MAツール選定で失敗したくない:市場シェアは判断材料になるか?
「MAツールを導入したいが、どれを選べばいいかわからない」「市場シェアの高いツールを選べば安心だろうか」「調べるほど情報が多く、判断に迷う」——こうした悩みを抱えているB2B企業のマーケティング担当者は少なくありません。
マーケティングオートメーション(MA)ツールの国内市場は急成長しており、2024年には約612億円規模に達し、2033年には1,272億円規模へ成長すると予測されています。市場の拡大に伴い、Salesforce Pardot、HubSpot、Marketo、BowNow、SATORIなど、多様なツールが提供されています。
一方で、MAツールの市場シェアランキングは調査機関により大きく異なり、「シェア1位」のツールも調査によって変わります。BOXIL調査ではカスタマーリングス、DataSign調査ではBowNow、ITMedia調査ではSalesforce Pardotがそれぞれ上位にランクインしており、単純なシェアだけでは判断できないのが実情です。
この記事では、国内MAツール市場シェアランキング2025、市場規模と成長予測、主要ツールの特徴、企業規模別の選定基準、導入率の推移を解説します。
この記事のポイント:
- MA市場は2024年約612億円規模、2033年には1,272億円(年率8.5%成長)へ拡大予測
- シェアランキングは調査により異なる(カスタマーリングス、BowNow、Salesforce Pardot等が上位)
- 国内ツール(BowNow、SATORI)は使いやすさ重視、海外ツール(Salesforce、HubSpot、Marketo)は機能豊富
- 導入率は2024年約30%に達し、BtoB企業の約47%が認知・導入済み
- 企業規模・業種・予算に応じた選定が重要で、シェアだけでは判断すべきでない
マーケティングオートメーション市場の現状
(1) 国内MA市場の急成長
日本のマーケティングオートメーション市場は、年率20-30%の高成長を続けています。
市場規模の推移:
- 2021年: 約600億円(矢野経済研究所)
- 2024年: 約612億円(GrowthInsight)
- 2026年: 865億円予測(矢野経済研究所)
- 2033年: 1,272億円予測、年率8.5%成長(GrowthInsight)
この成長の背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進、オンライン消費の拡大、リモートワークの普及などがあります。従来は大企業BtoB企業が中心でしたが、近年はBtoC企業や中小企業でも導入が加速しています。
(2) BtoB/BtoC企業での導入拡大
MAツールの導入は、BtoB企業だけでなくBtoC企業にも広がっています。
導入状況:
- BtoB企業4,663社調査: 約47%が認知または導入済み(ルシダス 2024年)
- 上場企業の導入率: 11.3%(2021年)
- 全体導入率: 2018年10% → 2021年17% → 2024年約30%に増加
BtoC企業では、EC事業者や小売業を中心に、パーソナライズされたメール配信やリード育成のニーズが高まっており、MAツールの活用が進んでいます。また、中小企業向けに低価格・使いやすい国内ツールが増えたことも、導入拡大の要因となっています。
(3) 国内ツールと海外ツールの競争
日本のMA市場では、国内ツールと海外ツールが拮抗しています。
国内ツール:
- BowNow、SATORI、List Finder、カスタマーリングス等
- 特徴: 日本語サポート充実、使いやすさ重視、初心者向け
海外ツール:
- Salesforce Pardot、HubSpot、Marketo、Eloqua等
- 特徴: 機能豊富、大企業向け、グローバル展開に対応
どちらを選ぶかは、企業規模、予算、必要な機能、社内のITリテラシーなどによって異なります。
国内MAツール市場シェアランキング2025
(1) BOXIL調査:カスタマーリングス・SATORI等
BOXIL Magazine(2025年3月)の調査によると、国内MAツールの市場シェアは以下の通りです:
- カスタマーリングス: 8.48%
- SATORI: 7.84%
- Marketo: 7.46%
- Salesforce: 7.21%
- その他
カスタマーリングスは、BtoC企業向けの機能に強みがあり、EC事業者や小売業での導入が進んでいます。SATORIは国内ツールとして、使いやすさと日本語サポートが評価されています。
(2) DataSign調査:BowNowが国内シェア1位
DataSignの調査では、BowNowが国内シェア1位と報告されています。
BowNowは、クラウドサーカス社が提供する国内ツールで、以下の特徴があります:
- 初期費用0円、月額費用も比較的安価(詳細は公式サイトで確認)
- 中小企業・スタートアップでの導入が多い
- 使いやすさ重視で、MAツール初心者でも扱いやすい
(3) ITMedia調査:Salesforce Pardot・HubSpot等
