インサイドセールスとは?役割・導入方法・成功のポイント徹底解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/11

インサイドセールスとは?

「営業担当者が外回りで忙しく、新規リードのフォローが追いつかない」「商談化率が低く、営業リソースを効率的に活用できていない」——こうした課題を抱えるB2B企業が増えています。

これらの課題を解決する手法として注目されているのが「インサイドセールス」です。この記事では、インサイドセールスの定義、フィールドセールスとの違い、導入メリット・デメリット、組織体制、立ち上げ手順を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • インサイドセールスは、電話・メール・Web会議等を活用した非対面営業活動で、リード育成と商談化が主な役割
  • テレアポとは異なり、長期的なコミュニケーションで見込み客の検討度を高め、質の高い商談を創出する
  • SDR(反響型営業)とBDR(新規開拓型営業)の2つの役割があり、企業の戦略により選択・併用する
  • 導入メリットは営業効率化・商談数増加・データ蓄積だが、非対面の限界や部門間連携の難しさもデメリットとして存在
  • 立ち上げには、目的の明確化・組織構築・ツール選定(MA・SFA・CRM等)・KPI設定・部門間連携ルール策定が必要

(1) インサイドセールスの定義

インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議ツール等を活用し、非対面で行う営業活動のことです。内勤営業、リモートセールスとも呼ばれます。

従来のフィールドセールス(訪問営業)と分業することで、以下の役割を担います:

インサイドセールスの主な役割:

  • リードナーチャリング: マーケティングで獲得したリード(見込み客)を育成し、購買意欲を高める
  • リードクオリフィケーション: 商談化の可能性が高いリードを選別し、フィールドセールスに引き継ぐ
  • 初回商談の実施: Web会議ツールで初回ヒアリングを行い、ニーズを把握

活動の流れ(例):

  1. マーケティングが資料ダウンロード者のリストを作成
  2. インサイドセールスがメール・電話でフォロー
  3. 定期的な情報提供で関係構築(数週間〜数ヶ月)
  4. 検討度が高まったリードをフィールドセールスに引き継ぎ
  5. フィールドセールスが訪問し、商談・受注

このように、インサイドセールスは「見込み客を育成し、フィールドセールスとの商談機会を創出する」ことが最大の役割です。

(2) テレアポとの違い

インサイドセールスと混同されやすいのが**テレアポ(テレフォンアポインター)**です。両者の違いを整理します。

項目 インサイドセールス テレアポ
目的 長期的な関係構築・商談の質向上 短期間で多くのアポ獲得
期間 数週間〜数ヶ月かけて育成 1回の電話でアポ取得
活動内容 メール・電話・Web商談で継続的にコミュニケーション 電話のみで短時間に多数架電
評価指標 商談数・有効商談率・受注数 アポ取得数・架電数
必要スキル 顧客理解・課題ヒアリング・提案力 架電スクリプトの遂行・数をこなす力

テレアポとの最大の違い: テレアポは「とにかくアポを取る」ことが目的ですが、インサイドセールスは「商談の質を高める」ことが目的です。そのため、インサイドセールスでは以下のような活動が重視されます:

  • 顧客の課題を深掘りするヒアリング
  • 業界・企業の事前リサーチ
  • 定期的な情報提供(ホワイトペーパー、事例資料等)
  • 顧客の検討状況に応じた最適なタイミングでのアプローチ

このため、「目的と役割を明確化せずに立ち上げると、単なるテレアポ部隊になってしまう」という失敗が多く報告されています。

フィールドセールスとの違い

インサイドセールスとフィールドセールスの違いを、営業手法・役割分担・分業体制のメリットの観点から解説します。

(1) 営業手法の違い(対面vs非対面)

項目 インサイドセールス フィールドセールス
場所 オフィス(内勤) 顧客先訪問(外勤)
手法 電話・メール・Web会議 対面商談
1日の対応件数 10〜20件以上 2〜5件
移動コスト なし 交通費・時間が発生
顧客との関係性 初期〜中期の関係構築 深い関係構築・クロージング

(2) 役割分担の考え方

従来型(フィールドセールスのみ):

  • 1人の営業担当者が「初回アプローチ → 商談 → クロージング → 契約後フォロー」をすべて担当
  • リードが増えると、既存顧客対応と新規開拓の両立が困難に

