営業チームの成果がバラバラで、何をどう管理すればいいか分からない...
BtoB企業の営業マネージャーの多くが、営業管理の方法に悩んでいます。「営業担当者の活動が見えない」「売上の予測が立たない」「優秀な営業員がいても、チーム全体の成果が上がらない」「何を管理すべきか分からない」といった課題は尽きません。
この記事では、営業管理の基本、管理すべき項目、効果的な手法、ツール活用、よくある課題と対策まで、実践的に解説します。
この記事のポイント:
- 営業管理は、営業活動をデータ化し、数値をもとに課題発見・営業手法の最適化を行う手法
- 管理すべき基本項目は、顧客・案件・活動・目標・売上・KPIの6つ
- 効果的な手法として、目標管理・行動管理・案件管理・モチベーション管理の4つの柱を実施
- Excelは低コストで始めやすいが、事業規模が大きくなればSFA導入を検討(段階的移行を推奨)
- 2024年調査では、Excel・営業管理システム併用が多いが、マンパワー依存の傾向が見られる
1. 営業管理とは何か
営業管理の定義と重要性を解説します。
(1) 営業管理の定義
営業管理とは、営業活動のプロセスをデータ化し、数値をもとに課題発見・営業手法の最適化を行う手法です。
営業管理の範囲:
- 顧客情報の管理(企業名・担当者・連絡先等)
- 営業案件の進捗管理(提案・見積・受注等のステータス)
- 営業担当者の活動管理(訪問・架電・提案等の記録)
- 目標と実績の管理(売上目標・達成率等)
- KPI(重要業績評価指標)の設定と測定
(出典: 営業管理とは?6つの必須項目とSFA/Excelでの効率的な方法)
(2) なぜ営業管理が重要なのか
営業管理を適切に行うことで、以下のような効果が期待できます:
営業管理の効果:
- 売上の予測精度向上: 営業案件の進捗状況を可視化し、売上予測が立てやすくなる
- 営業プロセスの最適化: どのステップでボトルネックが発生しているかを特定し、改善できる
- 属人化の解消: 営業情報をチーム全体で共有し、担当者が変わっても継続できる
- 営業担当者の育成: 成功パターンを分析し、ノウハウを共有できる
- 経営判断の材料: データに基づいた意思決定が可能になる
(3) 営業管理の目的(売上向上・属人化解消)
営業管理の主な目的は、以下の2つです:
目的1: 売上向上
- 営業案件の進捗を可視化し、受注確度を高める
- 営業担当者の活動を分析し、効果的なアプローチを標準化
- 商談化率・成約率を測定し、ボトルネックを特定
目的2: 属人化解消
- 営業情報(顧客情報・商談履歴等)をチーム全体で共有
- 担当者が変わっても、スムーズに引き継ぎができる
- 優秀な営業員のノウハウをチーム全体に展開
属人化とは、特定の担当者だけが情報・ノウハウを持ち、他者に共有されていない状態を指します。属人化が進むと、担当者の退職・異動時に顧客情報が失われるリスクがあります。
2. 営業管理で管理すべき基本項目
営業管理で管理すべき基本項目を5つ紹介します。
(1) 顧客管理(企業名・担当者・連絡先)
顧客管理は、顧客情報を一元管理し、最適なアプローチを実現する営業管理の基本です。
管理すべき情報:
- 企業名・業種・規模(従業員数・売上等)
- 担当者名・役職・連絡先(電話・メール)
- 過去の商談履歴(提案内容・受注実績等)
- 顧客の課題・ニーズ
- 次回アクション予定
これらを一元管理することで、営業担当者が変わってもスムーズに対応でき、顧客との関係性が継続されます。
(2) 案件管理(進捗状況・受注見込み)
案件管理は、営業案件の進捗状況を可視化し、受注確度を高める管理項目です。
管理すべき情報:
- 案件名・顧客名
- 営業ステージ(初回接触・提案・見積・受注等)
- 受注見込み額・受注予定日
- 受注確度(A・B・Cランク等)
- ネクストアクション(次にやるべきこと)
案件管理を行うことで、「今月の売上予測」「受注確度の高い案件はどれか」が一目で分かるようになります。
(3) 活動管理(訪問・架電・提案)
活動管理は、営業担当者の日々の活動を記録・管理する項目です。
管理すべき情報:
- 訪問・架電・メール送信の回数
- 提案・見積の提出日
- 商談の内容・結果
- 顧客からのフィードバック
活動管理を行うことで、「どのような活動が成果に繋がっているか」を分析できます。ただし、訪問回数等の効率指標を管理しても、売上向上に直接寄与しないケースがあるため、成果に繋がる活動(提案数・見積提出数等)を重視することが重要です。
(出典: 営業管理の現状と課題)
(4) 目標管理・売上管理
目標管理・売上管理は、営業担当者・チーム全体の目標と実績を管理する項目です。
管理すべき情報:
- 売上目標(月次・四半期・年次)
- 売上実績
- 達成率(実績 ÷ 目標)
- 受注数・受注額
- 新規顧客獲得数
目標と実績を可視化することで、「どのメンバーが目標未達か」「どの商材が売れていないか」を早期に発見し、対策を打てます。
