Pardotが「Account Engagement」に名前が変わったけれど、何が違うの?
「Pardotを使っていたけれど、Account Engagementに名称が変わったと聞いた」「これから導入を検討しているが、PardotとAccount Engagementは何が違うのか」といった疑問を持つB2B企業のマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
この記事では、Salesforce Account Engagement(旧Pardot)の名称変更の背景から、主要機能、2024年の最新アップデート、他社MAツールとの比較まで、実務担当者向けに解説します。
この記事のポイント:
- PardotとAccount Engagementは名称のみの変更で、機能は全く同じ製品
- 2022年4月にMarketing Cloud製品群の統合・シームレス化を目的として名称変更された
- スコアリング・グレーディング機能でホットリードを自動判定できる
- 2024年にはAI(Einstein Assistant)を活用した生成機能が追加された
- Salesforce Sales Cloudとの連携がスムーズな点が最大の特徴
Account Engagement(旧Pardot)とは何か
Account Engagement(アカウントエンゲージメント)は、Salesforce社が提供するB2B向けマーケティングオートメーション(MA)ツールです。2022年4月まで「Pardot(パードット)」という名称でしたが、現在は「Marketing Cloud Account Engagement」が正式名称となっています。
主な役割:
- 見込み顧客(リード)の獲得と育成(リードナーチャリング)
- メールマーケティングの自動化
- 見込み顧客の行動追跡とスコアリング
- 営業部門へのホットリード引き渡し
- マーケティング施策の効果測定
Salesforce Sales Cloud(営業支援システム)との連携に優れており、マーケティングから営業へのリード引き渡しをスムーズに行えることが特徴です。
Pardotから名称変更された背景と理由
なぜPardotはAccount Engagementに名称変更されたのでしょうか。その背景と既存ユーザーへの影響を解説します。
(1) Marketing Cloud統合とシームレス化の意図
2022年4月7日、Salesforce社はPardotを「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更することを発表しました。この変更の目的は以下の通りです:
製品ラインナップの統合:
Salesforceは複数のマーケティング製品を「Marketing Cloud」というブランドの下に統合しています。Account Engagementもその一部として位置づけられ、製品間の連携をよりシームレスにする意図があります。
次世代Marketing Cloudのビジョン:
Salesforce社は「次世代Marketing Cloudのビジョンを表現するため、明確で日常的な言葉を採用した」と説明しています。「Account Engagement」という名称は、B2B企業が「アカウント(取引先企業)とのエンゲージメント(関係構築)」を行うことを明確に表しています。
(2) 既存Pardotユーザーへの影響
機能面での変更はなし:
名称変更に伴う機能の変更はありません。リストメール、Engagement Studio、スコアリング、グレーディングといった主要機能はすべて継続して利用できます。
対応が必要な作業:
既存のPardotユーザーが特別に行うべき作業はありません。UI上の表記は段階的に変更されており、一部の機能名(「Pardot Campaign」「Pardot Email」等)も徐々に新しい名称に移行しています。
注意点:
名称変更により、「Pardot」という名称で検索しても最新情報が見つかりにくくなっています。最新情報を調べる際は「Account Engagement」または「Marketing Cloud Account Engagement」で検索することをおすすめします。
Account Engagementの主要機能と特徴
Account Engagementが持つ主要機能を解説します。
(1) スコアリングとグレーディングによるホットリード判定
スコアリング:
見込み客の行動(メール開封、リンククリック、Webサイト訪問、フォーム送信等)を数値化し、累積スコアとして管理する機能です。スコアが高いほど、その見込み客は自社製品・サービスへの関心が高いと判断できます。
例:
- メール開封: +5点
- リンククリック: +10点
- 料金ページ閲覧: +15点
- 資料ダウンロード: +20点
グレーディング:
見込み客の属性情報(業種、企業規模、役職、地域等)をA+からFまでの段階で評価する機能です。自社のターゲット顧客像にどれだけ合致しているかを判定できます。
例:
- ターゲット業種: A(高評価)
- 従業員規模が小さい: C(低評価)
- 決裁権のある役職: A+(最高評価)
スコアリングとグレーディングを組み合わせることで、「関心が高く、ターゲット属性にも合致する」ホットリードを自動的に判定し、営業部門に引き渡すことができます。
(2) Engagement StudioとSalesforce Sales Cloud連携
Engagement Studio:
Engagement Studioは、シナリオを作成してメール配信や行動に応じたアクションを自動化する機能です。条件分岐や待機時間を設定し、見込み客の行動に応じた最適なコミュニケーションを自動で実行できます。
活用例:
- 資料ダウンロード後、3日待機
- 開封確認メールを送信
- 開封した場合は事例紹介メールを送信
- 開封しなかった場合は別の件名でリマインドメール
- 料金ページを閲覧したら営業担当に通知
Sales Cloud連携:
Account Engagementの最大の特徴は、Salesforce Sales Cloud(SFA)との柔軟な連携です。プロスペクト(見込み客)データは、Salesforceのリードオブジェクトや取引先責任者オブジェクトと双方向で同期できます。
連携のメリット:
- マーケティングと営業でリード情報を一元管理
- スコアリング情報を営業担当が確認し、優先順位付けに活用
- 営業活動の結果がマーケティング施策の改善に反映される
- 商談成立までのプロセスを可視化
2024年の最新アップデートと新機能
Account Engagementは継続的にアップデートされています。2024年の主要な新機能を紹介します。
(1) Einstein Assistantによる生成AI機能
