受注とは?ビジネスにおける意味・プロセス・管理方法を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/19

受注管理に課題を感じていませんか?

B2B SaaS企業の営業・営業企画・経理担当者として、「受注のタイミングがあいまいで営業と経理で認識が異なる」「受注管理が属人化していてミスが多い」「受注から納品までのプロセスが非効率」「どの受注管理システムを選べばいいか分からない」といった悩みを抱えていませんか?

受注とは、顧客から商品やサービスの注文を受けることを指すビジネス用語です。単に注文を受けるだけでなく、見積もり・契約締結・在庫確認・納期調整・納品・請求という一連のプロセスを正確に管理することが、顧客満足と業務効率の両立につながります。

この記事では、B2B SaaS企業における受注の定義・タイミング、受注業務のプロセス、管理方法の効率化、サブスクリプションモデルでの受注管理の特徴まで、実践的な情報を解説します。

この記事のポイント:

  • 受注は「注文を受ける」側(売り手)の用語で、発注(注文を出す側)と対になる概念
  • 受注業務は「見積もり→契約締結→納品→請求」の4ステップで構成される
  • 受注と売上計上のタイミングは異なる場合がある(収益認識基準に基づく)
  • 受注管理システムの費用相場は月額数千円~3万円程度(システム・プランにより変動)
  • 在庫確認・納期調整を契約締結時に併せて行うことで後工程のトラブルを防げる

1. 受注とは?ビジネスにおける意味と重要性

受注は、企業活動における基本的かつ重要な概念です。

(1) 受注の定義

受注とは:

  • 顧客から商品やサービスの注文を受けること
  • 売り手側の視点で使われるビジネス用語
  • 企業の売上を生み出す起点となる活動

受注が発生するタイミング:

  • 顧客から正式な注文を受けた時点
  • 注文書・発注書を受領した時点
  • 契約書を締結した時点

受注の対象:

  • 有形商品(製造業・卸売業・小売業など)
  • サービス(コンサルティング・SaaSなど)
  • 長期契約(サブスクリプション・保守契約など)

(2) 受注と発注の違い

受注と発注は、取引の立場によって使い分けられます。

用語 意味 立場
受注 注文を受けること 売り手(供給側) 「顧客から新規サービスの受注を獲得した」
発注 注文を出すこと 買い手(需要側) 「サーバーを新規ベンダーに発注した」

重要なポイント:

  • 同じ企業でも、取引によって受注側にも発注側にもなる
  • 例: SaaS企業が顧客から「受注」を受け、クラウドサーバー会社に「発注」を出す

混同しやすい用語との違い:

  • 受注 ≠ 売上計上: 受注は注文を受けた時点、売上計上は収益認識基準に基づき納品や検収時点で行う
  • 受注 ≠ 納品: 受注は注文を受ける段階、納品は商品・サービスを提供する段階

(3) B2B企業における受注管理の重要性

B2B企業では、正確な受注管理が特に重要です。

受注管理が重要な理由:

1. 顧客満足の向上:

  • 正確な納期回答により顧客の信頼を獲得
  • 在庫確認を早期に行い、欠品による納期遅延を防ぐ
  • 迅速な見積もり・受注対応で競合に先行

2. 業務効率の向上:

  • 受注状況をリアルタイムに追跡できる
  • 在庫の過不足を防ぎ、キャッシュフローを最適化
  • 人的ミス(注文内容の誤認識、在庫確認漏れなど)を削減

3. 経営判断の精度向上:

  • 受注見込みに基づく売上予測
  • 部門別・商品別の受注分析
  • リソース配分の最適化

受注管理の課題:

  • 受注数や商品数が増加すると人的ミスが発生しやすい
  • 複数のシステム(Excel・メール・基幹システム)に情報が分散し管理が煩雑
  • 営業・経理・物流で受注情報の共有が不十分

2. 受注の基礎知識

受注に関する基礎的な知識を整理します。

(1) 受注のタイミング(注文受付・契約締結)

受注のタイミングは、業態や契約形態により異なります。

一般的な受注のタイミング:

  • 注文書・発注書を受領した時点(最も一般的)
  • 契約書を締結した時点(長期契約・高額案件)
  • 口頭での発注確認後(継続取引先など信頼関係がある場合)

タイミングを明確にする重要性:

  • 営業部門と経理部門で認識を統一する
  • 売上予測の精度を向上させる
  • 在庫引当や生産計画のタイミングを適切に設定する

注意点:

  • 口頭やメールでの発注確認は、後にトラブルになる可能性がある
  • 正式な注文書・契約書を受領してから受注として記録することが推奨される

(2) 受注と売上計上の違い(収益認識基準)

