Pardot(Account Engagement)とは?機能・料金・活用法を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/6

Pardot(Account Engagement)とは?

B2B企業のマーケティング担当者にとって、見込み客の獲得から育成、商談化までのプロセスを効率化することは大きな課題です。リードが増えても手動での管理には限界があり、「どのリードが商談につながりやすいか」「いつ営業にパスすべきか」といった判断に悩むケースは少なくありません。

この記事では、Salesforceが提供するB2B向けマーケティングオートメーション(MA)ツール「Pardot(現:Marketing Cloud Account Engagement)」について、機能・料金・他MAツールとの比較を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • Pardotは2022年4月にMarketing Cloud Account Engagementに名称変更されたが、Pardotの呼称も併用されている
  • Salesforce CRMとシームレスに連携できるため、既にSalesforceを利用している企業に最適
  • 料金はGrowthプラン月額15万円から。中堅〜大企業向けの価格帯
  • HubSpot・Marketo・Eloqua等との比較では、Salesforce連携が最大の差別化ポイント
  • 運用コストが高く、操作難易度も高いため、導入前の体制整備が重要

(1) 2022年の製品名変更の経緯

Pardot(パードット)は、Salesforceが提供するB2B向けMAツールとして2007年に登場しました。2012年にSalesforceが買収し、以降Salesforce製品群の一部として提供されています。

2022年4月、SalesforceはPardotの製品名を「Marketing Cloud Account Engagement」に変更しました。これは、Salesforce製品群の統一ブランド戦略の一環です。ただし、現在も「Pardot」という呼称は広く使われており、Salesforce公式サイトでも両方の名称が併記されています。

本記事では、混乱を避けるため「Pardot(Account Engagement)」と表記します。

(2) B2B向けMAツールとしての位置づけ

Pardotは、B2B企業の長期的なリード育成プロセスを前提に設計されています。一般的にB2Bビジネスでは、初回接触から商談成立まで数ヶ月〜数年かかるため、継続的な情報提供と関係構築が必要です。

Pardotは以下の機能でこのプロセスを支援します:

  • リードの行動(Webサイト訪問、資料ダウンロード等)を自動追跡
  • 行動データをスコア化し、商談確度の高いリードを可視化
  • 顧客のステータスや興味分野に応じた自動メール配信

同じSalesforce製品でも、「Salesforce Marketing Cloud」はB2C向け(大量のメール配信・SNS連携重視)であり、Pardotとは対象市場が異なります。B2B企業にはPardotが推奨されます。

Pardotの主要機能

Pardotの中核となる機能を4つのカテゴリで解説します。

(1) リードトラッキングとスコアリング

トラッキング機能では、見込み客のWebサイト行動を詳細に記録できます:

  • どのページを閲覧したか
  • どの資料をダウンロードしたか
  • メールのクリック・開封履歴

これらの行動データは、スコアリング機能で自動的に数値化されます。例えば:

  • 料金ページ閲覧:+10点
  • ホワイトペーパーダウンロード:+25点
  • メール開封:+5点

スコアが一定基準(例:100点)を超えたリードを「Hot Lead」として営業に自動通知することで、商談化のタイミングを逃しません。

(2) Engagement Studio(シナリオメール)

Engagement Studioは、顧客の行動やステータスに応じて自動的にメールを送信するシナリオ設計機能です。

活用例:

  1. ホワイトペーパーダウンロード → 3日後に関連事例メール送信
  2. 事例メール開封 → 1週間後にウェビナー案内送信
  3. ウェビナー参加 → 翌日に営業担当から個別連絡

このように、顧客の関心度に応じたパーソナライズされたコミュニケーションを自動化できます。2024年夏のアップデートでは、Engagement StudioでOperational Email(取引完了通知等の重要メール)送信が可能になり、長年のユーザー要望が実現しました。

(3) フォーム機能とランディングページ作成

Pardotでは、リード獲得用のフォームランディングページをノーコードで作成できます。

フォーム機能:

  • 標準フォーム:Pardot内でフォームを作成し、自社サイトに埋め込み
  • フォームハンドラー:既存の自社サイトフォームとPardotを連携

ランディングページ作成:

  • ドラッグ&ドロップエディタで簡単にLPを作成
  • A/Bテストで効果的なデザイン・文言を検証

これらの機能により、マーケティング担当者が技術的な知識なしでリード獲得施策を実行できます。

(4) Einstein AI Assistant(2024年新機能)

2024年春のリリースで、Einstein AI AssistantがPardotに追加されました。これは、生成AIを活用してフォーム・ランディングページ・メール文面を自動生成する機能です。

活用例:

  • テキストプロンプトで「新製品ウェビナーの案内メール」を指示
  • AIが件名・本文・CTAボタンを自動生成
  • 担当者が微調整して送信

これにより、コンテンツ作成時間を大幅に短縮できます。ただし、生成されたコンテンツの品質は確認が必要で、自社ブランドに合わせた修正は必須です。

また、2024年春にはDKIM(DomainKeys Identified Mail)セキュリティ要件が必須化されました。これは、GmailやYahooのスパムフィルタ強化に対応するためで、Pardotから送信するメールの到達率向上に寄与します。

Pardotの料金プラン

Pardotの料金体系は、機能と利用規模に応じた3つのプランで構成されています(2024年時点)。

(1) Growthプラン(月額15万円)

対象企業: 中堅企業(従業員100〜500名程度)、MAツールを初めて導入する企業

主要機能:

  • リードスコアリング・トラッキング
  • メール配信(月10,000通まで)
  • フォーム・LP作成
  • Engagement Studio(5シナリオまで)
  • Salesforce CRM連携

制約事項:

  • ユーザー数:10名まで
  • B2B Marketing Analytics(高度なレポート機能)は含まれない

(2) Plusプラン(月額30万円)

対象企業: 中堅〜大企業(従業員500名以上)、複数部門でMAツールを活用する企業

Growthプランとの主な差分:

  • メール配信上限が大幅に増加
  • B2B Marketing Analytics(詳細なレポート・ダッシュボード)利用可能
  • Engagement Studioのシナリオ数上限が拡大
  • ユーザー数上限が拡大

(3) Advancedプラン(月額48万円)

対象企業: 大企業、エンタープライズ向けの高度なカスタマイズが必要な企業

Plusプランとの主な差分:

  • Einstein AI機能の高度な活用(予測スコアリング等)
  • 高度なセグメンテーション機能
  • 専任のカスタマーサクセスマネージャー
  • APIコール上限の大幅増加

(4) 初期費用と契約期間

初期費用: 一律30万円(全プラン共通)

契約期間: 1年契約(年次更新)が基本。途中解約は基本的に不可のため、導入前のトライアルや要件確認が重要です。

注意事項:

  • 上記料金は2024年時点の情報です。最新の料金はSalesforce公式サイトでご確認ください。
  • 料金はユーザー数・メール配信数により変動する場合があります。

他のMAツールとの比較

Pardotと他の主要MAツールを比較し、それぞれの特徴と適した企業を整理します。

(1) Marketo・Eloquaとの比較

Marketo、Eloqua、Pardotは「エンタープライズ向け3大MAツール」と呼ばれます。

ツール 提供元 月額料金 強み 適した企業
Pardot Salesforce 15万円〜 Salesforce CRMとの一体化 Salesforce利用企業
Marketo Adobe 20万円〜 高度なセグメンテーション・キャンペーン管理 Adobe製品活用企業
Eloqua Oracle 30万円〜 大規模データ処理・複雑なシナリオ設計 Oracle製品活用企業

Pardotの差別化ポイント:

  • Salesforce CRMとのデータ連携が最も強力(リアルタイム同期、双方向連携)
  • Salesforce製品群(Sales Cloud、Service Cloud等)との統合により、営業・カスタマーサクセスまで一気通貫で管理可能

選定のポイント:

  • 既にSalesforce CRMを利用している → Pardot
  • Adobe Experience Cloudを活用している → Marketo
  • Oracle製品群を活用している → Eloqua

(2) HubSpotとの比較

HubSpotは、中小企業向けに無料版から提供されているMAツールです。

項目 Pardot HubSpot
月額料金 15万円〜 無料〜(有料版は6万円〜)
対象企業 中堅〜大企業 中小〜中堅企業
操作難易度 高(ITリテラシー必要) 低(初心者でも使いやすい)
Salesforce連携 非常に強力 API連携のみ
日本語サポート あり あり

Pardotが向いている企業:

  • 既にSalesforce CRMを導入済み
  • 月間リード数が500件以上
  • 専任のマーケティングチーム(3名以上)がいる

HubSpotが向いている企業:

  • MAツールを初めて導入する
  • 予算が限られている(月10万円以下)
  • 少人数チーム(1〜2名)で運用したい

(3) SATORIとの比較

SATORIは、国内企業が開発した純国産MAツールです。

項目 Pardot SATORI
月額料金 15万円〜 14.8万円〜
対象企業 中堅〜大企業 中堅企業
サポート グローバル標準 国内企業特化の手厚いサポート
匿名リード対応 弱い 強い(IPアドレスから企業特定)

Pardotが向いている企業:

  • Salesforce CRMを利用している
  • グローバル展開を視野に入れている

SATORIが向いている企業:

  • 国内市場のみでビジネス展開
  • 匿名リード(問い合わせ前の企業)へのアプローチを重視
  • 日本語での手厚いサポートを求める

導入時の注意点とデメリット

Pardotは強力なツールですが、導入前に理解すべきデメリットや注意点があります。

(1) 運用コストの高さ

月額15万円(年間180万円)+ 初期費用30万円という料金は、中小企業には負担が大きい金額です。

コスト対効果の目安:

  • 月間リード獲得数が500件以上
  • リード1件あたりの獲得コストが3,000円以上(広告費等)
  • 商談化率が10%以上

上記のような規模であれば、MAツールによる効率化でコストを回収できる可能性が高いです。一方、月間リード数が100件未満の企業では、Pardotの機能を活かしきれず、費用対効果が見合わない可能性があります。

(2) 操作の難しさとITリテラシー要件

Pardotは、HubSpotのような「初心者でも使いやすい」設計ではありません。導入支援企業の調査によると、「操作が難しく、マニュアルが不十分」という声が多く挙げられています。

必要なスキル:

  • HTMLの基礎知識(メールテンプレートのカスタマイズ)
  • Salesforceの理解(CRM連携設定)
  • マーケティング施策の企画・実行経験

導入時は、専任のマーケティング担当者(ITリテラシー高)を最低1名確保することが推奨されます。また、導入初期は外部の支援サービス(toBeマーケティング等、導入実績1,700社以上)を活用することで、設定ミスやトラブルを回避できます。

(3) Salesforce連携前提の設計

Pardotは技術的には単体でも利用可能ですが、レポート機能や詳細な分析はSalesforce CRM連携が前提で設計されています。

Salesforce未使用の場合の制約:

  • 商談データとの紐付けができない(リードから受注までのROI測定が困難)
  • 高度なレポート機能(B2B Marketing Analytics)が十分に活用できない
  • 営業チームとのデータ連携が手動作業になる

Salesforce CRMを導入していない企業は、Pardot導入前に「Salesforce導入も含めて検討すべきか」を判断する必要があります。CRM導入まで含めると、初期費用・月額費用がさらに増加します。

(4) 導入期間と体制整備

導入には最短で約1.5ヶ月かかります。ただし、これは技術的なセットアップのみで、実際に成果を出すには以下の準備が必要です:

導入前に準備すべきもの:

  • リード獲得用コンテンツ(ホワイトペーパー、事例資料等)
  • リードスコアリングの基準設計
  • シナリオメール設計(顧客ジャーニーマップ)
  • 営業チームとの連携フロー整備

これらを含めると、導入から本格稼働まで2〜3ヶ月が一般的です。導入を急ぐあまり準備不足で運用を開始すると、「ツールを入れたが使いこなせない」という事態になりかねません。

まとめ:Pardotに向いている企業

Pardot(Account Engagement)は、Salesforce CRMとの強力な連携を武器とする、B2B企業向けMAツールです。高度なリード管理・育成機能を備えていますが、運用コストと操作難易度が高いため、導入前の慎重な判断が必要です。

Pardotが向いている企業:

  • 既にSalesforce CRMを導入済み
  • 月間リード獲得数が500件以上
  • 専任のマーケティング担当者(ITリテラシー高)がいる
  • 年間180万円以上のMA予算を確保できる

Pardotが向いていない企業:

  • Salesforce CRMを利用していない
  • 月間リード数が100件未満
  • 少人数チーム(1〜2名)で運用したい
  • 予算が月10万円以下

次のアクション:

  • 自社のリード獲得数・予算・既存システムを整理する
  • Pardot・HubSpot・SATORI等の公式サイトで詳細を比較する
  • 導入支援企業に相談し、自社に最適なMAツールを判断する
  • 無料デモや導入事例を確認し、実際の操作性・効果を確認する

自社の状況に合ったMAツールを選定し、リード獲得・育成プロセスの効率化を実現しましょう。

よくある質問

Q1PardotとSalesforce Marketing Cloudの違いは?

A1PardotはB2B向け(長期育成・商談化重視)で、リードスコアリングやSalesforce CRM連携が強みです。Marketing CloudはB2C向け(大量メール配信・SNS連携重視)です。既にSalesforce CRMを使っている企業にはPardotが最適です。

Q2Salesforce未使用でもPardot単体で使える?

A2技術的には可能ですが、レポート機能や詳細な分析はSalesforce CRM連携が前提で設計されており、単体では機能が制限されます。商談データとの紐付けやROI測定が困難になるため、Salesforce利用企業に推奨されます。

Q3導入期間はどのくらいかかる?

A3技術的なセットアップは最短で約1.5ヶ月です。ただし、リード獲得用コンテンツ(ホワイトペーパー等)の準備や社内体制整備を含めると2〜3ヶ月が一般的です。準備不足での運用開始は避けるべきです。

Q4小規模企業でもPardotは必要?

A4月額最低15万円(年間180万円)のため、中堅〜大企業向けの価格帯です。月間リード数が100件未満の小規模企業には、HubSpot無料版やSATORI等の低価格MAツールが適しています。月間リード数500件以上が導入の目安です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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