営業の予実管理とは【目的・やり方・ツール活用で精度を上げる方法】

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/8

営業目標の達成率が低い、見込み精度が上がらない...どう改善すべき?

「営業目標を達成できない月が続いている」「売上予測の精度が低く、経営判断に困っている」——そんな課題を抱えている営業マネージャーや経営者は多いのではないでしょうか。

営業活動を数値で把握し、目標達成に向けた軌道修正を行うためには「予実管理」が欠かせません。しかし、エクセルでの手動管理では限界があり、ツール導入を検討しているという声もよく聞きます。この記事では、営業の予実管理の目的・やり方から、精度を上げるポイント、ツール活用まで実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • 予実管理とは「予算(計画)」と「実績(結果)」を比較・分析する経営管理手法
  • 最低でも月次、できれば週次・日次で実施することで早期の軌道修正が可能
  • Excel管理には限界があり、規模拡大に伴いSFA/CRMツール導入を検討
  • 「ヨミ表」を活用して案件ごとの受注確度を可視化すると精度が向上
  • 細かい差異に固執せず、全体への影響が大きい項目に優先的に対応

営業の予実管理が重要な理由

営業の予実管理が重要な理由は、以下の3点に集約されます。

予実管理の重要性:

目的 効果
営業判断の精度向上 数値に基づく客観的な意思決定が可能に
リスクの早期発見 目標未達の兆候を早期に察知し対処
リソース配分の最適化 成果が出ている施策にリソースを集中

予実管理を適切に行うことで、「なぜ目標を達成できたのか(できなかったのか)」を分析し、次のアクションにつなげることができます。勘や経験に頼った営業から、データに基づく営業へ変革するための基盤となるのが予実管理です。

予実管理の基礎知識と目的

(1) 予算と実績の比較分析とは

予実管理とは、「予算(計画)」と「実績(結果)」を比較・分析し、差異の原因を特定して経営改善に活かす管理手法です。「予算実績管理」とも呼ばれます。

予実管理で比較する主な項目:

  • 売上高: 予算と実績の差額、達成率
  • 粗利: 利益率の推移、計画との乖離
  • 案件数: パイプラインの量的な充足度
  • 受注率: 商談から受注への転換率
  • 経費: コスト管理、予算内での運用

差異分析のポイント:

  • 差異が生じた原因を特定(価格、数量、タイミング等)
  • プラス差異(予算超過達成)とマイナス差異(未達)の両方を分析
  • 一時的な要因か、構造的な問題かを見極める

(2) 営業判断の精度向上とリスク早期発見

予実管理を適切に行うことで、以下のような効果が期待できます。

営業判断の精度向上:

  • 過去のデータに基づく売上予測が可能に
  • 案件の受注確度を客観的に評価
  • 営業リソースの適切な配分

リスク早期発見:

  • 目標未達の兆候を早期に察知
  • パイプラインの不足を事前に把握
  • 特定顧客・商材への依存リスクを可視化

予実管理の頻度を高める(月次→週次→日次)ことで、問題が大きくなる前に対処できるようになります。

予実管理の具体的なやり方と進め方

(1) 予算策定から差異分析までの5ステップ

営業の予実管理は、以下の5ステップで進めることが一般的です。

ステップ1: 予算策定

  • 年間・四半期・月間の売上目標を設定
  • 過去実績・市場動向・営業リソースを考慮
  • トップダウン(経営目標から逆算)とボトムアップ(案件積み上げ)を組み合わせる

ステップ2: KPI設定

  • 売上目標を達成するための中間指標を設定
  • 例: 商談数、受注率、顧客単価、リード数
  • 測定可能で、行動につながる指標を選ぶ

ステップ3: 実績データの収集

  • 営業活動の結果を定期的に記録
  • 売上、商談数、受注数、案件進捗などを把握
  • CRM/SFAツールを活用すると自動化が可能

ステップ4: 差異分析

  • 予算と実績の差異を算出
  • 差異の原因を特定(価格・数量・タイミング等)
  • 全体への影響が大きい項目に優先的に対応

ステップ5: アクションプラン策定

  • 差異を埋めるための具体的なアクションを決定
  • 担当者・期限・目標値を明確化
  • 次回の予実管理でアクションの効果を検証

(2) 日次・週次・月次での実施サイクル

予実管理は、サイクルを短くするほど早期の軌道修正が可能になります。

推奨される実施サイクル:

サイクル 確認内容 目的
日次 案件進捗、当日の活動結果 即時対応が必要な問題の発見
週次 週間の売上・商談状況、KPI進捗 週単位での軌道修正
月次 月間の予実差異、原因分析 翌月以降の戦略調整

実施のポイント:

  • 毎週・毎月同じ曜日・日程で実施(習慣化)
  • 短い時間で効率的に確認(長時間の会議は避ける)
  • 数値だけでなく「なぜ」を議論する

Excel管理とSFA/CRMツールの比較

(1) Excelのメリット・デメリットと限界

多くの企業では、まずExcelで予実管理を始めるケースが多いです。

Excelのメリット:

  • 導入コストが低い(既存のソフトウェアを活用)
  • 自由にカスタマイズ可能
  • 操作に慣れている人が多い

Excelのデメリット・限界:

  • 手動更新のため時間・労力がかかる
  • 計算式ミス・データ破損のリスク
  • 複数人での同時編集が困難
  • データ量が増えると管理が複雑化
  • リアルタイムの情報共有ができない

Excel予実管理表の基本項目:

  • 売上高(予算・実績・達成率・差異)
  • 経費(予算・実績・達成率・差異)
  • 利益(売上高-経費、達成率)
  • 案件別・担当者別・商品別などの内訳

小規模なチーム(10名以下)であればExcelでも十分対応できますが、規模拡大に伴い限界が見えてくることが一般的です。

(2) SFA/CRMツールの自動化・リアルタイム共有

SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)を活用することで、予実管理を効率化・高精度化できます。

SFA/CRMツールのメリット:

項目 Excel SFA/CRMツール
データ入力 手動 営業活動と連動して自動記録
共有 ファイル共有 リアルタイムでチーム共有
可視化 グラフ手動作成 ダッシュボードで自動可視化
予測精度 担当者の勘 過去データに基づく予測
分析 ピボットテーブル ドリルダウン・多角的分析

代表的なSFA/CRMツール:

  • Salesforce: グローバルリーダー、大企業〜中堅企業向け
  • HubSpot: 無料プランあり、中小企業向け
  • GENIEE SFA/CRM: 国産、中小企業向け
  • Mazrica Sales: 国産、使いやすさに定評

※各ツールの料金・機能は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

予実管理の精度を上げるポイント

(1) ヨミ表の活用と受注確度の可視化

営業の予実管理精度を上げるには、「ヨミ表」の活用が効果的です。

ヨミ表とは: 案件ごとの受注確度を可視化し、売上予測の精度を向上させる営業管理ツールです。

ヨミ表の基本構成:

項目 内容
案件名 顧客名・商談内容
金額 予想受注金額
受注確度 A(90%以上)、B(60-90%)、C(30-60%)、D(30%未満)
クロージング予定日 受注予定時期
ステータス 商談中、提案中、交渉中など

確度別の売上予測例:

確度A案件: 1,000万円 × 90% = 900万円
確度B案件: 800万円 × 70% = 560万円
確度C案件: 500万円 × 40% = 200万円
—————————————————
加重平均売上予測: 1,660万円

