3rdパーティCookie規制でPardotのトラッキングに困っていませんか?
「Safariでトラッキングが機能していない...」「Chromeのサードパーティクッキー廃止に備えたいけれど、何から始めればいいか分からない...」
B2B企業のマーケティング担当者の多くが、Pardot(現Account Engagement)のトラッキング精度の低下に課題を感じています。ブラウザのプライバシー保護機能が強化される中、従来のサードパーティトラッキングでは正確なデータ収集が困難になっています。
この記事では、Pardotファーストパーティトラッキングの基礎知識、設定の具体的手順、移行時の注意点、2024年の対応方針を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- ファーストパーティトラッキングは、ユーザーが訪問しているサイトのドメインから直接発行されるクッキーを使用し、ブラウザ規制の影響を受けにくい
- 設定にはWebサイトのドメインとトラッカードメインのルートドメインが一致している必要がある
- トラッカードメインは「go.」や「www2.」を自社ドメインの前に付けて設定するのが一般的
- 移行時は古いトラッキングコード(pi.pardot.com)を必ず削除し、新旧コードの併存による訪問者重複を防ぐ
- 2024年中はサードパーティとファーストパーティ両方のトラッキングを併用可能なため、影響を比較しながら段階的に移行できる
ファーストパーティトラッキングの基礎知識
まず、ファーストパーティトラッキングの基本概念と、なぜ移行が必要なのかを理解しましょう。
(1) ファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーの違い
クッキーには、ファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーの2種類があります。
ファーストパーティクッキー:
- ユーザーが訪問しているサイトのドメインから直接発行されるクッキー
- 例:example.comを訪問した時に、example.comから発行されるクッキー
- ブラウザのプライバシー保護機能の影響を受けにくい
サードパーティクッキー:
- ユーザーが訪問していない別ドメインから発行されるクッキー
- 例:example.comを訪問した時に、pi.pardot.comから発行されるクッキー
- 広告トラッキング等で使用される
- ブラウザのプライバシー保護機能によってブロックされる
従来のPardotトラッキングはサードパーティクッキー(pi.pardot.com)を使用していたため、ブラウザの規制強化によって正確なトラッキングが困難になっています。
(2) 3rdパーティCookie規制の背景(Safari ITP、Chrome廃止予定)
ブラウザベンダーは、ユーザーのプライバシー保護を強化するため、サードパーティクッキーの規制を進めています。
主要ブラウザの規制状況:
| ブラウザ | 規制内容 | 時期 |
|---|---|---|
| Safari | ITP(Intelligent Tracking Prevention)でサードパーティクッキーを制限 | 2017年〜実装済み |
| Firefox | Enhanced Tracking Protectionでサードパーティクッキーをブロック | 2019年〜実装済み |
| Chrome | サードパーティクッキーの廃止を予定(延期) | 2025年以降(2024年時点) |
規制の影響:
- Safariでは、すでにサードパーティクッキーが大幅に制限されている
- Pardotのサードパーティトラッキングでは、Safariユーザーの行動を正確に追跡できない
- Chromeでもサードパーティクッキーが廃止されると、トラッキング精度がさらに低下する
このため、ファーストパーティトラッキングへの移行が必須となっています。
(3) Account Engagement(旧Pardot)でのファーストパーティトラッキングの仕組み
Account Engagement(旧Pardot)のファーストパーティトラッキングは、自社ドメインのサブドメイン(トラッカードメイン)を使用してクッキーを発行します。
ファーストパーティトラッキングの仕組み:
- 自社ドメインのサブドメイン(例:go.example.com)をトラッカードメインとして設定
- Webサイトにファーストパーティトラッキングコードを埋め込む
- ユーザーがWebサイトを訪問すると、go.example.comからクッキーが発行される
- ブラウザは、example.comとgo.example.comのルートドメインが同じため、ファーストパーティクッキーとして扱う
- トラッキング精度が向上する
重要な前提条件:
- Webサイトのドメインとトラッカードメインのルートドメインが一致している必要がある
