SalesforceでKPIダッシュボードを作成する方法【設計から活用まで】

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/25

営業のKPIを可視化したいが、データが散在して把握しづらい...

営業組織を管理する中で、「KPIを設定しているが、リアルタイムで進捗が見えない」「複数のレポートを見比べるのに時間がかかる」「どの案件に注力すべきか判断が遅れる」といった課題に直面していませんか。ExcelやCRMの個別レポートではデータが散在し、全体像を把握するのに手間がかかります。

SalesforceのKPIダッシュボードは、複数のデータを一画面で可視化し、リアルタイムで営業状況を把握できる強力なツールです。最大20個のグラフを配置でき、検索条件で絞り込みも可能(Spring'24以降、最大5つまで)なため、営業活動の多角的な分析が実現します。

この記事では、SalesforceでKPIダッシュボードを作成する方法を、設計から活用まで解説します。

この記事のポイント:

  • KPIダッシュボードはリアルタイムモニタリングで迅速な意思決定を実現
  • レポート(最大1グラフ)とダッシュボード(最大20グラフ)の違いを理解
  • 営業KPIはリードコンバージョン率、CAC、売上、活動量などを選定
  • ダッシュボード作成は設計→レポート作成→コンポーネント追加→カスタマイズの4ステップ
  • 定期的なデータ更新とレビューが運用成功の鍵

1. KPIダッシュボードが営業成果に不可欠な理由

KPIダッシュボードが営業組織にとって重要な理由を理解しましょう。

(1) リアルタイムKPIモニタリングの重要性

KPIダッシュボードを活用することで、常に最新の営業状況を把握できます。

リアルタイムモニタリングのメリット:

  • 現状の即座把握: 売上目標の達成状況、商談進捗、営業活動量を一画面で確認
  • 問題の早期発見: 目標未達の兆候や案件の停滞を早期に発見し、対策を講じる
  • 迅速な意思決定: データに基づいた客観的な判断が可能

従来のExcel集計やCRM個別レポートでは、データ収集・集計に時間がかかり、意思決定が遅れがちです。ダッシュボードを使えば、「更新」ボタン一つで最新状況を確認できます。

(2) 迅速な意思決定とPDCAサイクルの加速

KPIダッシュボードは、営業活動のPDCAサイクルを加速させます。

PDCAサイクルの各フェーズ:

  • Plan(計画): 売上目標・KPI目標を設定
  • Do(実行): 営業活動を実施
  • Check(評価): ダッシュボードでKPIの達成状況を確認
  • Action(改善): 未達の場合は原因を分析し、改善アクションを実施

ダッシュボードで日次・週次のKPIをモニタリングすることで、「月末になって目標未達が判明」という事態を防ぎ、早期に軌道修正できます。

(3) 営業組織の可視化による課題発見

ダッシュボードで営業活動を可視化することで、組織全体の課題が明確になります。

可視化による課題発見の例:

  • 「商談化率が低い」→ リードの質やヒアリング内容を見直す
  • 「受注期間が長い」→ 提案から見積提出までのプロセスを短縮する施策を検討
  • 「特定メンバーだけが成果を出している」→ トップパフォーマーの手法をチーム全体に展開

データに基づいた客観的な分析により、「なんとなくうまくいっていない」を具体的な改善ポイントに落とし込めます。

2. Salesforceのレポートとダッシュボードの違い

Salesforceには「レポート」と「ダッシュボード」の2つの機能があります。違いを理解して使い分けましょう。

(1) 表示できるグラフの数(レポート1個 vs ダッシュボード20個)

最大の違いは、表示できるグラフの数です。

レポート:

  • 最大1個のグラフを表示
  • 詳細なデータ(明細)を確認するのに適している
  • 例: 「今月の商談リスト」「失注理由の集計」

ダッシュボード:

  • 最大20個のグラフコンポーネントを配置可能
  • 複数のレポートを元に、一画面で多角的に可視化
  • 加えて画像2個、リッチテキスト25個まで追加可能(Spring'24以降)