2024年Spring '24リリースで、Einstein Assistantを活用した生成AI機能が追加されました(Advanced/Premiumエディション対象)。
対応機能:
- ランディングページのコンテンツ生成
- フォームの作成支援
- リストメールの本文生成
これにより、マーケティング担当者はAIのサポートを受けながら、より効率的にコンテンツを作成できるようになりました。
(2) Operationalメール対応とMarketing Cloud Growth連携
Operationalメール対応(Summer '24):
2024年Summer '24リリースで、Engagement Studioからトランザクションメール(Operationalメール)を送信できるようになりました。これにより、以下のような業務連絡メールをEngagement Studioのワークフローに組み込めます:
- 契約更新通知
- 発送通知
- 請求書送付
- アカウント関連の重要通知
これは多くのユーザーにとって待望の機能アップデートと言われています。
Marketing Cloud Growth連携(Dreamforce '24):
2024年Dreamforce(Salesforceの年次カンファレンス)で、全Account EngagementユーザーがMarketing Cloud Growthを追加費用なしで利用できるようになることが発表されました。これにより、B2B向けのAccount EngagementとB2C向けの機能を組み合わせた活用が可能になります。
注意点:
2024年のアップデートは主にAdvanced/Premiumエディションが対象となるものが多く、エディションにより利用可能な機能が異なります。導入・アップグレードを検討する際は、エディション別の機能一覧をSalesforce公式サイトで確認することをおすすめします。
他社MAツールとの比較と選定ポイント
Account Engagementを他社のMAツールと比較し、選定のポイントを解説します。
(1) HubSpot・Marketoとの機能・料金比較
HubSpot Marketing Hub:
- 特徴: 中小企業向け、使いやすいUI、無料プランあり
- 強み: オールインワン型でCRM機能も無料で利用可能
- Salesforce連携: 連携可能だが、ネイティブ連携ではない
- 料金目安: 無料〜月額数十万円(エディションにより異なる)
Adobe Marketo Engage:
- 特徴: 大企業向け、高度なカスタマイズ性
- 強み: ABM(アカウントベースドマーケティング)機能が充実
- Salesforce連携: ネイティブ連携をサポート
- 料金目安: 月額数十万円〜(企業規模・機能により異なる)
Account Engagement:
- 特徴: Salesforceとの親和性が最高、B2B特化
- 強み: Sales Cloudとのシームレスな連携
- Salesforce連携: ネイティブ(同一プラットフォーム)
- 料金目安: 月額15万円〜(エディションにより異なる)
※料金は2025年12月時点の目安です。最新の料金は各社公式サイトでご確認ください。
(2) Salesforce導入企業での活用メリット
すでにSalesforce Sales Cloudを導入している企業にとって、Account Engagementには以下のメリットがあります:
データの一元管理:
- リード・取引先・商談データがSalesforceに統合
- マーケティングと営業で同じデータを参照
- データ連携のための追加開発が不要
運用効率:
- UIが統一されており、学習コストが低い
- ユーザー管理・権限設定をSalesforceで一元管理
- Salesforceのレポート・ダッシュボード機能で可視化
サポート体制:
- Salesforceの日本語サポートが利用可能
- 日本国内のパートナー企業によるサポートも充実
一方、Salesforceを導入していない企業の場合は、HubSpot等の単独で完結するMAツールも選択肢となります。自社のCRM・SFA環境に合わせて選定することが重要です。
まとめ:Account Engagementが向いている企業
Account Engagement(旧Pardot)は、PardotからAccount Engagementへの名称変更があったものの、機能面での変更はなく、引き続きB2B向けMAツールとして活用できます。
Account Engagementが向いている企業:
- Salesforce Sales Cloudをすでに導入している、または導入を予定している
- B2B企業で、リード獲得から営業へのスムーズな引き渡しを重視している
- スコアリング・グレーディングによる見込み客の優先順位付けを行いたい
- マーケティングと営業のデータを一元管理したい
導入を検討する際の次のアクション:
- 自社のCRM・SFA環境を整理する
- Account EngagementとHubSpot・Marketo等を機能・料金で比較する
- Salesforce公式サイトでエディション別機能を確認する
- 導入支援パートナー企業に相談する(必要に応じて)
※この記事は2025年12月時点の情報に基づいています。機能や料金は変更される可能性があるため、最新情報はSalesforce公式サイトでご確認ください。
よくある質問:
Q: PardotとAccount Engagementは何が違いますか? A: 名称のみの変更で、機能は全く同じ製品です。2022年4月7日に名称変更されましたが、リストメール、Engagement Studio等の機能は継続して利用できます。
Q: 既存のPardotユーザーは何か対応が必要ですか? A: 特に必要な対応はありません。UI上の変更は段階的に行われており、機能は継続利用できます。ただし、一部の機能名表記が変更されているため、ドキュメント参照時は注意が必要です。
Q: Account EngagementとMarketing Cloudの違いは何ですか? A: Account EngagementはB2B向けMA、Marketing Cloudは主にB2C向けのマーケティングプラットフォームです。2024年Dreamforceで、全Account EngagementユーザーがMarketing Cloud Growthを追加費用なしで利用できるようになりました。
Q: Salesforceを導入していない企業でもAccount Engagementは使えますか? A: 技術的には利用可能ですが、Account Engagementの最大の強みはSalesforce Sales Cloudとのシームレスな連携です。Salesforceを利用していない場合は、HubSpot等の単独で完結するMAツールも選択肢として検討することをおすすめします。