- 例:Webサイトがexample.comの場合、トラッカードメインはgo.example.com等にする
- デフォルトのgo.pardot.comドメインではファーストパーティトラッキングは機能しない
(4) ファーストパーティトラッキングのメリット・デメリット
ファーストパーティトラッキングには、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット:
- ブラウザのプライバシー保護機能の影響を受けにくい
- Safariでも正確なトラッキングが可能
- トラッキング精度が向上し、マーケティング施策の効果測定が正確になる
- 訪問者のジャーニーを正確に追跡できる
デメリット:
- トラッカードメインの設定が必要(IT部門との連携が必要な場合あり)
- 複数ドメインがある場合、ドメインごとに個別の設定が必要
- 設定したドメイン以外では機能しない(異なるドメイン間でのトラッキングができない)
- 移行時に古いトラッキングコードを削除する手間がかかる
デメリットはありますが、サードパーティクッキー規制が進む中、ファーストパーティトラッキングへの移行は避けられません。
Pardotファーストパーティトラッキングの設定手順
ファーストパーティトラッキングを設定する具体的な手順を解説します。
(1) 前提条件:Webサイトドメインとトラッカードメインのルートドメイン一致
ファーストパーティトラッキングを有効化するには、以下の前提条件を満たす必要があります。
前提条件:
- Webサイトのドメインとトラッカードメインのルートドメインが一致している
- 例:Webサイトがwww.example.comの場合、トラッカードメインはgo.example.com等にする
- ルートドメイン(example.com)は使用不可(「go.」「www2.」等のサブドメインを付ける)
NGな設定例:
- Webサイト:www.example.com
- トラッカードメイン:go.pardot.com(ルートドメインが異なるため、ファーストパーティトラッキングは機能しない)
OKな設定例:
- Webサイト:www.example.com
- トラッカードメイン:go.example.com(ルートドメインが一致している)
(2) トラッカードメインの設定(「go.」「www2.」を自社ドメインに追加)
Account Engagementの管理画面でトラッカードメインを設定します。
設定手順:
- Account Engagementにログイン
- 「設定」→「ドメイン管理」→「トラッカードメイン」を選択
- 「追加」をクリック
- トラッカードメインを入力(例:go.example.com)
- 「保存」をクリック
- DNS設定の指示に従い、CNAMEレコードを追加(IT部門に依頼する場合あり)
- DNS設定が完了したら、ドメイン検証を実行
- 検証が成功すると、トラッカードメインが有効になる
トラッカードメインの命名規則:
- 一般的には「go.」「www2.」「track.」等を自社ドメインの前に付ける
- 例:go.example.com、www2.example.com、track.example.com
- ルートドメイン(example.com)は使用不可
(3) ファーストパーティトラッキングコードの取得
トラッカードメインの設定が完了したら、ファーストパーティトラッキングコードを取得します。
取得手順:
- Account Engagementにログイン
- 「設定」→「トラッキングコード」を選択
- 「ファーストパーティトラッキングコード」を選択
- トラッキングコードが表示される(JavaScriptコード)
- コードをコピー
トラッキングコードの例:
<script type="text/javascript">
piAId = 'YOUR_ACCOUNT_ID';
piCId = '';
piHostname = 'go.example.com';
(function() {
function async_load(){
var s = document.createElement('script'); s.type = 'text/javascript';
s.src = ('https:' == document.location.protocol ? 'https://' : 'http://') + piHostname + '/pd.js';
var c = document.getElementsByTagName('script')[0]; c.parentNode.insertBefore(s, c);
}
if(window.attachEvent) { window.attachEvent('onload', async_load); }
else { window.addEventListener('load', async_load, false); }
