営業のKPIを可視化したいが、データが散在して把握しづらい...
営業組織を管理する中で、「KPIを設定しているが、リアルタイムで進捗が見えない」「複数のレポートを見比べるのに時間がかかる」「どの案件に注力すべきか判断が遅れる」といった課題に直面していませんか。ExcelやCRMの個別レポートではデータが散在し、全体像を把握するのに手間がかかります。
SalesforceのKPIダッシュボードは、複数のデータを一画面で可視化し、リアルタイムで営業状況を把握できる強力なツールです。最大20個のグラフを配置でき、検索条件で絞り込みも可能(Spring'24以降、最大5つまで)なため、営業活動の多角的な分析が実現します。
この記事では、SalesforceでKPIダッシュボードを作成する方法を、設計から活用まで解説します。
この記事のポイント:
- KPIダッシュボードはリアルタイムモニタリングで迅速な意思決定を実現
- レポート(最大1グラフ)とダッシュボード(最大20グラフ)の違いを理解
- 営業KPIはリードコンバージョン率、CAC、売上、活動量などを選定
- ダッシュボード作成は設計→レポート作成→コンポーネント追加→カスタマイズの4ステップ
- 定期的なデータ更新とレビューが運用成功の鍵
1. KPIダッシュボードが営業成果に不可欠な理由
KPIダッシュボードが営業組織にとって重要な理由を理解しましょう。
(1) リアルタイムKPIモニタリングの重要性
KPIダッシュボードを活用することで、常に最新の営業状況を把握できます。
リアルタイムモニタリングのメリット:
- 現状の即座把握: 売上目標の達成状況、商談進捗、営業活動量を一画面で確認
- 問題の早期発見: 目標未達の兆候や案件の停滞を早期に発見し、対策を講じる
- 迅速な意思決定: データに基づいた客観的な判断が可能
従来のExcel集計やCRM個別レポートでは、データ収集・集計に時間がかかり、意思決定が遅れがちです。ダッシュボードを使えば、「更新」ボタン一つで最新状況を確認できます。
(2) 迅速な意思決定とPDCAサイクルの加速
KPIダッシュボードは、営業活動のPDCAサイクルを加速させます。
PDCAサイクルの各フェーズ:
- Plan(計画): 売上目標・KPI目標を設定
- Do(実行): 営業活動を実施
- Check(評価): ダッシュボードでKPIの達成状況を確認
- Action(改善): 未達の場合は原因を分析し、改善アクションを実施
ダッシュボードで日次・週次のKPIをモニタリングすることで、「月末になって目標未達が判明」という事態を防ぎ、早期に軌道修正できます。
(3) 営業組織の可視化による課題発見
ダッシュボードで営業活動を可視化することで、組織全体の課題が明確になります。
可視化による課題発見の例:
- 「商談化率が低い」→ リードの質やヒアリング内容を見直す
- 「受注期間が長い」→ 提案から見積提出までのプロセスを短縮する施策を検討
- 「特定メンバーだけが成果を出している」→ トップパフォーマーの手法をチーム全体に展開
データに基づいた客観的な分析により、「なんとなくうまくいっていない」を具体的な改善ポイントに落とし込めます。
2. Salesforceのレポートとダッシュボードの違い
Salesforceには「レポート」と「ダッシュボード」の2つの機能があります。違いを理解して使い分けましょう。
(1) 表示できるグラフの数(レポート1個 vs ダッシュボード20個)
最大の違いは、表示できるグラフの数です。
レポート:
- 最大1個のグラフを表示
- 詳細なデータ(明細)を確認するのに適している
- 例: 「今月の商談リスト」「失注理由の集計」
ダッシュボード:
- 最大20個のグラフコンポーネントを配置可能
- 複数のレポートを元に、一画面で多角的に可視化
- 加えて画像2個、リッチテキスト25個まで追加可能(Spring'24以降)
ダッシュボードは「全体像を一目で把握する」のに最適で、経営層や営業責任者向けのレポーティングに活用されます。
(2) データ更新の仕組み(自動 vs 手動)
データの更新方法も異なります。
レポート:
- 表示時に自動で最新データが表示される
- 常にリアルタイムのデータを確認可能
ダッシュボード:
- 手動で「更新」ボタンを押す必要がある
- 最新データを確認するには定期的な更新が必要
注意点: ダッシュボードは自動更新されないため、リアルタイムで最新状況を把握したい場合は、定期的に「更新」ボタンを押す運用ルールを設けましょう。
(3) 用途の違い(詳細分析 vs 可視化・多角分析)
レポートとダッシュボードは、用途が異なります。
レポートの用途:
- 特定データの詳細分析(明細確認、集計)
- 個別案件の進捗確認
