インサイドセールスを立ち上げたいけれど、プロセス設計の方法が分からない...
BtoB企業でインサイドセールス組織の立ち上げや改善を検討しているものの、「どのようなプロセスで進めればいいのか」「マーケティングやフィールドセールスとの役割分担をどう決めればいいのか」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
インサイドセールスは、電話やメールなど非対面のコミュニケーションで見込み顧客を育成し、商談化につなげる営業手法です。成果を上げるためには、プロセス設計と部門間連携が重要になります。
この記事では、インサイドセールスのプロセス全体像と各ステップの実践方法、効率化のポイントを解説します。
この記事のポイント:
- インサイドセールスのプロセスは「リード獲得→スコアリング→アプローチ→商談化→引き継ぎ」の5段階で整理できる
- マーケティング・フィールドセールスとの業務範囲を事前に明確化することが成功の鍵
- KPIは行動量(架電数等)だけでなく、質(商談化率・受注率等)の指標も併用する
- 企業規模・業種・組織体制によって最適なプロセスは異なるため、自社に合わせたカスタマイズが必要
- CRM・SFA・MAツールを活用してデータ管理を徹底し、改善に繋げる
インサイドセールスのプロセス設計が重要な理由
まず、なぜプロセス設計が重要なのかを整理します。
(1) なぜプロセス設計が成果に直結するのか
インサイドセールスで成果を上げるためには、属人的な活動ではなく、再現性のあるプロセスを設計することが重要です:
プロセス設計のメリット:
- 業務の標準化により、誰が担当しても一定の品質を維持できる
- KPI設定により、改善ポイントが明確になる
- 部門間の役割分担が明確になり、連携がスムーズになる
プロセス設計が不十分な場合のリスク:
- 業務範囲が曖昧で、部門間で責任の押し付け合いが発生する
- データが蓄積されず、改善に繋がらない
- 成果が担当者のスキルに依存し、組織として再現性がない
(2) フィールドセールスとの違いとプロセスの特徴
インサイドセールスとフィールドセールスでは、プロセスの特徴が異なります:
インサイドセールス:
- 電話・メール・Web会議など遠隔で活動
- 見込み顧客の育成(ナーチャリング)、アポイント獲得が主な役割
- 多数のリードに効率的にアプローチ可能
フィールドセールス:
- 顧客先への訪問、対面での商談が中心
- 提案・クロージング・契約が主な役割
- 深い関係構築が可能だが、1日にアプローチできる数は限られる
両者の連携がスムーズにいくかどうかが、営業成果を左右します。
インサイドセールスのプロセス全体像
次に、プロセス全体像を把握しておきましょう。
(1) マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールスの連携
BtoB企業の営業プロセスは、一般的に以下のような流れで進みます:
- マーケティング: リード獲得(Webサイト、展示会、広告等)
- インサイドセールス: リード育成・商談化(電話、メール、Web会議)
- フィールドセールス: 提案・クロージング(対面商談、契約)
営業プロセス全体を図式化し、各部門で共有することで連携がスムーズになります。
(2) インバウンド型・アウトバウンド型のプロセス違い
インサイドセールスには2つのアプローチがあります:
インバウンド型:
- 顧客からの問い合わせ(資料請求、デモ依頼等)に対応
- 既に一定の関心を持っているリードへのアプローチ
- 商談化率が比較的高い傾向
アウトバウンド型:
- こちらから能動的に見込み顧客にアプローチ
- 新規リードの開拓が可能
- 接触率・商談化率はインバウンドより低い傾向
自社の営業戦略に応じて、どちらに重点を置くかを決めることが重要です。
(3) 業務範囲の明確化:リード発掘型・リード育成型
インサイドセールスの業務範囲は、組織によって最適なパターンが異なります:
リード発掘型(SDR: Sales Development Representative):
- 新規リードの発掘に特化
- アウトバウンドコールが中心
リード育成型(BDR: Business Development Representative):
- 既存リードの育成・商談化に特化
