会員管理にCRMを活用する方法|機能・メリット・ツール選定のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/10

会員情報の管理が煩雑で、Excelでは限界を感じている...

B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティングやカスタマーサクセス担当者の多くが、既存顧客や会員の管理が煩雑になっていることに悩んでいます。「Excelやスプレッドシートでの管理では情報更新が大変」「会員へのアプローチが属人化している」「セキュリティが不安」といった課題は尽きません。

この記事では、会員管理にCRMを活用する方法を詳しく解説し、必要な機能・メリット・ツール選定のポイントを紹介します。

この記事のポイント:

  • 会員管理システムとCRMは実質的に同義で、会員も顧客の一形態として扱われる
  • 会員管理には、会員情報の一元管理・セグメント・コミュニケーション・ポイント管理などの機能が必要
  • 導入により事務作業の効率化・LTV向上・セキュリティ対策が実現できる
  • クラウド型は初期費用0〜5万円、月額数千円〜数万円で導入可能
  • 導入目的・必要機能・費用相場・セキュリティ要件を明確にして選定することが重要

1. 会員管理システムとCRMの関係

(1) 会員管理システムとは何か

会員管理システムとは、会員情報を電子データで一元管理し、会員とのコミュニケーションを効率化するシステムです。会員の基本属性(氏名・連絡先等)だけでなく、取引履歴・問い合わせ履歴・ポイント情報などを統合的に管理します。

会員管理システムの主な機能:

  • 会員情報の登録・更新・検索
  • 取引履歴・行動履歴の記録
  • セグメント別のメール配信
  • ポイント管理(付与・利用・失効)
  • 会員サイト・マイページの構築

(2) CRM(顧客管理)との違いと共通点

会員管理システムとCRM(Customer Relationship Management:顧客管理)は、実質的に同義です。会員も顧客の一形態として扱われ、両者は以下のような関係にあります:

共通点:

  • 顧客情報を一元管理する
  • 顧客とのコミュニケーションを効率化する
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す

違い(使い分け):

  • CRM(顧客管理): 新規顧客獲得から既存顧客管理まで幅広く扱う
  • 会員管理: サブスクリプション・継続課金型のビジネスで使われることが多い

一般的には、「会員」という概念が明確なビジネス(フィットネスクラブ、定期購買サービス、会員制サイト等)では「会員管理システム」と呼ばれることが多いです。

(3) 会員管理が必要な業種・ビジネスモデル

会員管理システムが特に有効なのは、以下のような業種・ビジネスモデルです:

サブスクリプション型:

  • SaaSプロダクト
  • オンライン学習サービス
  • デジタルコンテンツ配信

継続課金型:

  • フィットネスクラブ・ジム
  • 会員制ビジネス(会員向け情報提供等)
  • 定期購買サービス(食品・日用品等)

EC・小売:

  • オンラインショップ(リピーター管理)
  • 店舗型小売(ポイントカード管理)

BtoB:

  • 代理店管理
  • パートナー企業管理
  • 既存顧客のアップセル・クロスセル施策

これらの業種では、既存顧客との継続的な関係構築が売上・利益の鍵となるため、会員管理システムの導入効果が高いと言われています。

(4) Excel管理との比較:システム化のメリット

Excelやスプレッドシートでの会員管理には、以下のような課題があります:

Excelでの会員管理の課題:

  • 情報更新が煩雑(複数人で編集すると競合が発生)
  • 検索・絞り込みが難しい(データ量が増えると動作が重い)
  • セキュリティリスク(ファイル流出・誤送信の可能性)
  • 履歴管理が困難(いつ・誰が・何を変更したか分かりにくい)
  • 他システムとの連携が難しい

システム化のメリット:

  • リアルタイムで情報更新が反映される
  • 柔軟な検索・絞り込みが可能
  • アクセス権限設定でセキュリティ向上
  • 変更履歴が自動記録される
  • 他システム(決済・会計・MA等)との連携が容易

会員数が数十件程度ならExcelでも対応可能ですが、100件を超えるとシステム化のメリットが明確になると言われています。

2. 会員管理に必要なCRM機能

(1) 会員情報の一元管理(基本属性・取引履歴)

会員管理の基本となるのが、会員情報の一元管理機能です。

管理すべき情報:

  • 基本属性(氏名・連絡先・所属企業・役職等)
  • 取引履歴(購入商品・購入金額・購入日等)
  • 問い合わせ履歴(問い合わせ内容・対応履歴)
  • 行動履歴(サイト閲覧・メール開封・資料DL等)
  • 会員ステータス(新規・継続・休眠・解約等)

