Excelで営業管理しているけど、このままでいいのか不安...
「Excelで営業管理をしているけど、データが増えて動作が遅い」「複数人で編集できず、情報共有が遅れる」「SFAやCRMに移行すべきか迷っている」――こうした悩みを抱えるBtoB営業担当者・営業マネージャーは少なくありません。
Excelは、ほとんどの企業で導入されており、追加コストなしで営業管理が可能です。しかし、営業人数の増加やデータ量の増加に伴い、限界を感じる場面も増えてきます。
この記事では、Excelで営業管理を行う具体的な方法とテンプレート、よくある課題と限界、SFA/CRMへ移行すべきタイミングと判断基準まで、実務担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事のポイント:
- Excelでの営業管理は、目標管理・案件管理・行動管理の3つが基本
- メリット:追加コストなし、カスタマイズ可能|デメリット:同時編集不可、リアルタイム共有不可、動作遅延、属人化・情報漏洩リスク
- 無料テンプレート:HubSpot(3種類)、bizocean(2.8万点以上)、Microsoft Office公式などで入手可能
- 限界:44.0%の企業がデータ蓄積による動作遅延を経験、36.7%が同時編集不可の問題を経験
- 移行タイミング:営業人数10名以上、データ量増加、リアルタイム共有の必要性が高まった場合
1. Excelで営業管理をする方法とメリット・デメリット
Excelで営業管理をする基本的な方法と、メリット・デメリットを理解しましょう。
(1) Excelで営業管理をする基本的な方法:目標管理・案件管理・行動管理
Excelでの営業管理は、主に以下の3つの管理で構成されます。
目標管理:
- 売上目標と実績を比較し、ギャップを管理
- 月次・四半期・年間の目標設定と進捗確認
- 個人別・チーム別の目標達成率の可視化
案件管理:
- 顧客との商談進捗情報を記録・管理
- 見込み客の情報(企業名、担当者名、連絡先、商談フェーズなど)
- 商談の進捗状況(アプローチ中、提案済み、見積提示、受注・失注など)
行動管理:
- 訪問、電話、メールなどの営業活動を記録・可視化
- 日次・週次の活動量の把握
- 活動量と成果の相関分析
これらの管理を適切に行うことで、営業活動の可視化と効率化が実現できます。
(2) メリット:追加コストなし、既に導入済み、自分の管理スタイルに合わせてカスタマイズ可能
Excelで営業管理を行うメリットは以下の通りです。
追加コストなし:
- ほとんどの企業でエクセルが導入されており、追加コストなしで営業管理が可能
- 新たなツール導入の稟議・承認が不要
- 初期投資や月額費用が発生しない
自分の管理スタイルに合わせてカスタマイズ可能:
- エクセルは自分の管理スタイルに合わせてシートをカスタマイズできる
- 自社の業務フローに合わせた独自のテンプレートを作成できる
- 必要な項目を自由に追加・削除できる
すぐに始められる:
- 無料テンプレートを活用すれば、営業管理を手軽に始められる
- システム導入の手間や時間がかからない
- 既存のExcelスキルをそのまま活用できる
(3) デメリット:同時編集不可、リアルタイム共有不可、データ蓄積による動作遅延、属人化・情報漏洩リスク
Excelで営業管理を行うデメリットは以下の通りです。
同時編集不可・ファイルロック:
- エクセルは単一ユーザー編集を前提としているため、同時編集ができない
- 36.7%の企業が「他のユーザーが使用中で編集できない」問題を経験している(formLab調べ)
- ファイルロックやバージョン管理が煩雑になる
リアルタイム共有不可:
- リアルタイムでの情報共有ができず、ローカルに保存されるため情報共有が遅れる
- 最新情報が誰のPCにあるか分からなくなる
- 複数拠点やリモートワークでの情報共有が困難
データ蓄積による動作遅延:
- 44.0%の企業がデータ蓄積によるファイルの動作遅延を経験している(formLab調べ)
- データ量が増えるとエクセルファイルが重くなり、開くだけで数分かかることもある
属人化のリスク:
- 作成者しか理解できない高度に専門化されたファイルが生まれやすい
- 担当者が異動・退職した際に引き継ぎが困難
顧客情報漏洩のリスク:
- エクセルファイルは簡単にコピーやメール添付ができるため、顧客情報漏洩のリスクが常にある
- アクセス制御が難しい
2. Excelでの営業管理の3つの基本:目標管理・案件管理・行動管理
Excelでの営業管理の3つの基本を具体的に解説します。
