MAツールを営業に活かす方法|リード育成から商談化までの活用ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/15

MAツールを営業に活かすことで、どう変わるのか

B2B営業やマーケティングを担当していると、「せっかくリードを獲得しても、営業がフォローしきれない」「どのリードを優先すべきか分からない」という課題に直面することがあります。また、MAツールを導入したものの、営業との連携がうまくいかず、期待した効果が出ないケースも少なくありません。

MAツール(マーケティングオートメーション)は、リード育成から商談化までのプロセスを自動化し、営業活動の効率を大きく向上させる可能性を持っています。この記事では、MAツールを営業に活かす具体的な方法、SFA/CRM連携のメリット、実際の導入事例まで、B2B企業で実践できる形で解説します。

この記事のポイント:

  • MAツールはホットリードを自動抽出し、営業がベストタイミングでフォローできる仕組みを構築する
  • MA・SFA・CRMは役割が異なり、MAは非対面(マーケティング)、SFAは対面(営業)を担当
  • リードスコアリングで一定基準を超えたリードを営業に自動パスすることで効率化
  • MA/SFA連携により、マーケティングと営業が同じゴール(収益化)を目指せる
  • 連携項目は「スコア」など役立つもののみに絞り、作業負荷を軽減すべき
  • 2024年の世界MA市場は69.5億ドル(前年比10.7%成長)で、AI活用が進化中

1. なぜMAツールが営業に重要なのか

(1) B2B営業における課題と解決策

B2B営業では、以下のような課題に直面することが一般的です:

よくある課題:

  • リードの数が多すぎて、どれを優先すべきか分からない
  • 営業が全リードにアプローチすると時間が足りない
  • マーケティングが獲得したリードの質が低く、商談に至らない
  • 営業とマーケティングの連携がうまくいかず、情報共有が不足

MAツールは、これらの課題を以下の方法で解決します:

MAツールによる解決策:

  • ホットリード(成約可能性の高い見込み客)を自動抽出
  • リードスコアリングで優先順位を明確化
  • ベストタイミングでの営業フォローを通知
  • マーケティングと営業のデータを一元管理し、連携を強化

結果として、営業は確度の高いリードに絞ってアプローチでき、リソースを効率的に配分できるようになります。

(2) 2024年のMA市場トレンド(69.5億ドル規模)

2024年の世界MA市場は69.5億ドル(前年比10.7%成長)に達し、2028年には96.8億ドルに達する見込みです。この成長の背景には、以下のトレンドがあります:

2024年の重要トレンド:

  • AI活用の進化: 膨大なデータを迅速に分析し、個々の顧客に最適なアプローチを提案
  • CRM統合: 顧客データを一元管理し、マーケティング・営業・サービス全部門で活用
  • オムニチャネル戦略: メール・Web・SNS・広告など複数チャネルを統合し、一貫した顧客体験を提供

国内では、2024年12月時点でMarketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)が首位、HubSpotが僅差で2位となっています。

2. MAツールの基礎知識:MA・SFA・CRMの違い

(1) MAツールとは何か

MA(Marketing Automation / マーケティングオートメーション)とは、リード獲得から育成・選別・営業連携まで、マーケティング活動を一元管理・自動化するツールです。

主な機能:

  • リード獲得(フォーム作成、ランディングページ作成)
  • リードナーチャリング(メール配信、コンテンツ提供)
  • リードスコアリング(行動に基づいた関心度の数値化)
  • ホットリード抽出(成約可能性の高いリードを自動選別)
  • 営業への通知(ベストタイミングでフォローを促す)

(2) SFA(営業支援)との役割の違い

SFA(Sales Force Automation / 営業支援システム)は、営業活動(商談管理、パイプライン管理、活動履歴記録など)を自動化・効率化するツールです。

MAとSFAの役割分担:

項目 MA(マーケティングオートメーション) SFA(営業支援)
対象 非対面の見込み客 対面商談中の顧客
目的 リード育成・選別 商談管理・受注
主な機能 メール配信、スコアリング、リード抽出 商談進捗管理、活動履歴、売上予測
担当部門 マーケティング 営業

MAで育成したホットリードをSFAで商談化する、という役割分担が基本となります。

(3) CRM(顧客関係管理)との関係性

CRM(Customer Relationship Management / 顧客関係管理)は、顧客情報を一元管理し、マーケティング・営業・サービス全部門で活用するシステムです。

MA/SFA/CRMの関係:

  • CRM: 顧客データの基盤(全部門で共通のデータベース)
  • MA: CRMのデータを活用してリードを育成
  • SFA: CRMのデータを活用して商談を管理