分業型(インサイドセールス + フィールドセールス):

  • インサイドセールス: 初回アプローチ〜商談化(リード育成)
  • フィールドセールス: 商談〜クロージング(受注活動)

これにより、フィールドセールスは**「商談の質が高いリードのみ」に時間を集中**でき、受注率が向上します。

(3) 分業体制のメリット

ケーススタディ(福利厚生サービス提供企業):

  • 導入前: フィールドセールスが新規開拓も既存フォローも担当し、1日4〜5件の商談が限界
  • 導入後: インサイドセールスがリード育成を担当し、フィールドセールスは質の高い商談のみに集中
  • 成果: 1日の商談数が14件以上に増加

分業のメリット:

  • 営業効率化: 移動時間削減により、1日あたりの対応件数が増加
  • 商談の質向上: フィールドセールスが「確度の高いリード」のみに集中
  • 専門性の向上: インサイドセールスがリード育成に特化し、ノウハウ蓄積

インサイドセールス導入のメリットとデメリット

インサイドセールス導入により期待できるメリットと、注意すべきデメリットを解説します。

(1) メリット(営業効率化、商談数増加、データ蓄積)

メリット1: 営業効率化

  • 移動時間がゼロになり、1日10〜20件以上のリードにアプローチ可能
  • 電話・メールで短時間に多くの顧客と接点を持てる
  • Web商談ツール(Zoom等)で全国の顧客に対応可能

メリット2: 商談数の増加

  • インサイドセールスが初回アプローチを担当することで、フィールドセールスが商談に集中できる
  • 「受注数3倍」「商談数14件以上(従来4〜5件)」等の成果報告がある

メリット3: データ蓄積と改善

  • 電話の録音、メールの開封率、Web商談の内容をすべてデータ化
  • SFA・CRMに記録し、「どのアプローチが商談化につながったか」を分析
  • PDCAサイクルで継続的に改善

メリット4: コスト削減

  • 交通費・出張費が削減
  • 営業担当者を全国に配置する必要がなくなる

(2) デメリット(非対面の限界、部門間連携の難しさ、ツール投資)

デメリット1: 非対面の限界

  • 商品・サービスの魅力が伝わりにくい(特に高額商品、複雑な製品)
  • 顧客の反応や関心の変化が読み取りにくい
  • 信頼関係の構築に時間がかかる場合がある

デメリット2: 部門間連携の難しさ

  • インサイドセールスとフィールドセールス間で「有効商談」の定義がずれると、「質の低いリードばかり渡される」という不満が発生
  • 定例会や引き継ぎルールの整備が必要で、組織運営の負荷が増加

デメリット3: ツール投資とシステム整備

  • MA(マーケティングオートメーション)、SFA(営業支援システム)、CRM、Web商談ツール、CTI(電話統合ツール)等の投資が必要
  • 初期費用:50万円〜300万円程度が一般的
  • ランニングコスト:月額10万円〜50万円程度

デメリット4: 人材定着の課題 2024年の調査によると、74.1%のインサイドセールス担当者が離職を考えた経験があるというデータがあります。理由として、以下が挙げられています:

  • 成果が出るまでに時間がかかり、モチベーション維持が難しい
  • 非対面のため、顧客との関係構築の実感が得にくい
  • キャリアパスが不明確

(3) 向いている企業・向いていない企業

インサイドセールスが向いている企業:

  • 月間リード数が50件以上ある
  • 営業担当者が5名以上いる
  • 商談サイクルが長い(数週間〜数ヶ月)
  • 全国の顧客にリーチしたい

インサイドセールスが向いていない企業:

  • 月間リード数が20件未満
  • 営業担当者が3名以下
  • 高額商品で対面での信頼構築が必須
  • 既存顧客フォローがメイン(新規開拓が少ない)

インサイドセールスの組織体制と役割

インサイドセールスには、主に**SDR(反響型営業)BDR(新規開拓型営業)**の2つの役割があります。

(1) SDR(反響型営業)の役割

**SDR(Sales Development Representative)**は、マーケティング活動で獲得したインバウンドリードをナーチャリングし、商談化する役割です。

SDRの業務フロー:

  1. マーケティングがWebサイト経由で獲得したリスト(資料ダウンロード、セミナー参加者等)を受け取る
  2. メール・電話で初回アプローチ
  3. 定期的な情報提供(ホワイトペーパー、事例資料等)
  4. 検討度が高まったタイミングでWeb商談を実施
  5. 商談化の可能性が高いリードをフィールドセールスに引き継ぎ

SDRのKPI例:

  • メール開封率
  • 初回対応率(リード受領後24時間以内の対応)
  • Web商談実施数
  • 商談化数
  • 有効商談率(フィールドセールスが「質が高い」と評価した商談の割合)

(2) BDR(新規開拓型営業)の役割

**BDR(Business Development Representative)**は、ターゲット企業リストに基づいてアウトバウンドで新規開拓を行う役割です。

BDRの業務フロー:

  1. ターゲット企業リストを作成(業種・企業規模・地域等で絞り込み)
  2. 企業情報を事前リサーチ(公式サイト、ニュース、決算資料等)
  3. 電話・メールでアプローチ
  4. 課題ヒアリングを実施
  5. 商談化の可能性が高いリードをフィールドセールスに引き継ぎ

BDRのKPI例:

  • 架電数/架電率
  • メール送信数/返信率
  • 初回接続数(キーマンと会話できた件数)
  • 商談化数
  • 受注数(最終的な成果)

SDRとBDRの使い分け:

項目 SDR BDR
リード源 マーケティング経由(インバウンド) 自社リスト(アウトバウンド)
難易度 比較的易しい(既に興味あり) 高い(ゼロからの関係構築)
適した企業 Webマーケが強い企業 ターゲット企業が明確な企業

(3) チーム構成とマネージャーの重要性

初期チーム構成の推奨:

  • マネージャー: 1名(フィールドセールス経験者が望ましい)
  • オペレーター(SDR/BDR担当): 2〜3名

マネージャーの役割:

  • フィールドセールスとの連携ルール策定
  • KPI設定とモニタリング
  • オペレーターの教育・育成
  • トークスクリプトの作成・改善

重要なポイント: 立ち上げ時は、フィールドセールス経験者をマネージャーに任命することが推奨されます。理由は以下の通りです:

  • フィールドセールスの視点で「どのようなリードが商談化しやすいか」を理解している
  • 部門間の橋渡し役として、連携ルールを設計できる
  • インサイドセールスとフィールドセールスのバランスを保てる

インサイドセールスの立ち上げ手順

インサイドセールスの立ち上げを成功させるための5つの手順を解説します。

(1) 目的と役割の明確化

最も重要なステップは、「なぜインサイドセールスを立ち上げるのか」を明確にすることです。

よくある失敗:

  • 目的が曖昧なまま立ち上げると、「とにかくアポを取れ」というテレアポ部隊になってしまう
  • インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担が不明確で、両部門が対立

目的の例:

  • 新規リードのフォロー漏れを防ぎ、商談化率を向上させる
  • フィールドセールスを「質の高い商談」に集中させ、受注率を向上させる
  • 全国の顧客に効率的にリーチする

(2) 組織体制の構築

体制構築のポイント:

  • 初期は小規模(マネージャー1名 + オペレーター2〜3名)から開始
  • フィールドセールス経験者をマネージャーに任命
  • SDRとBDRのどちらを優先するか決定(または両方実施)

(3) 必要ツールの選定(MA・SFA・CRM・Web商談ツール等)

インサイドセールスに必要な主なツールは以下の通りです。

ツール種別 主な機能 代表的な製品 月額料金目安
MA リード育成、メール配信、スコアリング HubSpot、Pardot、SATORI 15万円〜
SFA・CRM 顧客情報管理、商談管理、活動履歴 Salesforce、HubSpot、Zoho 3,000円〜/ユーザー
Web商談ツール オンライン商談、画面共有 Zoom、Google Meet、Microsoft Teams 無料〜2,000円/ユーザー
CTI 電話統合、通話録音、架電履歴 MiiTel、カイクラ 5,000円〜/ユーザー

ツール選定のポイント:

  • ツール間の連携性: MA・SFA・CRMがシームレスに連携できるか
  • 初期費用とランニングコスト: 総コストを見積もる
  • 使いやすさ: 現場の担当者が使いこなせるか