})();
</script>
※実際のコードは、設定したトラッカードメインに応じて変わります。
(4) Webサイトへのトラッキングコード埋め込み
ファーストパーティトラッキングコードをWebサイトに埋め込みます。
埋め込み手順:
- トラッキングコードをコピー
- Webサイトのすべてのページの
</body>タグの直前に埋め込む - 古いトラッキングコード(pi.pardot.comを使用しているコード)を削除
- Webサイトを公開
注意点:
- 古いトラッキングコードと新しいトラッキングコードが併存すると、訪問者が重複登録される問題が発生する
- 必ず古いコードを削除してから、新しいコードを埋め込む
(5) 動作確認とテスト(シークレットブラウザでのビジターレポート確認)
トラッキングコードの埋め込みが完了したら、動作確認を行います。
動作確認の手順:
- シークレットブラウザ(プライベートブラウジングモード)でWebサイトを開く
- ブラウザの設定で、サードパーティクッキーをブロックする
- Webサイトを数ページ閲覧
- Account Engagementの「ビジターレポート」を開く
- 自分の訪問履歴が記録されているか確認
確認ポイント:
- ビジターレポートに訪問履歴が追加されている(ファーストパーティトラッキングが機能している)
- サードパーティクッキーをブロックした状態でも追跡できている
- 訪問者が重複していない(古いコードが残っていないか確認)
動作確認が完了したら、ファーストパーティトラッキングの設定は完了です。
移行時の注意点とよくあるトラブル
ファーストパーティトラッキングへの移行時の注意点と、よくあるトラブルを解説します。
(1) 古いトラッキングコード(pi.pardot.com)の削除必須
移行時に最も重要なのは、古いトラッキングコード(pi.pardot.comを使用しているコード)を削除することです。
削除が必要な理由:
- 古いコードと新しいコードが併存すると、訪問者が重複登録される問題が発生する
- 同じユーザーが複数の訪問者として記録され、データの正確性が損なわれる
- マーケティング施策の効果測定が不正確になる
削除手順:
- Webサイトのすべてのページから、pi.pardot.comを含むトラッキングコードを検索
- 該当するコードを削除
- 新しいファーストパーティトラッキングコードを埋め込む
- 動作確認を実施
(2) 新旧コード併存による訪問者重複の防止
新旧コードが併存すると、以下の問題が発生します。
問題:
- 同じユーザーが2つの訪問者として記録される
- ビジターレポートの訪問者数が実際より多くなる
- リードスコアリングが正確に機能しない
防止策:
- 古いコードを完全に削除してから、新しいコードを埋め込む
- 移行前にコードの棚卸しを実施(どのページに古いコードが埋め込まれているか確認)
- 移行後に動作確認を実施(訪問者が重複していないか確認)
(3) 複数ドメインがある場合の設定方針
複数ドメインを持っている場合、ファーストパーティトラッキングの設定方針を検討する必要があります。
制約:
- ファーストパーティトラッキングコードは、異なるドメイン間でのトラッキングができない
- 例:example.comとanother-example.comは、ルートドメインが異なるため、1つのトラッカードメインでは両方を追跡できない
対応方針:
方針1:ドメインごとに個別のトラッカードメインを設定
- example.com → go.example.com
- another-example.com → go.another-example.com
- それぞれのドメインに対応するトラッキングコードを埋め込む
方針2:主要ドメインのみファーストパーティトラッキングを適用
- メインのドメイン(example.com)にのみファーストパーティトラッキングを設定
- その他のドメインは従来のサードパーティトラッキングを継続(ただし、トラッキング精度は低下する)
複数ドメインがある場合は、IT部門と相談して最適な方針を決定しましょう。
(4) iframeを使用したPardotフォームの注意点
iframeを使用したPardotフォームでは、ファーストパーティトラッキングに制約がある場合があります。
制約:
- iframe内のフォームは、親ページとは異なるドメインから読み込まれる場合がある
- この場合、ファーストパーティトラッキングが正しく機能しない可能性がある
対応策:
- Salesforce公式ドキュメント「ファーストパーティトラッキングに関する考慮事項」を確認
- 必要に応じて、フォーム実装方法を変更(iframeではなく、埋め込み型フォームに変更)
- テスト環境で動作確認を実施
iframeを使用している場合は、公式ドキュメントを確認して、適切な対応を行いましょう。
2024年の対応方針と最新動向
