紙の稟議書が回らず、承認に何週間もかかってしまう...
「稟議書の承認待ちで、プロジェクトが進まない」「経費精算の処理に手間がかかり、総務の負担が増えている」――こうした課題を抱える企業は少なくありません。特に、リモートワークが普及した現在、紙ベースの申請・承認プロセスは時間がかかり、業務効率を大きく低下させています。
この課題を解決するのが「クラウドワークフローシステム」です。インターネット上で申請・承認業務を完結でき、スマホやタブレットからいつでもどこでも承認できるため、業務スピードが劇的に向上します。この記事では、クラウドワークフローシステムの定義から導入メリット、選定ポイント、導入手順まで、実務担当者が知っておくべき情報を解説します。
この記事のポイント:
- クラウドワークフローシステムとは、インターネット上で各種申請や承認業務を完結できるSaaS型システム
- 初期費用は無料~50万円程度、月額費用は1ユーザー250-500円程度が相場
- 最短即日で運用開始でき、オンプレミス型(数ヶ月)と比較して導入スピードが圧倒的に速い
- スマホ・タブレット対応でリモート承認が可能、リモートワークに最適
- クラウドワークフロー市場は年平均成長率16.43%で拡大し、2032年までに224億米ドルに達する見込み
1. クラウドワークフロー市場の拡大と業務効率化のニーズ
(1) クラウドワークフロー市場の成長予測(2032年までに224億米ドル、CAGR 16.43%)
クラウドワークフロー市場は急速に拡大しています。市場調査会社のデータによると、2032年までに市場規模は224億米ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は16.43%と高い成長率を示しています。
この成長の背景には、以下のような要因があります。
- 業務プロセス自動化のニーズ: 人手不足や働き方改革の流れを受け、企業は業務効率化を迫られている
- リモートワークの普及: コロナ禍以降、在宅勤務が定着し、紙ベースの承認プロセスが機能しなくなった
- クラウドサービスの成熟: セキュリティや可用性が向上し、金融機関や政府機関でもクラウド採用が進んでいる
- 初期費用の低下: SaaS型の普及により、中小企業でも導入しやすくなった
今後も、企業のデジタル化が進むにつれ、クラウドワークフローシステムの需要は増加していくと考えられます。
(2) リモートワーク普及と申請・承認業務のデジタル化
リモートワークの普及により、従来の紙ベースの申請・承認プロセスは大きな課題を抱えるようになりました。
- 承認の遅延: 上司が出社しないと承認できず、稟議が何週間も止まるケースが発生
- 書類の紛失リスク: 紙の書類を郵送や社内便で回すと、途中で紛失するリスクがある
- 進捗の不透明性: 今どの部署で承認待ちになっているのか、申請者が把握できない
- 保管・検索の手間: 承認済みの書類を紙で保管すると、後から探すのに時間がかかる
クラウドワークフローシステムを導入すると、これらの課題がすべて解決します。スマホやタブレットで、外出先や自宅から即座に承認でき、進捗状況もリアルタイムで確認できます。
(3) 中小企業における業務プロセス自動化の重要性
中小企業では、総務や経理の担当者が少人数で多くの業務を抱えているケースが多く、業務効率化が特に重要です。
従来のオンプレミス型ワークフローシステムは、初期費用が数百万円かかるため、中小企業には導入ハードルが高いものでした。しかし、クラウド型ワークフローシステムは初期費用が無料~50万円程度で済み、月額費用も1ユーザー250-500円程度と安価です。
このため、中小企業でもクラウドワークフローシステムを導入しやすくなり、業務プロセスの自動化が進んでいます。
2. クラウドワークフローシステムとは?定義と特徴
(1) クラウド型ワークフローシステムの定義
クラウド型ワークフローシステムとは、インターネット上で各種申請や承認業務を完結できるSaaS(Software as a Service)型のシステムです。ユーザーはWebブラウザやスマホアプリからシステムにアクセスし、以下のような業務を行います。
- 稟議申請: 新規プロジェクトや設備投資の承認申請
- 経費精算: 出張費や接待費の精算処理
- 休暇申請: 有給休暇や特別休暇の申請・承認
- 購買申請: 備品購入や外注発注の承認
- 契約承認: 取引先との契約締結の社内承認
これらの業務を電子化することで、紙の書類が不要になり、承認プロセスが大幅に効率化されます。
(2) オンプレミス型との違い(初期費用・導入スピード・カスタマイズ性)
