Salesforceとは何か
B2Bデジタルプロダクト企業の営業・マーケティング担当者や経営層の中には、「Salesforceを導入したいが、具体的に何ができるのか分からない」「すでに導入しているが、使いこなせていない」といった悩みを抱えている方が少なくありません。
Salesforceは世界シェアNo.1のCRMプラットフォームですが、多機能であるがゆえに、全体像を把握しにくいという側面があります。
この記事では、Salesforceの主要製品と機能を整理し、具体的にどのような業務課題を解決できるのかをわかりやすく解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceは顧客情報の一元管理、営業プロセス効率化、業務自動化ができるクラウド型CRMプラットフォーム
- 主要製品はSales Cloud(営業支援)、Service Cloud(カスタマーサポート)、Marketing Cloud(MA)など
- クラウドベースのため初期費用を抑えられ、必要な機能だけ選んでスモールスタートが可能
- 多機能ゆえに学習コストがかかり、設計ミスで形骸化するリスクもある
- 料金は月額3,000円〜60,000円/ユーザーで、公式サイトで最新価格を確認すべき
(1) Salesforceの基本:クラウド型CRMプラットフォーム
Salesforceは、顧客情報の一元管理、営業プロセスの効率化、業務自動化ができるクラウド型CRMプラットフォームです(Salesforce公式「セールスフォースの使い方と基本機能 何ができるかを5分で理解!」)。
クラウドベースのため、サーバー設置や専用機器の購入が不要で、初期費用を抑えて導入できます。インターネット環境があれば、パソコン・スマートフォン・タブレットからいつでもどこでもアクセスできるのが特徴です。
クラウド型のメリット:
- 初期費用を抑えられる(サーバー購入・設置不要)
- 必要な機能だけ選んでスモールスタートできる
- 定期的にアップデートされ、常に最新機能が使える
- リモートワーク・在宅勤務にも対応
(2) 世界シェアNo.1の実績(導入企業10万社以上)
Salesforceは世界・日本のCRM市場でシェアNo.1の実績を持っています。導入企業は世界で10万社以上、日本でも大手企業から中小企業まで幅広く採用されています(日立ソリューションズ「Salesforce(セールスフォース)とは?何がすごい?機能や導入メリットを解説」)。
導入企業の例(公式導入事例より):
- 製造業:UDトラックス、ダイキン工業
- IT・ソフトウェア:ヤフー、サイボウズ
- 金融:三菱UFJ銀行、損保ジャパン
- 小売:ユニクロ、高島屋
豊富な導入実績があるため、業界別・規模別の成功事例を参考にしながら、自社に合った活用方法を検討できます。
(3) CRM・SFA・MAの違い
Salesforceを理解するには、まずCRM・SFA・MAの違いを押さえておくことが重要です。
CRM(Customer Relationship Management):
- 顧客関係管理
- 顧客情報を一元管理し、関係構築を支援するシステム全般
- Salesforceはこのカテゴリに含まれる
SFA(Sales Force Automation):
- 営業支援システム
- 営業活動(商談管理・案件進捗・予実管理)を効率化・自動化するツール
- Sales CloudがSFAに該当
MA(Marketing Automation):
- マーケティング自動化
- リード獲得・育成・スコアリングを自動化するツール
- Marketing CloudがMAに該当
Salesforceは、CRM・SFA・MAの機能を統合したプラットフォームであり、営業・マーケティング・カスタマーサポートの部門間データを一元管理できる点が大きな強みです。
Salesforceの主要製品と機能一覧
Salesforceには複数の製品があり、それぞれ異なる業務課題を解決します。ここでは主要製品を整理します。
(1) Sales Cloud:営業支援
Sales Cloudは、営業活動を支援するSFA(営業支援システム)です(Salesforce公式「Salesforceの全製品を網羅したスイート」)。
主な機能:
- 顧客・商談・案件情報の一元管理
- 営業プロセスの可視化(パイプライン管理)
- 見積書・契約書の作成・承認ワークフロー
- リアルタイムレポート・ダッシュボード作成
- AI予測分析(Einstein)による成約確率の予測
適する業務:
- 営業活動の効率化(商談進捗管理、案件の優先順位付け)
- 営業チーム全体の進捗可視化
- 予実管理・売上予測
(2) Service Cloud:カスタマーサポート
Service Cloudは、カスタマーサポート業務を支援するツールです。
主な機能:
- 問い合わせ管理(メール・電話・チャット・SNS)
- ケース管理(対応履歴・ステータス管理)
- ナレッジベース構築(FAQ・マニュアル)
- チャットボット(Einstein Bot)
- サポート担当者のスケジュール管理
適する業務:
- カスタマーサポート業務の効率化
- 問い合わせ対応の迅速化・品質向上
- サポートナレッジの蓄積・共有
(3) Marketing Cloud:マーケティング自動化
Marketing Cloudは、マーケティング活動を自動化するMA(マーケティングオートメーション)ツールです。