(1) 目標管理:売上目標と実績を比較し、ギャップを管理
目標管理は、売上目標と実績を比較し、ギャップを管理する手法です。
管理すべき項目:
- 個人別・チーム別の売上目標(月次・四半期・年間)
- 売上実績(受注金額、受注件数)
- 目標達成率(実績÷目標×100)
- 未達成額(目標−実績)
- 予測(現在の進捗から期末の着地見込みを計算)
活用方法:
- 月次で目標達成率を確認し、未達成の場合は対策を検討
- 個人別の達成率を可視化し、サポートが必要な担当者を特定
- 過去の実績データから、次期の目標設定に活用
(2) 案件管理:顧客との商談進捗情報を記録・管理
案件管理は、顧客との商談進捗情報を記録・管理する活動です。
管理すべき項目:
- 顧客情報(企業名、担当者名、連絡先、業種、規模)
- 商談情報(商談開始日、商品・サービス名、見込み金額)
- 商談フェーズ(アプローチ中、ヒアリング済み、提案済み、見積提示、受注・失注)
- 次回アクション(次回訪問日、提出予定資料など)
- 備考(顧客のニーズ、競合状況など)
活用方法:
- 商談フェーズごとに案件数と金額を集計し、営業パイプラインを可視化
- 商談フェーズごとの滞留期間を分析し、ボトルネックを特定
- 次回アクションが遅れている案件を抽出し、フォローアップ
(3) 行動管理:訪問、電話、メールなどの営業活動を記録・可視化
行動管理は、訪問、電話、メールなどの営業活動を記録・可視化する手法です。
管理すべき項目:
- 日付・時刻
- 活動種類(訪問、電話、メール、オンライン商談など)
- 顧客名(企業名、担当者名)
- 活動内容(ヒアリング、提案、見積提示、受注など)
- 成果(商談化、受注など)
活用方法:
- 日次・週次の活動量を集計し、目標に対する達成状況を確認
- 活動量と成果(商談化率、受注率)の相関を分析
- 成果を上げている営業担当者の行動パターンを分析し、チーム全体で共有
3. おすすめのExcel営業管理テンプレート(無料)
無料で入手できるExcel営業管理テンプレートを紹介します。
(1) HubSpot:ダッシュボード・営業進捗管理・ToDo管理の3種類、必要な関数も入力済みで導入後すぐに使える
HubSpotは、営業管理や進捗管理に役立つテンプレートを無料で提供しています。
提供されるテンプレート:
- ダッシュボード:営業活動全体を俯瞰できるダッシュボード
- 営業進捗管理:商談フェーズごとの案件数と金額を管理
- ToDo管理:営業担当者の日次・週次のタスクを管理
特徴:
- 必要な関数も入力されているため、導入後すぐに営業管理を行える
- HubSpot公式が提供しているため、信頼性が高い
- 日本語対応
入手方法:
- HubSpot公式サイトから無料ダウンロード
(2) bizocean:2.8万点以上のビジネステンプレートを無料ダウンロード可能
bizocean(ビズオーシャン)は、2.8万点以上のビジネステンプレートを無料ダウンロードできるサイトです。
営業管理関連のテンプレート:
- 営業日報
- 営業週報
- 顧客管理表
- 商談管理表
- 売上管理表
特徴:
- 種類が豊富で、自社のニーズに合ったテンプレートを選べる
- 無料会員登録で即座にダウンロード可能
入手方法:
- bizocean公式サイトで会員登録(無料)してダウンロード
(3) Microsoft Office公式:Excelの公式テンプレートギャラリー
Microsoft Office公式は、Excelの公式テンプレートギャラリーを提供しています。
営業管理関連のテンプレート:
- 売上トラッカー
- 顧客リスト
- 営業レポート
特徴:
- Microsoft公式が提供しているため、信頼性が高い
- Excelとの互換性が完璧
入手方法:
- Microsoft Office公式サイトからダウンロード
- Excelアプリ内の「新規」→「テンプレート検索」からも検索可能
(4) テンプレート選びのポイント:自社の業務フローに合わせてカスタマイズが必要
テンプレートを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
自社の業務フローに合っているか:
- エクセルテンプレートは各企業の業務フローに合わせてカスタマイズが必要なため、そのまま使えるとは限らない
- 自社の営業プロセス(商談フェーズの定義、管理項目など)に合ったテンプレートを選ぶ
必要な項目が網羅されているか:
- 目標管理・案件管理・行動管理の3つの管理に必要な項目が含まれているか確認
