「商談がどこまで進んでいるか、エクセル管理では限界を感じている...」
営業マネージャーの多くが、商談の進捗管理、営業活動の可視化、成果測定に課題を抱えています。「誰がどの案件を担当しているか分からない」「売上予測が立てられない」「営業担当者ごとにプロセスがバラバラ」といった状況は、営業組織の生産性を大きく損ないます。
HubSpot Sales Hubは、営業活動のプロセスを自動化・可視化し、営業担当者のパフォーマンスを均一化するSFA(営業支援システム)です。本記事では、Sales Hubの機能概要、設定手順、営業活動の記録・追跡・分析機能、生産性向上の具体的施策を解説します。
この記事のポイント:
- Sales Hubは顧客情報・商談履歴・メール・スケジュールを一元管理し、営業プロセスの自動化が可能
- 無料版は基本的なCRM機能とメール追跡、有料版は営業予測・高度なレポート・ワークフロー自動化を提供
- パイプライン管理で商談の進捗状況を可視化し、営業収益の予測やボトルネックの特定ができる
- 2024年調査では営業組織の78.8%が生成AIを認知し、21.1%が業務で利用している
- 営業担当者は業務時間の54%を顧客コミュニケーションに費やしており、効率化が求められている
1. 営業管理の課題とHubSpotの役割
(1) 営業組織が抱える典型的な課題
B2B企業の営業組織は、以下のような課題を抱えています:
- 営業活動の属人化: 営業担当者ごとにプロセスがバラバラで、ノウハウが共有されない
- 商談進捗の不透明性: 商談がどのフェーズにあるか、リアルタイムで把握できない
- 売上予測の困難性: 過去データと現状のパイプラインから精度の高い予測を立てられない
- 営業活動の非効率性: 手作業でのデータ入力・メール送信などに時間を取られ、顧客との対話時間が不足
これらの課題を解決するために、SFA(営業支援システム)の導入が求められています。
(2) HubSpotによる営業管理の自動化・可視化
HubSpot Sales Hubは、営業活動のプロセスの一部を自動化し、営業担当者のパフォーマンスの均一化を目指します。
主な自動化・可視化の例:
- 顧客情報の一元管理: CRMに顧客情報・商談履歴が自動で蓄積される
- メール追跡: 送信メールの開封状況を自動追跡し、顧客の関心度を把握
- 商談の可視化: パイプライン管理で進行中の商談や進捗状況を可視化
- フォローメールの自動送信: 設定したタイミングで自動的にフォローメールを送信
これにより、営業担当者は顧客との対話に集中でき、営業マネージャーは組織全体の状況をリアルタイムで把握できます。
2. HubSpot Sales Hubの基礎知識(機能概要・料金)
(1) Sales Hubとは:SFA機能の特徴
HubSpot Sales Hubは、CRMと連携して商談管理、メール追跡、通話記録などを一元管理するSFA(Sales Force Automation)ツールです。
主要機能:
- 営業ワークスペース: 顧客情報、メール、タスク、スケジュールを一箇所で管理
- パイプライン管理: 営業プロセスを可視化し、商談進捗を管理
- メールトラッキング: 送信メールの開封状況やリンククリックを追跡
- ミーティングスケジューリング: カレンダー連携により面談日時を自動調整
- 通話機能: HubSpot上から直接顧客に架電でき、通話記録が自動保存
- 営業予測: 過去の実績と現在のパイプラインから将来の売上を予測
- レポート・ダッシュボード: 90種類以上のレポートがあらかじめ用意されている
(2) 無料版と有料版の主な機能差
無料版:
- 基本的なCRM機能
- メール追跡(月200回まで)
- ミーティングスケジューリング
- 1つのパイプライン管理
有料版(Starter以上):
- メール追跡制限なし
- 営業予測機能
- 高度なレポート・ダッシュボード
- ワークフロー自動化
- 複数パイプライン管理
- 通話機能(Professional以上)
本格的な営業管理には有料プラン(Starter以上、月額数千円〜)が推奨されます。
※料金プランや機能は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。(この記事は2025年11月時点の情報です)
(3) 他のSFAツール(Salesforce等)との比較
HubSpotと他の主要SFAツールの比較:
| 項目 | HubSpot Sales Hub | Salesforce Sales Cloud | Zoho CRM |
|---|---|---|---|
| 対象企業規模 | 中小〜中堅企業 | 大企業中心 | 中小企業 |
| 料金 | 無料〜月額数万円 | 月額数千円〜数十万円 | 無料〜月額数千円 |