主な機能:
- リード獲得(ランディングページ作成、フォーム作成)
- リード育成(メール配信、シナリオ設定)
- リードスコアリング(見込み客の関心度を数値化)
- マルチチャネル配信(メール・SMS・SNS・広告)
- A/Bテスト・効果測定
適する業務:
- Webからのリード獲得
- 見込み客の育成・商談化
- メールマーケティングの自動化
(4) Tableau:BI・データ分析
Tableauは、Salesforceが提供するBI(ビジネスインテリジェンス)・データ分析ツールです。
主な機能:
- データ可視化(グラフ・チャート作成)
- ダッシュボード作成(リアルタイムデータ表示)
- 複数データソースの統合分析
- 予測分析・トレンド分析
適する業務:
- 経営層向けのレポート作成
- 営業・マーケティングデータの分析
- KPI・売上予測の可視化
(5) Einstein:AI予測分析・生成AI
Einsteinは、Salesforceに組み込まれたAI機能です。2024年にはEinstein Copilot(Beta)やPrompt Builderなど生成AI機能が追加されました(Salesforceサクセスナビ「新機能(Spring'24)」)。
主な機能:
- 成約確率の予測(Einstein Opportunity Scoring)
- 次にアプローチすべき顧客の提案
- メール文面の自動生成(Einstein Copilot)
- チャットボットによる自動応答(Einstein Bot)
適する業務:
- 営業活動の優先順位付け(AIによる成約確率予測)
- 顧客対応の自動化(チャットボット)
- マーケティングコンテンツの作成支援
Sales Cloud(営業支援)でできること
Sales Cloudは最も利用されている製品であり、営業活動の中心的な役割を果たします。具体的にどのような業務ができるのかを解説します。
(1) 顧客情報の一元管理
Sales Cloudでは、顧客情報(企業名・担当者・連絡先・商談履歴・対応履歴)を一元管理できます。
従来の課題:
- 顧客情報がExcel・名刺・個人のメモに散在
- 担当者が変わると引き継ぎが困難
- 過去の対応履歴が分からず、重複対応が発生
Sales Cloudで解決:
- すべての顧客情報を1つのデータベースに集約
- 担当者が変わっても過去の履歴を即座に確認できる
- スマートフォンからも外出先でアクセス可能
(2) 営業プロセスの可視化と効率化
Sales Cloudでは、商談の進捗状況を「初回接触→ヒアリング→提案→見積→商談成立」のようなステージで管理できます。
パイプライン管理:
- 各ステージの案件数・金額を一覧表示
- 停滞している案件を可視化し、フォローアップを促す
- 成約見込みの高い案件に集中できる
営業チーム全体の進捗共有:
- 各メンバーの案件状況をリアルタイムで把握
- 目標達成率・予実管理がダッシュボードで確認できる
- 営業マネージャーが適切な指示・支援を出せる
(3) リアルタイムレポート・ダッシュボード作成
Sales Cloudでは、営業データをリアルタイムでレポート化し、ダッシュボードで可視化できます。
レポートの例:
- 月次売上レポート(目標達成率、前年比)
- 案件進捗レポート(ステージ別案件数・金額)
- 営業活動レポート(訪問件数、商談件数、成約率)
ダッシュボードの例:
- 経営層向け:全社売上・予実管理
- 営業マネージャー向け:チーム別進捗・案件状況
- 営業担当者向け:個人の目標達成率・タスク一覧
レポートはドラッグ&ドロップで作成でき、現場担当者でも簡単にカスタマイズできます。
(4) 業務自動化(ワークフロー・承認プロセス)
Sales Cloudでは、定型業務を自動化できます。
自動化の例:
- 商談成立時に自動で見積書を作成し、承認者にメール送信
- 案件が1ヶ月以上停滞したら担当者にアラート通知
- 新規リードが登録されたら自動で担当者に割り当て
これにより、手作業の削減とヒューマンエラーの防止が期待できます。
Service Cloud・Marketing Cloudでできること
Sales Cloud以外の主要製品でできることを解説します。
(1) Service Cloud:問い合わせ管理・ナレッジベース構築
Service Cloudでは、カスタマーサポート業務を効率化できます。
問い合わせ管理:
- メール・電話・チャット・SNSからの問い合わせを一元管理
- 対応履歴・ステータス(未対応・対応中・完了)を可視化
- 担当者への自動割り当て
ナレッジベース:
- FAQ・マニュアルを社内外に公開
- 検索機能で必要な情報にすぐアクセス
- 同じ質問への重複対応を削減
チャットボット(Einstein Bot):
- よくある質問に自動応答
- 複雑な質問は人間のサポート担当者にエスカレーション
(2) Marketing Cloud:リード獲得・育成・スコアリング
Marketing Cloudでは、マーケティング活動を自動化できます。
リード獲得:
- ランディングページ・フォーム作成(ノーコード)
- 広告・SNS経由のリード情報を自動で取り込み
リード育成:
- シナリオ設定(資料DL→3日後にメール配信→1週間後にウェビナー案内)
- パーソナライズされたメール配信(名前・企業名・興味関心に応じて内容変更)
リードスコアリング:
- 見込み客の行動(メール開封・サイト訪問・資料DL)に応じてスコア付け
- スコアが高い見込み客を営業にパス(MQL→SQL)
(3) 部門間データ連携(営業・マーケ・サポート統合)
Salesforceの最大の強みは、営業・マーケティング・カスタマーサポートの部門間データを一元管理できることです。
連携の例:
- マーケティングが獲得したリードを営業に自動パス
- 営業が受注した顧客情報をカスタマーサポートに共有
- カスタマーサポートの問い合わせ履歴を営業が参照し、次の提案に活かす
これにより、顧客に一貫した体験を提供でき、顧客満足度・LTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。
Salesforce導入のメリットと注意点
Salesforceを導入する際のメリットと注意点を整理します。
(1) メリット:スモールスタート・ノーコードカスタマイズ・豊富な連携機能
メリット1:スモールスタートできる
- 初期費用無料、月額3,000円/ユーザー(Starter)から始められる
- 必要な機能だけ選んで導入し、後からアップグレード可能
メリット2:ノーコードでカスタマイズできる
- ドラッグ&ドロップで項目追加・レイアウト変更が可能
- 現場担当者でも簡単にカスタマイズできる
メリット3:豊富な連携機能
- 外部ツール(Slack・Zoom・Gmail等)と連携できる
- API連携で既存システムとデータ統合が可能
(2) 注意点:学習コスト・設計ミスの形骸化リスク
注意点1:学習コストがかかる
- 多機能ゆえに全ての機能を使いこなすには時間がかかる
- 定着支援・トレーニングが重要
注意点2:設計ミスで形骸化するリスク
- カスタマイズ設計を誤ると運用が複雑化し、むしろ業務効率が低下する
- 導入前に業務フローの見直しやデータ構造の設計が必要
注意点3:価格改定の可能性
- 2023年に平均9%の値上げが実施された
- 今後も価格改定の可能性があるため、公式サイトで最新価格を確認すべき
(3) 料金プラン比較(月額3,000円〜60,000円/ユーザー)
Sales Cloudの料金プランは以下の通りです(Salesforce公式「Salesforce販売価格」)。
| エディション | 月額料金(/ユーザー) | 主な機能 |
|---|---|---|
| Starter | 3,000円 | 基本的なCRM機能 |
| Professional | 9,600円 | 営業プロセス管理・レポート作成 |
| Enterprise | 19,800円 | 高度なカスタマイズ・ワークフロー |
| Unlimited | 60,000円 | 全機能・無制限サポート |
※2025年11月時点、年間契約の場合。最新価格は公式サイトをご確認ください。
選び方:
- まずはStarterでスモールスタートし、必要に応じてアップグレードするのが推奨されます。
(4) 2024年の新機能(Einstein Copilot・MFA強化)
2024年のアップデートでは、以下の機能が追加されました(Salesforceサクセスナビ「新機能(Spring'24)」)。
Einstein Copilot(Beta):
- 生成AIによるメール文面作成
- 営業活動のサマリー自動生成
- 次にアプローチすべき顧客の提案
MFA(多要素認証)強化:
- 2024年4月以降の新規組織で自動有効化
- セキュリティ強化が進む
これらの新機能により、営業活動の効率化とセキュリティ向上が期待できます。
まとめ:Salesforceが適する企業・適さない企業
Salesforceは、顧客情報の一元管理、営業プロセスの効率化、業務自動化ができるクラウド型CRMプラットフォームです。主要製品としてSales Cloud(営業支援)、Service Cloud(カスタマーサポート)、Marketing Cloud(MA)などがあり、営業・マーケティング・サポートの部門間データを一元管理できます。
クラウドベースのため初期費用を抑えられ、必要な機能だけ選んでスモールスタートできます。ノーコードでカスタマイズでき、現場担当者でも項目追加・レイアウト変更が可能です。
一方で、多機能ゆえに学習コストがかかり、設計ミスで形骸化するリスクもあります。導入前に業務フローの見直しやデータ構造の設計が必要です。
Salesforceが適する企業:
- 営業・マーケティング・サポートの部門間連携を強化したい
- 顧客情報を一元管理し、全社で共有したい
- AI予測分析で営業活動を効率化したい
- 将来的に機能拡張・カスタマイズを予定している
Salesforceが適さない企業:
- シンプルなCRM機能で十分(kintone・Zohoなど他ツールも検討すべき)
- 学習コスト・導入コストを抑えたい
- カスタマイズ不要で、すぐに使いたい
次のアクション:
- 自社の業務課題を整理し、必要な機能を明確にする
- Salesforce公式サイトで最新の料金プランを確認する
- 無料トライアルで実際に操作性を試す
- 導入パートナーに相談し、設計・カスタマイズ支援を依頼する
- 他CRM(kintone・Zoho・HubSpot等)と比較検討する
Salesforceは多機能ですが、自社の課題に合った機能を選び、適切に設計・運用すれば、営業活動の効率化と売上向上が期待できます。まずはスモールスタートで試してみましょう。
