インサイドセールスによる法人営業|効率的なBtoB営業体制の構築方法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/25

法人営業の生産性に課題を感じていませんか?

「営業担当者が移動時間に追われて商談数が増えない」「営業活動が属人化していて、組織としてノウハウが蓄積されない」──こうした法人営業の課題を抱えるBtoB企業は少なくありません。

これらの課題を解決する手法として注目されているのが「インサイドセールス」です。電話やメール、オンライン会議を活用した非対面の営業活動により、営業効率を大幅に向上させることができます。

この記事では、インサイドセールスによる法人営業の構築方法について、役割分担、組織体制、ツール選定、KPI設計まで実務視点で解説します。

この記事のポイント:

  • インサイドセールスは非対面で商談獲得までを担当、フィールドセールスは受注までを担当
  • 移動時間を削減することで、1日4〜5件だった商談数を14件以上にまで増やした事例もある
  • MAツール、SFA/CRM、Web会議ツール、CTIなど6カテゴリのツールが主に使用される
  • インサイドセールスのKPIは架電件数・商談獲得率、フィールドセールスは受注率・受注金額
  • 体制構築から3〜6ヶ月で初期成果が見え始める

1. インサイドセールスによる法人営業が注目される背景

(1) 労働人口減少と少人数での生産性向上の必要性

少子高齢化の影響で労働人口が減少する中、少人数で営業の生産性を高める必要性が増しています。インサイドセールスは、移動時間を削減し、1人あたりの顧客接点を増やすことができる手法として注目されています。

従来のフィールドセールス中心の課題:

  • 移動時間が多く、1日の商談数に限界がある
  • 営業担当者個人に依存し、ノウハウが組織に蓄積されにくい
  • 広いエリアをカバーするには人員が必要

インサイドセールスを導入することで、これらの課題を軽減し、限られた人員でも効率的な営業活動が可能になります。

(2) コロナ禍による非対面営業への抵抗感の減少

コロナ禍を経て、BtoB企業においても非対面での商談に対する抵抗感が大幅に減少しました。オンライン会議が一般化したことで、インサイドセールスを導入しやすい環境が整っています。

非対面営業が浸透した結果:

  • 初回商談はオンラインで実施することが一般的に
  • 地方や海外の顧客へのアプローチが容易に
  • 移動コスト削減と商談効率の向上を両立

2. インサイドセールスとは|フィールドセールスとの違い

(1) インサイドセールスの定義|非対面で商談獲得まで

インサイドセールス とは、電話やメール、オンライン会議システムを使用して、非対面で顧客にアプローチする営業手法です。主に見込み顧客(リード)への接触から商談獲得までを担当します。

インサイドセールスの主な業務:

  • 見込み顧客への電話・メールでのアプローチ
  • 顧客ニーズのヒアリングと課題の把握
  • 商談機会の創出とフィールドセールスへの引き継ぎ
  • 顧客情報のCRM/SFAへの記録

(2) フィールドセールスとの役割分担|受注までを担当

フィールドセールス は、インサイドセールスから引き継いだ商談を、対面(オンラインミーティング含む)で進め、受注まで導く役割を担います。

インサイドセールスとフィールドセールスの比較:

項目 インサイドセールス フィールドセールス
アプローチ方法 非対面(電話・メール・オンライン) 対面(オンラインミーティング含む)
主な担当範囲 リードへのアプローチ〜商談獲得 商談〜受注
主なKPI 架電件数、商談獲得率 受注率、受注金額
強み 多くの顧客に効率的にアプローチ 深い関係構築と提案力

(参考:Salesforce「インサイドセールスとフィールドセールスの連携ポイント」2024年)

(3) テレアポとの違い|リードナーチャリングと商談化

インサイドセールスは単なる「テレアポ」とは異なります。テレアポが主にアポイント獲得を目的とするのに対し、インサイドセールスはより幅広い役割を担います。

インサイドセールスとテレアポの違い:

  • 目的: テレアポは「アポ獲得」、インサイドセールスは「顧客の課題把握と最適な商談創出」
  • 関係構築: インサイドセールスは継続的な接触でリードを育成(ナーチャリング)
  • 情報蓄積: 顧客情報をCRM/SFAに記録し、組織で共有

3. 法人営業におけるインサイドセールスの役割分担

(1) The Model型営業体制|マーケティング→IS→FSの連携

BtoB企業で広く採用されている営業体制の一つが「The Model」です。マーケティング、インサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)が分業・連携することで、営業プロセス全体の効率化を図ります。