これらの情報を一元管理することで、会員の状況を素早く把握し、適切な対応が可能になります。

(2) セグメント・絞り込み機能

会員を属性や行動で絞り込み、セグメント別に施策を実施する機能です。

セグメントの例:

  • 契約プラン別(無料会員・有料会員・プレミアム会員)
  • 利用頻度別(アクティブ・休眠・解約予備軍)
  • 購入金額別(高額顧客・中額顧客・低額顧客)
  • 地域別・業種別(BtoB向け)

セグメント別にメール配信やキャンペーンを実施することで、会員のニーズに合った情報提供が可能になります。

(3) コミュニケーション機能(メール配信・通知)

会員とのコミュニケーションを効率化する機能です。

主な機能:

  • セグメント別メール配信(一斉配信・ステップメール)
  • プッシュ通知(アプリ・SMS)
  • 自動配信(誕生日メール・更新期限通知等)
  • メール開封率・クリック率の測定

コミュニケーション機能により、会員への情報提供やリテンション施策を自動化できます。

(4) ポイント管理機能

会員のロイヤルティ向上・リピート促進を目的としたポイント管理機能です。

主な機能:

  • ポイント付与(購入金額・来店頻度に応じて)
  • ポイント利用(割引・特典交換)
  • ポイント失効管理(有効期限設定)
  • ポイント履歴の記録

ポイント管理機能は、EC・小売業で特に有効ですが、運用ルール設計や失効管理が必要なため、運用体制も併せて検討してください。

(5) 会員サイト構築・マイページ機能

会員専用のサイトやマイページを構築する機能です。

主な機能:

  • 会員ログイン・認証
  • 契約情報の閲覧・変更
  • 購入履歴・ポイント残高の確認
  • 資料ダウンロード
  • 問い合わせフォーム

会員サイトを提供することで、会員自身が情報を確認・変更でき、サポート業務の効率化につながります。

(6) 他システムとの連携(決済・会計・MA等)

会員管理システムは、他のシステムと連携することで業務全体の効率化を実現します。

連携すべきシステム:

  • 決済システム(クレジットカード決済・銀行振込)
  • 会計ソフト(売上データの自動連携)
  • MA(マーケティングオートメーション)ツール
  • SFA(営業支援)システム
  • ECプラットフォーム

連携により、データの二重入力を防ぎ、業務効率化とミス削減が期待できます。

3. 会員管理CRMのメリット・デメリット

(1) メリット①:事務作業の効率化(更新・検索が容易)

会員管理システムの最大のメリットは、事務作業の効率化です。

効率化できる業務:

  • 会員情報の登録・更新(リアルタイム反映)
  • 会員検索・絞り込み(柔軟な条件指定)
  • メール配信(セグメント別一斉配信)
  • レポート作成(自動集計・グラフ化)

Excelでの管理に比べて、情報更新・検索にかかる時間が大幅に削減されると言われています。

(2) メリット②:LTV向上(リテンション・アップセル施策)

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上も重要なメリットです。

LTV向上のための施策:

  • リテンション(既存会員の継続率向上)
  • アップセル(上位プランへの誘導)
  • クロスセル(関連商品の提案)
  • 休眠会員の掘り起こし

会員の行動履歴を分析し、適切なタイミングでアプローチすることで、解約率の低減や単価向上が期待できます。

(3) メリット③:セキュリティ対策(個人情報保護)

会員管理システムは、個人情報保護の観点でも重要です。

セキュリティ対策:

  • SSL暗号化通信
  • アクセス権限設定(担当者ごとに閲覧・編集権限を設定)
  • 操作ログの記録(いつ・誰が・何を変更したか)
  • PCI DSS準拠(クレジットカード情報を扱う場合)

Excelファイルの誤送信や流出リスクを大幅に低減できます。

(4) デメリット①:導入コスト・運用コスト

会員管理システムの導入には、コストがかかります。

費用の内訳:

  • 初期費用(システム構築・データ移行)
  • 月額費用(ライセンス料・従量課金)
  • カスタマイズ費用(業種特有の機能追加)
  • 運用費用(担当者の教育・サポート費用)

クラウド型なら初期費用0〜5万円程度、月額数千円〜数万円で導入可能ですが、パッケージ型は初期費用50万〜215万円程度かかります。

(5) デメリット②:効果が表れるまで時間がかかる

会員管理システムの導入効果は、すぐには表れません。

効果が表れるまでの期間:

  • データ移行・初期設定:1〜3ヶ月
  • 運用定着:3〜6ヶ月
  • 効果測定・改善:6ヶ月〜1年

効果が表れるまで時間がかかるため、途中でやめてしまうと投資が無駄になります。中長期的な視点で継続的に運用することが重要です。

4. 会員管理CRMの選定ポイント

(1) 導入目的の明確化(事務効率化・アプローチ強化・サイト構築)

会員管理システムの選定は、導入目的を明確にすることから始めます。

3つの主要目的:

①事務作業の効率化:

  • 会員情報の登録・更新・検索を効率化したい
  • メール配信・レポート作成を自動化したい

②会員へのアプローチ強化:

  • セグメント別の施策を実施したい
  • リテンション・アップセル施策を強化したい

③会員サイトの構築:

  • 会員専用サイト・マイページを提供したい
  • 会員自身で情報を確認・変更できるようにしたい

目的により必要な機能が異なるため、まずは導入目的を明確にしてください。

(2) 必要機能の洗い出し(業種特有の機能要件)

自社の業種・ビジネスモデルに応じて、必要な機能を洗い出します。

業種別の特有機能:

  • EC: 決済機能・カート機能・在庫管理連携
  • フィットネス: 入退室管理・予約管理・施設利用履歴
  • SaaS: ユーザー数・利用状況の管理・自動課金
  • BtoB: 企業情報管理・商談履歴・営業担当者管理

機能が多ければ良いわけではなく、オーバースペックはコスト増と使いこなせない原因になります。必要最小限の機能を洗い出し、将来の拡張性も考慮してください。

(3) 費用相場の把握(クラウド型 vs オンプレミス型)

会員管理システムの費用は、クラウド型とオンプレミス型で大きく異なります。

クラウド型(SaaS):

  • 初期費用:0〜5万円程度
  • 月額費用:数千円〜数万円(会員数・機能により変動)
  • メリット:導入が早い、初期投資が少ない、バージョンアップ自動
  • デメリット:カスタマイズ性に制限がある

オンプレミス型(パッケージ):

  • 初期費用:50万〜215万円程度
  • 月額費用:保守費用(数万円〜)
  • メリット:高度なカスタマイズ可能、自社サーバーで運用
  • デメリット:初期投資が大きい、運用保守が必要

小規模〜中規模企業はクラウド型、大企業や高度なカスタマイズが必要な場合はオンプレミス型が選ばれるケースが多いです。

(4) セキュリティ対策の確認(個人情報・決済情報保護)

会員管理システムは個人情報やクレジットカード情報を扱うため、セキュリティ対策が極めて重要です。

確認すべきセキュリティ要件:

  • SSL暗号化通信(データ送信時の暗号化)
  • PCI DSS準拠(クレジットカード情報を扱う場合)
  • アクセス制御(担当者ごとの権限設定)
  • 操作ログ記録(監査証跡)
  • データバックアップ(定期的なバックアップ)

情報漏洩は企業の信用を損なうため、セキュリティ要件は妥協しないでください。

(5) 既存システムとの連携可否

会員管理システムは、既存システムとの連携が業務効率化の鍵となります。

連携を確認すべきシステム:

  • 決済システム(既存の決済代行サービス)
  • 会計ソフト(freee・マネーフォワード等)
  • MAツール(HubSpot・Marketo等)
  • ECプラットフォーム(Shopify・BASE等)

API連携・CSV連携などの方法があるため、ベンダーに既存システムとの連携可否を事前に確認してください。

5. 主要な会員管理CRM・システムの比較

(1) 汎用CRM型(Salesforce・Zoho CRM等)

汎用CRMを会員管理に活用する方法です。

代表的なツール:

  • Salesforce(月額3,000円〜)
  • Zoho CRM(月額1,680円〜)
  • HubSpot CRM(無料プランあり)

メリット:

  • 営業管理・カスタマーサービス等、幅広い用途に対応
  • 高度なカスタマイズが可能
  • 大規模な会員数に対応

デメリット:

  • 会員管理特化の機能(ポイント管理・会員サイト構築等)は弱い場合がある
  • 設定・カスタマイズに専門知識が必要

(2) 会員管理専用型(クライゼル・SPIRAL等)

会員管理に特化した専用システムです。

代表的なツール:

  • クライゼル(初期費用・月額費用は要問い合わせ)
  • SPIRAL(初期費用10万円〜、月額2.5万円〜)
  • SmartCore(初期費用・月額費用は要問い合わせ)

メリット:

  • 会員管理に必要な機能が標準搭載
  • 会員サイト構築・ポイント管理が容易
  • 導入事例が豊富で、ノウハウが蓄積されている

デメリット:

  • 営業管理など他の用途には向かない
  • カスタマイズ性は汎用CRMに劣る場合がある

(3) 業種特化型(EC向け・フィットネス向け等)

特定の業種に特化した会員管理システムです。

EC向け:

  • Shopifyアプリ(会員管理・ポイント管理)
  • BASEアプリ(会員管理)

フィットネス向け:

  • hacomono(フィットネスクラブ向け会員管理)
  • Clubnect(ジム・スタジオ向け予約・入退室管理)

メリット:

  • 業種特有の機能が標準搭載
  • 導入が早く、設定が簡単

デメリット:

  • 汎用性がなく、他業種では使えない

(4) クラウド型の費用相場(月額数千円〜数万円)

クラウド型の費用相場は、会員数・機能により変動します。

費用の目安(会員数1,000名の場合):

  • 基本プラン:月額5,000円〜10,000円
  • 標準プラン:月額10,000円〜30,000円
  • プレミアムプラン:月額30,000円〜100,000円

会員数が増えると従量課金で費用が増加するため、将来の会員数も考慮して選定してください。

(5) パッケージ型の費用相場(初期費用50万〜215万円)

パッケージ型(オンプレミス型)の費用相場です。

費用の内訳:

  • ライセンス費用:50万〜100万円
  • カスタマイズ費用:50万〜100万円以上
  • サーバー・インフラ費用:数十万円
  • 保守費用:月額数万円

初期費用が大きいため、長期的な運用とROIを慎重に検討してください。

※料金は変動する可能性があるため、最新情報は各ベンダーの公式サイトで確認してください。

6. まとめ:自社に適した会員管理システムの選び方

会員管理システムとCRMは実質的に同義であり、会員情報の一元管理・セグメント・コミュニケーション・ポイント管理などの機能により、事務作業の効率化とLTV向上を実現できます。

選定のステップ:

  1. 導入目的を明確化する(事務効率化・アプローチ強化・サイト構築)
  2. 必要機能を洗い出す(業種特有の要件を含む)
  3. 費用相場を把握する(クラウド型 vs オンプレミス型)
  4. セキュリティ要件を確認する(個人情報・決済情報保護)
  5. 既存システムとの連携可否を確認する

次のアクション:

  • 自社の導入目的と必要機能を整理する
  • 複数のツールを比較検討する(汎用CRM・専用システム・業種特化型)
  • 無料トライアルで操作性を確認する
  • セキュリティ要件・連携要件をベンダーに確認する
  • 中長期的なROIを試算し、導入判断を行う

自社に適した会員管理システムを選び、会員とのコミュニケーションを効率化することで、LTV最大化と事業成長を実現しましょう。

よくある質問

Q1会員管理システムと顧客管理(CRM)の違いは何ですか?

A1会員管理システムとCRMは実質的に同義です。会員も顧客の一形態として扱われます。一般的には、「会員」という概念が明確なビジネス(フィットネスクラブ、定期購買サービス、会員制サイト等)では「会員管理システム」と呼ばれることが多く、新規顧客獲得から既存顧客管理まで幅広く扱う場合は「CRM」と呼ばれます。

Q2導入費用・ランニングコストはどのくらいかかりますか?

A2クラウド型なら初期費用0〜5万円程度、月額数千円〜数万円で導入可能です。パッケージ型(オンプレミス型)は初期費用50万〜215万円程度、月額保守費用が数万円かかります。費用は会員数・機能要件により変動するため、ベンダーに見積もりを依頼してください。

Q3自社に必要な機能をどう見極めればよいですか?

A3導入目的(事務作業効率化・会員アプローチ強化・会員サイト構築)を明確にし、業種特有の要件を洗い出してください。例えば、ECなら決済機能、フィットネスなら入退室管理が必要です。機能が多ければ良いわけではなく、オーバースペックはコスト増と使いこなせない原因になるため、必要最小限の機能を選定することが重要です。

Q4ポイント管理機能は必要ですか?

A4会員のロイヤルティ向上・リピート促進を目的とするならポイント管理機能は有効です。ただし、ポイント付与・利用・失効のルール設計や運用体制が必要なため、導入前に運用フローを整理してください。ポイント管理機能がないシステムもあるため、必要な場合は選定時に確認が必要です。

Q5セキュリティ対策はどこまで求めるべきですか?

A5個人情報やクレジットカード情報を扱う場合、高度なセキュリティ対策が必須です。SSL暗号化通信・PCI DSS準拠(クレジットカード情報を扱う場合)・アクセス権限設定・操作ログ記録・定期的なバックアップなどを確認してください。情報漏洩は企業の信用を損なうため、セキュリティ要件は妥協しないでください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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