「日報を書いても、結局誰も見ていない...」そんな経験はありませんか?
営業日報は多くの企業で運用されていますが、「形骸化している」「営業担当者の負担になっているだけ」という声をよく耳にします。Excelやスプレッドシートで管理していると、過去の日報を検索するのも一苦労。案件情報との紐付けもできず、マネジメントに活用しきれていないケースが多いのではないでしょうか。
Salesforceを導入している企業であれば、日報管理もSalesforceで一元化することで、これらの課題を解決できる可能性があります。
この記事では、Salesforceで日報を管理する方法を、具体的な設定手順とともに解説します。営業担当者の入力負荷を減らしながら、マネジメントに必要なデータを可視化するポイントをご紹介します。
この記事のポイント:
- Salesforceでの日報管理には3つの方法がある(Chatter・カスタムオブジェクト・活動オブジェクト)
- 日報には5W3Hを含めると簡潔かつ正確になる
- 案件・顧客情報との紐付けで、日報データを営業分析に活用できる
- 入力負荷軽減にはモバイル入力やSlack連携が有効
- 日報の「目的」を明確にしないと形骸化するリスクがある
1. なぜSalesforceで日報を管理すべきなのか
営業日報をSalesforceで管理する最大のメリットは、案件・顧客情報との紐付けができることです。
Excelやスプレッドシートでの日報管理では、日報と案件情報が別々に管理されがちです。そのため、「この商談について過去どんなやり取りがあったか」を確認するのに、複数のファイルを検索する必要がありました。
Salesforceで日報を管理すれば、以下のようなことが可能になります。
Salesforce日報管理のメリット:
- 商談レコードから関連する日報を一覧表示できる
- 日報データをレポート・ダッシュボードで分析できる
- 提出状況を自動で集計・可視化できる
- 過去の日報をキーワード検索できる
- 複数の営業担当者の活動を横断的に把握できる
一方で、Salesforceでの日報管理には注意点もあります。
注意すべき点:
- 日報の目的が不明確だと形骸化する
- 案件情報がきちんと管理されていないと、日報を書いても状況把握しづらい
- 入力項目が多すぎると営業担当者の負担になる
「何のために日報を書くのか」「日報データをどう活用するのか」を明確にしてから導入を検討することが重要です。
2. Salesforceでの日報管理3つの方法
Salesforceで日報を管理する方法は主に3つあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、企業の運用スタイルに合わせて選択してください。
(1) Chatterを活用した手軽な日報共有
ChatterはSalesforce内のソーシャル機能で、社内SNSのように使えます。日報をChatterに投稿する方法は、最も手軽に始められます。
メリット:
- 導入・設定が簡単(追加設定不要)
- オープンなコミュニケーションが可能
- 誰でもコメントや助言ができる
- スマートフォンからも投稿しやすい
デメリット:
- フォーマットの強制ができない
- 承認プロセスを適用できない
- 集計・分析が難しい
- 情報がタイムラインに流れてしまう
向いているケース:
- まずは手軽に日報共有を始めたい
- 少人数チームでオープンなコミュニケーション重視
- 厳密なフォーマット管理が不要
注意点: Chatterでの日報は情報がオープンになります。機密性の高い顧客情報や商談情報を含める場合は、アクセス権限に注意が必要です。
(2) カスタムオブジェクトによる構造化された日報管理
「日報」というカスタムオブジェクトを作成し、構造化されたデータとして管理する方法です。最も柔軟性が高く、企業の運用に合わせたカスタマイズが可能です。
メリット:
- フォーマットを強制できる(必須項目の設定など)
- 承認プロセスを適用できる
- アクセス権限を細かく設定できる
- 提出状況をレポートで管理できる
- 案件・顧客情報と関連付けられる
デメリット:
- 設定に工数がかかる
- Salesforce管理者のスキルが必要
- 入力フォームの設計が重要
向いているケース:
- 日報の承認フローが必要
- 統一されたフォーマットで管理したい
- 日報データを分析に活用したい
- 特定の人のみ閲覧可能にしたい
(3) 活動オブジェクトでの行動記録との連携
Salesforce標準の活動オブジェクト(ToDo・行動)を活用する方法です。日報というよりは「活動記録」として管理するアプローチになります。
メリット:
- 標準機能のため追加設定が少ない
- 商談・取引先との紐付けが標準でできる
