ワークフローとは?業務プロセスを可視化して効率化を実現する
業務の流れが複雑で、申請や承認に時間がかかりすぎている...紙の稟議書が行方不明になり、誰が承認したか分からない...そんな課題を抱えている企業は少なくありません。
ワークフローは、業務プロセスを整理し、「誰が」「何を」「どのような順番で」行うかを明確にする仕組みです。適切に設計・改善することで、業務効率化やコスト削減、リモートワーク対応が可能になります。
この記事では、ワークフローの基本概念から、設計・改善のポイント、ツール選定、最新のAIワークフロー活用事例まで、B2B企業の実務視点で解説します。
この記事のポイント:
- ワークフローとは業務を進める上での一連のプロセスで、「誰が」「何を」「どのような順番で」行うかを定義したもの
- ワークフローシステム導入により約20%の業務効率改善が期待できる
- ペーパーレス化で年間数十万円〜数百万円のコスト削減が可能
- 料金相場は1名あたり月額300〜500円が一般的
- 2025年はAIワークフローがバックオフィス業務で活用されている
ワークフローとは何か
(1) ワークフローの定義
ワークフロー(Workflow)とは、業務を進める上での一連のプロセスで、「誰が」「何を」「どのような順番で」行うかを定義したものを指します。
具体的な例:
経費精算のワークフロー:
- 従業員が経費を申請(申請書作成・証憑添付)
- 直属の上司が内容を確認・承認
- 経理部門が会計処理・金額チェック
- 経理責任者が最終承認
- 従業員に振込実行
稟議(りんぎ)のワークフロー:
- 担当者が稟議書を作成(購入理由・金額・効果を記載)
- 課長が一次承認
- 部長が二次承認
- 経営層が最終決裁
- 実行部門に通知
このように、ワークフローは業務の流れを段階的に整理し、各ステップの責任者と実行内容を明確にします。
ワークフローの目的:
- 業務プロセスの可視化(属人化の防止)
- 責任の所在を明確化(誰が承認したか記録)
- 業務の標準化(品質のばらつき防止)
- 効率化(無駄なステップの削減)
(2) ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、決裁や稟議などの意思決定をシステム上から簡単に申請・承認できる専用システムのことで、「電子承認システム」「稟議システム」とも呼ばれます。
従来の紙ベースとの違い:
| 項目 | 紙ベース | ワークフローシステム |
|---|---|---|
| 申請方法 | 紙の書類を作成・捺印 | PC・スマホから入力 |
| 承認方法 | 物理的に回覧・捺印 | システム上でクリック承認 |
| 進捗確認 | 書類の所在を電話で確認 | リアルタイムで可視化 |
| 保管 | 紙で保管(検索困難) | データベース(検索容易) |
| リモート対応 | 不可(出社必須) | 可能(どこからでも承認) |
主要な機能:
- 申請フォーム作成(必須項目設定・入力漏れ防止)
- 承認ルート設定(階層別・金額別など条件分岐)
- 進捗管理(現在誰が承認待ちか可視化)
- 通知機能(承認依頼・完了をメール・チャット通知)
- データ検索・レポート(過去の申請履歴を検索)
導入実績: 2024-2025年時点で、主要なワークフローシステムの導入実績は以下の通りです:
- X-point CloudとAgileWorksの合計: 4,500社以上
- CollaboFlow: 2,000社以上
- EXPLANNER/FL: 中堅・中小企業向けで12年連続シェア1位(2014年から2025年)
ワークフローシステムのメリット
(1) 申請・承認の時間短縮(約20%の業務効率改善)
ワークフローシステム導入により、申請から承認までの時間が大幅に短縮されます。
時間短縮の理由:
- 紙の回覧が不要(システム上で即座に通知)
- リモートワーク中でも承認可能(出社不要)
- 承認者が不在でも代理承認を設定可能
- 進捗が可視化されるため、停滞を早期発見
具体的な改善効果: 業界調査によると、ワークフローシステム導入により約20%の業務効率改善が実現可能とされています。
例えば、従来5営業日かかっていた稟議が2〜3営業日で完了するケースが報告されています。
(2) ペーパーレス化・コスト削減
ワークフローシステムは、紙を使わずに業務を遂行できるため、大幅なコスト削減が可能です。
削減できるコスト:
- 紙代(コピー用紙・専用伝票)
- 印刷代(トナー・インク)
- メール・FAX通信費
- 郵送費(社内便・宅配便)
- 保管コスト(書庫スペース・ファイリング人件費)
削減事例: 年間数十万円〜数百万円のコスト削減が報告されています。特に従業員数100名以上の企業では、紙の稟議書・申請書の枚数が年間数千〜数万枚に達するため、削減効果が顕著です。
環境面でのメリット: ペーパーレス化は、コスト削減だけでなく、環境負荷の軽減にもつながります。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとしても評価されます。
