インサイドセールスのプロセス設計と効率化のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/26

インサイドセールスを立ち上げたいけれど、プロセス設計の方法が分からない...

BtoB企業でインサイドセールス組織の立ち上げや改善を検討しているものの、「どのようなプロセスで進めればいいのか」「マーケティングやフィールドセールスとの役割分担をどう決めればいいのか」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

インサイドセールスは、電話やメールなど非対面のコミュニケーションで見込み顧客を育成し、商談化につなげる営業手法です。成果を上げるためには、プロセス設計と部門間連携が重要になります。

この記事では、インサイドセールスのプロセス全体像と各ステップの実践方法、効率化のポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • インサイドセールスのプロセスは「リード獲得→スコアリング→アプローチ→商談化→引き継ぎ」の5段階で整理できる
  • マーケティング・フィールドセールスとの業務範囲を事前に明確化することが成功の鍵
  • KPIは行動量(架電数等)だけでなく、質(商談化率・受注率等)の指標も併用する
  • 企業規模・業種・組織体制によって最適なプロセスは異なるため、自社に合わせたカスタマイズが必要
  • CRM・SFA・MAツールを活用してデータ管理を徹底し、改善に繋げる

インサイドセールスのプロセス設計が重要な理由

まず、なぜプロセス設計が重要なのかを整理します。

(1) なぜプロセス設計が成果に直結するのか

インサイドセールスで成果を上げるためには、属人的な活動ではなく、再現性のあるプロセスを設計することが重要です:

プロセス設計のメリット:

  • 業務の標準化により、誰が担当しても一定の品質を維持できる
  • KPI設定により、改善ポイントが明確になる
  • 部門間の役割分担が明確になり、連携がスムーズになる

プロセス設計が不十分な場合のリスク:

  • 業務範囲が曖昧で、部門間で責任の押し付け合いが発生する
  • データが蓄積されず、改善に繋がらない
  • 成果が担当者のスキルに依存し、組織として再現性がない

(2) フィールドセールスとの違いとプロセスの特徴

インサイドセールスとフィールドセールスでは、プロセスの特徴が異なります:

インサイドセールス:

  • 電話・メール・Web会議など遠隔で活動
  • 見込み顧客の育成(ナーチャリング)、アポイント獲得が主な役割
  • 多数のリードに効率的にアプローチ可能

フィールドセールス:

  • 顧客先への訪問、対面での商談が中心
  • 提案・クロージング・契約が主な役割
  • 深い関係構築が可能だが、1日にアプローチできる数は限られる

両者の連携がスムーズにいくかどうかが、営業成果を左右します。

インサイドセールスのプロセス全体像

次に、プロセス全体像を把握しておきましょう。

(1) マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールスの連携

BtoB企業の営業プロセスは、一般的に以下のような流れで進みます:

  1. マーケティング: リード獲得(Webサイト、展示会、広告等)
  2. インサイドセールス: リード育成・商談化(電話、メール、Web会議)
  3. フィールドセールス: 提案・クロージング(対面商談、契約)

営業プロセス全体を図式化し、各部門で共有することで連携がスムーズになります。

(2) インバウンド型・アウトバウンド型のプロセス違い

インサイドセールスには2つのアプローチがあります:

インバウンド型:

  • 顧客からの問い合わせ(資料請求、デモ依頼等)に対応
  • 既に一定の関心を持っているリードへのアプローチ
  • 商談化率が比較的高い傾向

アウトバウンド型:

  • こちらから能動的に見込み顧客にアプローチ
  • 新規リードの開拓が可能
  • 接触率・商談化率はインバウンドより低い傾向

自社の営業戦略に応じて、どちらに重点を置くかを決めることが重要です。

(3) 業務範囲の明確化:リード発掘型・リード育成型

インサイドセールスの業務範囲は、組織によって最適なパターンが異なります:

リード発掘型(SDR: Sales Development Representative):

  • 新規リードの発掘に特化
  • アウトバウンドコールが中心

リード育成型(BDR: Business Development Representative):

  • 既存リードの育成・商談化に特化
  • インバウンドからのフォローが中心

どちらの型を採用するかは、商材・ターゲット・リード獲得手段によって異なります。

インサイドセールスの5つのプロセスステップ

具体的なプロセスを5つのステップに分けて解説します。

(1) ステップ1:リード獲得・リスト作成

最初のステップは、アプローチ対象となるリードの獲得・リスト作成です。

リード獲得の主な手段:

  • マーケティング部門からの引き渡し(Webサイト問い合わせ、資料ダウンロード等)
  • 展示会・セミナーでの名刺交換
  • データベースからのリスト作成(アウトバウンド型の場合)

リスト作成のポイント:

  • ターゲット条件を明確にする(業種、企業規模、役職等)
  • 重複・不正確なデータを除外する
  • CRM/MAツールで一元管理する

(2) ステップ2:リードスコアリング・優先順位付け

獲得したリードに優先順位を付け、効率的にアプローチします。

スコアリングの基準例:

  • 属性スコア: 業種、企業規模、役職などの属性
  • 行動スコア: Webサイト訪問、資料ダウンロード、メール開封などの行動

優先順位付けのポイント:

  • スコアの高いリードから優先的にアプローチ
  • 時間経過でスコアを減衰させる(関心度の鮮度を反映)
  • MAツールを活用すると効率化できる

(3) ステップ3:アプローチ・初回接触

優先順位に従って、電話・メールでアプローチします。

アプローチの基本フロー:

  1. 架電(電話をかける)
  2. 接続(担当者につながる)
  3. ヒアリング(課題・ニーズを確認)
  4. 日程打診(商談の日程調整)

シナリオ設計のポイント:

  • トークスクリプトを標準化しておく
  • リードの属性・行動履歴に応じてアプローチを変える
  • 接触履歴をCRM/SFAに記録する

(4) ステップ4:商談化・アポイント獲得

商談化の判断基準を明確にし、アポイントを獲得します。

商談化の判断基準(BANT例):

  • Budget(予算): 予算はあるか
  • Authority(決裁権): 決裁者か、または決裁者にアクセスできるか
  • Need(ニーズ): 明確な課題・ニーズがあるか
  • Timeline(時期): 導入検討の時期は具体的か

すべてを満たす必要はありませんが、商談化基準を事前に定めておくことで、質の高いアポイントを獲得できます。

(5) ステップ5:トスアップ・フィールドセールス引き継ぎ

商談化したリードをフィールドセールスに引き継ぎます。

トスアップのポイント:

  • 引き継ぎ条件を明確に定める(BANTの基準等)
  • ヒアリング内容・課題・期待事項を共有する
  • 引き継ぎ後のフィードバックを受け取り、改善に活かす

引き継ぎが曖昧だと「アポの質が悪い」「聞いていた内容と違う」といった問題が発生するため、事前の擦り合わせが重要です。

プロセス効率化のポイントとツール活用

プロセスを効率化するためのポイントを解説します。

(1) KPI設定:架電数・接続数・アポ獲得数・商談化率

日々の業務を改善するためには、KPIを設定して進捗を追跡することが重要です。

主なKPI例:

KPI 説明
架電数 電話をかけた回数
接続数 担当者につながった回数
アポ獲得数 商談のアポイントを獲得した数
商談化率 アポから実際に商談に進んだ割合
有効商談数 受注の可能性がある商談の数

KPI設定の注意点:

  • 行動量(架電数)だけでなく、質(商談化率・受注率)の指標も併用する
  • 日々の業務開始時にKPI進捗状況を確認する習慣をつける

(2) CRM・SFA・MAツールの使い分けと連携

インサイドセールスでは複数のツールを活用することが一般的です:

CRM(Customer Relationship Management):

  • 顧客情報を一元管理
  • 接触履歴、商談履歴を蓄積

SFA(Sales Force Automation):

  • 営業活動を効率化
  • 案件管理、パイプライン管理

MA(Marketing Automation):

  • マーケティング活動を自動化
  • リードスコアリング、メール配信

ツール間のデータ連携を整備し、情報のサイロ化を防ぐことが重要です。

(3) シナリオ設計とトークスクリプト標準化

業務の標準化により、誰が担当しても一定の品質を維持できます:

シナリオ設計:

  • 架電→接続→日程打診→商談設定→有効商談の流れを設計
  • リードの状況に応じた分岐を用意

トークスクリプト標準化:

  • 初回接触時の挨拶・ヒアリング項目を統一
  • よくある質問・反論への対応を用意
  • 成功パターンを共有し、継続的に改善

よくある課題とプロセス改善策

インサイドセールスでよくある課題と、その解決策を紹介します。

(1) 部門間の業務範囲が曖昧な問題と解決策

課題: マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの業務範囲が曖昧で、責任の押し付け合いが発生する。

解決策:

  • 営業プロセス全体を図式化し、各部門で共有する
  • マーケティングとの業務の線引き、フィールドセールスへのトスアップ条件を明確に擦り合わせる
  • 定期的なミーティングでフィードバックを共有する

(2) KPIが行動量のみで質が軽視される問題

課題: KPIを架電数などの行動量のみに設定すると、質が下がり、フィールドセールスから「アポの質が悪い」と不満が出る。

解決策:

  • 商談化率・受注率など質の指標を併せて設定する
  • フィールドセールスからのフィードバックをKPI評価に反映する
  • 有効商談数(受注の可能性がある商談)を重視する

(3) データ管理が杜撰で改善に繋がらない問題

課題: 活動ログがCRM/SFAに記録されず、改善に繋げるためのデータが蓄積されない。

解決策:

  • CRM/SFAへの記録を業務ルールとして徹底する
  • 入力項目を必要最小限に絞り、入力負荷を下げる
  • データを活用した振り返りミーティングを定期的に実施する

まとめ:企業規模・組織体制別のプロセス設計指針

インサイドセールスのプロセス設計について解説しました。ポイントをまとめます:

プロセス設計の基本:

  • 5つのステップ「リード獲得→スコアリング→アプローチ→商談化→引き継ぎ」で整理する
  • 営業プロセス全体を図式化し、部門間で共有する
  • KPIは行動量と質の両方を設定する

企業規模別のポイント:

小規模企業(従業員50人未満):

  • まずはシンプルなプロセスから始める
  • 少人数で兼務するケースも多いため、役割分担を柔軟に
  • ツールは必要最小限で開始し、段階的に拡充

中規模企業(従業員50〜300人):

  • 専任のインサイドセールスチームを設置
  • CRM/SFA/MAツールを導入し、データ管理を整備
  • マーケティング・フィールドセールスとの連携ルールを明確化

大規模企業(従業員300人以上):

  • インサイドセールス組織の専門化(SDR/BDRの分離等)
  • プロセスの標準化・オペレーションの効率化
  • データ分析による継続的な改善

次のアクション:

  • 自社の現状の営業プロセスを図式化する
  • 部門間の業務範囲・トスアップ条件を明確にする
  • KPIを設定し、日々の進捗を追跡する
  • CRM/SFAへのデータ入力を徹底する

インサイドセールスのプロセスは企業規模・業種・組織体制によって最適な形が異なります。この記事を参考に、自社に合ったプロセスを設計してください。

※この記事は2024年時点の情報に基づいています。ツールの仕様や料金は更新される可能性があるため、最新情報は各ツール公式サイトでご確認ください。

よくある質問:

Q: インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担は? A: インサイドセールスは電話・メールなど遠隔で見込み顧客育成・アポ獲得を担当し、フィールドセールスは対面で提案・クロージングを担当します。トスアップ条件を明確に定めることが重要です。

Q: マーケティングとの業務範囲はどう分ける? A: 一般的にはマーケティングがリード獲得、インサイドセールスがリード育成・商談化を担当します。ただし企業により最適な分担は異なるため、事前の擦り合わせが必要です。

Q: どのようなKPIを設定すべき? A: 架電数・接続数・アポ獲得数・商談化数・有効商談数など、プロセスごとの指標を設定します。行動量だけでなく、商談化率・受注率など質の指標も併用することが重要です。

Q: プロセス設計で最も重要なポイントは? A: 営業プロセス全体の図式化と部門間での共有です。マーケティング・フィールドセールスとの連携がスムーズになり、責任範囲も明確化されます。

よくある質問

Q1インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担は?

A1インサイドセールスは電話・メールなど遠隔で見込み顧客育成・アポ獲得を担当し、フィールドセールスは対面で提案・クロージングを担当します。トスアップ条件を明確に定めることが重要です。

Q2マーケティングとの業務範囲はどう分ける?

A2一般的にはマーケティングがリード獲得、インサイドセールスがリード育成・商談化を担当します。ただし企業により最適な分担は異なるため、事前の擦り合わせが必要です。

Q3どのようなKPIを設定すべき?

A3架電数・接続数・アポ獲得数・商談化数・有効商談数など、プロセスごとの指標を設定します。行動量だけでなく、商談化率・受注率など質の指標も併用することが重要です。

Q4プロセス設計で最も重要なポイントは?

A4営業プロセス全体の図式化と部門間での共有です。マーケティング・フィールドセールスとの連携がスムーズになり、責任範囲も明確化されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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