Marketo(マルケト)のマーケティング活用術:機能・事例・導入のポイントを解説
B2B企業のマーケティングマネージャーとして、本格的なMAツールの導入を検討する際、「Marketo(マルケト)」の名前を耳にすることが多いのではないでしょうか。しかし、「他のMAツールと何が違うのか」「導入コストはどのくらいか」「自社に合っているのか」など、疑問は尽きません。
この記事では、Marketoの機能、活用方法、導入事例、他ツールとの比較、料金体系、導入のメリット・デメリットまで、B2B企業のマーケティング担当者が知っておくべきポイントを解説します。
この記事のポイント:
- Marketoはエンタープライズ向けMAツールで、高度なリードスコアリング・ABM機能が強み
- 700以上の外部ソリューションと連携可能で、CRM・SFA・DMP等と統合できる
- BtoB企業ではセミナー・イベント管理を一元化し、計測・改善サイクルを回すケースが多い
- 料金は年間数百万円〜1,000万円程度(非公開)で、HubSpotなど他ツールより高額
- 2025年9月30日までにAdobe IDへの移行が必要
1. Marketo(マルケト)とは何か
Marketoは、Adobe Experience Cloudを構成するMA(マーケティングオートメーション)ツールです。
(1) MAツールとしてのMarketo
MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、企業のデジタルマーケティング投資は年々増加しており、MAツールの活用も拡大しています。
Marketoは以下のマーケティングプロセスを自動化します:
リードジェネレーション(見込み客獲得):
- Webフォーム・ランディングページ作成
- セミナー・イベント管理
- ソーシャルメディア連携
リードナーチャリング(見込み客育成):
- メールマーケティング(配信・トラッキング)
- エンゲージメントプログラム(中長期シナリオ設計)
- Webパーソナライゼーション(顧客属性・行動に応じたコンテンツ出し分け)
リードスコアリング(見込み客の優先順位付け):
- 行動スコアリング(Webサイト訪問、資料DL等)
- 属性スコアリング(企業規模、役職等)
- ABM(アカウントベースドマーケティング)対応
(2) Adobe買収後の変化とAdobe Experience Cloudの位置づけ
Marketoはもともと独立したMAベンダーでしたが、2018年にAdobeが買収しました。現在はAdobe Experience Cloudの一部として、Adobe AnalyticsやAdobe Campaign等と連携し、統合的な顧客体験管理を実現しています。
Adobe買収後の主な変化:
- Adobe Experience Cloud内のデータ連携が強化された
- Adobe AnalyticsによるWeb解析とMA施策の一元管理が可能に
- Adobe IDへの統合(2025年9月30日までに移行が必要)
Adobe自体はCRMを持っていないため、顧客情報管理にはSalesforce等の他CRMとの連携が必要です。
(3) BtoB企業向けの強み
MarketoはBtoB企業向けに以下の強みを持っています:
長い検討期間への対応:
- エンゲージメントプログラムで数ヶ月〜1年以上の中長期シナリオを設計可能
- リードナーチャリングで見込み客との継続的なコミュニケーションを実現
複雑な意思決定プロセスへの対応:
- ABM機能で企業単位でのターゲティングが可能
- 複数の意思決定者(担当者、マネージャー、役員等)への個別アプローチ
営業連携:
- CRM・SFA(Salesforce、Dynamics 365等)とのシームレスな連携
- リードスコアに基づく営業へのホットリード引き渡し
2. Marketoの主要機能と特徴
Marketoは10個のアプリケーション機能を提供しています。
(1) リードジェネレーション・ナーチャリング
リードジェネレーション:
- Webフォーム作成(カスタマイズ可能)
- ランディングページ作成(テンプレート利用可能)
- ソーシャルメディア連携(Twitter、LinkedIn等)
リードナーチャリング:
- メール配信(HTMLエディタ、A/Bテスト対応)
- トラッキング(開封率、クリック率、コンバージョン率)
- 自動メールシナリオ(トリガー配信、ドリップキャンペーン)
(2) リードスコアリングとABM対応
Marketoのリードスコアリングは、見込み客の購買可能性を数値化し、優先順位付けを行います。
スコアリングの種類:
- 行動スコア: Webサイト訪問、資料ダウンロード、メール開封等の行動を点数化
- 属性スコア: 企業規模、役職、業種等のデモグラフィック情報を点数化
ABM(アカウントベースドマーケティング)対応:
- 企業単位でのターゲティング
- 企業内の複数の意思決定者への個別アプローチ