- 「ToDoと行動」レポートで分析可能
- カレンダー連携ができる
デメリット:
- 「日報」としての自由度は低い
- 1日の活動を複数レコードに分けて入力する形になる
- フリーテキストの記載欄が限られる
向いているケース:
- 訪問・電話・会議などの活動記録を中心に管理
- 商談との紐付けを重視
- 追加設定を最小限にしたい
比較表:
| 方法 | 導入難易度 | フォーマット強制 | 承認フロー | 分析のしやすさ |
|---|---|---|---|---|
| Chatter | 低 | 不可 | 不可 | 低 |
| カスタムオブジェクト | 高 | 可 | 可 | 高 |
| 活動オブジェクト | 中 | 一部可 | 不可 | 中 |
3. 日報管理の具体的な設定手順
(1) 日報フォーマットの設計(5W3H)
日報を設計する際は、5W3Hを意識すると簡潔かつ正確な内容になります。
5W3Hとは:
- When(いつ): 訪問日時、商談日時
- Where(どこで): 訪問先、オンライン/オフライン
- Who(誰が): 担当者、同席者
- What(何を): 商談内容、提案内容
- Why(なぜ): 訪問目的、商談の背景
- How(どのように): 進め方、提案方法
- How many(どれほど): 訪問件数、提案数
- How much(いくら): 見積金額、商談金額
必須項目の例:
- 日付
- 訪問先(取引先)
- 商談名
- 商談フェーズ
- 活動内容(選択式)
- 次のアクション
- コメント(フリーテキスト)
入力項目は必要最小限に絞ることが重要です。項目が多すぎると入力負荷が高くなり、日報が形骸化する原因になります。
(2) カスタムオブジェクトの作成と設定
カスタムオブジェクトで日報を管理する場合の基本的な設定手順です。
ステップ1: カスタムオブジェクトの作成
- 設定 > オブジェクトマネージャー > 新規カスタムオブジェクト
- 表示ラベル「日報」、API名「DailyReport__c」などで作成
- レコード名は「日報番号」や「日付-担当者名」など
ステップ2: カスタム項目の追加
- 日付(Date)
- 担当者(参照: ユーザ)
- 取引先(参照: 取引先)
- 商談(参照: 商談)
- 活動内容(選択リスト)
- コメント(テキストエリア)
- 次のアクション(テキスト)
ステップ3: ページレイアウトの設定
- 入力しやすい順序に項目を配置
- 必須項目を設定
- 不要な項目は非表示に
ステップ4: 入力規則の設定(必要に応じて)
- 日付の範囲チェック
- 必須項目のバリデーション
(3) 取引先・商談との関連付け
日報を取引先や商談と関連付けることで、データの活用幅が広がります。
関連付けのメリット:
- 商談レコードから関連する日報を一覧表示できる
- 「この商談に関して過去どんなやり取りがあったか」を即座に確認
- 取引先単位での活動履歴を把握
設定方法:
- カスタムオブジェクト「日報」に参照項目を追加
- 参照先オブジェクトとして「取引先」「商談」を選択
- 商談・取引先のページレイアウトに関連リストを追加
これにより、商談ページを開くと関連する日報が一覧表示されるようになります。
4. レポート・ダッシュボードで日報データを活用する
(1) 提出状況の可視化と管理
日報の提出状況をレポートで可視化することで、管理負荷を軽減できます。
提出状況レポートの例:
- 担当者別の日報提出件数(今週/今月)
- 未提出の担当者リスト
- 提出率の推移
設定手順:
- レポート > 新規レポート > カスタムオブジェクト「日報」を選択
- 担当者、日付でグループ化
- 件数をカウント
ダッシュボードでの表示:
- 棒グラフで担当者別の提出件数を比較
- ゲージで提出率を表示
- テーブルで未提出者リストを表示
(2) 活動量分析と行動パターンの把握
日報データを分析することで、営業活動の傾向を把握できます。
分析の例:
- 訪問件数と商談化率の相関
- 曜日・時間帯別の活動傾向
- 担当者別の活動パターン比較
- 成約した案件の事前活動回数
活用シーン:
- ハイパフォーマーの行動パターンを分析し、チーム全体に展開
- 活動量が低下している担当者を早期に発見
- 商談フェーズごとの適切な活動量を把握
日報データを「書いて終わり」ではなく、マネジメントに活用することで、営業担当者にも「日報を書く意味」を実感してもらいやすくなります。
5. 日報入力の負荷を軽減するコツ
(1) 入力項目の最小化と選択肢の活用
日報が形骸化する最大の原因は「入力が面倒」という点です。入力負荷を減らす工夫が重要です。
入力負荷軽減のポイント:
- 入力項目は必要最小限に絞る(10項目以下が目安)
- フリーテキストよりも選択式を優先