- 不足している項目は自分で追加する
カスタマイズのしやすさ:
- 複雑な関数や複数シート間の参照が多いと、カスタマイズが困難
- シンプルな構成のテンプレートを選び、必要に応じて拡張する
4. Excelでの営業管理の限界と課題
Excelでの営業管理には、以下のような限界と課題があります。
(1) データ蓄積による動作遅延:44.0%の企業が経験、ファイルが重くなり開くだけで数分かかる場合も
44.0%の企業がデータ蓄積によるファイルの動作遅延を経験しています(formLab調べ)。データ量が増えるとエクセルファイルが重くなり、開くだけで数分かかることもあります。
原因:
- 数千〜数万行のデータが蓄積される
- 複雑な関数や条件付き書式が多い
- 複数のシートやブックを参照している
対策:
- 定期的にデータを整理し、古いデータはアーカイブする
- 不要な関数や条件付き書式を削除する
- データベース形式のツール(SFA/CRM)への移行を検討する
(2) 同時編集不可・ファイルロック:36.7%が「他のユーザーが使用中で編集できない」問題を経験、単一ユーザー編集を前提
36.7%の企業が「他のユーザーが使用中で編集できない」問題を経験しています(formLab調べ)。エクセルは単一ユーザー編集を前提としているため、同時編集ができず、ファイルロックやバージョン管理が煩雑になります。
問題点:
- 複数の営業担当者が同時に編集できない
- 「読み取り専用」で開くしかなく、編集待ちの時間が発生
- 複数のバージョンが生まれ、どれが最新か分からなくなる
対策:
- クラウドストレージ(OneDrive、Google Driveなど)の共有機能を活用する(ただし、同時編集には制限あり)
- 編集時間帯をルール化する(例:午前中は営業担当者A、午後は営業担当者B)
- SFA/CRMへの移行を検討する
(3) リアルタイム共有不可:ローカルに保存されるため情報共有が遅れる
リアルタイムでの情報共有ができず、ローカルに保存されるため情報共有が遅れます。
問題点:
- 営業担当者が外出先で更新した情報が、すぐにチームに共有されない
- 最新情報が誰のPCにあるか分からなくなる
- 複数拠点やリモートワークでの情報共有が困難
対策:
- クラウドストレージ(OneDrive、Google Driveなど)を活用し、自動同期を設定する
- 定期的にファイルを共有フォルダにアップロードする運用ルールを設ける
- SFA/CRMへの移行を検討する
(4) 属人化のリスク:作成者しか理解できない高度に専門化されたファイルが生まれやすい
作成者しか理解できない高度に専門化されたファイルが生まれやすく、属人化のリスクがあります。
問題点:
- 複雑なマクロや関数を使ったファイルは、作成者以外が理解・修正できない
- 担当者が異動・退職した際に引き継ぎが困難
- ファイルが壊れた際の復旧ができない
対策:
- ファイル構成をシンプルに保つ(複雑な関数やマクロを避ける)
- ドキュメントを整備し、ファイルの使い方を記録する
- 複数の担当者でファイルを共有し、属人化を防ぐ
(5) 顧客情報漏洩のリスク:ファイルのコピーやメール添付が簡単にできるため、セキュリティリスクが常にある
エクセルファイルは簡単にコピーやメール添付ができるため、顧客情報漏洩のリスクが常にあります。
問題点:
- ファイルのコピーが容易で、誰がどのファイルを持っているか把握できない
- メール添付で社外に送信するミスが発生しやすい
- アクセス制御が難しく、権限のない社員もファイルを閲覧できる
対策:
- ファイルにパスワードを設定する
- 機密性の高いデータは別ファイルで管理し、アクセス権限を厳格に管理する
- SFA/CRMへの移行を検討し、アクセス制御機能を活用する
5. SFA/CRMへ移行すべきタイミングと判断基準
ExcelからSFA/CRMへ移行すべきタイミングと判断基準を解説します。
(1) 移行すべきタイミング:営業人数の増加(10名以上)、データ量の増加(Excelの動作遅延)、リアルタイム共有の必要性(複数拠点、リモートワーク)
以下のような状況になった場合、SFA/CRMへの移行を検討すべきです。
営業人数の増加(10名以上):
- 営業担当者が10名以上になると、Excelでの情報共有が困難になる
- 同時編集のニーズが高まり、ファイルロックの問題が顕在化する
データ量の増加(Excelの動作遅延):
- 顧客数・案件数が増え、Excelファイルが数千行を超えると動作が遅延する
- ファイルを開くだけで数分かかるようになった場合は、移行を検討すべき