受注と売上計上のタイミングは異なる場合があります。

受注のタイミング:

  • 顧客から正式な注文を受けた時点
  • 契約書を締結した時点

売上計上のタイミング(収益認識基準):

  • 従来の基準: 出荷基準(商品を出荷した時点)、検収基準(顧客の検収が完了した時点)
  • 新収益認識基準(2021年4月施行): 顧客が財・サービスに対する支配を獲得した時点

具体例:

ケース 受注タイミング 売上計上タイミング
製造業(受注生産) 注文書受領時 納品・検収時
SaaS(サブスクリプション) 契約締結時 月次課金ごと
コンサルティング 契約締結時 サービス提供完了時

注意点:

  • 受注と売上計上のタイミングが異なるため、受注残(バックログ)が発生する
  • 経理部門は収益認識基準に基づき適切に売上計上する必要がある
  • SaaSモデルでは、受注時に契約総額を記録し、月次で按分して売上計上する

(3) SaaSモデルにおける受注の考え方

SaaS企業における受注の定義は、従来の製造業・販売業と異なる場合があります。

SaaSモデルの特徴:

  • 月額課金・年額課金のサブスクリプション型
  • 初回契約時に長期的な売上が見込まれる
  • 解約リスクがあるため、受注≠確定売上

SaaSにおける受注の定義例:

  • 契約締結時: 契約書を締結した時点で受注として記録
  • 初回課金時: 初回の課金が確定した時点で受注として記録
  • ARR(Annual Recurring Revenue): 年間経常収益として受注を管理

受注管理のポイント:

  • 契約期間(月次・年次)を明確に記録
  • 更新タイミングを管理し、解約を防ぐ
  • ARR・MRR(Monthly Recurring Revenue)で受注を可視化
  • チャーンレート(解約率)をモニタリング

売上計上のタイミング:

  • 月次課金ごとに売上計上(前受金として処理する場合もある)
  • 契約総額を一括で売上計上せず、月次で按分する

3. 受注業務のプロセス(4ステップ)

受注業務は、見積もりから請求まで4つのステップで構成されます。

(1) ステップ1:見積もり

見積もりの目的:

  • 顧客に商品・サービスの価格、納期などを提示する
  • 顧客の予算・要件に合わせた提案を行う
  • 正式な注文を受ける前の準備段階

見積もり時の確認事項:

  • 商品・サービスの仕様
  • 数量・単価
  • 納期
  • 支払い条件(前払い・後払い・分割払いなど)
  • 有効期限(見積もりが有効な期間)

見積書の作成:

  • 見積書を作成し、顧客に提示
  • 顧客の承認を得て、次のステップへ進む

(2) ステップ2:契約締結(注文受付・在庫確認・納期調整)

契約締結:

  • 顧客から正式な注文書・発注書を受領
  • または契約書を締結
  • このタイミングで受注として記録

在庫確認:

  • 受注した商品の在庫を確認
  • 在庫がある場合: 在庫引当(出荷するために在庫を確保)
  • 在庫がない場合: 生産・取り寄せの手配

納期調整:

  • 在庫状況に基づき、納期を確定
  • 顧客に納期を回答
  • 生産・取り寄せが必要な場合は、調達期間を考慮した納期設定

重要なポイント:

  • 在庫確認を怠ると、受注後に欠品が発覚し顧客に迷惑をかける可能性がある
  • 契約締結時に在庫確認・納期調整を併せて行うことで、後工程のトラブルを防げる

(3) ステップ3:納品

納品の実施:

  • 商品を出荷(製造業・卸売業・小売業)
  • サービスを提供(コンサルティング・SaaSなど)

納品書の発行:

  • 納品書を作成し、顧客に提示
  • 納品した商品の内容(品名・数量・単価など)を記載

検収:

  • 顧客が商品・サービスを受領し、内容を確認
  • 検収完了により、売上計上のタイミングとなる(検収基準の場合)

(4) ステップ4:請求/支払い

請求書の発行:

  • 売上伝票を基に請求書を作成
  • 顧客に請求書を送付

支払いの確認:

  • 顧客から支払いを受領
  • 入金確認を行い、売掛金を消し込む

注意点:

  • 請求書の発行タイミングは、契約内容により異なる(納品後・月末締め・前払いなど)
  • 入金遅延が発生した場合は、督促を行う

受注業務の流れ(まとめ):

見積もり → 契約締結(受注) → 納品 → 請求/支払い
           ↓
      在庫確認・納期調整

4. 受注管理の方法と効率化のポイント

受注管理を効率化することで、業務負担を軽減し、ミスを削減できます。

(1) 受注管理の目的とメリット

受注管理の目的:

  • 顧客や取引先から受けた注文を効率的に処理する
  • 注文データ・注文ステータス(見積もり中・受注済み・納品済みなど)を一元管理
  • 在庫・納期・請求状況をリアルタイムに把握

受注管理のメリット:

  • 受注状況をリアルタイムに追跡できる
  • 在庫の過不足を防ぎ、キャッシュフローを最適化
  • 顧客への迅速な納期回答が可能になる
  • 人的ミス(注文内容の誤認識、在庫確認漏れなど)を削減
  • 営業・経理・物流で情報を共有し、連携を強化

(2) 受注管理の課題(人的ミス・在庫管理・書類管理)

人的ミス:

  • 受注数や商品数が増加すると、入力ミス・確認漏れが発生しやすい
  • Excel・メールで管理している場合、情報の更新漏れが発生

在庫管理:

  • リアルタイムな在庫把握ができず、欠品や過剰在庫が発生
  • 在庫引当のタイミングが遅れ、納期遅延の原因になる

書類管理:

  • 注文書・見積書・納品書・請求書などの書類が紙で管理され、保管スペースが必要
  • 書類の検索に時間がかかる
  • 電子帳簿保存法などの法令遵守が煩雑

(3) 効率化のポイント(電子化・システム導入・リアルタイム管理)

電子化:

  • 取引書類(注文書・見積書・納品書・請求書)を電子化
  • ペーパーレス化により、保管スペースの削減と検索効率の向上
  • 電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することで法令遵守を実現

受注管理システムの導入:

  • 注文データを一元管理し、営業・経理・物流で情報を共有
  • 在庫状況をリアルタイムに把握し、自動で在庫引当
  • 見積書・納品書・請求書を自動生成

リアルタイム管理:

  • 受注状況をリアルタイムに可視化
  • 在庫・納期・請求状況をダッシュボードで確認
  • 異常(欠品・納期遅延など)を早期に検知し、対応

効率化の効果:

  • 業務時間の削減(見積書作成・請求書発行などの自動化)
  • ミスの削減(人的ミスの防止)
  • 顧客満足の向上(迅速な納期回答、納期遵守率の向上)

5. 受注管理システムの選定と導入

受注管理システムを導入することで、業務効率化を実現できます。

(1) 受注管理システムとは(機能・メリット)

受注管理システムとは:

  • 商品の受注から出荷・請求までの一連の業務を効率的に管理・運用するためのシステム
  • クラウド型・オンプレミス型の2種類がある

主要な機能:

  • 受注データの登録・管理
  • 在庫管理・在庫引当
  • 見積書・納品書・請求書の自動生成
  • 顧客情報管理
  • 売上レポート・分析
  • 基幹システム(ERP・会計ソフト)との連携

メリット:

  • 受注状況をリアルタイムに把握
  • 在庫の過不足を防ぐ
  • 業務時間の削減
  • 人的ミスの削減
  • 営業・経理・物流での情報共有

(2) システムの選定基準(業態・規模・機能・コスト)

業態に合わせた選定:

  • BtoB向け: 複雑な見積もり、与信管理、長期契約管理が重要
  • BtoC向け: 大量注文処理、在庫連動、配送管理が重視される

企業規模に合わせた選定:

  • 中小企業: 低コストで導入しやすいクラウド型システム
  • 大企業: 高度なカスタマイズが可能なオンプレミス型、または大規模クラウド型

必要な機能の明確化:

  • 必須機能: 受注データ管理、在庫管理、請求書発行
  • あると便利な機能: 見積書自動生成、顧客管理、レポート機能
  • 将来的に必要な機能: ERP連携、API連携、高度な分析

コストの検討:

  • 月額費用: 最低でも数千円~3万円程度(システム・プランにより変動)
  • 初期費用: 無料〜数十万円
  • カスタマイズ費用: 必要に応じて発生

(3) 主要な受注管理システムの特徴(BtoB向け・BtoC向け)

代表的な受注管理システム(2024年時点):

システム 特徴 適している業態 月額費用目安
楽楽販売 クラウド型、カスタマイズ性が高い BtoB 要問い合わせ
BtoBプラットフォーム 受発注 BtoB取引に特化、EDI対応 BtoB 要問い合わせ
freee販売 会計ソフトとの連携が強い 中小企業 数千円〜
TEMPOSTAR EC・通販に強い BtoC 要問い合わせ
楽々受注 カスタマイズ不要で簡単に導入 中小企業 要問い合わせ