クラウド型とオンプレミス型のワークフローシステムには、以下のような違いがあります。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 無料~50万円程度 | 数百万円~数千万円 |
| 月額費用 | 1ユーザー250-500円程度 | サーバー運用費・保守費用が発生 |
| 導入スピード | 最短即日で運用開始可能 | 数ヶ月~半年程度 |
| カスタマイズ性 | 低~中程度(製品によって異なる) | 高い(独自の業務要件に対応可能) |
| セキュリティ | ベンダー側で管理 | 自社で管理(独自ポリシー適用可能) |
| 運用・保守 | ベンダー側で実施(バージョンアップ自動) | 自社で実施(IT人員の負担) |
クラウド型は、初期費用が安く、導入スピードが速い点がメリットです。一方、オンプレミス型は、高度なカスタマイズや独自セキュリティポリシーに対応できる点が強みです。
中小~中堅企業では、コストと導入スピードを重視してクラウド型を選ぶケースが多く、大企業や金融機関など、厳格なセキュリティ要件がある場合はオンプレミス型を選ぶ傾向があります。ただし、近年はクラウド型のセキュリティも向上しており、金融機関でもクラウド型を採用する事例が増えています。
(3) 対応できる主な業務(稟議申請、経費精算、休暇申請、購買申請、契約承認)
クラウドワークフローシステムは、企業内のあらゆる申請・承認業務に対応できます。代表的な業務は以下の通りです。
稟議申請:
- 新規プロジェクトの承認
- 設備投資や予算計画の承認
- 人事異動や採用の承認
経費精算:
- 出張費(交通費、宿泊費)の精算
- 接待費や会議費の精算
- 備品購入の立替精算
休暇申請:
- 有給休暇、特別休暇の申請・承認
- 残業や休日出勤の申請
購買申請:
- 備品購入や外注発注の承認
- 見積もり取得や発注先選定の承認
契約承認:
- 取引先との契約締結の社内承認
- 秘密保持契約(NDA)の承認
これらの業務を一元管理することで、申請者は進捗状況を確認でき、承認者は優先順位をつけて効率的に承認できます。
(4) ワークフロー自動化ツールとワークフローシステムの違い
「ワークフロー自動化ツール」と「ワークフローシステム」は、しばしば混同されますが、以下のように異なります。
ワークフロー自動化ツール:
- Microsoft Power Automate、Slack Workflow Builder、Atlassian Jiraなど
- タスク管理ソフトウェアを利用して、事前定義されたルールやトリガーに基づいて、人とシステム間でタスクと情報を自動的にルーティングする
- 用途が広範囲(マーケティング、プロジェクト管理、顧客対応など)
ワークフローシステム:
- X-point Cloud、Collaboflow、楽々Workflow II Cloudなど
- 企業内の申請・承認業務(稟議、経費精算、休暇申請など)に特化
- 承認ルートの設定や代理承認、差し戻し機能など、企業の承認プロセスに最適化
ワークフロー自動化ツールは汎用的で、様々な業務に適用できる一方、ワークフローシステムは申請・承認業務に特化しているため、企業の承認プロセスに即座に対応できます。
3. クラウド型ワークフローシステムの導入メリット
クラウド型ワークフローシステムを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
(1) 初期費用の大幅削減(無料~50万円、オンプレミスの数百万円と比較)
クラウド型ワークフローシステムの最大のメリットは、初期費用の安さです。オンプレミス型では、サーバーや専門機材の準備、システム構築に数百万円~数千万円かかりますが、クラウド型は無料~50万円程度で導入できます。
このため、予算が限られている中小企業でも、ワークフローシステムを導入しやすくなっています。
(2) 最短即日で運用開始可能な導入スピード
クラウド型ワークフローシステムは、アカウント作成のみで導入でき、早ければ最短即日で運用を開始できます。オンプレミス型では、サーバー構築やシステム設定に数ヶ月かかるのに対し、クラウド型は圧倒的に導入スピードが速いです。
特に、「今すぐ業務効率化が必要」という企業にとって、この導入スピードは大きなメリットです。
(3) スマホ・タブレット対応でリモート承認が可能
クラウド型ワークフローシステムは、スマホやタブレットに対応しており、いつでもどこでも申請・承認・決裁が行えます。これにより、以下のようなシーンで業務がスムーズに進みます。
- 出張中の上司が外出先から承認: 承認待ちで業務が止まることがなくなる
- 在宅勤務中の従業員が自宅から申請: 出社せずに手続きが完了
- 移動中にスマホで進捗確認: 今どの段階で承認待ちになっているか、リアルタイムで把握