2024年時点での対応方針と、最新動向を解説します。
(1) Google Chromeのサードパーティクッキー廃止は2025年以降に延期
Google Chromeのサードパーティクッキー廃止は、2024年から2025年以降に延期されました。
スケジュールの変遷:
- 当初:2022年廃止予定
- 延期1回目:2023年廃止予定
- 延期2回目:2024年廃止予定
- 最新:2025年以降に延期(2024年時点)
延期の背景:
- プライバシーサンドボックス(代替技術)の開発・テストに時間がかかっている
- 広告業界からの懸念(広告トラッキングへの影響)
- 規制当局との調整
注意点:
- スケジュールは今後も変更される可能性がある
- 最新情報は、Google公式サイト・Salesforce公式ドキュメントで確認する必要がある
(2) 2023年2月13日以降のアカウントはファーストパーティトラッキングがデフォルト
2023年2月13日以降に作成されたAccount Engagementアカウントでは、ファーストパーティトラッキングがデフォルトで有効になっています。
デフォルト有効の影響:
- 新規アカウントでは、トラッカードメインを設定するだけでファーストパーティトラッキングが利用可能
- 旧アカウントでは、手動でファーストパーティトラッキングを有効化する必要がある
旧アカウントの確認方法:
- Account Engagementの「設定」→「トラッキングコード」を開く
- ファーストパーティトラッキングコードが表示されるか確認
- 表示されない場合は、Salesforceサポートに問い合わせて有効化を依頼
(3) 2024年中は両トラッキング併用可能:影響を比較しながら段階的に移行
2024年中は、サードパーティトラッキングとファーストパーティトラッキングを併用できます。
併用のメリット:
- 影響を比較しながら段階的に移行できる
- テスト環境でファーストパーティトラッキングを試し、問題がないか確認できる
- 移行スケジュールを柔軟に調整できる
推奨される移行スケジュール:
- フェーズ1(1〜2ヶ月): トラッカードメインの設定、テスト環境での動作確認
- フェーズ2(1ヶ月): 一部のページでファーストパーティトラッキングを試験導入
- フェーズ3(1ヶ月): 全ページにファーストパーティトラッキングを展開
- フェーズ4(1ヶ月): 古いトラッキングコードを削除、動作確認
このように段階的に移行することで、リスクを最小化できます。
(4) 最新情報のキャッチアップ方法(公式ドキュメント、Trailhead等)
サードパーティクッキー規制やファーストパーティトラッキングの最新情報は、以下のソースで確認できます。
公式ドキュメント:
- Salesforce Help「Account Engagement ファーストパーティトラッキングの有効化」(https://help.salesforce.com/)
- Salesforce Help「ファーストパーティトラッキングに関する考慮事項」
- Salesforce サクセスナビ「ファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーについて」(https://successjp.salesforce.com/)
学習リソース:
- Trailhead(Salesforceの無料学習プラットフォーム)
- Salesforce公式ブログ
- Account Engagementリリースノート
コミュニティ:
- Salesforce Trailblazer Community
- Account Engagement User Group
これらのソースを定期的にチェックし、最新情報をキャッチアップしましょう。
まとめ:段階的に移行して安全にトラッキング精度を維持する
Pardotファーストパーティトラッキングへの移行では、設定手順の理解、移行時の注意点の遵守、段階的な移行スケジュールが重要です。
ファーストパーティトラッキング設定のステップ:
- トラッカードメインを設定(「go.」「www2.」を自社ドメインに追加)
- ファーストパーティトラッキングコードを取得
- Webサイトにトラッキングコードを埋め込む
- 古いトラッキングコード(pi.pardot.com)を削除
- 動作確認を実施(シークレットブラウザでのビジターレポート確認)
次のアクション:
- 自社のWebサイトドメインとトラッカードメインを決定する
- IT部門と連携し、トラッカードメインのDNS設定を依頼する
- テスト環境でファーストパーティトラッキングを試験導入する
- 段階的に本番環境に展開する(1〜4ヶ月で完了を目指す)
- Salesforce公式ドキュメントで最新情報を確認する
ファーストパーティトラッキングに移行し、トラッキング精度を維持してマーケティング施策の効果を正確に測定しましょう。