(5) KPI管理(成約率・商談化率等)
KPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)管理は、営業プロセスの各ステップを数値化し、ボトルネックを特定する管理項目です。
主要なKPI:
- 商談化率: リードのうち、商談化した割合(例: 100件のリードから10件商談化なら10%)
- 成約率: 商談のうち、受注した割合(例: 10件の商談から3件受注なら30%)
- リードタイム: リード獲得から受注までの期間
- 平均受注額: 1件あたりの受注金額
- 顧客単価: 1顧客あたりの売上
KPIを測定することで、「商談化率が低い」「成約率が低い」などのボトルネックを特定し、改善アクションを実施できます。
(出典: 営業管理とは?成果を最大化する4つの柱とSFA導入・定着ガイド)
3. 効果的な営業管理の手法(4つの柱)
営業管理を効果的に行うための4つの柱を紹介します。
(1) 目標管理(KGI・KPI設定)
目標管理では、KGI(Key Goal Indicator: 重要目標達成指標)とKPIを設定します。
KGIとKPIの違い:
- KGI: 最終的な目標(例: 年間売上10億円)
- KPI: KGIを達成するための中間指標(例: 商談化率20%、成約率30%)
KPIを設定することで、「KGI達成のために、どのような活動をどれだけ行う必要があるか」が明確になります。
(2) 行動管理(プロセス可視化)
行動管理では、営業プロセスを可視化し、営業担当者の活動を標準化します。
営業プロセスの例:
- リード獲得(マーケティング・展示会等)
- 初回接触(電話・メール)
- ヒアリング・ニーズ把握
- 提案・見積提出
- 商談・交渉
- 受注・契約
- アフターフォロー
各ステップでの活動を記録し、「どのステップでつまずいているか」を分析します。
(3) 案件管理(パイプライン管理)
案件管理では、営業パイプライン(営業案件の進捗状況を一覧化したもの)を管理します。
パイプライン管理の例:
| ステージ | 案件数 | 受注見込み額 |
|---|---|---|
| 初回接触 | 50件 | 5,000万円 |
| 提案 | 20件 | 3,000万円 |
| 見積 | 10件 | 2,000万円 |
| 受注 | 5件 | 1,000万円 |
パイプラインを可視化することで、「今月の売上予測」「どのステージに案件が滞留しているか」が一目で分かります。
(4) モチベーション管理(1on1・評価)
モチベーション管理では、営業担当者のモチベーションを維持・向上させる施策を実施します。
モチベーション管理の施策:
- 1on1ミーティング: 定期的に個別面談を行い、課題・目標を共有
- 公平な評価制度: 成果だけでなく、プロセスも評価(訪問回数・提案回数等)
- 成功事例の共有: 優秀な営業員のノウハウをチーム全体に展開
- キャリアパスの明示: 営業→マネージャー→経営層へのキャリアパスを示す
営業は結果が重視される職種ですが、プロセスを評価することで、成果が出ていないメンバーも改善のモチベーションを維持できます。
(出典: 営業管理とは?成果を最大化する4つの柱とSFA導入・定着ガイド)
4. 営業管理ツールの活用(Excel vs SFA)
営業管理ツールとして、Excelと SFA(Sales Force Automation: 営業支援システム)を比較します。
(1) Excelのメリット・デメリット(低コスト・共有困難)
Excelのメリット:
- 低コスト: すでにOffice環境があれば追加費用不要
- 導入障壁が低い: 慣れ親しんだツールで、学習コストが低い
- 柔軟性が高い: 自社の管理項目に合わせて自由にカスタマイズ可能
Excelのデメリット:
- リアルタイム共有が困難: 複数人が同時編集すると、バージョン管理が煩雑
- データ消失リスク: ファイル破損・誤削除のリスクがある
- 高度なデータ分析に限界: 大量データの分析・レポート作成が手作業になる
- 属人化しやすい: 担当者がExcelファイルを独自に管理し、共有されない
(出典: SFAとエクセルで営業管理に最適なのは?)
(2) SFAのメリット・デメリット(リアルタイム共有・高度分析)
SFAのメリット:
- リアルタイム共有: クラウド型SFAなら、営業部全体で最新情報を共有できる
- 高度なデータ分析: ダッシュボード・レポート機能で、KPIを自動集計
- 属人化解消: 顧客情報・営業活動がすべて記録され、引継ぎがスムーズ
- 営業プロセス標準化: ワークフロー機能で、営業プロセスを標準化できる
SFAのデメリット:
- 導入コスト: 初期費用・月額費用が必要(無料SFAツールも存在)
- 学習コスト: 新しいツールの操作を習得する必要がある
- 現場の抵抗: 現場が使わず、二重管理(ExcelとSFA両方に入力)になるリスク
(出典: SFAとExcelのメリット・デメリットとは?)