MA/CRM連携により、マーケティング・営業・サービス全部門が顧客への360度理解を深め、一貫性のあるアプローチが可能になります。

3. MAツールを営業活動に活かす具体的方法

(1) ホットリードの自動抽出

MAツールは、見込み客の行動を自動的に追跡し、成約可能性の高いホットリードを抽出します。

抽出の仕組み:

  1. 見込み客がWebサイトを訪問、資料をダウンロード、メールを開封
  2. MAツールがこれらの行動を記録し、スコアリング
  3. 一定基準(例:70点以上)を超えたリードを「ホットリード」として自動抽出
  4. 営業に通知し、フォローを促す

(2) リードスコアリングの活用

リードスコアリングとは、見込み客の行動(メール開封、資料ダウンロード、Webサイト訪問など)に点数を付け、関心度や成約可能性を数値化する手法です。

スコアリングの例:

  • 資料ダウンロード: +10点
  • メール開封: +5点
  • 料金ページ閲覧: +15点
  • セミナー参加: +20点

活用方法:

  • 一定基準(例:70点以上)を超えたリードを営業に自動パス
  • スコアに応じてフォローの優先順位を設定
  • 低スコアのリードには継続的なナーチャリングを実施

(3) ベストタイミングでの営業フォロー

MAツールは、リードが特定のアクション(料金ページ閲覧、資料ダウンロードなど)を起こしたタイミングで営業に通知します。

タイミング通知の例:

  • リードが料金ページを3回以上閲覧 → 営業に即座に通知
  • リードがメール内のリンクをクリック → リアルタイムでアラート
  • リードが競合比較記事を閲覧 → 検討段階に入ったことを通知

これにより、営業は見込み客の関心が高まっているタイミングで的確にアプローチできます。

(4) Web行動履歴の営業活用

MAツールが獲得したWeb行動履歴を、営業が商談に活用できます。

活用例:

  • どのページを閲覧したか(関心分野を把握)
  • どの資料をダウンロードしたか(課題を推測)
  • どのメールに反応したか(検討段階を理解)

これらの情報をSFA上に表示させることで、営業は顧客の関心や課題を事前に把握し、商談の質を高めることができます。

4. MA/SFA連携のメリットと実装方法

(1) 連携による生産性向上の仕組み

MA/SFA連携により、マーケティング部門と営業部門が「リードを活用した収益化」という同じゴールを目指せるようになります。

連携のメリット:

  • 情報共有の自動化: リードのスコアや行動履歴がSFAに自動反映
  • 営業の効率化: 確度の高いリードに絞ってアプローチ可能
  • マーケティングの改善: 営業からのフィードバック(受注・失注理由)をMAに反映
  • 一気通貫の施策検討: システム内で情報が共有され、全体最適な施策を立案

(2) 連携方法:API活用 vs オールインワン型ツール

MA/SFA連携には、主に2つの方法があります:

方法1:API連携

  • 異なるシステム同士をプログラムで接続し、データを自動的にやり取り
  • 例:HubSpot(MA)とSalesforce(SFA/CRM)をAPI連携
  • メリット: 既存システムを活かせる、柔軟なカスタマイズが可能
  • デメリット: 技術的な知識が必要、初期設定に時間がかかる

方法2:オールインワン型ツール

  • MA・SFA・CRM機能を1つのプラットフォームで提供
  • 例:HubSpot、Salesforce Marketing Cloud Account Engagement
  • メリット: 設定が簡単、データ連携が標準で完備
  • デメリット: ツールの乗り換えが必要な場合がある

(3) 連携項目の選定(スコアなど重要項目に絞る)

技術的には多くの項目を連携できますが、すべて連携すると作業負荷が大きくなります。連携項目は「スコア」など役立つもののみに絞ることが推奨されます。

推奨連携項目:

  • リードスコア(必須)
  • 最終アクション日時
  • 閲覧ページ履歴(主要ページのみ)
  • ダウンロード資料
  • メール開封・クリック履歴

避けるべき連携:

  • すべてのWebページ閲覧履歴(データ量が膨大になる)
  • 細かいクリック履歴(営業が活用しきれない)

(4) マーケティングと営業の組織連携(SLA設定等)

ツール連携だけでなく、組織としての連携も重要です。

SLA(Service Level Agreement)設定:

  • マーケティング: 月間〇〇件のホットリードを営業に提供
  • 営業: パスされたホットリードに24時間以内にフォロー

数値ダッシュボード共有:

  • リード数、ホットリード数、商談化率、受注率を共有
  • 受注・失注理由をマーケティングにフィードバック

これにより、マーケティングと営業が同じ目標に向かって協力できる体制が構築されます。

5. 活用事例と導入効果

(1) BtoB企業の導入事例(アポ獲得率6.3%→11.9%等)

株式会社LIGの事例:

  • 導入ツール: BowNow(国産MAツール)
  • 施策: リスト抽出によるホットリード営業
  • 効果: アポ獲得率が6.3%から11.9%に向上(約1.9倍)

成功要因:

  • MAツールがリード閲覧タイミングを営業に通知
  • 高確度リードを自動抽出し、営業が優先的にフォロー
  • 営業リソースを効率的に配分

(2) 2024年の国内人気ツール(Marketing Cloud Account Engagement、HubSpot等)

2024年12月時点の国内売れ筋MAツール:

1位:Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)

  • Salesforce社が提供するBtoB向けMAツール
  • SFA/CRM(Salesforce)との標準連携が強み
  • 大企業向け、高機能

2位:HubSpot

  • MA・SFA・CRM機能を統合したオールインワン型
  • 無料プランあり、中小〜中堅企業に人気
  • 使いやすさと拡張性が評価されている

その他、SATORI、Marketo、BowNowなども導入実績があります。ツール選定は、自社の課題・予算・既存システムとの相性を考慮する必要があります。

※ツールの機能や料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。

(3) よくある失敗パターンと対策

失敗パターン1:MAツール導入だけで満足し、営業との連携が不十分

  • 対策: MA/SFA連携を前提に導入計画を立て、組織全体で協力体制を構築

失敗パターン2:すべての項目を連携し、作業負荷が増大

  • 対策: 連携項目は「スコア」など役立つもののみに絞る

失敗パターン3:スコアリング基準が不適切で、ホットリードの質が低い

  • 対策: 営業からのフィードバックを基に、スコアリング基準を定期的に見直す

失敗パターン4:ツールの習熟に時間がかかり、導入初期に効果が出ない

  • 対策: 段階的な導入を推奨。まずは基本機能から開始し、徐々に高度な機能を活用

6. まとめ:営業でMAツールを成功させるポイント

MAツールを営業に活かすことで、ホットリードの自動抽出、ベストタイミングでのフォロー、営業リソースの効率的な配分が可能になります。MA/SFA連携により、マーケティングと営業が同じゴール(収益化)を目指せる体制を構築できます。

次のアクション:

  • 自社の営業課題を明確にする(リード不足、優先順位不明、連携不足など)
  • MA・SFA・CRMの役割分担を理解する
  • 連携項目を「スコア」など役立つもののみに絞る
  • 営業とマーケティングのSLA(目標・役割分担)を設定する
  • 段階的に導入し、営業からのフィードバックを基に改善を続ける

MAツール導入だけでは効果が出ません。営業との連携、組織全体での協力が成功の鍵となります。自社の課題に合ったツールを選定し、マーケティングと営業が一体となって取り組むことで、B2B営業の効率化と収益最大化を実現しましょう。

※この記事は2024-2025年時点の情報です。MAツールの機能や市場シェアは頻繁に変動するため、最新の動向も確認しながら実践してください。

よくある質問

Q1MAツールとSFAの違いは?

A1MAは非対面対応の自動化(マーケティング)を担当し、SFAは対面対応の管理(営業活動)を担当します。MAで育成したホットリードをSFAで商談化する役割分担が基本です。MAはリード獲得・育成・選別、SFAは商談管理・活動履歴記録・売上予測を担います。

Q2どのタイミングでマーケティングから営業にリードを渡すべきか?

A2リードスコアリングで一定の基準(例:70点以上)を超えたホットリードを自動抽出し、営業にパスします。スコア基準は企業ごとに調整が必要で、営業からのフィードバックを基に定期的に見直すことが推奨されます。

Q3MA導入で営業の負担は減るのか?

A3確度の高いリードに絞って営業できるため効率化します。ただし初期のツール習熟には時間がかかるため、段階的な導入が推奨されます。まずは基本機能から開始し、徐々に高度な機能を活用することで、営業の負担を軽減できます。

Q4MAとCRMの連携は必須か?

A4顧客データの一元管理と360度理解のためには連携が強く推奨されます。ただし連携項目は「スコア」など役立つもののみに絞り、作業負荷を軽減すべきです。すべての項目を連携すると、営業が活用しきれず、データ量が膨大になる可能性があります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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