※料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。

選定時の比較ポイント:

  • 自社の業態(BtoB/BtoC)に合った機能があるか
  • 既存システム(会計ソフト・ERPなど)との連携が可能か
  • コストパフォーマンスは適切か
  • 導入・運用サポートが充実しているか

(4) 導入時の注意点(法令遵守・費用対効果)

法令遵守:

  • 電子帳簿保存法: 電子データで保存する場合、法令に対応したシステムを選定
  • インボイス制度: 適格請求書の発行に対応しているか確認
  • 収益認識基準: 売上計上のタイミングを適切に管理できるか確認

費用対効果の検討:

  • システム導入にはコストがかかるため、自社の規模や業態に合わせて判断
  • 少量取引の場合はスプレッドシート管理でも十分な場合がある
  • 受注数や商品数が増加し人的ミスが発生しやすくなった場合は導入を検討

導入ステップ:

  1. 自社の課題を明確にする(受注ミス・在庫管理・書類管理など)
  2. 必要な機能を整理する
  3. 複数のシステムを比較する(3-5種類)
  4. デモ・トライアルを実施する
  5. 導入・運用サポートを確認する
  6. 費用対効果を評価し、導入を決定

6. まとめ:正確な受注管理で顧客満足と業務効率を両立する

受注とは、顧客から商品やサービスの注文を受けることを指し、企業の売上を生み出す起点となる重要な活動です。受注業務は「見積もり→契約締結→納品→請求」の4ステップで構成され、各ステップを正確に実施することが顧客満足と業務効率の両立につながります。

受注管理のポイント:

  • 受注と発注の違いを理解する(受注は売り手、発注は買い手の用語)
  • 受注と売上計上のタイミングは異なる場合がある(収益認識基準に基づく)
  • 在庫確認・納期調整を契約締結時に併せて行い、後工程のトラブルを防ぐ
  • 受注数や商品数が増加したら、受注管理システムの導入を検討する
  • BtoB向けとBtoC向けでシステムの機能が異なるため、業態に合わせた選定が必要

SaaSモデルにおける受注:

  • 契約締結時に受注として記録
  • 月次課金ごとに売上計上(前受金として処理する場合もある)
  • ARR・MRRで受注を可視化し、チャーンレートをモニタリング

受注管理システムの費用相場:

  • 月額数千円~3万円程度(システム・プランにより変動)
  • 初期費用は無料〜数十万円

次のアクション:

  1. 自社の受注業務の課題を明確にする(受注ミス・在庫管理・書類管理など)
  2. 受注のタイミングを営業・経理で統一する
  3. 在庫確認・納期調整のプロセスを見直す
  4. 電子化・システム導入を検討する(3-5種類のシステムを比較)
  5. デモ・トライアルを実施し、費用対効果を評価する

正確な受注管理で、顧客満足と業務効率を両立し、企業の競争力を高めましょう。

よくある質問

Q1受注と発注の違いは何ですか?

A1受注は「注文を受ける」側(売り手)の用語、発注は「注文を出す」側(買い手)の用語です。同じ企業でも、取引によって受注側にも発注側にもなります。例えば、SaaS企業が顧客から「受注」を受け、クラウドサーバー会社に「発注」を出すといった使い分けです。

Q2受注管理システムの費用相場はどれくらいですか?

A2月額費用は最低でも数千円~3万円程度が一般的です。システムやプランにより異なり、初期費用は無料〜数十万円、カスタマイズが必要な場合は追加費用が発生します。自社の規模や業態に合わせて費用対効果を検討することが重要です。

Q3受注と売上計上のタイミングは同じですか?

A3異なる場合があります。受注は注文を受けた時点、売上計上は収益認識基準に基づき納品や検収時点で行います。SaaSモデルでは契約締結時に受注として記録し、月次課金ごとに売上計上するのが一般的です。受注と売上計上のタイミングが異なるため、受注残(バックログ)が発生します。

Q4中小企業でも受注管理システムは必要ですか?

A4受注数や商品数が増加し人的ミスが発生しやすくなった場合は導入効果が期待できます。少量取引の場合はスプレッドシート管理でも十分な場合があります。自社の課題(受注ミス・在庫管理の煩雑さ・書類管理の非効率)が明確な場合は、規模に関わらず導入を検討する価値があります。

Q5受注管理システムはBtoBとBtoCで違いがありますか?

A5BtoB向けは複雑な見積もり、与信管理、長期契約管理が重要です。BtoC向けは大量注文処理、在庫連動、配送管理が重視されます。業態に合わせたシステム選定が必要で、導入前に自社の業態に適した機能があるか確認することが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。