営業進捗管理の方法とは?可視化のメリット・管理項目・ツール活用法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/5

営業の進捗が見えず、どの案件に注力すべきか分からない...

BtoB企業の営業マネージャーが直面する課題の一つに、「営業メンバーの進捗が見えず、適切なサポートができない」「どの案件が停滞しているのか分からず、早期に対策できない」「売上予測の精度が低く、目標達成が困難」といった問題があります。営業組織の拡大や目標達成プレッシャーの高まりに伴い、営業進捗の可視化と管理の強化が求められていますが、「具体的にどう管理すればよいか」「どのツールを使えばよいか」が不明確で、効果的な進捗管理を実現できていないケースは少なくありません。

この記事では、営業進捗管理の方法、可視化のメリット、管理項目、ツール活用法(Excel vs SFA/CRM)を解説します。

この記事のポイント:

  • 営業進捗管理とは営業担当者の活動・案件状況をリアルタイムに把握・共有する仕組み
  • メリットは売上予測精度向上、早期問題発見、チーム連携強化、営業プロセス改善
  • 5つの基本管理項目:目標管理、案件管理、顧客管理、行動管理、タスク管理
  • Excelは入門・小規模向け、SFA/CRMはデータ量多・リアルタイム性重視の場合に適している
  • 定着のポイント:入力ルール明確化、活用場設定、成果・評価との連動

営業進捗管理とは?定義と目的

まず、営業進捗管理の定義と目的を整理します。

営業進捗管理の定義(活動・案件状況のリアルタイム把握)

営業進捗管理 とは、営業担当者の活動状況や案件の進捗状況をリアルタイムに把握・共有し、次の対応をまとめる仕組みです。

管理対象:

  • 営業担当者の活動(訪問数、架電数、メール送信数など)
  • 案件の進捗(商談ステージ、受注見込み、受注予定日など)
  • 目標達成状況(個人目標・チーム目標の達成率)

営業進捗管理により、営業マネージャーは組織全体の営業活動を把握し、適切なサポートや意思決定ができるようになります。

管理の目的(監視ではなく支援)

営業進捗管理の目的は、「監視」ではなく「支援」 です。

進捗管理の目的:

  • 営業メンバーの課題を早期に発見し、適切なサポートを提供する
  • 成功パターンを共有し、組織全体の営業力を底上げする
  • 売上予測の精度を高め、目標達成を確実にする

注意点: 過度な管理は営業メンバーの負担増やモチベーション低下につながるリスクがあります。管理の目的を明確にし、営業メンバーにとってのメリットを示すことで、前向きな進捗管理を実現することが重要です。

営業メンバーにとってのメリット

営業進捗管理は、営業マネージャーだけでなく、営業メンバーにとってもメリットがあります。

営業メンバーにとってのメリット:

  • 課題の早期発見:案件が停滞している場合、早期に気づいてマネージャーに相談できる
  • 成功パターンの共有:トップセールスの手法を学び、自分の営業活動に活かせる
  • 優先順位の明確化:どの案件に注力すべきか、データに基づいて判断できる
  • 評価の透明性:活動量や成果が可視化され、公平な評価を受けられる

これらのメリットを営業メンバーに伝えることで、進捗管理への協力を得やすくなります。

営業進捗管理のメリットと効果

営業進捗管理の主なメリットと効果を解説します。

メリット1:売上予測の精度向上

営業進捗管理により、案件ごとの受注見込みや受注予定日が可視化され、売上予測の精度が向上します。

具体的な効果:

  • 各案件の「受注確率」と「受注金額」を掛け合わせて売上予測を算出
  • 月次・四半期の売上予測を高精度で立てられる
  • 予測と実績のギャップを分析し、改善策を立てられる

例:

  • A社案件:受注確率80%、受注金額500万円 → 売上予測400万円
  • B社案件:受注確率50%、受注金額300万円 → 売上予測150万円
  • 合計売上予測:550万円

このように、案件ごとの受注確率を管理することで、現実的な売上予測が立てられます。

メリット2:早期の問題発見と対策

営業進捗管理により、案件の停滞や営業担当者の課題を早期に発見できます。

具体的な効果:

  • 商談ステージが長期間変わらない案件を発見(停滞案件)
  • 活動量が少ない営業担当者を早期にフォロー
  • ボトルネックを特定し、改善策を実施

例:

  • C社案件は3ヶ月間「提案中」のまま進んでいない → マネージャーが同行訪問して状況を確認
  • D営業担当者は架電数が他メンバーの半分 → トレーニングを実施

早期に問題を発見し、対策を講じることで、目標達成の確率が高まります。

メリット3:チーム連携強化とノウハウ共有

営業進捗管理により、チーム全体で情報を共有し、連携を強化できます。

具体的な効果:

  • トップセールスの成功事例を共有(どの商談ステージでどんな提案をしたか)
  • 営業担当者同士が互いの案件を参照し、アドバイスし合える
  • 新人営業担当者が先輩の商談履歴を学べる

例:

  • トップセールスのEさんは、初回訪問で「〇〇という質問」をして課題を引き出している
  • この手法を他の営業担当者も活用し、成約率が向上

ノウハウ共有により、営業組織全体のレベルが底上げされます。

メリット4:営業プロセス改善

営業進捗管理により、営業プロセスのボトルネックを発見し、改善できます。

具体的な効果:

  • 「提案から見積もり」の段階で案件の70%が停滞している → 見積もり作成プロセスを見直す
  • 「初回訪問から2回目訪問」の転換率が低い → 初回訪問のアプローチ方法を改善

例:

  • 営業プロセスを分析した結果、「見積もり作成に時間がかかりすぎている」ことが判明
  • 見積もりテンプレートを作成し、作成時間を半減
  • 結果、商談期間が短縮され、受注スピードが向上

データに基づく営業プロセス改善により、組織全体の営業効率が向上します。

営業進捗管理の5つの基本項目

営業進捗管理で管理すべき5つの基本項目を解説します。

目標管理(個人目標・チーム目標)

目標管理 は、個人目標・チーム目標の達成状況を管理する項目です。

管理内容:

  • 月次売上目標、四半期売上目標
  • 新規商談数目標、受注件数目標
  • 目標達成率(予算に対する実績の割合)

活用方法:

  • 定例ミーティングで目標達成率を共有
  • 未達成の場合、原因を分析し、改善策を立てる

案件管理(商談ステージ・受注見込み)

案件管理 は、商談の進捗状況を管理する項目です。

管理内容:

  • 商談ステージ(初回訪問、ヒアリング、提案、見積もり、クロージング)
  • 受注見込み(受注確率:30%、50%、80%など)
  • 受注予定日、受注金額
  • 競合他社の状況

活用方法:

  • 案件ごとの進捗を可視化し、停滞案件を早期に発見
  • 受注確率を定期的に更新し、売上予測の精度を高める

顧客管理(顧客情報・履歴)

顧客管理 は、顧客情報と過去の接点履歴を管理する項目です。

管理内容:

  • 企業名、住所、電話番号
  • 担当者名、役職、メールアドレス
  • 過去の商談履歴、購入履歴
  • 顧客の課題・ニーズ

活用方法:

  • 営業担当者が異動・退職しても、顧客情報が組織に残る
  • 過去の接点を把握し、適切なタイミングでアプローチできる

行動管理(訪問数・架電数・活動量)

行動管理 は、営業担当者の活動量を管理する項目です。

管理内容:

  • 訪問数(対面訪問、オンライン訪問)
  • 架電数、通話時間
  • メール送信数
  • 日報・週報

活用方法:

  • 活動量と成果の相関を分析(訪問数が多い営業担当者ほど受注率が高いか)
  • 活動量が少ない営業担当者を早期にフォロー

タスク管理(To-Do管理・期日管理)

タスク管理 は、営業担当者の日々のタスクを管理する項目です。

管理内容:

  • To-Doリスト(顧客へのフォローアップ、見積もり作成、資料送付など)
  • タスクの期日、優先度
  • タスクの完了状況

活用方法:

  • タスクの漏れを防ぎ、顧客対応の質を向上
  • 期日が迫っているタスクを優先的に処理

これら5つの項目を体系的に管理することで、営業活動の全体像を把握できます。

営業進捗管理の方法(Excel vs SFA/CRM)

営業進捗管理の主な方法は、Excel・スプレッドシート管理とSFA/CRMツール活用の2つです。

Excel・スプレッドシート管理(入門・小規模向け)

Excelでの進捗管理 は、入門ツールとして有効です。

メリット:

  • 初期コスト0円(既存のExcel/スプレッドシートを活用)
  • カスタマイズが容易(自社の営業プロセスに合わせて項目を追加)
  • 小規模チーム(10名以下)や案件数が少ない場合は十分

デメリット:

  • データ量増加時に更新・集計が煩雑化
  • リアルタイム性が失われる(営業担当者がExcelを更新しないと、最新情報が分からない)
  • 複数メンバーが同時編集すると、データが競合する可能性

適している企業:

  • スタートアップ、小規模企業(営業担当者10名以下)
  • 案件数が月間50件以下
  • 進捗管理を初めて導入する企業

SFA/CRMツール活用(データ量多・リアルタイム性重視)

SFA/CRMツールでの進捗管理 は、データ量が多く、リアルタイム性を重視する場合に適しています。

メリット:

  • リアルタイムで進捗を把握できる(営業担当者が入力すると即座に反映)
  • 情報共有が容易(チーム全体で最新情報を閲覧可能)
  • レポート作成が自動化される(売上予測、案件進捗、活動量を自動集計)
  • 営業プロセスをテンプレート化し、標準化できる

デメリット:

  • 初期コスト・月額コストが発生(1ユーザーあたり月額数千円〜数万円)
  • 入力ルールが不明確だと、営業担当者の負担増加と定着失敗のリスク

適している企業:

  • 中堅〜大企業(営業担当者10名以上)
  • 案件数が月間50件以上
  • リアルタイムで進捗を把握したい企業

主要なSFA/CRMツール:

  • Salesforce Sales Cloud(世界シェアNo.1、高いカスタマイズ性)
  • HubSpot(無料プランあり、中小企業向け)
  • Mazrica Sales(国産SFA、日本企業に最適化)
  • eセールスマネージャー(国産SFA、中堅企業向け)

BI(Business Intelligence)ツールでのダッシュボード化

BIツール は、大量の営業データを視覚的に分析し、ダッシュボードで提供するツールです。

メリット:

  • 大量のデータを視覚的に分析(グラフ・チャートで可視化)
  • 複数のデータソース(SFA、CRM、Excel等)を統合して分析できる
  • 経営層向けのレポート作成が容易

代表的なBIツール:

  • Tableau
  • Power BI(Microsoft製)
  • Google Data Studio(無料)

適している企業:

  • データ量が膨大(数万件以上の案件・顧客データ)
  • 複数のデータソースを統合して分析したい企業

各手法のメリット・デメリット

手法 メリット デメリット 適している企業
Excel 初期コスト0円、カスタマイズ容易 データ量増加時に限界、リアルタイム性なし 小規模(10名以下)
SFA/CRM リアルタイム、情報共有容易、レポート自動化 初期・月額コスト、定着に工夫必要 中堅〜大企業(10名以上)
BI 大量データ分析、複数ソース統合 高コスト、導入・運用に専門知識必要 データ量膨大な企業

パイプライン管理で進捗を可視化する

パイプライン管理 は、営業進捗を可視化する効果的な手法です。

パイプライン管理とは

パイプライン管理 とは、営業活動を一連のフロー(パイプライン)として可視化し、分析・改善を行うマネジメント手法です。

パイプライン管理のイメージ:

  • 営業プロセスを一つのパイプ(管)に見立てる
  • 各段階(初回アポ → ヒアリング → 提案 → クロージング)に案件を分類
  • 各段階の案件数・進捗率を視覚的に把握

営業プロセスの細分化(初回アポ→ヒアリング→提案→クロージング)

パイプライン管理では、営業プロセスを細分化します。

営業プロセスの例:

  1. 初回アポ取得:見込み客との初回接触
  2. ヒアリング:顧客の課題・ニーズを把握
  3. 提案:解決策を提案
  4. 見積もり:見積もりを提示
  5. クロージング:契約締結

各段階の進捗率を可視化:

  • 初回アポ取得:20件
  • ヒアリング:15件(転換率75%)
  • 提案:10件(転換率67%)
  • 見積もり:5件(転換率50%)
  • クロージング:2件(転換率40%)

このように、各段階の案件数と転換率を可視化することで、ボトルネックを発見できます。

ボトルネックの早期発見と対策

パイプライン管理により、ボトルネック(業務フローの中で進行を妨げる障害)を早期に発見できます。

例:

  • 「提案→見積もり」の転換率が50%と低い → 見積もり作成プロセスを改善
  • 「見積もり→クロージング」の転換率が40%と低い → クロージングのアプローチ方法を見直す

対策例:

  • 見積もりテンプレートを作成し、作成時間を短縮
  • クロージングのトレーニングを実施
  • トップセールスのクロージング手法を共有

ボトルネックを解消することで、営業プロセス全体の効率が向上します。

パイプライン管理の実践7ステップ

パイプライン管理を効果的に実践するための7ステップを紹介します:

1. 営業プロセスを定義する

  • 自社の営業プロセスを段階的に分解(初回アポ、ヒアリング、提案、見積もり、クロージング)

2. 各段階の目標を設定する

  • 各段階の転換率目標を設定(例:ヒアリング→提案の転換率80%)

3. 案件を各段階に分類する

  • 現在の全案件を各段階に分類

4. 進捗を定期的にレビューする

  • 週次・月次で進捗をレビューし、停滞案件を発見

5. ボトルネックを特定する

  • 転換率が低い段階を特定

6. 改善策を実施する

  • ボトルネックを解消する施策を実施

7. 効果を測定し、継続的に改善する

  • 改善策の効果を測定し、さらなる改善を実施

まとめ:進捗管理を定着させる3つのポイント

営業進捗管理は、営業担当者の活動・案件状況をリアルタイムに把握・共有する仕組みで、売上予測精度向上、早期問題発見、チーム連携強化、営業プロセス改善といったメリットがあります。

管理すべき5つの基本項目は、目標管理、案件管理、顧客管理、行動管理、タスク管理です。管理方法は、Excelが入門・小規模向け、SFA/CRMがデータ量多・リアルタイム性重視の場合に適しています。

進捗管理を定着させるための3つのポイントは以下の通りです:

ポイント1:入力ルール・役割分担の明確化

  • 誰が、いつ、何を入力するかを明確にする
  • 入力項目を必要最小限に絞り、営業担当者の負担を軽減

ポイント2:進捗情報を活用する場の設定

  • 定例ミーティングで進捗を共有し、課題を議論
  • 停滞案件の対策を立てる

ポイント3:成果・評価との連動

  • 進捗管理のデータを営業担当者の評価に連動させる
  • 入力することでメリットがあることを明示

次のアクション:

  • 自社の営業プロセスを可視化し、管理すべき項目を明確にする
  • 小規模チームはExcelから開始、チーム拡大時にSFA/CRMへ移行を検討
  • パイプライン管理でボトルネックを発見し、営業プロセスを改善する
  • 定例ミーティングで進捗を共有し、チーム連携を強化する

営業進捗管理を効果的に実践し、目標達成を確実にしましょう。

よくある質問

Q1Excelでの進捗管理で十分ですか?

A1小規模チーム(10名以下)や案件数が月間50件以下の場合はExcelで十分です。ただし、データ量増加時は更新・集計が煩雑化し、リアルタイム性が失われます。チーム拡大時はSFA/CRMへの移行を検討することを推奨します。

Q2進捗管理を営業メンバーに定着させるには?

A23つのポイントがあります:①入力ルール・役割分担の明確化、②進捗情報を活用する場(定例ミーティング等)の設定、③成果・評価との連動。管理が営業メンバーにとってもメリット(課題早期発見、成功パターン共有)があることを示すことが重要です。

Q3パイプライン管理とは何ですか?

A3営業活動を一連のフロー(パイプライン)として可視化し、分析・改善を行うマネジメント手法です。営業プロセスを細分化(初回アポ→ヒアリング→提案→クロージング)し、各段階の案件数・進捗率を視覚的に把握します。ボトルネックの早期発見に有効です。

Q4進捗管理で設定すべきKPIは?

A4主要KPIは、新規商談数、商談進捗率、受注率、平均商談期間、顧客訪問数、架電数、提案数などです。自社の営業プロセス・目標に応じて設定し、定期的に測定・改善することが重要です。

Q5SFA/CRMツール導入のコストはどれくらいですか?

A5サブスクリプション型が一般的で、1ユーザーあたり月額数千円〜数万円です。営業担当者20名で1ユーザー月額5,000円の場合、年間120万円です。無料トライアルで十分に検証してから導入することを推奨します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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