ダッシュボードは「全体像を一目で把握する」のに最適で、経営層や営業責任者向けのレポーティングに活用されます。

(2) データ更新の仕組み(自動 vs 手動)

データの更新方法も異なります。

レポート:

  • 表示時に自動で最新データが表示される
  • 常にリアルタイムのデータを確認可能

ダッシュボード:

  • 手動で「更新」ボタンを押す必要がある
  • 最新データを確認するには定期的な更新が必要

注意点: ダッシュボードは自動更新されないため、リアルタイムで最新状況を把握したい場合は、定期的に「更新」ボタンを押す運用ルールを設けましょう。

(3) 用途の違い(詳細分析 vs 可視化・多角分析)

レポートとダッシュボードは、用途が異なります。

レポートの用途:

  • 特定データの詳細分析(明細確認、集計)
  • 個別案件の進捗確認
  • データのエクスポート(ExcelやCSV)

ダッシュボードの用途:

  • 複数KPIの一括可視化
  • 営業組織全体の状況把握
  • 経営層へのレポーティング
  • PDCAサイクルの加速(KPIモニタリング)

両者を組み合わせることで、「ダッシュボードで全体を把握→気になるデータはレポートで詳細確認」という使い分けが可能です。

3. 営業ダッシュボードに必須のKPI

ダッシュボードに表示すべき営業KPIを紹介します。

(1) リードコンバージョン率

見込み客(リード)が商談や受注に転換する割合です。

なぜ重要か:

  • リードの質を評価できる
  • マーケティング施策の効果を測定
  • 営業活動の効率を可視化

計算式:

  • リードコンバージョン率(%)= (商談化数 ÷ リード数)× 100

目標値の目安:

  • B2B企業の一般的な目標は10〜20%程度
  • 業種・商材により変動するため、自社のベースラインを設定

(2) 顧客獲得単価(CAC)

新規顧客1社を獲得するのにかかったコストです。

なぜ重要か:

  • 営業・マーケティング投資の効率を評価
  • ROI(投資対効果)を可視化
  • コスト削減の目標設定

計算式:

  • CAC(円)= (営業コスト + マーケティングコスト)÷ 新規顧客数

目標値の目安:

  • 顧客生涯価値(LTV)の1/3以下が健全と言われている
  • 例: LTVが300万円なら、CACは100万円以下が目安

(3) 売上・成長率

売上高と前年同期比の成長率です。

なぜ重要か:

  • 営業組織の最終成果を評価
  • 成長トレンドを把握
  • 目標達成状況を可視化

表示する指標:

  • 月次売上・四半期売上・年間売上
  • 前年同期比成長率(YoY)
  • 目標達成率(予算 vs 実績)

ダッシュボードでの表示方法:

  • 棒グラフで月次推移を表示
  • ゲージチャートで目標達成率を可視化

(4) 営業活動量(訪問件数・商談数)

営業活動の量的指標です。

なぜ重要か:

  • 営業活動が十分に行われているか確認
  • 成果KPI(受注率等)との相関を分析
  • メンバー別の活動状況を比較

表示する指標:

  • 訪問件数(月間・週間)
  • 商談件数
  • 提案書作成件数
  • 架電件数

(5) その他の重要KPI

その他、以下のKPIも表示すると効果的です。

案件管理KPI:

  • パイプライン案件数(フェーズ別)
  • 平均受注期間
  • 商談進捗率(提案→見積提出の転換率)

顧客満足度KPI:

  • NPS(Net Promoter Score)
  • 顧客満足度調査の結果

選定のポイント:

  • 自社の営業プロセスに応じてカスタマイズ
  • 計測可能で、改善アクションにつながる指標を選ぶ

他社の成功事例をそのまま適用できるとは限らないため、自社に合わせた設定が重要です。

4. Salesforceダッシュボードの作成手順

SalesforceでKPIダッシュボードを作成する手順を解説します。

(1) ダッシュボードの設計(表示するKPIの選定)

まず、ダッシュボードに表示するKPIを選定します。

設計のポイント:

  • 目的を明確化: 何を把握したいのか(売上目標達成状況、営業活動量、商談進捗等)
  • KPIの優先順位: 重要度の高いKPIから配置(最大20グラフ)
  • 対象ユーザー: 経営層向け・営業責任者向け・営業担当者向けで表示内容を変える

例: 営業責任者向けダッシュボード

  • 売上目標達成率(ゲージチャート)
  • 月次売上推移(棒グラフ)
  • 商談フェーズ別案件数(漏斗グラフ)
  • リードコンバージョン率(折れ線グラフ)
  • 営業活動量(訪問件数・商談数)

(2) レポートの作成

ダッシュボードに表示するデータを集計するレポートを作成します。

レポート作成の手順:

  1. Salesforceのアプリランチャー → 「レポート」を選択
  2. 「新規レポート」をクリック
  3. レポートタイプを選択(商談、リード、活動等)
  4. 集計項目と絞り込み条件を設定
  5. グラフを追加(ダッシュボードで使用)
  6. レポートを保存

例: 月次売上推移レポート

  • レポートタイプ: 商談
  • 絞り込み条件: 受注日が今年度
  • 集計項目: 受注金額の合計
  • グループ化: 受注月
  • グラフ: 棒グラフ

(3) ダッシュボードへのコンポーネント追加(最大20グラフ)

レポートをダッシュボードに追加します。

ダッシュボード作成の手順:

  1. アプリランチャー → 「ダッシュボード」を選択
  2. 「新規ダッシュボード」をクリック
  3. ダッシュボード名を入力
  4. 「コンポーネントを追加」をクリック
  5. 作成したレポートを選択
  6. グラフの種類を選択(棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ等)
  7. コンポーネントを配置(ドラッグ&ドロップ)
  8. 最大20個のコンポーネントを追加

配置のコツ:

  • 重要なKPIは上部・左上に配置
  • 関連するKPIは近くに配置(例: 売上と成長率)
  • グラフの種類を使い分け(推移は折れ線、比較は棒グラフ、構成比は円グラフ)

(4) カスタマイズと権限設定

ダッシュボードの見た目と権限を調整します。

カスタマイズ:

  • タイトルと説明を追加
  • リッチテキストで注釈を追加(Spring'24以降、最大25個)
  • 画像ウィジェットで会社ロゴやグラフ説明を追加(最大2個)

権限設定:

  • 「誰として見せるか」を設定
  • 通常見えないレコードや項目もダッシュボード上で表示可能(要注意)
  • 閲覧権限を設定(特定ユーザー・ロール・グループ)

注意点: 権限設定により、ユーザーが通常見えないデータもダッシュボード上で表示される可能性があるため、情報管理に注意が必要です。

5. ダッシュボード運用・活用のコツ

ダッシュボードを作成したら、効果的に運用・活用しましょう。

(1) 定期的なデータ更新とレビュー

ダッシュボードは手動更新が必要なため、定期的な更新ルールを設けます。

更新頻度の目安:

  • 日次: 営業担当者が毎朝確認(当日の活動計画)
  • 週次: 営業責任者が週次ミーティング前に更新・レビュー
  • 月次: 経営層が月次レビュー前に更新・分析

レビューのポイント:

  • 目標達成状況を確認
  • 未達の場合は原因を分析(どのKPIが低いか)
  • 改善アクションを決定し、次週・次月の目標を調整

(2) 検索条件による絞り込み活用(最大5つ)

Spring'24以降、検索条件を最大5つまで設定できるようになりました。

検索条件の活用例:

  • 期間絞り込み(今月、今四半期、今年度)
  • 地域絞り込み(東日本、西日本)
  • 商品カテゴリ絞り込み
  • 営業担当者絞り込み

メリット:

  • 個別のレポートを新たに作成せずに、表示データを絞り込める
  • 多角的な分析が可能(例: 「今月の東日本の商談進捗」)