(3) 主要ツール比較(Salesforce、HubSpot、Zoho CRM等)
主要なSFA/CRMツールを比較します(2024-2025年時点の情報)。
主要ツール:
- Salesforce: 世界シェアNo.1のCRM/SFA、高度なカスタマイズ性、月額数千円〜(ユーザー数・機能により変動)
- HubSpot CRM: 5名まで無料、中小企業に適している、直感的なUI/UX
- Microsoft Dynamics 365: Microsoftの統合型CRM/SFA、Office 365との連携に強い
- Zoho CRM: 月額1,680円〜、コストパフォーマンスが高い
その他、無料SFAツールも存在します。料金・機能は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
(出典: 【2025年最新】営業ツールおすすめ11選!選定のポイントと導入効果も解説)
(4) 導入判断基準(事業規模・営業スタイル)
ExcelとSFAの導入判断基準は、以下の通りです:
Excelが適している企業:
- 営業担当者が5名以下の小規模企業
- 営業案件数が月10件未満
- 営業プロセスがシンプル(訪問→提案→受注のみ等)
SFAが適している企業:
- 営業担当者が10名以上の中堅〜大企業
- 営業案件数が月50件以上
- 営業プロセスが複雑(複数部門が関与、長期商談等)
- データに基づいた意思決定を重視
段階的に移行するのが推奨されます。まずExcelで管理を始め、事業規模が大きくなったらSFAに移行しましょう。
5. 営業管理のよくある課題と対策
営業管理でよくある課題と、その対策を5つ紹介します。
(1) 営業情報の属人化
課題: 営業担当者が顧客情報・商談内容を自分だけで管理し、チーム全体で共有されていない。担当者が退職・異動すると、顧客情報が失われる。
対策:
- CRM/SFAツールで顧客情報・営業活動をすべて記録する
- 週次または月次で営業会議を実施し、情報共有を徹底
- 営業情報の入力を業務フローに組み込み、習慣化する
(2) SFA導入しても定着しない(二重管理)
課題: SFAを導入しても現場が使わず、ExcelとSFAの二重管理になる。結局Excelでの管理が続き、SFAが形骸化する。
対策:
- SFA導入時は現場の負担を考慮し、段階的に機能を追加する(一度に全機能導入は失敗しやすい)
- 営業担当者にSFAのメリット(案件の進捗管理・売上予測の精度向上等)を明示する
- 経営層・マネージャーが率先してSFAを使い、現場に浸透させる
(3) 「名選手が名監督になれない」問題
課題: 優秀な営業担当者が営業マネージャーになっても、成果が出ない。プレイヤースキル(自分で売る力)とマネジメントスキル(チームで成果を出す力)は別物だが、混同されやすい。
対策:
- 営業マネージャーには、マネジメント研修・コーチング研修を実施する
- 営業担当者時代の成功パターンを、チーム全体に展開する仕組みを作る
- マネージャーの役割を明確化し、「売る」ではなく「チームで成果を出す」ことを評価する
(出典: 営業マネージャーによくある失敗を防ぐには?間違えがちな8つのミス)
(4) 外勤特性による活動可視化の困難
課題: 営業担当者は外勤が多く、「どこで何をしているか」が見えにくい。結果(売上)のみで評価しがちで、プロセス評価が難しい。
対策:
- SFAツールのモバイルアプリを活用し、外出先からも営業活動を記録する
- 1on1ミーティングで、営業担当者の活動内容・課題を定期的にヒアリング
- 成果だけでなく、プロセス(訪問回数・提案回数等)も評価する
(出典: 営業管理の現状と課題)
(5) 2024年調査:マンパワー依存の傾向
課題: 2024年の調査によると、営業管理はExcel・営業管理システム併用が多いが、マンパワー依存の傾向が見られる。システム化が進んでいない企業が多い。
対策:
- 営業DX(Digital Transformation)を推進し、SFA/CRM導入を検討
- 営業プロセスを標準化し、システム化しやすい体制を整備
- 段階的にツールを導入し、現場の負担を抑えながら定着を図る
(出典: 各社が抱える「経営課題・営業課題と営業管理方法」調査結果レポート2023)
6. まとめ:営業管理で成果を最大化するために
営業管理の基本と実践ステップをまとめます。
営業管理の成功ポイント:
- 管理すべき基本項目を明確化: 顧客・案件・活動・目標・売上・KPIの6つを管理
- 4つの柱で効果的に実施: 目標管理・行動管理・案件管理・モチベーション管理
- ツールを段階的に導入: Excelで始め、事業規模に応じてSFAに移行
- 属人化を解消: 営業情報をチーム全体で共有し、引継ぎをスムーズに
- 現場を巻き込む: SFA導入時は段階的に機能を追加し、現場の負担を考慮
次のアクション:
- 自社の営業管理の現状を確認し、管理できていない項目を洗い出す
- 管理すべき基本項目(顧客・案件・活動・目標・KPI)をリストアップする
- Excelで営業管理を始め、事業規模に応じてSFA導入を検討する
- 週次または月次で営業会議を実施し、情報共有を徹底する
営業管理は、企業規模・業種・営業スタイル(訪問型/インサイド型)により最適な方法が異なります。自社に合った営業管理の方法をカスタマイズし、営業チーム全体の成果を最大化しましょう。