- データのエクスポート(ExcelやCSV)
ダッシュボードの用途:
- 複数KPIの一括可視化
- 営業組織全体の状況把握
- 経営層へのレポーティング
- PDCAサイクルの加速(KPIモニタリング)
両者を組み合わせることで、「ダッシュボードで全体を把握→気になるデータはレポートで詳細確認」という使い分けが可能です。
3. 営業ダッシュボードに必須のKPI
ダッシュボードに表示すべき営業KPIを紹介します。
(1) リードコンバージョン率
見込み客(リード)が商談や受注に転換する割合です。
なぜ重要か:
- リードの質を評価できる
- マーケティング施策の効果を測定
- 営業活動の効率を可視化
計算式:
- リードコンバージョン率(%)= (商談化数 ÷ リード数)× 100
目標値の目安:
- B2B企業の一般的な目標は10〜20%程度
- 業種・商材により変動するため、自社のベースラインを設定
(2) 顧客獲得単価(CAC)
新規顧客1社を獲得するのにかかったコストです。
なぜ重要か:
- 営業・マーケティング投資の効率を評価
- ROI(投資対効果)を可視化
- コスト削減の目標設定
計算式:
- CAC(円)= (営業コスト + マーケティングコスト)÷ 新規顧客数
目標値の目安:
- 顧客生涯価値(LTV)の1/3以下が健全と言われている
- 例: LTVが300万円なら、CACは100万円以下が目安
(3) 売上・成長率
売上高と前年同期比の成長率です。
なぜ重要か:
- 営業組織の最終成果を評価
- 成長トレンドを把握
- 目標達成状況を可視化
表示する指標:
- 月次売上・四半期売上・年間売上
- 前年同期比成長率(YoY)
- 目標達成率(予算 vs 実績)
ダッシュボードでの表示方法:
- 棒グラフで月次推移を表示
- ゲージチャートで目標達成率を可視化
(4) 営業活動量(訪問件数・商談数)
営業活動の量的指標です。
なぜ重要か:
- 営業活動が十分に行われているか確認
- 成果KPI(受注率等)との相関を分析
- メンバー別の活動状況を比較
表示する指標:
- 訪問件数(月間・週間)
- 商談件数
- 提案書作成件数
- 架電件数
(5) その他の重要KPI
その他、以下のKPIも表示すると効果的です。
案件管理KPI:
- パイプライン案件数(フェーズ別)
- 平均受注期間
- 商談進捗率(提案→見積提出の転換率)
顧客満足度KPI:
- NPS(Net Promoter Score)
- 顧客満足度調査の結果
選定のポイント:
- 自社の営業プロセスに応じてカスタマイズ
- 計測可能で、改善アクションにつながる指標を選ぶ
他社の成功事例をそのまま適用できるとは限らないため、自社に合わせた設定が重要です。
4. Salesforceダッシュボードの作成手順
SalesforceでKPIダッシュボードを作成する手順を解説します。
(1) ダッシュボードの設計(表示するKPIの選定)
まず、ダッシュボードに表示するKPIを選定します。
設計のポイント:
- 目的を明確化: 何を把握したいのか(売上目標達成状況、営業活動量、商談進捗等)
- KPIの優先順位: 重要度の高いKPIから配置(最大20グラフ)
- 対象ユーザー: 経営層向け・営業責任者向け・営業担当者向けで表示内容を変える
例: 営業責任者向けダッシュボード
- 売上目標達成率(ゲージチャート)
- 月次売上推移(棒グラフ)
- 商談フェーズ別案件数(漏斗グラフ)
- リードコンバージョン率(折れ線グラフ)
- 営業活動量(訪問件数・商談数)
(2) レポートの作成
ダッシュボードに表示するデータを集計するレポートを作成します。
レポート作成の手順:
- Salesforceのアプリランチャー → 「レポート」を選択
- 「新規レポート」をクリック
- レポートタイプを選択(商談、リード、活動等)
- 集計項目と絞り込み条件を設定
- グラフを追加(ダッシュボードで使用)
- レポートを保存
例: 月次売上推移レポート
- レポートタイプ: 商談
- 絞り込み条件: 受注日が今年度
- 集計項目: 受注金額の合計
- グループ化: 受注月
- グラフ: 棒グラフ
(3) ダッシュボードへのコンポーネント追加(最大20グラフ)
レポートをダッシュボードに追加します。
ダッシュボード作成の手順:
- アプリランチャー → 「ダッシュボード」を選択
- 「新規ダッシュボード」をクリック
- ダッシュボード名を入力
- 「コンポーネントを追加」をクリック
- 作成したレポートを選択
- グラフの種類を選択(棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ等)
- コンポーネントを配置(ドラッグ&ドロップ)