(3) TheModelダッシュボードの活用

Salesforce公式が推奨する「TheModelダッシュボード」を活用すると、営業プロセス全体を一元管理できます。

TheModelとは:

  • リード・商談・受注などの営業プロセスを一元管理するフレームワーク
  • 各フェーズのKPIを可視化し、PDCAサイクルを加速

TheModelダッシュボードで表示するKPI:

  • リード数・リードコンバージョン率
  • 商談数・商談化率
  • 受注数・受注率
  • 各フェーズの転換率

TheModelダッシュボードにより、「どのフェーズで案件が停滞しているか」が一目で分かり、改善ポイントを特定できます。

(4) Spring'24新機能の活用(画像ウィジェット等)

2024年2月のSpring'24アップデートで、ダッシュボード機能が進化しました。

新機能:

  • 検索条件が最大3つから5つに拡張(絞り込みが柔軟に)
  • リッチテキストと画像ウィジェットが全エディションで利用可能
  • ダッシュボード所有権の移行が簡単に(複数ダッシュボードの一括再割り当て)

活用例:

  • 画像ウィジェットで会社ロゴやKPI説明図を追加(視認性向上)
  • リッチテキストでダッシュボードの使い方や注意事項を記載

これらの新機能を活用し、よりわかりやすく、使いやすいダッシュボードを構築しましょう。

6. まとめ:KPIダッシュボードで営業を強化するために

SalesforceのKPIダッシュボードは、営業活動をリアルタイムで可視化し、迅速な意思決定とPDCAサイクルの加速を実現する強力なツールです。レポートとの違いを理解し、適切なKPIを選定して、効果的に運用しましょう。

KPIダッシュボード活用のポイント:

  • リアルタイムモニタリングで営業状況を即座に把握
  • レポート(詳細分析)とダッシュボード(可視化)を使い分ける
  • リードコンバージョン率、CAC、売上、活動量などの営業KPIを選定
  • 設計→レポート作成→コンポーネント追加→カスタマイズの4ステップで作成
  • 定期的なデータ更新とレビューで運用を定着させる

次のアクション:

  • 自社の営業プロセスに応じて表示すべきKPIをリストアップする
  • まず3〜5個のレポートを作成し、シンプルなダッシュボードから始める
  • 週次ミーティングでダッシュボードをレビューし、改善アクションを決定する
  • Spring'24新機能(検索条件5つ、画像ウィジェット)を活用して使いやすさを向上

SalesforceのKPIダッシュボードを活用し、データに基づいた営業組織を構築しましょう。

※Salesforceのバージョンアップにより機能・UI・制約が変更される可能性があります。この記事は2024年時点の情報です。最新情報はSalesforce公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1レポートとダッシュボードの違いは?

A1レポートは詳細データ確認用で最大1グラフを表示、ダッシュボードは複数データの可視化・多角分析用で最大20グラフを配置可能です。データ更新はレポートが表示時に自動、ダッシュボードは手動で「更新」ボタンを押す必要があります。用途は、レポートが詳細分析、ダッシュボードが全体把握と使い分けられます。

Q2ダッシュボードにはいくつのグラフを表示できる?

A2最大20個のグラフコンポーネントを配置可能です。Spring'24以降は、加えて画像2個、リッチテキスト25個まで追加できるようになりました。これにより、会社ロゴやKPI説明図を追加し、視認性を向上させることができます。

Q3ダッシュボードのデータは自動更新される?

A3いいえ、手動で「更新」ボタンを押す必要があります。レポートは表示時に自動で最新データが表示されますが、ダッシュボードは手動更新のため、リアルタイムで最新データを確認する場合は定期的な更新が必要です。日次・週次で更新ルールを設けることが推奨されます。

Q4どのKPIを表示すべき?

A4リードコンバージョン率、顧客獲得単価(CAC)、売上、営業活動量(訪問件数・商談数)、成長率などが基本です。自社の営業プロセスに応じてカスタマイズすることが重要で、計測可能で改善アクションにつながる指標を選びましょう。他社の成功事例をそのまま適用できるとは限りません。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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