エンゲージメントとは?ビジネスにおける意味・種類・高め方を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/17

従業員の離職が続く...エンゲージメント向上が課題

「優秀な人材がすぐに辞めてしまう」「従業員のモチベーションが低い」といった課題を抱える企業は少なくありません。近年、これらの課題を解決する鍵として注目されるのが「エンゲージメント」です。しかし、「エンゲージメントと従業員満足度は何が違うのか」「どうやって測定・向上させればいいのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ビジネスにおけるエンゲージメントの基本概念から、従業員・顧客・SNSの各エンゲージメントの違い、測定方法、向上施策まで、マーケティング・人事・CS担当者が押さえておくべき情報を解説します。

この記事のポイント:

  • エンゲージメントは「深いつながりを持った関係性」を示す言葉で、従業員エンゲージメント・顧客エンゲージメント・SNSエンゲージメントがある
  • 従業員満足度は待遇への満足度だが、エンゲージメントは企業への貢献意欲で収益との相関が強い
  • 日本の従業員エンゲージメント率は5%と非常に低く、米国の34%と大きな差がある
  • パルスサーベイ・センサスで測定し、総合指標・レベル指標・ドライバー指標の3つで可視化する
  • 1on1ミーティング、企業ビジョンの浸透、評価制度の改善が効果的な施策

1. なぜ今エンゲージメントが重要なのか

エンゲージメントは、企業と従業員、企業と顧客の間に「深いつながりを持った関係性」を示す言葉です。近年、以下のような理由でエンゲージメント向上が重要な経営課題となっています。

注目される背景:

  • 2023年3月期決算以降、有価証券報告書などでの人的資本開示が義務化され、従業員エンゲージメントの認知が広がっている
  • 日本の従業員エンゲージメント率は5%と非常に低く、米国の34%と比較して大きな差があり、改善の余地が大きい
  • 2025年は「リベンジ退職」がトレンドになると予測されており、従業員の定着が重要な課題
  • エンゲージメント向上施策を実施している企業は2025年で29.2%、2023年の19.4%から2年で約10%増加している

(参考: 矢野経済研究所「2025 従業員エンゲージメント市場」、日本エス・エイチ・エル「2025年に従業員エンゲージメントが最高の投資となる理由」)

特に2025年の従業員エンゲージメントの平均スコアは2.54で、前年よりも0.05ポイント下がっており、企業の取り組みが一層求められています。

2. エンゲージメントの基礎知識

(1) エンゲージメントの定義(従業員・顧客・SNS)

エンゲージメントは、ビジネスの文脈により以下の3つの意味で使われます。

従業員エンゲージメント:

  • 従業員が企業理念に共感し、自発的に会社に貢献したいと思う意欲
  • 理解度(企業ビジョン・価値観の理解)、帰属意識(組織への愛着)、行動意欲(自発的な貢献意欲)の3つの要素で構成される

顧客エンゲージメント:

  • 企業と顧客の間に強固かつ継続的な信頼関係が醸成されている状態
  • ブランドロイヤルティ、リピート購入、口コミ推奨などに影響

SNSエンゲージメント:

  • SNS投稿に対するユーザーの反応(いいね、コメント、シェアなど)
  • マーケティング効果を測る指標として活用

(参考: リクルートマネジメントソリューションズ「エンゲージメントとは?ビジネスでの意味や高める方法を解説」)

(2) 従業員満足度との違い

従業員エンゲージメントと従業員満足度は、しばしば混同されますが、以下のような違いがあります。

従業員満足度:

  • 給与・福利厚生・労働環境など、待遇への満足度を示す指標
  • 収益や生産性との相関関係が薄い
  • 満足度が高くても、必ずしも企業への貢献意欲が高いわけではない

従業員エンゲージメント:

  • 企業への貢献意欲や自発的な行動を示す指標
  • 収益や生産性との相関関係が強い
  • エンゲージメントが高い従業員は、業績向上に直接貢献する

(参考: HR大学「従業員エンゲージメントとは?向上施策・事例も紹介」)

(3) ワークエンゲージメントとの違い

ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントも、異なる概念です。

ワークエンゲージメント:

  • 個人と仕事との関係に着目した概念
  • 仕事に対する熱意・没頭・活力を示す

従業員エンゲージメント:

  • 個人と組織との関係に着目した概念
  • 組織への帰属意識や貢献意欲を示す

(参考: みずほリサーチ&テクノロジーズ「『従業員エンゲージメント』再考:企業が追求すべき従業員の"engagement"とは」)

3. エンゲージメントの測定方法

(1) パルスサーベイとセンサス

従業員エンゲージメントを測定するには、サーベイ(調査)が一般的に用いられます。

パルスサーベイ:

  • 短期間で頻繁に実施する従業員調査(週1回〜月1回)
  • 少数の質問(5〜10問)で、リアルタイムな状態を把握
  • 迅速な施策実施が可能

センサス:

  • 全従業員を対象とした大規模な調査(年1〜2回)
  • 多数の質問で、詳細な分析が可能
  • 組織全体の傾向を把握

(参考: HR大学「従業員エンゲージメント指標(指数)とは?測定方法や重要性、メリットを紹介」)

(2) 3つの指標(総合・レベル・ドライバー)

エンゲージメントを可視化するには、以下の3つの指標を組み合わせます。

総合指標:

  • エンゲージメント全体のスコア
  • 企業への愛着・推奨意向などを総合的に評価

レベル指標:

  • エンゲージメントの水準を分類(高・中・低など)
  • 組織全体の分布を把握

ドライバー指標:

  • エンゲージメントを左右する要因(上司との関係、成長機会、労働環境など)
  • 改善すべきポイントを特定

(参考: HR大学「従業員エンゲージメント指標(指数)とは?測定方法や重要性、メリットを紹介」)

4. エンゲージメントを高める具体的施策

(1) 1on1ミーティングの定期実施

1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で定期的に面談する施策です。

1on1ミーティングの効果:

  • 上司と部下のコミュニケーションが強化され、信頼関係が構築される
  • 部下の悩みや不安を早期にキャッチアップし、離職を防止する
  • フィードバックを受ける機会が増え、成長実感が得られる

実施のポイント:

  • 週1回〜月1回の頻度で定期的に実施
  • 業務報告ではなく、キャリアや課題について対話する
  • 上司が部下の話を傾聴する姿勢を大切にする

(参考: Unipos「従業員エンゲージメント向上の具体例を紹介!事例から学ぶ向上施策」)

(2) 企業ビジョンの浸透施策

企業のビジョンや方向性を具体的に理解し支持してもらうための施策が重要です。

ビジョン浸透の施策:

  • 経営陣が直接、企業のビジョン・ミッション・バリューを説明する機会を設ける
  • 各部署の目標と企業ビジョンの関連性を明確にする
  • 社内報やタウンホールミーティングで、ビジョンに基づく成功事例を共有する

(参考: Asana「従業員エンゲージメントを高めるための実践ガイド [2025]」)

(3) 評価制度・フィードバックの改善

公平で透明性の高い評価制度は、エンゲージメント向上に不可欠です。

評価制度の改善ポイント:

  • 評価基準を明確にし、従業員に共有する
  • 定期的なフィードバックで、評価の根拠を説明する
  • 成果だけでなく、プロセスや行動も評価する

フィードバックの改善:

  • ポジティブなフィードバックと改善点をバランスよく伝える
  • 具体的な行動例を挙げてフィードバックする
  • フィードバック後のフォローアップを行う

(参考: Unipos「従業員エンゲージメント向上の具体例を紹介!事例から学ぶ向上施策」)

5. 導入時の注意点と失敗を防ぐポイント

(1) 日本特有の課題(エンゲージメント率5%)

日本の従業員エンゲージメント率は5%と非常に低く、米国の34%と大きな差があります。

日本特有の課題:

  • 終身雇用・年功序列の慣習により、自発的な貢献意欲が育ちにくい
  • 上司との関係性が硬直的で、心理的安全性が低い
  • 企業ビジョンの浸透が不足しており、自分の仕事の意義を感じにくい

対策:

  • 従来の人事制度を見直し、成果主義やジョブ型雇用を検討する
  • 1on1ミーティングで上司との関係性を改善する
  • 企業ビジョンを分かりやすく伝える機会を増やす

(参考: Unipos「従業員エンゲージメント向上の具体例を紹介!事例から学ぶ向上施策」)

(2) 施策実施後のPDCAサイクル

エンゲージメント向上施策は、実施して終わりではなく、PDCAサイクルを回すことが重要です。

PDCAサイクル:

  • Plan: サーベイ結果から課題を特定し、施策を計画
  • Do: 施策を実施(1on1、ビジョン浸透、評価制度改善など)
  • Check: 定期的にサーベイを実施し、スコアの変化を確認
  • Action: 効果が低い施策は見直し、改善策を実施

(参考: Asana「従業員エンゲージメントを高めるための実践ガイド [2025]」)

6. まとめ:自社に合ったエンゲージメント向上設計

エンゲージメントは、従業員の貢献意欲や顧客との信頼関係を示す重要な指標です。従業員エンゲージメントを高めるには、1on1ミーティング、企業ビジョンの浸透、評価制度の改善などの施策を組み合わせ、定期的なサーベイでPDCAサイクルを回すことが重要です。

次のアクション:

  • 現在の従業員エンゲージメントをサーベイで測定する
  • 日本特有の課題(エンゲージメント率5%)を認識し、自社の状況を分析する
  • 1on1ミーティング・ビジョン浸透施策を試験的に実施する
  • 定期的にサーベイを実施し、施策の効果を検証する

※エンゲージメント向上の効果は企業規模・業種により異なります。データは2024-2025年時点の情報です。最新の手法やツールは各社公式サイトをご確認ください。

自社に合ったエンゲージメント向上設計で、従業員の定着率向上と業績改善を実現しましょう。

よくある質問

Q1エンゲージメントと従業員満足度は何が違う?

A1従業員満足度は待遇への満足度で収益との相関が薄いです。エンゲージメントは企業への貢献意欲であり、収益・生産性との相関が強いです。

Q2日本のエンゲージメント率が低い原因は?

A2日本は5%で米国34%と大差があります。終身雇用・年功序列の慣習、上司との関係性、企業ビジョンの浸透不足などが要因とされています。

Q3エンゲージメント向上の効果はどう測定する?

A3定期的なサーベイでスコアを追跡します。離職率・生産性・顧客満足度との相関を見て、施策の効果を検証します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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