- 最大20個のコンポーネントを追加
配置のコツ:
- 重要なKPIは上部・左上に配置
- 関連するKPIは近くに配置(例: 売上と成長率)
- グラフの種類を使い分け(推移は折れ線、比較は棒グラフ、構成比は円グラフ)
(4) カスタマイズと権限設定
ダッシュボードの見た目と権限を調整します。
カスタマイズ:
- タイトルと説明を追加
- リッチテキストで注釈を追加(Spring'24以降、最大25個)
- 画像ウィジェットで会社ロゴやグラフ説明を追加(最大2個)
権限設定:
- 「誰として見せるか」を設定
- 通常見えないレコードや項目もダッシュボード上で表示可能(要注意)
- 閲覧権限を設定(特定ユーザー・ロール・グループ)
注意点: 権限設定により、ユーザーが通常見えないデータもダッシュボード上で表示される可能性があるため、情報管理に注意が必要です。
5. ダッシュボード運用・活用のコツ
ダッシュボードを作成したら、効果的に運用・活用しましょう。
(1) 定期的なデータ更新とレビュー
ダッシュボードは手動更新が必要なため、定期的な更新ルールを設けます。
更新頻度の目安:
- 日次: 営業担当者が毎朝確認(当日の活動計画)
- 週次: 営業責任者が週次ミーティング前に更新・レビュー
- 月次: 経営層が月次レビュー前に更新・分析
レビューのポイント:
- 目標達成状況を確認
- 未達の場合は原因を分析(どのKPIが低いか)
- 改善アクションを決定し、次週・次月の目標を調整
(2) 検索条件による絞り込み活用(最大5つ)
Spring'24以降、検索条件を最大5つまで設定できるようになりました。
検索条件の活用例:
- 期間絞り込み(今月、今四半期、今年度)
- 地域絞り込み(東日本、西日本)
- 商品カテゴリ絞り込み
- 営業担当者絞り込み
メリット:
- 個別のレポートを新たに作成せずに、表示データを絞り込める
- 多角的な分析が可能(例: 「今月の東日本の商談進捗」)
(3) TheModelダッシュボードの活用
Salesforce公式が推奨する「TheModelダッシュボード」を活用すると、営業プロセス全体を一元管理できます。
TheModelとは:
- リード・商談・受注などの営業プロセスを一元管理するフレームワーク
- 各フェーズのKPIを可視化し、PDCAサイクルを加速
TheModelダッシュボードで表示するKPI:
- リード数・リードコンバージョン率
- 商談数・商談化率
- 受注数・受注率
- 各フェーズの転換率
TheModelダッシュボードにより、「どのフェーズで案件が停滞しているか」が一目で分かり、改善ポイントを特定できます。
(4) Spring'24新機能の活用(画像ウィジェット等)
2024年2月のSpring'24アップデートで、ダッシュボード機能が進化しました。
新機能:
- 検索条件が最大3つから5つに拡張(絞り込みが柔軟に)
- リッチテキストと画像ウィジェットが全エディションで利用可能
- ダッシュボード所有権の移行が簡単に(複数ダッシュボードの一括再割り当て)
活用例:
- 画像ウィジェットで会社ロゴやKPI説明図を追加(視認性向上)
- リッチテキストでダッシュボードの使い方や注意事項を記載
これらの新機能を活用し、よりわかりやすく、使いやすいダッシュボードを構築しましょう。
6. まとめ:KPIダッシュボードで営業を強化するために
SalesforceのKPIダッシュボードは、営業活動をリアルタイムで可視化し、迅速な意思決定とPDCAサイクルの加速を実現する強力なツールです。レポートとの違いを理解し、適切なKPIを選定して、効果的に運用しましょう。
KPIダッシュボード活用のポイント:
- リアルタイムモニタリングで営業状況を即座に把握
- レポート(詳細分析)とダッシュボード(可視化)を使い分ける
- リードコンバージョン率、CAC、売上、活動量などの営業KPIを選定
- 設計→レポート作成→コンポーネント追加→カスタマイズの4ステップで作成
- 定期的なデータ更新とレビューで運用を定着させる
次のアクション:
- 自社の営業プロセスに応じて表示すべきKPIをリストアップする
- まず3〜5個のレポートを作成し、シンプルなダッシュボードから始める
- 週次ミーティングでダッシュボードをレビューし、改善アクションを決定する
- Spring'24新機能(検索条件5つ、画像ウィジェット)を活用して使いやすさを向上
SalesforceのKPIダッシュボードを活用し、データに基づいた営業組織を構築しましょう。
※Salesforceのバージョンアップにより機能・UI・制約が変更される可能性があります。この記事は2024年時点の情報です。最新情報はSalesforce公式サイトをご確認ください。
