタクト数)
- 月間送信メール数
4. 既存システムとの連携:
- Sales Cloudを既に導入しているか
- 他のCRM、SFAとの連携が必要か
これらを明確にしないと、予算が膨らみ、導入後も使いこなせないリスクがあります。
(3) 学習コストと運用体制の構築
Marketing Cloudは高機能ですが、学習コストも高いと言われています。
学習コストの考慮点:
- 専任担当者の配置: 最低1-2名の専任担当者が推奨される
- トレーニング: Salesforceの公式トレーニング受講(有料)
- 導入支援: パートナー企業による導入支援(別途費用)
運用体制の構築:
- マーケティングチーム内でMA運用担当を明確化
- 営業チームとの連携ルールを事前に策定
- 定期的な効果測定とPDCAサイクルの確立
導入後に「使いこなせない」「投資対効果が低い」という失敗を避けるため、運用体制の構築を事前に計画することが重要です。
5. 他のMAツール(HubSpot、Marketo等)との比較と選定基準
(1) 主要MAツールとの機能比較
SalesforceのMA製品を他の主要MAツールと比較します。
| ツール | 対象 | 主な強み | 料金帯 | 学習コスト |
|---|---|---|---|---|
| Salesforce Account Engagement | B2B | Sales Cloud連携、リードスコアリング | 見積もり(中〜高) | 中程度 |
| Salesforce Marketing Cloud | BtoC、BtoB | マルチチャネル、パーソナライゼーション | 見積もり(高) | 高い |
| HubSpot | 中小企業、BtoB | 使いやすさ、無料プランあり | 無料〜月額数十万円 | 低い |
| Marketo | 大企業、BtoB | 高度なリード管理、ABM機能 | 見積もり(高) | 高い |
| SATORI | 国内企業 | 日本語サポート、匿名リード追跡 | 月額10〜30万円 | 低〜中程度 |
※各社の最新料金・機能は公式サイトで確認してください。
(2) 企業規模・予算・導入目的別の選定基準
小規模企業(従業員50人未満、予算月額5万円以下):
- HubSpot無料プラン: まずは無料で試したい企業
- メリット: 無料で基本機能を利用可能
- デメリット: 機能制限あり、有料プラン移行で高額化
中堅企業(従業員50〜500人、予算月額10〜50万円):
- HubSpot有料プラン: 使いやすさ重視
- SATORI: 日本語サポート重視、匿名リード追跡が必要
- Account Engagement: 既にSales Cloudを導入済み
- メリット: 中堅企業に適した機能と価格帯
- デメリット: ツールにより得意分野が異なる
大企業(従業員500人以上、予算月額50万円以上):
- Marketo: 高度なリード管理、ABM機能が必要
- Marketing Cloud: マルチチャネル、大規模BtoC
- Account Engagement: B2B特化、Sales Cloud連携
- メリット: 高機能で大規模運用に対応
- デメリット: 学習コスト・導入コストが高い
(3) CRM連携の重要性と既存システムとの相性
CRM連携の重要性: MA導入で最も重要なのは、CRM(営業支援システム)との連携です。MAで獲得・育成したリードを営業チームがスムーズにフォローできる体制が必要です。
既存システムとの相性:
- 既にSales Cloudを導入済み: Account Engagementの連携メリットが大きい
- HubSpot CRMを利用中: HubSpot MAの連携がスムーズ
- 他のCRMを利用中: 各MAツールのAPI連携機能を確認
選定時の注意点:
- MAツール単体の機能だけでなく、既存システムとの連携のしやすさも重視
- 複数ベンダーのデモを受け、実際の操作性と連携方法を確認
- 無料トライアルで実際に試してから導入を決定
6. まとめ:自社に合ったMA選択のポイント
SalesforceのMA製品は、Marketing CloudとAccount Engagementの2つがあり、ビジネスモデル(BtoB or BtoC)と企業規模に応じて選択することが重要です。
選定のポイント:
- BtoB企業でSales Cloud導入済み: Account Engagementが有力候補
- BtoC企業でマルチチャネル展開: Marketing Cloud Engagementが有力候補
- 中小企業で予算重視: HubSpot、SATORIも比較検討
- 大企業で高度な機能が必要: Marketo、Marketing Cloudを比較検討
次のアクション:
- 自社の導入目的、必要な機能、予算、既存システムを整理する
- 複数のMAツール(Salesforce、HubSpot、Marketo、SATORI等)の公式サイトで詳細を確認する
- 各ベンダーにデモを依頼し、実際の操作性と連携方法を確認する
- 無料トライアル(可能なツール)で実際に試す
- 導入実績のある企業の事例を参考にする
自社に合ったMAツールを選択し、マーケティング活動の効率化とリード獲得の最大化を目指しましょう。
※ツールの料金・機能は変更される可能性があります。導入検討時は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。(この記事は2025年1月時点の情報です)