ITMediaの調査では、以下のランキングが報告されています:
- Salesforce Pardot: 20%台前半
- HubSpot: 上位
- BowNow: 上位
- Marketo: 上位
Salesforce Pardotは、Salesforceエコシステム(Salesforce CRM、Sales Cloud等)との統合が強みで、大企業や既存Salesforceユーザーでの導入が多いとされています。HubSpotは、中小企業・スタートアップを中心に世界135カ国以上で26.8万社が利用していると報告されています。
(4) シェアランキングは調査により異なる
上記のように、MAツールの市場シェアランキングは調査時期・対象・方法により大きく異なります。
シェアが異なる理由:
- 調査対象(上場企業、BtoB企業、全企業等)が異なる
- 調査方法(アンケート、利用実績、導入件数等)が異なる
- 調査時期(年次、四半期等)が異なる
そのため、「シェア1位だから最適」とは限りません。自社の企業規模、業種、予算、必要な機能に応じて、複数のツールを比較検討することが重要です。
MA市場規模と成長予測:2024-2033年
(1) 2024年:約612億円規模
GrowthInsightによると、2024年の日本のMA市場規模は約612億円と推定されています。
この数値は、BtoB/BtoC両方を含む市場全体の規模です。年率20-30%の高成長が続いており、コロナ禍以降のオンライン化・デジタル化の加速が市場拡大を後押ししています。
(2) 2026年:865億円予測(矢野経済研究所)
矢野経済研究所は、2026年の日本のMA市場規模を865億円と予測しています。
予測の根拠:
- 企業のDX推進が継続
- BtoC企業での導入加速
- 中小企業向け低価格ツールの普及
2021年の約600億円から2026年の865億円へ、約1.4倍の成長が見込まれています。
(3) 2033年:1,272億円予測(年率8.5%成長)
GrowthInsightは、2033年の日本のMA市場規模を1,272億円と予測しています。
長期成長予測:
- 2024年約612億円 → 2033年1,272億円
- 年率8.5%成長(CAGR: Compound Annual Growth Rate)
2024年以降は、初期の急成長期から安定成長期に移行すると予測されており、年率8.5%という成長率は、市場の成熟化を反映しています。
(4) DX推進・オンライン消費拡大が成長要因
MA市場の成長要因として、以下が挙げられます:
DX推進: 企業がデジタル技術を活用して業務プロセスを改革する動きが加速しており、MAツールはその中核を担うツールとして位置付けられています。
オンライン消費の拡大: コロナ禍を契機に、BtoB/BtoC問わずオンラインでの情報収集・購買が増加し、デジタルチャネルでのリード獲得・育成の重要性が高まっています。
リモートワークの普及: 営業活動のオンライン化が進み、対面営業が減少する中で、MAツールによるリード育成・商談化が重要な営業手法となっています。
主要MAツールの特徴と企業規模別の選定基準
(1) Salesforce Pardot:大企業・複雑な業務プロセス向け
Salesforce Pardotは、Salesforce社が提供するMAツールで、以下の特徴があります:
主な特徴:
- Salesforce CRM、Sales Cloudとのネイティブ連携
- 大規模なリード管理、複雑なワークフロー設定に対応
- 導入実績15万社以上(Salesforce全体)
適している企業:
- 大企業(従業員300名以上)
- 複雑な営業プロセスを持つ企業
- 既にSalesforce CRMを導入している企業
料金:
- Growth: $1,250/月(10,000リードまで)
- Plus: $2,500/月(10,000リードまで)
- Advanced: $4,000/月(10,000リードまで)
- ※2024年時点、為替により変動、最新情報は公式サイトでご確認ください
(2) HubSpot:中小企業・スタートアップ向け
HubSpotは、米国HubSpot社が提供するMAツールで、以下の特徴があります:
主な特徴:
- 無料プランから利用可能(基本機能)
- 使いやすいUI/UX、初心者でも扱いやすい
- 世界135カ国以上、26.8万社が利用
適している企業:
- 中小企業・スタートアップ(従業員50-300名)
- MAツール初心者
- まずは無料プランで試したい企業
料金:
- 無料プラン(基本機能)
- Marketing Hub Starter: $20/月/ユーザー
- Marketing Hub Professional: $890/月(3ユーザー含む)
- ※2024年時点、為替により変動、最新情報は公式サイトでご確認ください
(3) BowNow・SATORI:国内ツール、使いやすさ重視
BowNow、SATORIは、国内ツールとして以下の特徴があります:
BowNow:
- 初期費用0円、月額費用も比較的安価