- アカウントスコアによる優先順位付け
(3) エンゲージメントプログラム
エンゲージメントプログラムは、中長期的なシナリオを設計し、リードの状況に応じた自動メール配信を実現する機能です。
ユースケース:
- 資料ダウンロード後のフォローメール(1週間後、2週間後、1ヶ月後…)
- セミナー参加者へのナーチャリングメール
- 休眠リードの再活性化
(4) Webパーソナライゼーション
Webパーソナライゼーション機能は、顧客属性・行動に基づいてWebページ内容を動的に変更します。
パーソナライゼーションの例:
- 業種別のケーススタディ表示
- 役職別のコンテンツ出し分け
- リードスコア別のCTA表示
(5) セミナー・イベント管理
BtoB企業ではセミナー・イベント管理をプランから実行・計測・改善までMarketoで完結するケースが多いです。
主な機能:
- イベント登録ページ作成
- 参加者管理
- リマインドメール自動配信
- 参加後のフォローメール配信
- イベント効果測定(参加率、リード獲得数、ROI等)
(6) 700以上のソリューションとの連携
Marketoは700以上の外部ソリューションと連携可能で、CRM・SFA・DMP・BI等の既存システムとシームレスに統合できます。
主な連携先:
- CRM・SFA: Salesforce、Microsoft Dynamics 365
- Web解析: Adobe Analytics、Google Analytics
- ウェビナーツール: Zoom、GoToWebinar
- 広告プラットフォーム: Google Ads、Facebook Ads
3. Marketoを活用したマーケティング手法
Marketoを活用したマーケティング手法の具体例を紹介します。
(1) 中長期的なシナリオ設計と自動メール配信
エンゲージメントプログラムを使い、リードの状況に応じた自動メール配信を実現できます。
シナリオ例(資料ダウンロード後):
- 資料ダウンロード直後:お礼メール
- 3日後:関連コンテンツ紹介メール
- 1週間後:セミナー案内メール
- 2週間後:導入事例紹介メール
- 1ヶ月後:無料トライアル案内メール
リードの行動(メール開封、リンククリック等)に応じてシナリオを分岐させ、興味関心に合ったコンテンツを配信します。
(2) 顧客属性・行動に基づくWebページ最適化
Webパーソナライゼーション機能で、訪問者の属性・行動に応じてWebページ内容を最適化できます。
最適化例:
- 製造業の訪問者: 製造業向け事例を優先表示
- 役員クラスの訪問者: ROI・経営視点のコンテンツを表示
- 複数回訪問しているリード: 無料トライアルCTAを強調表示
(3) CRM・SFA連携による営業活動支援
Salesforce等のCRM・SFAと連携し、リードスコアに基づいてホットリードを営業に自動で引き渡します。
連携の仕組み:
- Marketoでリードスコアが一定値を超えたリードを検出
- Salesforceに自動でリード情報を送信
- 営業担当者に通知
- 営業担当者がリードにアプローチ
- 商談結果をSalesforceに記録、Marketoにフィードバック
この連携により、マーケティング部門と営業部門の分断を解消し、リード獲得から商談化までのプロセスを一気通貫で管理できます。
4. 導入のメリット・デメリットと料金体系
Marketo導入には、高度な機能と充実したサポートというメリットがある一方で、高額なコストや専門知識の必要性といったデメリットもあります。
(1) メリット:エンタープライズ対応、高度な機能、充実したサポート
エンタープライズ対応:
- 大規模データ(数十万〜数百万リード)の処理が可能
- 高度なセキュリティ・コンプライアンス対応
- グローバル展開への対応(多言語・多通貨)
高度な機能:
- 詳細なリードスコアリング(行動・属性の組み合わせ)
- ABM対応(企業単位のターゲティング)
- Webパーソナライゼーション(動的コンテンツ出し分け)
充実したサポート:
- 導入支援(オンボーディング)
- 運用コンサルティング
- カスタマーサポート
- 有償トレーニングコース
(2) デメリット:高額なコスト、専門知識の必要性、CRM別途必要
高額なコスト:
- 料金は非公開で、一般的に年間数百万円〜1,000万円程度と言われる
- 企業規模・機能・データ量により変動
- 導入初期費用も別途発生する可能性
専門知識の必要性:
- 高機能ゆえに一定の専門知識が必要
- 専任のマーケティング担当者がいない場合、外部パートナーの支援が推奨される
- LP・ブログ作成やSNS機能を使う際に専門的なスキルが必要な場合がある
CRM別途必要:
- Adobe自体はCRMを持っていないため、Salesforce等の他CRMとの連携が必要
- CRMライセンス費用も考慮する必要がある
(3) 料金体系(年間数百万円〜1,000万円程度)