| UI・使いやすさ | 直感的で学習コストが低い | 多機能だが複雑 | シンプル |
| カスタマイズ性 | 中程度 | 非常に高い | 中程度 |
| 特徴 | マーケティング連携に強い | 高度なカスタマイズ | コスパに優れる |
選定の目安:
- HubSpot: 中小企業で、マーケティングオートメーションとの連携を重視する場合
- Salesforce: 大企業で、高度なカスタマイズや既存システムとの連携が必要な場合
- Zoho CRM: 予算を抑えながら基本的な営業管理を始めたい場合
営業規模や予算、既存システムとの連携を考慮して選定することが重要です。
3. 営業管理の設定手順(パイプライン・カスタムプロパティ)
(1) 営業プロセスの整理とパイプライン設定
まず、自社の営業プロセスを整理し、パイプラインを設定します。
一般的な営業プロセスの例:
- 初回接触(リード獲得)
- ヒアリング(課題把握)
- 情報提供(ソリューション提案)
- 提案・見積(具体的な提案書提出)
- クロージング(条件調整・契約締結)
HubSpotでのパイプライン設定手順:
- 設定画面で「セールス」→「取引パイプライン」を選択
- 各フェーズの名称と確度(成約見込み%)を設定
- 商談をドラッグ&ドロップで各フェーズに配置
これにより、進捗状況を可視化でき、ボトルネックの特定や営業収益の予測が可能になります。
(2) カスタムプロパティの設計と設定方法
カスタムプロパティは、コンタクトや取引情報に紐付ける独自のデータ項目です。
設定例:
- 業種(製造業、IT、小売など)
- 予算規模(〜100万円、100〜500万円、500万円〜)
- 決裁権者の有無(あり、なし、不明)
- 課題の優先度(高、中、低)
設定手順:
- 設定画面で「プロパティ」を選択
- 「プロパティを作成」をクリック
- プロパティ名、タイプ(テキスト、数値、選択肢など)を設定
- コンタクト・取引に紐付ける
カスタムプロパティを設定することで、レポートやダッシュボードで詳細な分析が可能になります。
(3) 営業ワークスペースのカスタマイズ
営業ワークスペースは、HubSpot上で顧客情報、メール、タスク、スケジュールを一箇所で管理するダッシュボードです。
カスタマイズ例:
- 優先度の高いタスクを上部に表示
- 今日の商談予定を一覧表示
- 未開封メールの通知を強調
これにより、営業担当者は日々の作業負荷を一元管理できます。
4. 営業活動の記録・追跡・分析機能
(1) メール追跡とミーティングスケジューリング
メール追跡機能:
- 送信メールの開封状況を確認でき、顧客の関心度を把握
- リンクのクリック状況も追跡可能
- 開封通知をリアルタイムで受け取り、適切なタイミングでフォロー
ミーティングスケジューリング機能:
- Googleカレンダーと同期し、相手が空き時間から希望日時を選択
- 自動でカレンダーに追加され、リマインダーメールも自動送信
- 日程調整の往復メールが不要になり、時間を節約
(2) 通話機能とコミュニケーション記録の自動保存
HubSpot上から直接顧客に架電でき、通話記録が自動的にCRMに保存されます。
メリット:
- 電話を使わずHubSpot上から架電できる
- 通話内容・時間・録音が自動記録される
- 営業担当者が不在でも、他のメンバーが過去のコミュニケーション履歴を確認できる
これにより、情報の属人化を防ぎ、チーム全体で顧客対応ができます。
(3) 商談管理と営業予測
パイプライン管理で実現できること:
- 進行中の商談や進捗状況の可視化
- 営業収益の予測(各フェーズの確度と金額から算出)
- 取引のスコアリング(成約見込みの高い商談を優先的に対応)
- ボトルネックの特定(どのフェーズで商談が滞留しているか)
過去の営業実績と現在のパイプラインに基づいて将来の売上を予測する機能により、精度の高い営業目標設定が可能になります。
(4) レポート・ダッシュボードによる可視化(90種類以上)
HubSpotには90種類以上のレポートがあらかじめ用意されており、カスタムプロパティを設定すればすぐに活用できます。
主なレポート例:
- 営業実績レポート(月次・四半期・年次)
- パイプライン進捗レポート(フェーズ別の商談数・金額)
- 商談成約率レポート(フェーズごとの成約率)
- 営業担当者別パフォーマンスレポート
- リードソース別獲得数・コンバージョン率
これにより、データドリブンな営業管理が実現します。
5. 営業生産性向上の具体的施策と2024年トレンド
(1) 営業プロセスの自動化による時間創出
HubSpotの自動化機能により、以下のような業務を自動化できます:
- フォローメールの自動送信: 商談後、設定したタイミングで自動送信
- タスクの自動割り当て: 商談が次フェーズに進んだら、自動的に担当者にタスク割り当て