(3) 進捗の可視化・リモートワーク対応
ワークフローシステムでは、申請・承認の進捗状況を常時確認できます。
可視化のメリット:
- 現在どの段階か一目で分かる(申請中・承認待ち・完了)
- 誰が承認済みで、誰が未承認か把握できる
- 停滞している案件を早期発見し、催促できる
- 過去の承認履歴を検索・参照できる
リモートワーク対応: 2020年以降、リモートワークが普及する中、ワークフローシステムは必須のツールとなっています。
- PC・スマホから場所を問わず承認可能
- チャットツール(Slack・Microsoft Teams)と連携し、承認依頼を通知
- 外出先でもスマホアプリから承認可能
これにより、「承認のために出社する」という非効率が解消されます。
ワークフローの設計と改善のポイント
(1) 業務プロセスの可視化
ワークフロー改善の第一歩は、現状の業務プロセスを可視化することです。
可視化の方法:
- 業務の流れを図式化(フローチャート作成)
- 各ステップの実行者・所要時間・頻度を記録
- 現場の担当者にヒアリング(実際の運用と規定のズレを確認)
フローチャートの作成ツール:
- Microsoft Visio、Lucidchart、draw.io(無料)などのツールを活用
- ワークフローシステムの一部は、フローチャート作成機能を内蔵
可視化のメリット:
- 属人化している業務が明確になる
- 無駄なステップ・重複作業が見つかる
- 新入社員の教育資料として活用できる
(2) ボトルネックの特定と改善
業務プロセスを可視化した後、ボトルネック(業務の停滞要因)を特定します。
よくあるボトルネック:
- 特定の承認者に権限が集中(その人が不在だと停滞)
- 承認基準が不明確(何を確認すればいいか分からず時間がかかる)
- 承認ルートが複雑すぎる(不要な承認ステップが多い)
- 紙の書類が行方不明になる
改善策:
- 代理承認者を設定(不在時でも業務が進む)
- 承認基準を明文化(チェックリスト作成)
- 金額別・案件別に承認ルートを分岐(小額案件は簡易フロー)
- ワークフローシステム導入で進捗を可視化
(3) 自動化・標準化の推進
ワークフローシステムを活用することで、業務の自動化・標準化が可能です。
自動化できる業務:
- 必須入力項目の設定(入力漏れを防止)
- 承認ルートの自動振り分け(金額・部門・案件種類により自動設定)
- 承認完了後の通知・次ステップへの自動移行
標準化のメリット:
- 人によって業務の進め方が異なる問題を解消
- ヒューマンエラーをほぼゼロにできる(必須項目設定により入力漏れ防止)
- 内部統制の強化(誰が何をしたか記録が残る)
2025年の最新トレンド - AIワークフロー: AIを業務プロセスに組み込み、判断や処理を自動化する「AIワークフロー」が注目されています。
- 経理業務: 請求書をAIが読み取り、仕訳を自動生成→例外のみ人間が確認
- 人事業務: 履歴書をAIが読み取り、適性判断→最終面接のみ人間が実施
フォーマット化された書類の処理は、AIが自動で実行し、例外のみ人間が対応する仕組みが普及しています。
ワークフローシステムの選び方
(1) 自社の業務プロセスに合った機能(承認フロー・タスク管理)
ワークフローシステムは製品によって機能が大きく異なります。自社の業務プロセスに合った機能を持つものを選ぶことが重要です。
基本機能(多くのシステムに共通):
- 申請フォーム作成
- 承認ルート設定(階層別・条件分岐)
- 進捗管理・可視化
- 通知機能(メール・チャット連携)
上位機能(システムにより差がある):
- モバイルアプリ対応(スマホから承認)
- API連携(他システムとのデータ連携)
- 多言語対応(グローバル企業向け)
- AI補助機能(承認ルート自動設定、異常検知)
選定時のチェックポイント:
- 自社の承認ルートに対応できるか(複雑な条件分岐が必要な場合)
- 既存システム(会計・人事・CRM)との連携が可能か
- カスタマイズの自由度(ノーコードで設定変更できるか)
(2) 料金体系と費用対効果(1名あたり月額300〜500円)
ワークフローシステムの料金体系は、主にユーザー数に応じた従量課金制です。
料金相場:
- 1名あたり月額300〜500円が一般的
- 初期費用: 0円〜数十万円(製品により異なる)
- 無料プランあり: 一部システムは小規模チーム向けに無料プラン提供
費用対効果の考え方:
例えば、従業員100名の企業が月額400円/名のシステムを導入すると:
- 月額費用: 400円 × 100名 = 40,000円
- 年間費用: 480,000円
これに対して、ペーパーレス化によるコスト削減(紙代・印刷代・郵送費など)が年間50万円以上見込まれる場合、初年度から投資回収が可能です。