受注確度を設定する際は、過去の実績データに基づいて確度基準を定義し、担当者による認識のばらつきを防ぐことが重要です。

(2) よくある失敗例と対策

失敗例1: 細かい差異に固執する

  • 小さな数値の違いにこだわり、全体の予実管理が滞る
  • 対策: 全体への影響が大きい差異に優先的に対応。重要度で優先順位をつける

失敗例2: 予算に過度に固執する

  • 市場環境が変化しても予算を変更せず、実態と乖離
  • 対策: 必要に応じて予算を見直す。四半期ごとの予算ローリングも検討

失敗例3: 数値の記録だけで終わる

  • 予実を記録するだけで、改善アクションにつながらない
  • 対策: 差異分析後、必ず具体的なアクションプランを策定。PDCAを回す

失敗例4: ツール導入後に定着しない

  • SFA/CRMを導入したが、入力が徹底されない
  • 対策: 運用ルールの策定、定着支援(トレーニング・フォロー)、入力のインセンティブ設計

まとめ:予実管理を成功させるために

営業の予実管理は、目標達成に向けた軌道修正を可能にする重要なプロセスです。成功させるためのポイントをまとめます。

成功の鍵:

  1. 定期的な実施: 最低月次、できれば週次・日次で予実を確認
  2. 差異の優先順位付け: 全体への影響が大きい項目から対応
  3. ヨミ表の活用: 案件ごとの受注確度を可視化し、予測精度を向上
  4. ツール活用: 規模拡大に伴いSFA/CRMで効率化・自動化
  5. アクションにつなげる: 数値の記録だけでなく、改善行動を実行

次のアクション:

  • 現状の予実管理方法を棚卸し(Excel/ツール、頻度、担当者)
  • 予実差異の大きい項目・期間を特定
  • ヨミ表の導入・確度基準の定義
  • SFA/CRMツールの比較検討(規模拡大が見込まれる場合)
  • 週次・月次の予実管理ミーティングを定例化

予実管理は、継続的な改善サイクルを回すことで効果を発揮します。まずは現状を把握し、できることから始めてみましょう。

よくある質問:

Q: 予実管理はどのくらいの頻度で行うべきですか? A: 最低でも月次、できれば週次・日次の短いサイクルで実施することをお勧めします。間を空けずに定期的にチェックすることで、乖離が大きくなる前に対処できます。

Q: Excelと専用ツールどちらで予実管理すべきですか? A: 小規模(10名以下)ならExcelで十分です。規模拡大に伴いデータ量が増えると管理が複雑化するため、SFA/CRMツールの導入を検討しましょう。自動化・リアルタイム共有で精度向上が期待できます。

Q: 予実に乖離が生じた場合どうすべきですか? A: まず原因を分析し、改善アクションを立案・実行します。全体への影響が大きい差異に優先的に対応し、小さな数値の違いにこだわりすぎないことがポイントです。必要に応じて予算自体の見直しも検討しましょう。

Q: 予実管理のKPIは何を設定すべきですか? A: 売上高、粗利、案件数、受注率、達成率が代表的なKPIです。自社の営業プロセスに合わせて、測定可能で行動につながる指標を選びましょう。

Q: ヨミ表とは何ですか? A: 案件ごとの受注確度を可視化し、売上予測の精度を向上させる営業管理ツールです。A(90%以上)〜D(30%未満)などの確度を設定し、加重平均で売上予測を算出します。

よくある質問

Q1予実管理はどのくらいの頻度で行うべきですか?

A1最低でも月次、できれば週次・日次の短いサイクルで実施することをお勧めします。間を空けずに定期的にチェックすることで、乖離が大きくなる前に対処できます。

Q2Excelと専用ツールどちらで予実管理すべきですか?

A2小規模(10名以下)ならExcelで十分です。規模拡大に伴いSFA/CRMツールの導入を検討しましょう。自動化・リアルタイム共有で精度向上が期待できます。

Q3予実に乖離が生じた場合どうすべきですか?

A3原因を分析し改善アクションを立案・実行します。全体への影響が大きい差異に優先的に対応し、小さな数値の違いにこだわりすぎないことがポイントです。

Q4予実管理のKPIは何を設定すべきですか?

A4売上高、粗利、案件数、受注率、達成率が代表的です。自社の営業プロセスに合わせて、測定可能で行動につながる指標を選びましょう。

Q5ヨミ表とは何ですか?

A5案件ごとの受注確度を可視化し、売上予測の精度を向上させる営業管理ツールです。A〜Dなどの確度を設定し、加重平均で売上予測を算出します。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。