(4) KPI設定(架電数、商談数、受注数等)

インサイドセールスのKPIは、「基本KPI」を「商談数」または「有効商談数」に設定するのが推奨されます。

KPI設定の考え方:

  • フィールドセールスのリソースが十分: 基本KPIを「商談数」に設定
  • フィールドセールスのリソースが限られている: 基本KPIを「有効商談数」に設定し、質を重視

KPIの例(SDR):

  • 架電数/架電率
  • メール開封率
  • 初回対応率(24時間以内)
  • Web商談実施数
  • 商談化数
  • 有効商談率
  • 受注数(最終的な成果)

(5) フィールドセールスとの連携ルール策定

最も重要な連携ルール:

  • 「有効商談」の定義を事前にすり合わせる

有効商談の定義例:

  • 予算が確保されている
  • 決裁者と接触できている
  • 導入時期が6ヶ月以内
  • 競合他社と比較検討中

この定義が曖昧だと、インサイドセールスは「商談化できた」と判断して引き継いでも、フィールドセールスは「質が低い」と感じ、不満が蓄積します。

その他の連携ルール:

  • 定例会の頻度(週次から開始し、運用が安定したら月次へ)
  • 引き継ぎ時の情報共有方法(SFA・CRMに記録すべき項目)
  • 商談後のフィードバック(フィールドセールスから「この商談は質が高かった/低かった」を共有)

まとめ:インサイドセールス導入の成功ポイント

インサイドセールスは、営業効率化と商談数増加を実現する有効な手法ですが、「導入すれば即成果」ではありません。組織文化・業界特性・既存の営業体制に応じた適切な設計が必要です。

インサイドセールス導入の成功ポイント:

  • 目的を明確に: 「なぜ導入するのか」「どのような成果を期待するのか」を全社で共有
  • 役割分担の明確化: インサイドセールスとフィールドセールスの役割を明確に定義
  • 小規模から開始: マネージャー1名 + オペレーター2〜3名の小規模チームで検証
  • フィールドセールス経験者をマネージャーに: 部門間連携の橋渡し役として重要
  • ツール投資を惜しまない: MA・SFA・CRM・Web商談ツールは必須
  • KPI設定と改善: データに基づいた継続的な改善
  • 「有効商談」の定義をすり合わせる: インサイドセールスとフィールドセールス間の認識のずれを防ぐ

次のアクション:

  • 自社の営業課題を整理する(新規開拓が進まない、商談化率が低い等)
  • 月間リード数を確認する(50件以上あれば導入効果が見込める)
  • インサイドセールスの役割(SDR・BDR)を決定する
  • 必要なツール(MA・SFA・CRM)の比較検討を開始する
  • フィールドセールスと「有効商談」の定義をすり合わせる

自社の課題と目標に合わせたインサイドセールス体制を構築し、営業活動の効率化を実現しましょう。

よくある質問

Q1インサイドセールスとテレアポの違いは?

A1テレアポは短時間で多くのアポ獲得を目的としますが、インサイドセールスは長期的なコミュニケーションで見込み顧客の検討度を高め、質の高い商談を創出することが目的です。活動期間も、テレアポは1回の電話で完結しますが、インサイドセールスは数週間〜数ヶ月かけて関係構築します。

Q2SDRとBDRの違いは?

A2SDR(Sales Development Representative)は反響型営業(インバウンド)で、マーケティング活動で獲得したリードを育成・商談化します。BDR(Business Development Representative)は新規開拓型営業(アウトバウンド)で、ターゲット企業リストに基づいてゼロから新規開拓を行います。

Q3小規模企業でもインサイドセールスは必要?

A3営業担当者が5名未満、月間リード数が20件未満の場合は分業の効果が薄く、まずはフィールドセールスで顧客を獲得してから検討すべきです。月間リード数が50件以上、営業担当者が5名以上いれば導入効果が見込めます。

Q4インサイドセールスに必要なツールは?

A4基本セットは、MA(リード育成)、SFA・CRM(顧客情報管理)、Web商談ツール(Zoom等)、CTI(電話統合)です。ツール間の連携性が重要で、MA・SFA・CRMがシームレスに連携できるかを確認してください。初期費用は50万円〜300万円、月額ランニングコストは10万円〜50万円が目安です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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