- よく使う選択肢を上位に配置
- 条件によって表示する項目を制御(動的フォーム)
選択式の活用例:
- 活動種別: 訪問/電話/Web会議/メール
- 商談フェーズ: 初回接触/ヒアリング/提案/クロージング
- 次のアクション: 見積作成/デモ調整/契約書送付/フォローアップ
(2) Salesforce Mobileでの外出先入力
営業担当者が外出先から日報を入力できるようにすると、入力のタイミングを逃しにくくなります。
Salesforce Mobileのメリット:
- 訪問直後にその場で入力できる
- 記憶が新しいうちに記録できる
- 音声入力を活用できる(コメント欄など)
- オフラインでも一部機能が利用可能
設定のポイント:
- モバイル用のページレイアウトを最適化
- 入力項目を絞って表示
- 音声入力しやすいテキスト項目を設置
(3) Slack連携による入力の効率化
SlackとSalesforceを連携させることで、日報入力の利便性を向上させる方法もあります。
連携のメリット:
- Slackから直接Salesforceにデータを登録
- チーム内での日報共有が容易
- コミュニケーションと日報入力を一体化
活用例:
- Slackで日報のテンプレートメッセージを送信
- ボットで入力を促すリマインダーを設定
- 日報登録をSlackに通知してチームで共有
連携にはSlack for Salesforceアプリやサードパーティの連携ツールを利用します。
6. まとめ:日報管理を成功させるポイント
Salesforceで日報を管理することで、案件・顧客情報との紐付けや活動データの分析が可能になります。ただし、導入にあたっては「なぜ日報を書くのか」「日報データをどう活用するのか」を明確にすることが重要です。
日報管理成功のポイント:
- 日報の目的を明確にし、運用ルールを決めてから導入
- 3つの方法(Chatter・カスタムオブジェクト・活動オブジェクト)から自社に合うものを選択
- 入力項目は必要最小限に絞り、選択式を活用
- レポート・ダッシュボードで日報データを可視化・分析
- モバイル入力やSlack連携で入力負荷を軽減
次のアクション:
- 現在の日報運用の課題を洗い出す
- 日報で実現したいこと(目的)を明確化
- 3つの方法から自社に合う方式を検討
- 入力項目を設計(5W3Hベース)
- 小規模なチームでテスト運用を開始
まずは小さく始め、運用しながら改善していくアプローチがおすすめです。営業担当者が「日報を書いてよかった」と感じられるよう、データの活用とフィードバックを忘れずに行いましょう。
よくある質問:
Q: Salesforceでの日報管理はChatter・カスタムオブジェクト・活動オブジェクトのどれを選ぶべきですか? A: 目的によって異なります。手軽さ重視ならChatter、承認プロセスやフォーマット強制が必要ならカスタムオブジェクト、案件との紐付けを重視するなら活動オブジェクトが適しています。まずは目的を明確にし、企業の運用スタイルに合わせて選択してください。
Q: 日報に何を記載すべきですか? A: 5W3H(When・Where・Who・What・Why・How・How many・How much)を含めると簡潔かつ正確になります。必須項目としては、訪問先、日付・時間、会社名(取引先)、商談内容、フェーズ、次のアクションは押さえておきたい項目です。ただし、項目は必要最小限に絞ることが重要です。
Q: 営業担当者が日報を書いてくれません。どうすればよいですか? A: まず入力負荷を減らす工夫が必要です。入力項目を必要最小限に絞り、選択式を多用してください。Salesforce Mobileでの外出先入力やSlack連携など、入力しやすい環境を整えることも有効です。また、日報データを活用した成功事例を共有し、「日報を書くメリット」を実感してもらうことも重要です。
Q: AppExchangeの日報管理アプリは使うべきですか? A: kyoumo(キョウモ)やShared Day(シェアード・デイ)など、AppExchange上には日報管理専用のアプリがあります。カスタムオブジェクトを自分で設定するのが難しい場合や、すぐに運用を開始したい場合には有効な選択肢です。ただし、追加コストがかかるため、標準機能で十分かどうかを検討してから導入を判断してください。
Q: 日報データはどう活用すればよいですか? A: レポート・ダッシュボードで提出状況の可視化、活動量分析、行動パターンの把握が可能です。ハイパフォーマーの行動パターンを分析してチームに展開したり、活動量が低下している担当者を早期発見したりするのに活用できます。「書いて終わり」ではなく、マネジメントに活用することで日報の価値が高まります。