リアルタイム共有の必要性(複数拠点、リモートワーク):
- 複数拠点で営業活動を展開している場合、リアルタイム共有が不可欠
- リモートワークが増え、外出先からの情報更新が頻繁になった場合
営業分析の高度化:
- 顧客分析・案件分析を自動化し、データドリブンな営業戦略を立てたい場合
- レポート作成を自動化し、マネージャーの工数を削減したい場合
(2) SFAとExcelの比較:SFAはリアルタイム共有・顧客分析・案件分析の自動化が可能、ただしコストが月額で発生し、システム定着に時間がかかる
SFA(営業支援システム)とExcelを比較すると、以下のような違いがあります。
| 項目 | Excel | SFA |
|---|---|---|
| コスト | 追加コストなし | 月額費用が発生(数千円〜数万円/ユーザー) |
| リアルタイム共有 | 不可(クラウドストレージ利用でも制限あり) | 可能(入力した情報がリアルタイムで共有) |
| 同時編集 | 不可 | 可能 |
| カスタマイズ性 | 高い | 中程度(ツールによる) |
| 顧客分析・案件分析 | 手動(関数やピボットテーブル) | 自動化(レポート機能) |
| セキュリティ | 低い(ファイルのコピーが容易) | 高い(アクセス制御、監査ログ) |
| 導入の手間 | すぐに始められる | システム定着に時間がかかる |
SFAのメリット:
- 入力した情報がリアルタイムで共有でき、情報の鮮度が保たれる
- 顧客分析・案件分析の自動化とレポーティング機能が利用できる
- アクセス制御により、セキュリティリスクを低減できる
SFAのデメリット:
- 月額コストが発生する
- システムが定着するまでに時間がかかる(数ヶ月〜半年程度)
- カスタマイズ性がExcelより低い場合がある
(3) 段階的移行パス:無料SFA/CRM(HubSpot CRM等)から始める、低価格ツールで試す、成長に合わせてエンタープライズ版に移行
ExcelからSFA/CRMへの移行は、段階的に進めることが推奨されます。
ステップ1: 無料SFA/CRM(HubSpot CRM等)から始める:
- まずは無料SFA/CRM(HubSpot CRM、Zoho CRM無料版等)を試す
- 追加コストなしで、SFAの基本機能を体験できる
- 営業担当者がツールに慣れる期間として活用
ステップ2: 低価格ツール(月額数千円〜)で本格運用を開始:
- 無料版で効果を実感できたら、低価格の有料版に移行
- 営業人数が少ない段階では、低価格ツールで十分
- 主要機能(リアルタイム共有、顧客分析、レポート機能)を活用
ステップ3: 成長に合わせてエンタープライズ版に移行:
- 営業人数が増え、より高度な機能が必要になったら、エンタープライズ版に移行
- カスタマイズ性、外部連携、高度な分析機能を活用
移行時の注意点:
- 既存のExcelデータをSFA/CRMに移行する手間がかかる(CSVインポート等)
- システム定着に時間がかかるため、段階的に移行する
- 営業担当者向けのトレーニングを実施する
6. まとめ:企業規模・フェーズに応じた最適解を選ぼう
Excelでの営業管理は、営業人数が少なく、データ量が限られている段階では有効な手段です。しかし、組織の成長に伴い、限界を感じる場面も増えてきます。
Excelが適している企業:
- 営業人数が10名以下
- データ量が少ない(数百件程度)
- リアルタイム共有の必要性が低い
- 追加コストをかけたくない
SFA/CRMへの移行を検討すべき企業:
- 営業人数が10名以上
- データ量が増え、Excelの動作が遅延している
- リアルタイム共有の必要性が高い(複数拠点、リモートワーク)
- 顧客分析・案件分析を自動化したい
次のアクション:
- 自社の営業人数・データ量・業務フローを整理する
- 無料テンプレート(HubSpot、bizocean、Microsoft Office公式)を活用してExcel営業管理を始める
- Excelの限界を感じたら、無料SFA/CRM(HubSpot CRM等)を試す
- 段階的にSFA/CRMへ移行し、成長に合わせてツールをアップグレードする
Excelの活用を否定せず、企業規模・フェーズに応じた最適解を選ぶことが重要です。まずはExcelで営業管理を始め、成長に合わせてSFA/CRMへの段階的移行を検討しましょう。
※この記事は2025年1月時点の情報です。ツール仕様や料金プランは更新される可能性があるため、最新情報は各ツールの公式サイトでご確認ください。
