営業目標とKPIの設定、うまくいっていますか?
B2B企業の営業マネージャーや営業企画担当者の多くが、「営業目標をどう設定すればいいか?」「KPIは何を指標にすべきか?」と悩んでいます。実際、目標設定が曖昧だと、営業チームは何を追うべきか分からず、結果として目標達成が難しくなります。
この記事では、営業目標とKPIの違いを明確にし、効果的な指標設計のフレームワークと運用のポイントを実務視点で解説します。SMART法則、KPIツリー、プロセス管理など、目標達成率を高めるための具体的な手法をお伝えします。
この記事のポイント:
- KGI(最終目標)とKPI(中間指標)の違いを理解し、KGIから逆算してKPIを設定する
- KPI設定の4ステップ:KGI設定→ギャップ確認→CSF特定→KPI設定
- SMART法則(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)で具体的で測定可能な目標を設定
- 主要なKPI指標は営業機会数、成約率、顧客単価、リピート率など
- 結果管理ではなくプロセス管理を重視し、プロセス変数(訪問数・商談数等)をモニタリングする
- KPIツリー(ロジックツリー)を作成し、KGIをトップとした階層構造でKPI・サブKPIを設計
- 2025年の営業KPI管理では、SFA/CRMとの連携によるデータドリブンなアプローチが主流
営業目標とKPI設定が重要な理由
(1) 営業DX時代の目標管理
2025年の営業活動では、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)を活用したデータドリブンなアプローチが主流になっています。これにより、営業活動をリアルタイムで数値化・可視化し、KPIに基づいた目標管理が可能になりました。
従来の「とにかく頑張る」という精神論的な営業管理から、「データに基づいて具体的な行動を改善する」プロセス管理へとシフトしています。この変化により、営業目標とKPIの設定がこれまで以上に重要になっています。
(2) KPI設定による営業チームへの効果
Sansanによると、適切なKPI設定により以下の効果が期待できます:
- 追うべき目標の明確化: 営業担当者が何を追うべきかが明確になる
- モチベーション向上: 達成可能な目標が設定されることで、営業チームのモチベーションが向上する
- 進捗の可視化: 営業活動の進捗が数値化され、マネージャーとメンバーの両方が現状を把握できる
- 改善点の特定: プロセスを数値化することで、どこに問題があるかが明確になる
KPI設定は、営業チームが効率的に動き、具体的な成果を出すためのアクションを明確にする重要なプロセスです。
営業目標・KPI・KGIの基礎知識
(1) KGI(最終目標)とKPI(中間指標)の違い
Salesforceによると、KGIとKPIは以下のように定義されます:
KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標):
- ビジネスにおいて最終的に達成したい目標
- 例:年間売上10億円、新規顧客獲得数500社、営業利益率15%
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標):
- KGI達成のための中間指標
- 営業活動の進捗を数値化し、目標達成度を測定する指標
- 例:月間商談数50件、成約率20%、顧客単価200万円
KPIはKGIから逆算して設定します。例えば、年間売上10億円(KGI)を達成するには、月間商談数50件・成約率20%・顧客単価200万円(KPI)が必要、といった形で設計します。
(2) KFS(重要成功要因)との関係
Mazricaによると、KPI設定にはKFS(Key Success Factor:重要成功要因)の特定が重要です。
KFS(CSF)とは:
- 売上に最も影響を与える営業プロセス
- 例:新規リード獲得、商談の質、提案力、クロージング力
KPI設定の流れは以下の通りです:
- KGI設定: 最終目標を定義(例:年間売上10億円)
- 現状とのギャップ確認: 現状の売上を分析(例:現状8億円、ギャップ2億円)
- KFS特定: 売上に最も影響を与える要因を特定(例:新規商談数が不足)
- KPI設定: KFSに基づいてKPIを設定(例:月間商談数を30件から50件に増やす)
(3) KPIツリー(ロジックツリー)の考え方