注意点: 料金は変更される可能性があるため、導入前に公式サイトで最新の料金プランを確認してください。(この記事は2024-2025年時点の情報です)
(3) 導入実績・サポート体制
導入後のサポート体制も重要な選定ポイントです。
サポート内容:
- 導入支援(初期設定・フロー設計のサポート)
- 操作トレーニング(管理者・一般ユーザー向け)
- 問い合わせ対応(電話・メール・チャット)
- ユーザーコミュニティ(ベストプラクティス共有)
導入実績の確認:
- 同業種・同規模企業での導入事例があるか
- 継続利用率・解約率(公表されている場合)
- シェア率(市場での評価)
2024-2025年の導入実績例:
- EXPLANNER/FL: 中堅・中小企業向けで12年連続シェア1位
- X-point Cloud・AgileWorks: 合計4,500社以上
- CollaboFlow: 2,000社以上
導入実績が豊富なシステムは、ノウハウが蓄積されており、トラブル対応もスムーズな傾向があります。
ワークフロー活用の成功事例と注意点
(1) 業務効率改善の成功事例
ワークフローシステム導入により、多くの企業が業務効率化を実現しています。
事例1: 中堅製造業
- 課題: 稟議書の回覧に5〜7営業日かかっていた
- 導入後: 2〜3営業日に短縮(約50%削減)
- 効果: 意思決定のスピードが向上し、商談の機会損失が減少
事例2: サービス業(従業員200名)
- 課題: 経費精算が紙ベースで、月末に経理部門が逼迫
- 導入後: ペーパーレス化により、経理部門の残業時間が月20時間削減
- 効果: 年間約100万円の人件費削減
事例3: IT企業(リモートワーク中心)
- 課題: 承認のために出社する必要があり、リモートワーク推進の障害
- 導入後: スマホアプリで場所を問わず承認可能に
- 効果: 完全リモートワークを実現、オフィスコスト削減
(2) AIワークフローの最新活用事例(2025年)
2025年の最新トレンドとして、AIワークフローの活用が進んでいます。
バックオフィス業務での活用:
経理業務:
- AI-OCRで請求書を読み取り、仕訳を自動生成
- 異常値(金額の桁間違い等)をAIが検知し、人間に通知
- フォーマット化された請求書は自動処理、例外のみ人間が確認
人事業務:
- 履歴書をAIが読み取り、スキルマッチング
- 面接日程をAIが候補者・面接官の予定から自動調整
- オンボーディング資料を自動送付
メリット:
- 定型業務の大幅な工数削減(従来の1/5〜1/10に削減事例あり)
- ヒューマンエラーの削減(入力ミス・転記ミス防止)
- 担当者が高付加価値業務に集中できる
(3) 導入時の注意点・よくある失敗
ワークフローシステム導入時には、以下の点に注意が必要です。
失敗例1: 自社の業務プロセスに合わないシステムを導入
- 原因: 機能の豊富さだけで選定し、実際の運用とミスマッチ
- 対策: 事前に業務プロセスを整理し、要件定義を明確化
失敗例2: 既存の紙フローをそのままデジタル化
- 原因: 無駄なステップを残したまま電子化し、効率化しない
- 対策: 業務プロセスの見直しと最適化を同時に実施
失敗例3: 従業員の教育不足
- 原因: システム導入後の操作トレーニングを怠り、定着しない
- 対策: 管理者・一般ユーザー向けの研修を実施、マニュアル整備
成功のポイント:
- スモールスタート(一部部門で試験導入→全社展開)
- 現場の声を反映(実際に使う担当者の意見を取り入れる)
- 継続的な改善(定期的にフローを見直し、最適化)
重要な注意事項: Salesforceのワークフロールールとプロセスビルダーは2025年12月31日にサポート終了予定のため、該当ユーザーはFlowへの移行が必要です。
まとめ:ワークフローシステムを導入すべき企業・シーン
ワークフローシステムは、業務プロセスの可視化・効率化・標準化を実現する強力なツールです。
導入を検討すべき企業:
- 申請・承認業務が多く、紙の回覧に時間がかかっている企業
- リモートワークを推進したいが、承認業務がネックになっている企業
- 従業員数50名以上で、ペーパーレス化によるコスト削減を目指す企業
- 内部統制を強化し、業務の記録・監査証跡を残したい企業
導入を検討すべきシーン:
- 経費精算・稟議・休暇申請など定型的な承認業務が多い
- 紙の書類が行方不明になり、進捗が分からない問題がある
- リモートワーク導入に伴い、出社前提の業務フローを見直したい
次のアクション:
- 自社の業務プロセスを可視化し、ボトルネックを特定する
- 複数のワークフローシステムを比較(料金・機能・導入実績)
- 無料トライアルで実際に操作性を試す(多くのシステムが提供)
- 小規模でテスト導入し、効果測定してから全社展開
ワークフローシステムは一度導入して終わりではなく、継続的に業務プロセスを見直し、改善していくことが重要です。自社に合ったシステムを選び、業務効率化とコスト削減を実現しましょう。