- インバウンドからのフォローが中心
どちらの型を採用するかは、商材・ターゲット・リード獲得手段によって異なります。
インサイドセールスの5つのプロセスステップ
具体的なプロセスを5つのステップに分けて解説します。
(1) ステップ1:リード獲得・リスト作成
最初のステップは、アプローチ対象となるリードの獲得・リスト作成です。
リード獲得の主な手段:
- マーケティング部門からの引き渡し(Webサイト問い合わせ、資料ダウンロード等)
- 展示会・セミナーでの名刺交換
- データベースからのリスト作成(アウトバウンド型の場合)
リスト作成のポイント:
- ターゲット条件を明確にする(業種、企業規模、役職等)
- 重複・不正確なデータを除外する
- CRM/MAツールで一元管理する
(2) ステップ2:リードスコアリング・優先順位付け
獲得したリードに優先順位を付け、効率的にアプローチします。
スコアリングの基準例:
- 属性スコア: 業種、企業規模、役職などの属性
- 行動スコア: Webサイト訪問、資料ダウンロード、メール開封などの行動
優先順位付けのポイント:
- スコアの高いリードから優先的にアプローチ
- 時間経過でスコアを減衰させる(関心度の鮮度を反映)
- MAツールを活用すると効率化できる
(3) ステップ3:アプローチ・初回接触
優先順位に従って、電話・メールでアプローチします。
アプローチの基本フロー:
- 架電(電話をかける)
- 接続(担当者につながる)
- ヒアリング(課題・ニーズを確認)
- 日程打診(商談の日程調整)
シナリオ設計のポイント:
- トークスクリプトを標準化しておく
- リードの属性・行動履歴に応じてアプローチを変える
- 接触履歴をCRM/SFAに記録する
(4) ステップ4:商談化・アポイント獲得
商談化の判断基準を明確にし、アポイントを獲得します。
商談化の判断基準(BANT例):
- Budget(予算): 予算はあるか
- Authority(決裁権): 決裁者か、または決裁者にアクセスできるか
- Need(ニーズ): 明確な課題・ニーズがあるか
- Timeline(時期): 導入検討の時期は具体的か
すべてを満たす必要はありませんが、商談化基準を事前に定めておくことで、質の高いアポイントを獲得できます。
(5) ステップ5:トスアップ・フィールドセールス引き継ぎ
商談化したリードをフィールドセールスに引き継ぎます。
トスアップのポイント:
- 引き継ぎ条件を明確に定める(BANTの基準等)
- ヒアリング内容・課題・期待事項を共有する
- 引き継ぎ後のフィードバックを受け取り、改善に活かす
引き継ぎが曖昧だと「アポの質が悪い」「聞いていた内容と違う」といった問題が発生するため、事前の擦り合わせが重要です。
プロセス効率化のポイントとツール活用
プロセスを効率化するためのポイントを解説します。
(1) KPI設定:架電数・接続数・アポ獲得数・商談化率
日々の業務を改善するためには、KPIを設定して進捗を追跡することが重要です。
主なKPI例:
| KPI | 説明 |
|---|---|
| 架電数 | 電話をかけた回数 |
| 接続数 | 担当者につながった回数 |
| アポ獲得数 | 商談のアポイントを獲得した数 |
| 商談化率 | アポから実際に商談に進んだ割合 |
| 有効商談数 | 受注の可能性がある商談の数 |
KPI設定の注意点:
- 行動量(架電数)だけでなく、質(商談化率・受注率)の指標も併用する
- 日々の業務開始時にKPI進捗状況を確認する習慣をつける
(2) CRM・SFA・MAツールの使い分けと連携
インサイドセールスでは複数のツールを活用することが一般的です:
CRM(Customer Relationship Management):
- 顧客情報を一元管理
- 接触履歴、商談履歴を蓄積
SFA(Sales Force Automation):
- 営業活動を効率化
- 案件管理、パイプライン管理
MA(Marketing Automation):
- マーケティング活動を自動化
- リードスコアリング、メール配信
ツール間のデータ連携を整備し、情報のサイロ化を防ぐことが重要です。
(3) シナリオ設計とトークスクリプト標準化
業務の標準化により、誰が担当しても一定の品質を維持できます:
シナリオ設計:
- 架電→接続→日程打診→商談設定→有効商談の流れを設計
- リードの状況に応じた分岐を用意
トークスクリプト標準化:
- 初回接触時の挨拶・ヒアリング項目を統一
- よくある質問・反論への対応を用意
- 成功パターンを共有し、継続的に改善
よくある課題とプロセス改善策
インサイドセールスでよくある課題と、その解決策を紹介します。
(1) 部門間の業務範囲が曖昧な問題と解決策
課題: マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの業務範囲が曖昧で、責任の押し付け合いが発生する。
解決策:
- 営業プロセス全体を図式化し、各部門で共有する
- マーケティングとの業務の線引き、フィールドセールスへのトスアップ条件を明確に擦り合わせる
- 定期的なミーティングでフィードバックを共有する
(2) KPIが行動量のみで質が軽視される問題
課題: KPIを架電数などの行動量のみに設定すると、質が下がり、フィールドセールスから「アポの質が悪い」と不満が出る。
解決策:
- 商談化率・受注率など質の指標を併せて設定する
- フィールドセールスからのフィードバックをKPI評価に反映する
- 有効商談数(受注の可能性がある商談)を重視する
(3) データ管理が杜撰で改善に繋がらない問題
課題: 活動ログがCRM/SFAに記録されず、改善に繋げるためのデータが蓄積されない。
解決策:
- CRM/SFAへの記録を業務ルールとして徹底する
- 入力項目を必要最小限に絞り、入力負荷を下げる
- データを活用した振り返りミーティングを定期的に実施する
まとめ:企業規模・組織体制別のプロセス設計指針
インサイドセールスのプロセス設計について解説しました。ポイントをまとめます:
プロセス設計の基本:
- 5つのステップ「リード獲得→スコアリング→アプローチ→商談化→引き継ぎ」で整理する
- 営業プロセス全体を図式化し、部門間で共有する
- KPIは行動量と質の両方を設定する
企業規模別のポイント:
小規模企業(従業員50人未満):
- まずはシンプルなプロセスから始める
- 少人数で兼務するケースも多いため、役割分担を柔軟に
- ツールは必要最小限で開始し、段階的に拡充
中規模企業(従業員50〜300人):
- 専任のインサイドセールスチームを設置
- CRM/SFA/MAツールを導入し、データ管理を整備
- マーケティング・フィールドセールスとの連携ルールを明確化
大規模企業(従業員300人以上):
- インサイドセールス組織の専門化(SDR/BDRの分離等)
- プロセスの標準化・オペレーションの効率化
- データ分析による継続的な改善
次のアクション:
- 自社の現状の営業プロセスを図式化する
- 部門間の業務範囲・トスアップ条件を明確にする
- KPIを設定し、日々の進捗を追跡する
- CRM/SFAへのデータ入力を徹底する
インサイドセールスのプロセスは企業規模・業種・組織体制によって最適な形が異なります。この記事を参考に、自社に合ったプロセスを設計してください。
※この記事は2024年時点の情報に基づいています。ツールの仕様や料金は更新される可能性があるため、最新情報は各ツール公式サイトでご確認ください。
よくある質問:
Q: インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担は? A: インサイドセールスは電話・メールなど遠隔で見込み顧客育成・アポ獲得を担当し、フィールドセールスは対面で提案・クロージングを担当します。トスアップ条件を明確に定めることが重要です。
Q: マーケティングとの業務範囲はどう分ける? A: 一般的にはマーケティングがリード獲得、インサイドセールスがリード育成・商談化を担当します。ただし企業により最適な分担は異なるため、事前の擦り合わせが必要です。
Q: どのようなKPIを設定すべき? A: 架電数・接続数・アポ獲得数・商談化数・有効商談数など、プロセスごとの指標を設定します。行動量だけでなく、商談化率・受注率など質の指標も併用することが重要です。
Q: プロセス設計で最も重要なポイントは? A: 営業プロセス全体の図式化と部門間での共有です。マーケティング・フィールドセールスとの連携がスムーズになり、責任範囲も明確化されます。