The Model型の分業体制:

  1. マーケティング: リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
  2. インサイドセールス: リードナーチャリング・クオリフィケーション(育成・選別)→ 商談創出
  3. フィールドセールス: 商談 → 受注
  4. カスタマーサクセス: 契約後のフォロー → 継続・アップセル

この分業により、各担当者が専門性を発揮でき、営業活動全体の成果を最大化できます。

(2) BtoB営業での強み|属人化防止と長期的関係構築

BtoB営業は、決裁までのプロセスが長く、複数の関係者が関与することが特徴です。インサイドセールスを導入することで、以下のメリットが得られます。

BtoB営業でのインサイドセールスの強み:

  • 属人化の防止: 顧客情報と商談履歴をCRM/SFAで一元管理し、担当者変更時も引き継ぎがスムーズ
  • 長期的な関係構築: 継続的な接触で顧客との関係を維持し、購買タイミングを逃さない
  • 効率的なリソース配分: フィールドセールスは有望な商談に集中できる

(3) リードジェネレーション、ナーチャリング、クオリフィケーション

インサイドセールスは、リードの「ジェネレーション(獲得)」「ナーチャリング(育成)」「クオリフィケーション(選別)」の各フェーズで重要な役割を担います。

各フェーズでの役割:

フェーズ 主な活動 担当
リードジェネレーション Webサイト、展示会、広告等からの見込み顧客獲得 マーケティング
リードナーチャリング 見込み顧客への継続的な情報提供、関係構築 インサイドセールス
リードクオリフィケーション 商談化可能なリードの選別、ニーズの把握 インサイドセールス
商談・受注 提案、交渉、契約締結 フィールドセールス

4. インサイドセールス導入の組織体制とツール選定

(1) 必要なツール6カテゴリ|MAツール、SFA/CRM、Web会議、CTI、通話解析

インサイドセールスを効率的に運用するには、適切なツールの導入が欠かせません。主に以下の6カテゴリのツールが使用されます。

インサイドセールスの主要ツール6カテゴリ:

カテゴリ 役割
MAツール(Marketing Automation) リード獲得・育成・選別の自動化
SFA/CRM 顧客情報・商談履歴の管理
Web会議ツール オンライン商談・ミーティング
クラウド電話/CTI 電話とCRMの統合、通話記録
通話内容解析ツール 通話内容のAI分析、ノウハウ可視化
BIツール 営業データの分析・可視化

(参考:BOXIL Magazine「インサイドセールスツールおすすめ比較37選」2024年)

(2) 組織体制の構築|チーム規模と役割定義

インサイドセールスチームの構築ポイント:

  • 最小構成: 2〜3名からスタートし、成果を見ながら拡大
  • 役割定義: 誰がどの範囲まで担当するかを明確に
  • 採用: 営業経験者またはカスタマーサクセス経験者が適任

必要なスキル:

  • ヒアリング力・課題抽出力
  • コミュニケーション能力
  • CRM/MAツールの操作スキル
  • 提案力・クロージング能力(商談創出まで担当する場合)

(3) 情報共有体制の整備|BIツール・CRMの活用

インサイドセールスとフィールドセールスの連携を円滑にするには、情報共有体制の整備が不可欠です。

情報共有のポイント:

  • 顧客情報・商談履歴をCRMに一元管理
  • インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎルールを明確化
  • 週次・月次でのデータレビューを実施
  • BIツールで営業活動を可視化し、課題を特定

5. 法人営業での成功事例とKPI設計

(1) 成功事例|受注率2倍、商談数14件以上、月100件の有効案件創出

インサイドセールスを導入し、成果を上げている企業の事例を紹介します。

事例1: 商業写真サービス会社

  • 電話段階で顧客ニーズを把握できるようになった結果、受注率が2倍以上に増加
  • リードタイムを従来の1/2にまで縮小

事例2: 人材管理システム「カオナビ」

  • MAツール導入により、3名のチーム体制で月100件以上の有効案件を創出

事例3: 移動時間削減の効果

  • 1日4〜5件だった商談数を14件以上にまで増やした事例もある(移動時間がゼロになったことによる効果)

(参考:ONLYSTORY「インサイドセールス成功事例10選」2024年)