リモートワークが定着した現在、この機能は業務継続性を大きく向上させます。
(4) バージョンアップや障害対応の運用負荷軽減
クラウド型ワークフローシステムでは、バージョンアップや障害対応などの運用・保守はサービス提供会社(ベンダー)が実施します。ユーザー企業は、システム管理の手間から解放され、本来の業務に集中できます。
オンプレミス型では、社内のIT部門がシステム運用を担当する必要があり、人員不足の企業では大きな負担となります。クラウド型は、この運用負荷を大幅に軽減できます。
(5) 月額費用は1ユーザー250-500円程度
クラウド型ワークフローシステムの月額費用は、1ユーザーあたり250-500円程度が相場です。たとえば、従業員100人の企業で導入する場合、月額費用は2万5,000円~5万円程度となります。
このコストで、稟議申請、経費精算、休暇申請など、複数の業務を効率化できるため、費用対効果は非常に高いと言えます。
4. クラウドワークフローシステムの選定ポイント
クラウドワークフローシステムを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
(1) 企業規模と利用人数(X-point Cloud、Collaboflowなど導入社数4,500社以上の実績)
クラウドワークフローシステムは、製品によって得意とする企業規模が異なります。主要製品の導入実績を参考に、自社の規模に合ったツールを選びましょう。
主要製品の導入社数(目安):
- X-point Cloud + AgileWorks: 合計4,500社以上
- Collaboflow: 2,000社以上
- 楽々Workflow II Cloud: 多数の大企業で導入
導入社数が多い製品は、機能が充実しており、サポート体制も整っている傾向があります。一方、新興ツールは柔軟なカスタマイズや低価格を強みとする場合があります。
(2) 業務要件とカスタマイズ性の確認
自社の業務要件に対応できるか、事前に確認しましょう。特に、以下の点を確認します。
- 承認ルートの柔軟性: 部署や金額によって承認ルートを変更できるか
- 代理承認機能: 承認者が不在時に、別の担当者が代理で承認できるか
- 差し戻し機能: 承認者が申請を差し戻し、修正を依頼できるか
- 条件分岐: 金額や内容によって、自動的に承認ルートを変更できるか
クラウド型ワークフローシステムは、オンプレミス型と比較してカスタマイズ性が低い傾向にありますが、製品によっては柔軟なカスタマイズが可能です。導入前に、無料トライアルで実際の操作感を確認しましょう。
(3) 他システムとの連携性(SFA、CRM、会計システム等)
ワークフローシステムは、他の業務システムと連携することで、さらに効率化が進みます。以下のような連携を確認しましょう。
- SFA(営業支援システム)・CRM(顧客管理システム): 営業案件の承認申請をSFA/CRMと連携
- 会計システム: 経費精算データを会計システムに自動転記
- 人事システム: 休暇申請データを人事システムに自動反映
- Slack、Microsoft Teams等: 承認依頼を通知
API連携やCSVエクスポート機能があるかを確認し、既存システムとスムーズに連携できる製品を選びましょう。
(4) セキュリティ体制(金融機関・政府機関採用実績の確認)
クラウド型ワークフローシステムを導入する際、セキュリティ面の懸念を持つ企業もあります。以下の点を確認しましょう。
- 金融機関や政府機関での採用実績: 厳格なセキュリティ要件をクリアしている証拠
- データの暗号化: 通信時・保存時ともに暗号化されているか
- アクセス制限: IPアドレス制限や二要素認証が可能か
- データバックアップ: 定期的にバックアップが取られているか
- セキュリティ認証: ISO 27001(情報セキュリティマネジメント)などの認証取得状況
大手クラウドサービスは、金融機関や政府機関でも採用されており、セキュリティ対策が進んでいます。ただし、導入前に自社のセキュリティポリシーに適合するか、必ず確認しましょう。
(5) データエクスポート機能(ベンダーロックイン対策)
クラウド型ワークフローシステムには、「ベンダーロックイン」のリスクがあります。特定のベンダーの製品に依存すると、他社製品への移行が困難になる可能性があります。
対策として、以下の機能を確認しましょう。
- データエクスポート機能: CSV形式などで、申請・承認データを定期的にエクスポートできるか
- API提供: 他システムとのデータ連携が可能か
契約前に、データエクスポート機能が充実しているか確認し、将来的な移行の選択肢を残しておくことが重要です。
5. クラウドワークフローシステムの導入手順と注意点