- 日本語サポート充実
- 中小企業・スタートアップでの導入が多い
SATORI:
- 匿名リードの可視化が特徴
- 日本企業の営業プロセスに適した設計
- 使いやすさ重視
適している企業:
- 中小企業(従業員50-300名)
- 日本語サポートを重視する企業
- 海外ツールの複雑さを避けたい企業
(4) Marketo:エンタープライズ機能
Marketo(Adobe Marketo Engage)は、Adobe社が提供するMAツールで、以下の特徴があります:
主な特徴:
- エンタープライズ向け高機能MAツール
- Adobe Creative CloudやAdobe Analyticsとの連携
- 大規模なキャンペーン管理、高度なセグメンテーション
適している企業:
- 大企業(従業員300名以上)
- グローバル展開している企業
- 既にAdobeエコシステムを活用している企業
(5) 企業規模・業種・予算に応じた選定
MAツール選定では、シェアだけでなく以下の観点で比較検討することが重要です:
企業規模別の選定パターン:
小規模企業(従業員50人未満):
- HubSpot無料プラン、BowNow等の低価格ツール
- まずは無料トライアルで試す
中堅企業(従業員50-300名):
- HubSpot有料プラン、SATORI、List Finder等
- 日本語サポートと使いやすさを重視
大企業(従業員300名以上):
- Salesforce Pardot、Marketo、Eloqua等
- 複雑な業務プロセス対応、グローバル展開可能
業種別の選定ポイント:
BtoB企業:
- リードスコアリング、ナーチャリング機能を重視
- CRM/SFAとの連携が重要
BtoC企業:
- メール配信、パーソナライゼーション機能を重視
- EC連携、顧客データ分析が重要
導入率の推移と今後の展望
(1) 2018年10%→2024年約30%に増加
MAツールの導入率は、年々増加しています。
導入率の推移:
- 2018年: 10%
- 2021年: 17%
- 2024年: 約30%(推定)
この増加の背景には、DX推進、オンライン化の加速、中小企業向けツールの普及などがあります。
(2) BtoB企業4,663社調査:約47%が認知・導入済み
ルシダスによる2024年版マーケティングオートメーション利用状況白書では、BtoB企業4,663社を対象とした調査が実施されました。
調査結果:
- 約47%が認知または導入済み
- 上場企業約9%が導入(3,618社対象)
- 市場は約30%の導入率に達する見込み
BtoB企業での認知度が高まっており、今後も導入率の上昇が期待されます。
(3) 上場企業の導入率11.3%(2021年)
2021年時点での上場企業のMA導入率は11.3%と報告されています。
この数値は、全企業の導入率(17%)よりも低く、大企業ほど既存システムとの連携や社内承認プロセスが複雑なため、導入のハードルが高いことを示唆しています。一方、中小企業では低価格・使いやすいツールの普及により、導入が加速している傾向があります。
(4) 中小企業での導入加速
中小企業でのMA導入が加速している理由として、以下が挙げられます:
低価格ツールの普及: 初期費用0円、月額数万円から利用できるツール(BowNow、HubSpot無料プラン等)が増えたことで、中小企業でも導入しやすくなりました。
クラウド化: オンプレミス型からクラウド型に移行したことで、初期投資が不要となり、導入ハードルが下がりました。
リモートワーク普及: コロナ禍以降、営業活動のオンライン化が進み、デジタルチャネルでのリード獲得・育成の必要性が高まりました。
まとめ:自社に合ったMAツール選定のポイント
マーケティングオートメーション市場は、2024年約612億円規模から2033年には1,272億円規模へと成長する見込みで、年率8.5%の安定成長が予測されています。導入率も2024年約30%に達し、BtoB企業の約47%が認知・導入済みという状況です。
市場シェアランキングは調査により大きく異なり、カスタマーリングス、BowNow、Salesforce Pardot等が上位にランクインしていますが、シェアだけでツールを選定すべきではありません。企業規模・業種・予算・必要な機能に応じて、複数のツールを比較検討することが重要です。
国内ツール(BowNow、SATORI)は使いやすさと日本語サポートが強みで、中小企業向けです。海外ツール(Salesforce Pardot、HubSpot、Marketo)は機能豊富で大企業向けですが、習得に時間がかかるケースもあります。
次のアクション:
- 自社の企業規模、業種、予算、必要な機能を明確にする
- 複数のMAツール(3-5社)の公式サイトで最新情報を確認
- 無料トライアルやデモで実際の操作性を試す
- 導入実績のある同業種・同規模企業の事例を参考にする
- シェアだけでなく、自社に合った機能・サポート体制を重視する
自社に適したMAツールを選定し、リード獲得・育成の効率化と営業成果の最大化を目指しましょう。