Marketoの料金は非公開で、問い合わせが必要です。一般的には以下の要素で変動します:
料金変動要素:
- データベース規模(リード数)
- 利用機能(基本機能のみ、ABM追加、Webパーソナライゼーション追加等)
- ユーザー数
- サポートレベル
※料金の詳細は公式サイト(Adobe Marketo Engage)で問い合わせてください。この記事は2024年時点の情報です。
5. 導入事例と他ツールとの比較
Marketoの導入事例と、HubSpot・Salesforce Pardotとの比較を紹介します。
(1) 導入事例:ビズリーチなど大手企業の活用
ビズリーチの事例:
- MarkeZineの記事「ビズリーチが語る、マルケト導入の狙い」によると、ビズリーチはMarketoを導入し、リード獲得から育成、営業連携までを一元化しました。
- 選定理由は、高度なスコアリング機能とSalesforce連携のスムーズさだったとされています。
公式サイト「MAツール導入事例まとめ[Marketo(マルケト)編]」では、BtoB・BtoC問わず多数の導入実績が紹介されています。
(2) HubSpotとの比較
MarketoとHubSpotは、いずれも代表的なMAツールですが、ターゲット企業規模と機能範囲が異なります。
| 項目 | Marketo | HubSpot |
|---|---|---|
| ターゲット | エンタープライズ向け | 中小企業〜大企業 |
| CRM | 別途必要(Salesforce等) | 内蔵(HubSpot CRM) |
| 料金 | 年間数百万円〜1,000万円程度 | 月額数万円〜(プランによる) |
| 主な強み | 高度なスコアリング・ABM | オールインワン、使いやすさ |
| サポート | 充実(有償トレーニング等) | 充実(無料リソース多数) |
選定のポイント:
- Marketoが適している: 大規模データ、高度なスコアリング・ABMが必要、既にSalesforceを導入済み
- HubSpotが適している: 中小企業、CRM含めてオールインワンで導入したい、初期コストを抑えたい
詳細な比較は公式サイト「HubSpotとMarketoの比較」をご参照ください。
(3) Salesforce Pardotとの比較
Salesforce Pardotは、Salesforce純正のMAツールです。
| 項目 | Marketo | Salesforce Pardot |
|---|---|---|
| ベンダー | Adobe | Salesforce |
| Salesforce連携 | 連携可能 | ネイティブ統合 |
| 料金 | 年間数百万円〜1,000万円程度 | 月額15万円〜(プランによる) |
| 主な強み | 高度なスコアリング・ABM | Salesforceとのシームレスな統合 |
選定のポイント:
- Marketoが適している: Adobe Experience Cloudと統合したい、高度なWebパーソナライゼーションが必要
- Pardotが適している: Salesforceを既に導入済みで、ネイティブ統合を優先したい
(4) 2025年Adobe ID移行の注意点
2025年8月からMarketo Engage IDのサポート段階的廃止が開始され、2025年9月30日までにAdobe IDへの移行が必要です。
移行のポイント:
- 公式リリースノート「最新のリリースノート | Adobe Marketo Engage」で移行手順を確認
- 移行期間中もサービスは継続利用可能
- Adobe IDへの移行により、Adobe Experience Cloud全体でのアクセス管理が統一される
移行作業の計画を早めに立てることが推奨されます。
6. まとめ:Marketo導入の判断基準
Marketo(マルケト)は、エンタープライズ向けMAツールとして、高度なリードスコアリング・ABM機能、充実したサポートを提供します。一方で、高額なコストや専門知識の必要性といった課題もあります。
Marketo導入を検討すべきケース:
- 大規模データ(数十万リード以上)を扱う
- 高度なリードスコアリング・ABMが必要
- 既にSalesforceを導入済みで、MA連携を強化したい
- Adobe Experience Cloudと統合したい
他ツールを検討すべきケース:
- 初期コストを抑えたい(HubSpot等)
- CRM含めてオールインワンで導入したい(HubSpot)
- Salesforceネイティブ統合を優先したい(Pardot)
次のアクション:
- 公式サイト(Adobe Marketo Engage)で詳細を確認
- 複数のMAツール(HubSpot、Pardot等)を比較
- デモ・トライアルで実際の操作性を確認
- 導入コストの見積もりを取得
Marketoを効果的に活用することで、リード獲得から育成、営業連携までを一元化し、マーケティングROIの最大化を目指しましょう。