クラウドワークフローシステムを導入する際は、以下の手順で進めます。
(1) ステップ1:現状業務プロセスの可視化と課題抽出
まず、現在の申請・承認プロセスを可視化し、課題を抽出します。
- 稟議申請: 誰が申請し、誰が承認し、どのような順番で回るのか
- 経費精算: 申請から精算完了まで、どれくらいの日数がかかっているか
- 課題: 承認が遅い、書類が紛失する、進捗が分からない、など
業務フロー図を作成し、関係者(申請者、承認者、総務担当者など)にヒアリングを行いましょう。
(2) ステップ2:要件定義と製品選定(無料トライアル活用)
業務課題を元に、ワークフローシステムに求める要件を定義します。
- 必須機能: 稟議申請、経費精算、休暇申請など、対応すべき業務
- 優先機能: スマホ対応、他システム連携、承認ルートの柔軟性など
- 予算: 初期費用と月額費用の上限
要件を満たす製品を3~5つピックアップし、無料トライアルで実際の操作感を確認します。トライアル期間中に、以下を確認しましょう。
- 実際の業務フローを設定できるか
- ユーザー(申請者・承認者)が使いやすいか
- 既存システムと連携できるか
(3) ステップ3:アカウント作成とワークフロー設定
製品を選定したら、本契約を結び、アカウントを作成します。次に、ワークフローを設定します。
- ユーザー登録: 従業員のアカウントを一括登録(CSVインポート等)
- 承認ルート設定: 稟議申請、経費精算などの承認ルートを設定
- フォームデザイン: 申請フォームの項目を自社の業務に合わせてカスタマイズ
設定作業は、ベンダーのサポートを受けながら進めると、スムーズに完了します。
(4) ステップ4:社内テストと運用開始
本番運用前に、社内テストを実施します。
- テストユーザーを選定: 各部署から数名ずつ選び、実際に申請・承認を試してもらう
- フィードバック収集: 使いにくい点、エラーが出る箇所を報告してもらう
- 設定の微調整: フィードバックを元に、承認ルートやフォームを調整
テストが完了したら、全社員に利用方法を周知し、本番運用を開始します。運用開始後も、定期的にフィードバックを収集し、改善を続けましょう。
(5) 注意点:インターネット接続必須のリスク、カスタマイズ制約の確認
クラウド型ワークフローシステムを導入する際の注意点は、以下の通りです。
インターネット接続必須のリスク:
- クラウド型はインターネット接続が必須のため、ネットワーク障害時には業務が停止する
- 対策として、バックアッププロセス(一時的に紙やメールで承認)を準備しておく
カスタマイズ制約の確認:
- クラウド型はオンプレミス型と比較してカスタマイズ性が低い傾向にある
- 高度な業務要件がある場合は、事前に機能確認を徹底する
ベンダーロックインのリスク:
- データエクスポート機能がないと、他システムへの移行が困難
- 契約前に、データエクスポート機能とAPI提供状況を確認
これらの注意点を事前に把握し、対策を講じることで、導入後のトラブルを回避できます。
6. まとめ:クラウドワークフローで業務効率化を実現
クラウドワークフローシステムは、申請・承認業務を効率化し、企業の生産性を大きく向上させるツールです。以下のポイントを押さえて、効果的に導入しましょう。
クラウドワークフローシステムの特徴:
- 初期費用は無料~50万円程度、月額費用は1ユーザー250-500円程度
- 最短即日で運用開始でき、導入スピードが速い
- スマホ・タブレット対応でリモート承認が可能
- バージョンアップや障害対応はベンダー側で実施し、運用負荷が軽減
選定時のポイント:
- 企業規模と導入実績(X-point Cloud、Collaboflow等、4,500社以上の実績)
- 業務要件とカスタマイズ性(承認ルートの柔軟性、代理承認機能)
- 他システムとの連携性(SFA、CRM、会計システム等)
- セキュリティ体制(金融機関・政府機関採用実績)
- データエクスポート機能(ベンダーロックイン対策)
導入手順:
- 現状業務プロセスの可視化と課題抽出
- 要件定義と製品選定(無料トライアル活用)
- アカウント作成とワークフロー設定
- 社内テストと運用開始
- 定期的なフィードバック収集と改善
次のアクション:
- 自社の申請・承認プロセスを可視化し、課題を抽出する
- 主要製品(X-point Cloud、Collaboflow等)の資料を取り寄せる
- 無料トライアルで実際の操作感を確認する
- 導入効果(承認日数の短縮、総務負担の軽減)を試算し、経営層に提案する
クラウドワークフローシステムは、一度導入すれば、長期的に業務効率化の効果を享受できます。この記事で紹介した情報を参考に、自社に最適なシステムを選定し、業務プロセスのデジタル化を実現しましょう。
