Marketo(マルケト)のマーケティング活用術|機能・事例・導入ポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/9

Marketo(マルケト)のマーケティング活用術:機能・事例・導入のポイントを解説

B2B企業のマーケティングマネージャーとして、本格的なMAツールの導入を検討する際、「Marketo(マルケト)」の名前を耳にすることが多いのではないでしょうか。しかし、「他のMAツールと何が違うのか」「導入コストはどのくらいか」「自社に合っているのか」など、疑問は尽きません。

この記事では、Marketoの機能、活用方法、導入事例、他ツールとの比較、料金体系、導入のメリット・デメリットまで、B2B企業のマーケティング担当者が知っておくべきポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • Marketoはエンタープライズ向けMAツールで、高度なリードスコアリング・ABM機能が強み
  • 700以上の外部ソリューションと連携可能で、CRM・SFA・DMP等と統合できる
  • BtoB企業ではセミナー・イベント管理を一元化し、計測・改善サイクルを回すケースが多い
  • 料金は年間数百万円〜1,000万円程度(非公開)で、HubSpotなど他ツールより高額
  • 2025年9月30日までにAdobe IDへの移行が必要

1. Marketo(マルケト)とは何か

Marketoは、Adobe Experience Cloudを構成するMA(マーケティングオートメーション)ツールです。

(1) MAツールとしてのMarketo

MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、企業のデジタルマーケティング投資は年々増加しており、MAツールの活用も拡大しています。

Marketoは以下のマーケティングプロセスを自動化します:

リードジェネレーション(見込み客獲得):

  • Webフォーム・ランディングページ作成
  • セミナー・イベント管理
  • ソーシャルメディア連携

リードナーチャリング(見込み客育成):

  • メールマーケティング(配信・トラッキング)
  • エンゲージメントプログラム(中長期シナリオ設計)
  • Webパーソナライゼーション(顧客属性・行動に応じたコンテンツ出し分け)

リードスコアリング(見込み客の優先順位付け):

  • 行動スコアリング(Webサイト訪問、資料DL等)
  • 属性スコアリング(企業規模、役職等)
  • ABM(アカウントベースドマーケティング)対応

(2) Adobe買収後の変化とAdobe Experience Cloudの位置づけ

Marketoはもともと独立したMAベンダーでしたが、2018年にAdobeが買収しました。現在はAdobe Experience Cloudの一部として、Adobe AnalyticsやAdobe Campaign等と連携し、統合的な顧客体験管理を実現しています。

Adobe買収後の主な変化:

  • Adobe Experience Cloud内のデータ連携が強化された
  • Adobe AnalyticsによるWeb解析とMA施策の一元管理が可能に
  • Adobe IDへの統合(2025年9月30日までに移行が必要)

Adobe自体はCRMを持っていないため、顧客情報管理にはSalesforce等の他CRMとの連携が必要です。

(3) BtoB企業向けの強み

MarketoはBtoB企業向けに以下の強みを持っています:

長い検討期間への対応:

  • エンゲージメントプログラムで数ヶ月〜1年以上の中長期シナリオを設計可能
  • リードナーチャリングで見込み客との継続的なコミュニケーションを実現

複雑な意思決定プロセスへの対応:

  • ABM機能で企業単位でのターゲティングが可能
  • 複数の意思決定者(担当者、マネージャー、役員等)への個別アプローチ

営業連携:

  • CRM・SFA(Salesforce、Dynamics 365等)とのシームレスな連携
  • リードスコアに基づく営業へのホットリード引き渡し

2. Marketoの主要機能と特徴

Marketoは10個のアプリケーション機能を提供しています。

(1) リードジェネレーション・ナーチャリング

リードジェネレーション:

  • Webフォーム作成(カスタマイズ可能)
  • ランディングページ作成(テンプレート利用可能)
  • ソーシャルメディア連携(Twitter、LinkedIn等)

リードナーチャリング:

  • メール配信(HTMLエディタ、A/Bテスト対応)
  • トラッキング(開封率、クリック率、コンバージョン率)
  • 自動メールシナリオ(トリガー配信、ドリップキャンペーン)

(2) リードスコアリングとABM対応

Marketoのリードスコアリングは、見込み客の購買可能性を数値化し、優先順位付けを行います。

スコアリングの種類:

  • 行動スコア: Webサイト訪問、資料ダウンロード、メール開封等の行動を点数化
  • 属性スコア: 企業規模、役職、業種等のデモグラフィック情報を点数化

ABM(アカウントベースドマーケティング)対応:

  • 企業単位でのターゲティング
  • 企業内の複数の意思決定者への個別アプローチ
  • アカウントスコアによる優先順位付け

(3) エンゲージメントプログラム

エンゲージメントプログラムは、中長期的なシナリオを設計し、リードの状況に応じた自動メール配信を実現する機能です。

ユースケース:

  • 資料ダウンロード後のフォローメール(1週間後、2週間後、1ヶ月後…)
  • セミナー参加者へのナーチャリングメール
  • 休眠リードの再活性化

(4) Webパーソナライゼーション

Webパーソナライゼーション機能は、顧客属性・行動に基づいてWebページ内容を動的に変更します。

パーソナライゼーションの例:

  • 業種別のケーススタディ表示
  • 役職別のコンテンツ出し分け
  • リードスコア別のCTA表示

(5) セミナー・イベント管理

BtoB企業ではセミナー・イベント管理をプランから実行・計測・改善までMarketoで完結するケースが多いです。

主な機能:

  • イベント登録ページ作成
  • 参加者管理
  • リマインドメール自動配信
  • 参加後のフォローメール配信
  • イベント効果測定(参加率、リード獲得数、ROI等)

(6) 700以上のソリューションとの連携

Marketoは700以上の外部ソリューションと連携可能で、CRM・SFA・DMP・BI等の既存システムとシームレスに統合できます。

主な連携先:

  • CRM・SFA: Salesforce、Microsoft Dynamics 365
  • Web解析: Adobe Analytics、Google Analytics
  • ウェビナーツール: Zoom、GoToWebinar
  • 広告プラットフォーム: Google Ads、Facebook Ads

3. Marketoを活用したマーケティング手法

Marketoを活用したマーケティング手法の具体例を紹介します。

(1) 中長期的なシナリオ設計と自動メール配信

エンゲージメントプログラムを使い、リードの状況に応じた自動メール配信を実現できます。

シナリオ例(資料ダウンロード後):

  1. 資料ダウンロード直後:お礼メール
  2. 3日後:関連コンテンツ紹介メール
  3. 1週間後:セミナー案内メール
  4. 2週間後:導入事例紹介メール
  5. 1ヶ月後:無料トライアル案内メール

リードの行動(メール開封、リンククリック等)に応じてシナリオを分岐させ、興味関心に合ったコンテンツを配信します。

(2) 顧客属性・行動に基づくWebページ最適化

Webパーソナライゼーション機能で、訪問者の属性・行動に応じてWebページ内容を最適化できます。

最適化例:

  • 製造業の訪問者: 製造業向け事例を優先表示
  • 役員クラスの訪問者: ROI・経営視点のコンテンツを表示
  • 複数回訪問しているリード: 無料トライアルCTAを強調表示

(3) CRM・SFA連携による営業活動支援

Salesforce等のCRM・SFAと連携し、リードスコアに基づいてホットリードを営業に自動で引き渡します。

連携の仕組み:

  1. Marketoでリードスコアが一定値を超えたリードを検出
  2. Salesforceに自動でリード情報を送信
  3. 営業担当者に通知
  4. 営業担当者がリードにアプローチ
  5. 商談結果をSalesforceに記録、Marketoにフィードバック

この連携により、マーケティング部門と営業部門の分断を解消し、リード獲得から商談化までのプロセスを一気通貫で管理できます。

4. 導入のメリット・デメリットと料金体系

Marketo導入には、高度な機能と充実したサポートというメリットがある一方で、高額なコストや専門知識の必要性といったデメリットもあります。

(1) メリット:エンタープライズ対応、高度な機能、充実したサポート

エンタープライズ対応:

  • 大規模データ(数十万〜数百万リード)の処理が可能
  • 高度なセキュリティ・コンプライアンス対応
  • グローバル展開への対応(多言語・多通貨)

高度な機能:

  • 詳細なリードスコアリング(行動・属性の組み合わせ)
  • ABM対応(企業単位のターゲティング)
  • Webパーソナライゼーション(動的コンテンツ出し分け)

充実したサポート:

  • 導入支援(オンボーディング)
  • 運用コンサルティング
  • カスタマーサポート
  • 有償トレーニングコース

(2) デメリット:高額なコスト、専門知識の必要性、CRM別途必要

高額なコスト:

  • 料金は非公開で、一般的に年間数百万円〜1,000万円程度と言われる
  • 企業規模・機能・データ量により変動
  • 導入初期費用も別途発生する可能性

専門知識の必要性:

  • 高機能ゆえに一定の専門知識が必要
  • 専任のマーケティング担当者がいない場合、外部パートナーの支援が推奨される
  • LP・ブログ作成やSNS機能を使う際に専門的なスキルが必要な場合がある

CRM別途必要:

  • Adobe自体はCRMを持っていないため、Salesforce等の他CRMとの連携が必要
  • CRMライセンス費用も考慮する必要がある

(3) 料金体系(年間数百万円〜1,000万円程度)

Marketoの料金は非公開で、問い合わせが必要です。一般的には以下の要素で変動します:

料金変動要素:

  • データベース規模(リード数)
  • 利用機能(基本機能のみ、ABM追加、Webパーソナライゼーション追加等)
  • ユーザー数
  • サポートレベル

※料金の詳細は公式サイト(Adobe Marketo Engage)で問い合わせてください。この記事は2024年時点の情報です。

5. 導入事例と他ツールとの比較

Marketoの導入事例と、HubSpot・Salesforce Pardotとの比較を紹介します。

(1) 導入事例:ビズリーチなど大手企業の活用

ビズリーチの事例:

  • MarkeZineの記事「ビズリーチが語る、マルケト導入の狙い」によると、ビズリーチはMarketoを導入し、リード獲得から育成、営業連携までを一元化しました。
  • 選定理由は、高度なスコアリング機能とSalesforce連携のスムーズさだったとされています。

公式サイト「MAツール導入事例まとめ[Marketo(マルケト)編]」では、BtoB・BtoC問わず多数の導入実績が紹介されています。

(2) HubSpotとの比較

MarketoとHubSpotは、いずれも代表的なMAツールですが、ターゲット企業規模と機能範囲が異なります。

項目 Marketo HubSpot
ターゲット エンタープライズ向け 中小企業〜大企業
CRM 別途必要(Salesforce等) 内蔵(HubSpot CRM)
料金 年間数百万円〜1,000万円程度 月額数万円〜(プランによる)
主な強み 高度なスコアリング・ABM オールインワン、使いやすさ
サポート 充実(有償トレーニング等) 充実(無料リソース多数)

選定のポイント:

  • Marketoが適している: 大規模データ、高度なスコアリング・ABMが必要、既にSalesforceを導入済み
  • HubSpotが適している: 中小企業、CRM含めてオールインワンで導入したい、初期コストを抑えたい

詳細な比較は公式サイト「HubSpotとMarketoの比較」をご参照ください。

(3) Salesforce Pardotとの比較

Salesforce Pardotは、Salesforce純正のMAツールです。

項目 Marketo Salesforce Pardot
ベンダー Adobe Salesforce
Salesforce連携 連携可能 ネイティブ統合
料金 年間数百万円〜1,000万円程度 月額15万円〜(プランによる)
主な強み 高度なスコアリング・ABM Salesforceとのシームレスな統合

選定のポイント:

  • Marketoが適している: Adobe Experience Cloudと統合したい、高度なWebパーソナライゼーションが必要
  • Pardotが適している: Salesforceを既に導入済みで、ネイティブ統合を優先したい

(4) 2025年Adobe ID移行の注意点

2025年8月からMarketo Engage IDのサポート段階的廃止が開始され、2025年9月30日までにAdobe IDへの移行が必要です。

移行のポイント:

  • 公式リリースノート「最新のリリースノート | Adobe Marketo Engage」で移行手順を確認
  • 移行期間中もサービスは継続利用可能
  • Adobe IDへの移行により、Adobe Experience Cloud全体でのアクセス管理が統一される

移行作業の計画を早めに立てることが推奨されます。

6. まとめ:Marketo導入の判断基準

Marketo(マルケト)は、エンタープライズ向けMAツールとして、高度なリードスコアリング・ABM機能、充実したサポートを提供します。一方で、高額なコストや専門知識の必要性といった課題もあります。

Marketo導入を検討すべきケース:

  • 大規模データ(数十万リード以上)を扱う
  • 高度なリードスコアリング・ABMが必要
  • 既にSalesforceを導入済みで、MA連携を強化したい
  • Adobe Experience Cloudと統合したい

他ツールを検討すべきケース:

  • 初期コストを抑えたい(HubSpot等)
  • CRM含めてオールインワンで導入したい(HubSpot)
  • Salesforceネイティブ統合を優先したい(Pardot)

次のアクション:

  • 公式サイト(Adobe Marketo Engage)で詳細を確認
  • 複数のMAツール(HubSpot、Pardot等)を比較
  • デモ・トライアルで実際の操作性を確認
  • 導入コストの見積もりを取得

Marketoを効果的に活用することで、リード獲得から育成、営業連携までを一元化し、マーケティングROIの最大化を目指しましょう。

よくある質問

Q1MarketoとHubSpotの違いは何ですか?

A1Marketoはエンタープライズ向けで高度なスコアリング・ABM機能が強みです。HubSpotはオールインワンでCRM内蔵、中小企業から大企業まで幅広く対応しています。料金はMarketoが年間数百万円〜1,000万円程度、HubSpotは月額数万円〜と、Marketoの方が高額です。

Q2Marketoの料金はいくらですか?

A2Marketoの料金は非公開で問い合わせが必要です。一般的には年間数百万円〜1,000万円程度と言われています。企業規模・利用機能・データ量により変動するため、詳細な見積もりは公式サイトで問い合わせてください。

Q3Marketoは社内にマーケティング専任者がいなくても運用できますか?

A3Marketoは高機能ゆえに一定の専門知識が必要です。専任のマーケティング担当者がいない場合は、外部パートナーの運用コンサルティングや有償トレーニングコースの活用が推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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