- リードスコアリング: 顧客の行動(メール開封、Webサイト閲覧など)に基づいて自動的にスコアを付与
これにより、営業担当者は顧客との対話に集中でき、生産性が向上します。
(2) データドリブン営業の実現(2024年調査:44.5%がデータ志向)
2024年のHubSpot調査によると、データドリブン(44.5%)と直感重視(55.5%)が拮抗していますが、大企業ほどデータ志向が強い傾向があります。
データドリブン営業の実践例:
- 過去の成約データから、成約見込みの高いリード属性を特定
- 商談の滞留期間を分析し、適切なフォロータイミングを設定
- 営業活動の実績データから、効果的なアプローチ方法を共有
Sales Hubのレポート機能により、データドリブン営業が実現しやすくなります。
(3) 生成AIの活用(認知78.8%、利用21.1%)
2024年のHubSpot調査によると、日本の営業組織の78.8%が生成AIを認知し、21.1%が業務で利用しており、業務効率化(50.1%)と品質向上(34.4%)が主な目的です。
Sales HubでのAI活用例(将来的な機能拡張を含む):
- 提案書の自動生成
- メール文面の自動作成・最適化
- 商談の要約・次のアクションの提案
AI活用により、営業担当者の業務負荷が軽減され、より戦略的な活動に時間を使えるようになる可能性があります。
(4) 顧客コミュニケーション時間の最適化(業務時間の54%)
2024年調査では営業担当者が業務時間の54%を顧客コミュニケーションに費やし、さらに1日あたり25分の追加を希望していることが判明しました。
HubSpotによる時間創出:
- メール追跡により、適切なタイミングでフォロー(無駄な連絡を減らす)
- ミーティングスケジューリングで日程調整の手間を削減
- 自動化により、事務作業の時間を削減
これらの施策により、顧客コミュニケーションにより多くの時間を割けるようになります。
6. まとめ:HubSpot営業管理の導入ステップ
HubSpot Sales Hubは、営業活動のプロセスを自動化・可視化し、営業担当者のパフォーマンスを均一化するSFAツールです。パイプライン管理、メール追跡、営業予測、90種類以上のレポートにより、データドリブンな営業管理が実現します。
無料版でも基本的な管理は可能ですが、本格的な営業管理には有料プラン(Starter以上)が推奨されます。
次のアクション:
- 自社の営業プロセスを整理し、パイプラインを設計する
- HubSpotの無料版でパイプライン管理を試す
- カスタムプロパティを設定し、詳細な分析を開始する
- 営業チーム全体でのルール統一を図る(運用ガイドライン作成)
- レポートで営業実績を可視化し、改善ポイントを特定する
HubSpot Sales Hubを正しく導入・運用することで、営業活動の効率化と成果の最大化を目指しましょう。
よくある質問:
Q: HubSpot Sales Hubで営業活動のどこまで管理できますか? A: 顧客情報・商談履歴・メール・スケジュールの一元管理、パイプライン管理、営業予測、メール追跡、ミーティングスケジューリング、通話機能、90種類以上のレポートなど、営業活動全般を網羅できます。無料版でも基本的な管理は可能です。
Q: HubSpot Sales Hubの無料版と有料版の主な違いは何ですか? A: 無料版は基本的なCRM機能とメール追跡が中心、有料版は営業予測、高度なレポート、ワークフロー自動化、複数パイプライン管理などが追加されます。本格的な営業管理には有料プラン(Starter以上)が推奨です。最新の料金情報は公式サイトでご確認ください。
Q: HubSpotのパイプライン管理の具体的な使い方は? A: 営業プロセス(初回訪問→ヒアリング→提案→クロージング等)を段階ごとに設定し、各商談を該当フェーズに配置します。進捗状況を可視化でき、ボトルネックの特定や営業収益の予測が可能です。カスタムプロパティの設定が必要です。
Q: HubSpotと他のSFAツール(Salesforce等)の違いは何ですか? A: HubSpotは直感的なUIと無料版の充実が特徴で、中小企業に適しています。Salesforceは大企業向けで高度なカスタマイズが可能ですが高額です。営業規模や予算、既存システムとの連携を考慮して選定すべきです。
Q: HubSpot Sales Hub導入時の注意点は何ですか? A: カスタムプロパティ設定など初期設定に手間がかかること、組織全体での運用ルール統一が必要なこと、浸透に時間がかかる場合があることに注意が必要です。段階的な導入とトレーニングが推奨です。
※この記事は2025年11月時点の情報です。料金プランや機能は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