※成果数値は企業規模・業種・運用体制により異なります。上記はあくまで参考値としてご覧ください。

(2) KPI設計|インサイドセールスは架電件数・商談獲得率

インサイドセールスの主なKPI:

KPI 意味
架電件数 1日・1週間あたりの電話発信数
接続率 電話がつながった割合
商談獲得件数 フィールドセールスに引き継いだ商談数
商談獲得率 リードから商談に至った割合

これらのKPIを設定し、週次・月次でレビューすることで、継続的な改善が可能になります。

(3) フィールドセールスとの連携KPI|受注率・受注金額

フィールドセールスの主なKPI:

KPI 意味
商談数 実施した商談の数
受注件数 受注に至った件数
受注率 商談から受注に至った割合
受注金額 受注した案件の総額

インサイドセールスとフィールドセールスのKPIを連携させることで、営業プロセス全体のボトルネックを特定できます。例えば、「商談獲得率は高いが受注率が低い」場合は、商談の質や引き継ぎ方法に課題がある可能性があります。

6. まとめ:インサイドセールスで営業体制を進化させる

インサイドセールスは、法人営業の生産性を高める有力な手法です。フィールドセールスとの明確な役割分担、適切なツール導入、KPI設計を行うことで、限られた人員でも効率的な営業活動が可能になります。

インサイドセールス導入のポイント:

  • インサイドセールスは「商談獲得まで」、フィールドセールスは「受注まで」と役割を明確に
  • MAツール、SFA/CRM、CTIなど必要なツールを段階的に導入
  • 架電件数・商談獲得率などのKPIを設定し、PDCAサイクルを回す
  • 体制構築から3〜6ヶ月で初期成果が見え始める

次のアクション:

  • 自社の営業プロセスを整理し、課題を明確にする
  • インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担を設計する
  • 必要なツールを検討し、段階的に導入する
  • KPIを設定し、週次・月次でレビューする体制を構築する

※この記事は2025年12月時点の情報です。ツールの機能や料金は変更される可能性があるため、導入時は各社公式サイトをご確認ください。

よくある質問:

Q: インサイドセールスとフィールドセールスの違いは? A: インサイドセールスは電話・メール・オンライン会議で非対面アプローチし、商談獲得までを担当します。フィールドセールスは対面(オンラインミーティング含む)で商談を行い、受注まで導きます。役割分担と連携により、営業活動全体の成果を最大化できます。

Q: どの程度の企業規模・業種に適している? A: BtoB企業で決裁までのプロセスが長く、複数の関係者が関与する場合に特に有効です。営業担当者3名以上の組織で導入効果が出やすいと言われています。業種は問いませんが、高単価商材・無形商材との相性が良い傾向があります。

Q: インサイドセールスに必要なスキルと採用は? A: ヒアリング力、課題抽出力、提案力、コミュニケーション能力が重要です。CRMやMAツールの操作スキルも必要になります。営業経験者またはカスタマーサクセス経験者の採用が一般的です。

Q: 成果が出るまでの期間は? A: 体制構築から3〜6ヶ月で初期成果が見え始めることが多いです。ツール導入、役割定義、KPI設定を行い、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善が可能です。1年後には受注率2倍などの成果を達成した事例もあります。

よくある質問

Q1インサイドセールスとフィールドセールスの違いは?

A1インサイドセールスは電話・メール・オンライン会議で非対面アプローチし、商談獲得までを担当します。フィールドセールスは対面(オンラインミーティング含む)で商談を行い、受注まで導きます。役割分担と連携により、営業活動全体の成果を最大化できます。

Q2どの程度の企業規模・業種に適している?

A2BtoB企業で決裁までのプロセスが長く、複数の関係者が関与する場合に特に有効です。営業担当者3名以上の組織で導入効果が出やすいと言われています。業種は問いませんが、高単価商材・無形商材との相性が良い傾向があります。

Q3インサイドセールスに必要なスキルと採用は?

A3ヒアリング力、課題抽出力、提案力、コミュニケーション能力が重要です。CRMやMAツールの操作スキルも必要になります。営業経験者またはカスタマーサクセス経験者の採用が一般的です。

Q4成果が出るまでの期間は?

A4体制構築から3〜6ヶ月で初期成果が見え始めることが多いです。ツール導入、役割定義、KPI設定を行い、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善が可能です。1年後には受注率2倍などの成果を達成した事例もあります。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。