Mazricaが提唱するKPIツリーとは、KGIをトップとして、KPI、サブKPI、サブサブKPIという階層構造で目標を設計する手法です。
KPIツリーの例:
KGI: 年間売上10億円
├─ KPI①: 新規顧客売上6億円
│ ├─ サブKPI: 新規商談数600件
│ │ └─ サブサブKPI: リード獲得数1200件(成約率10%の場合)
│ └─ サブKPI: 成約率20%
│ └─ サブサブKPI: 提案品質スコア80点以上
└─ KPI②: 既存顧客売上4億円
├─ サブKPI: リピート率70%
└─ サブKPI: 顧客単価アップ率110%
このように階層構造で設計することで、KGI達成に必要な具体的なアクションが明確になります。
営業KPIの設定手順と具体的な指標例
(1) KPI設定の4ステップ(KGI設定→ギャップ確認→CSF特定→KPI設定)
Sansanが提唱するKPI設定の手順は以下の通りです:
ステップ1: KGI設定
- 最終的に達成したい目標を明確にする
- 例:年間売上10億円、新規顧客獲得数500社
ステップ2: 現状とのギャップ確認
- 現状の実績を分析し、KGIとのギャップを明確にする
- 例:現状売上8億円、ギャップ2億円
ステップ3: CSF(重要成功要因)特定
- 営業プロセスを分析し、売上に最も影響を与える要因を特定する
- 例:新規商談数の不足、成約率の低下
ステップ4: KPI設定
- CSFに基づいて具体的なKPIを設定する
- 例:月間商談数50件、成約率20%
(2) SMART法則による目標設定
Salesforceが推奨するSMART法則とは、目標を以下の5つの基準で設定する手法です:
- Specific(具体的): 曖昧でなく、明確で具体的な目標
- Measurable(測定可能): 数値化でき、進捗を測定できる目標
- Achievable(達成可能): 現実的で達成可能な目標
- Relevant(関連性がある): ビジネス目標と関連性がある目標
- Time-bound(期限がある): 明確な期限が設定されている目標
悪い例:
- 「売上を増やす」(具体性・測定可能性・期限が不明確)
良い例:
- 「2025年第2四半期までに、月間商談数を30件から50件に増やし、成約率を15%から20%に向上させる」
(3) 主要な営業KPI指標(営業機会数・成約率・顧客単価等)
BtoBマーケティング専門メディアによると、主要な営業KPI指標は以下の通りです(108個の例から代表的なものを抜粋):
リード獲得関連:
- 新規リード獲得件数
- リード獲得コスト(CPL:Cost Per Lead)
- リード転換率(リード→商談の転換率)
営業活動関連:
- 訪問件数(訪問営業の場合)
- 商談数(月間・四半期)
- 提案数
- 商談期間(リードから成約までの日数)
成約関連:
- 成約率(商談→成約の転換率)
- 受注率(提案→受注の転換率)
- 成約件数
- 平均受注単価
顧客関連:
- 顧客単価(年間平均)
- リピート率
- 顧客生涯価値(LTV:Lifetime Value)
- 顧客解約率(チャーンレート)
効率性関連:
- 営業担当者1人あたりの売上
- 案件あたりの成約率
- 商談あたりの受注額
(4) 業種・営業スタイル別のKPI設定例
業種や営業スタイルにより、重視すべきKPIは異なります。
新規開拓営業:
- リード獲得件数、訪問件数、商談数、成約率を重視
- 新規顧客獲得にフォーカス
既存顧客深耕営業:
- リピート率、顧客単価アップ率、クロスセル率を重視
- 既存顧客からの売上最大化にフォーカス
インサイドセールス:
- 架電数、商談設定数、リード転換率を重視
- 効率的なリード育成にフォーカス
フィールドセールス:
- 訪問件数、商談数、成約率を重視
- 対面での商談機会創出にフォーカス
※業種や企業規模により最適なKPIは異なるため、自社の営業プロセスを分析して設定してください。
効果的なKPI運用とプロセス管理
(1) 結果管理ではなくプロセス管理の重要性
セレブリックスによると、営業マネジメントでは「結果管理」ではなく「プロセス管理」が重要です。
結果管理の問題点:
- 売上や成約件数などの結果数値だけを追う
- 目標未達成時に「なぜ達成できなかったか」が分からない
- 改善策が見えず、精神論的な「もっと頑張れ」になりがち
プロセス管理のメリット:
- 営業活動のプロセス(訪問数・商談数・提案数等)を数値化・管理
- 目標未達成時に「どのプロセスに問題があるか」が明確になる
- 具体的な改善策が立てられる(例:商談数が不足→リード獲得施策を強化)
セレブリックスは、プロセス変数を明確にし、プロセスを管理することで、営業担当者が目標達成し続ける環境を作ることができると述べています。
(2) SFA/CRMツールを活用したKPIモニタリング
2025年の営業DX時代では、SFA/CRMツールを活用したリアルタイムなKPIモニタリングが一般的です。
SFA/CRMツールの活用例:
- 営業活動データの自動収集(訪問数・商談数・提案数等)
- KPIダッシュボードでのリアルタイム可視化
- 目標達成度の自動計算・アラート機能
- チームメンバー間でのKPI共有
主要なSFA/CRMツール:
- Salesforce Sales Cloud
- HubSpot CRM
- Mazrica Sales
- Sansan(名刺管理との連携)
これらのツールを活用することで、手作業でのKPI集計が不要になり、マネージャーとメンバーが常に最新の進捗を把握できます。
※ツールの機能は更新される可能性があるため、導入前に公式サイトで最新情報を確認してください。
(3) チームのモチベーション維持とKPI設定のバランス
KPI設定では、チームのモチベーション維持とのバランスが重要です。
目標設定の注意点:
- 目標数値を高く設定しすぎると、チームのモチベーション低下につながる
- 逆に低すぎると、成長機会を失う
- 達成可能性が70-80%程度の「ストレッチゴール」が適切とされています
モチベーション維持のポイント:
- 目標達成時の評価・報酬を明確にする
- 小さな成功体験を積み重ねられるよう、中間目標(マイルストーン)を設定する
- プロセス改善を評価し、結果だけでなく努力も評価する
- 定期的なフィードバックで進捗を共有し、チーム全体で目標達成を目指す
KPI設定でよくある失敗とその対策
(1) 結果管理に陥るリスク
失敗例:
- KPIだけに執着し、「売上目標を達成しろ」と結果だけを追う
- 未達成時に「なぜ達成できなかったか」が分からない
対策:
- プロセス変数(訪問数・商談数等)を重視し、プロセス管理を徹底する
- 未達成時には、どのプロセスに問題があるかを分析し、具体的な改善策を立てる
(2) 目標数値の設定ミス
失敗例:
- 目標数値が高すぎてチームが諦めてしまう
- 逆に低すぎて成長機会を失う
対策:
- 現状の実績を分析し、達成可能性が70-80%程度の目標を設定する
- SMART法則を活用し、現実的で達成可能な目標にする
(3) プロセス変数の無視
失敗例:
- 結果数値(売上・成約件数)だけを追い、営業活動のプロセスを無視する
- 改善策が見えず、精神論的な「もっと頑張れ」になる
対策:
- 営業プロセスを分解し、各ステップのKPI(訪問数・商談数・提案数等)を設定する
- SFA/CRMツールで営業活動を可視化し、プロセスを数値化する
まとめ:目標達成を継続するためのポイント
営業目標とKPIの設定は、営業チームが効率的に動き、具体的な成果を出すための重要なプロセスです。
設定のポイント:
- KGIから逆算: 最終目標(KGI)を設定し、そこから逆算してKPIを設定する
- KPI設定の4ステップ: KGI設定→ギャップ確認→CSF特定→KPI設定の手順を踏む
- SMART法則: 具体的・測定可能・達成可能・関連性がある・期限があるの5つの基準で目標を設定
- KPIツリー: 階層構造でKPI・サブKPIを設計し、具体的なアクションを明確化
- プロセス管理: 結果数値だけでなく、プロセス変数を重視する
- SFA/CRM活用: データドリブンなアプローチでリアルタイムに進捗をモニタリング
次のアクション:
- 自社のKGI(最終目標)を明確にする
- 現状の営業プロセスを分析し、CSF(重要成功要因)を特定する
- KPIツリーを作成し、具体的なKPI・サブKPIを設定する
- SFA/CRMツールを導入し、営業活動を可視化・数値化する
- 定期的にKPIを見直し、PDCAサイクルを回す
営業目標とKPIを適切に設定し、プロセス管理を徹底することで、営業チームが目標達成し続ける環境を作りましょう。
※この記事は2024-2025年時点の情報です。KPI設定方法は業種・企業規模・営業スタイルにより異なるため、自社に合わせたカスタマイズが必要です。
