CRMとeCRM、違いがよく分からない…
顧客管理システムの導入を検討する中で、「CRM」と「eCRM」という言葉を目にする機会が増えていませんか。「eCRMとは何か」「従来型CRMとは何が違うのか」「自社にはどちらが適しているのか」といった疑問を抱える方は少なくありません。
eCRMはインターネットを活用した顧客関係管理の手法ですが、その定義や活用方法は複数の解釈があります。この記事では、eCRMの定義、従来型CRMとの違い、主要機能、導入メリット、選定ポイントを実務視点で解説します。
この記事のポイント:
- eCRMは「Electronic CRM」の略で、インターネットを活用した顧客関係管理
- 従来型CRMとの決定的な違いは、デジタルチャネル活用と365日24時間対応
- 主要機能はWeb連携、メール自動化、顧客行動分析の3つ
- コミュニケーションコスト約30〜40%削減の可能性(条件により異なる)
- 導入時は分析したい指標への対応と既存システムとの連携性を確認
eCRMとは:インターネットを活用した顧客関係管理
eCRMとは、インターネットを活用した顧客関係管理(Customer Relationship Management)の手法です。Webサイト、電子メール、SNSなどのデジタルチャネルを通じて顧客との関係を構築・維持することを目的としています。
(1) eCRMの定義:3つの「e」(electronic・efficient・effective)
eCRMの「e」には、以下の3つの意味が込められていると言われています。
electronic(電子的): インターネットやデジタル技術を活用した顧客管理。Webサイト、電子メール、携帯電話などの顧客接点を最大限に活用します。
efficient(効率的): 従来の対面・電話中心の顧客対応と比較して、より少ないコストで多くの顧客とコミュニケーションが可能です。
effective(効果的): 顧客の行動データをリアルタイムで収集・分析し、一人ひとりに最適化された対応を実現します。
(2) eCRMが注目される背景(デジタル時代の顧客接点増加)
デジタル化の進展により、顧客との接点がオンラインに移行しています。BtoB企業においても、Webサイト経由のリード獲得やメールでのナーチャリングが一般的になっており、デジタルチャネルでの顧客管理の重要性が高まっています。
顧客接点の変化:
- 製品・サービスの情報収集はWebサイトが中心に
- 問い合わせ手段もメール・チャットが増加
- 購買検討プロセスの多くがオンラインで完結
こうした変化に対応するため、デジタルチャネルに特化した顧客管理手法としてeCRMが注目されています。
eCRMと従来型CRMの違い(比較表で解説)
eCRMと従来型CRMの違いを理解することで、自社に適した選択ができます。
| 比較項目 | 従来型CRM | eCRM |
|---|---|---|
| 主な顧客接点 | 対面、電話、郵送 | Webサイト、メール、SNS |
| 対応可能時間 | 営業時間内 | 365日24時間 |
| データの種類 | 定性データ中心 | リアルタイム行動データ |
| 個別対応 | 担当者の経験に依存 | データに基づく自動化 |
| コスト | 人件費中心 | システム費用中心 |
(1) 顧客接点の違い:対面 vs デジタルチャネル
従来型CRMは、営業担当者による対面訪問や電話、ダイレクトメールなどのオフラインチャネルが中心です。一方、eCRMはWebサイト、電子メール、SNSなどのオンラインチャネルを活用します。
(2) 対応可能時間の違い:営業時間内 vs 365日24時間
eCRMの大きな特徴は、365日24時間の顧客対応が可能な点です。顧客がいつWebサイトを訪問しても、パーソナライズされたコンテンツを表示したり、自動返信メールを送信したりできます。
(3) データ活用の違い:定性データ vs リアルタイム行動データ
従来型CRMでは、営業担当者が記録した商談メモや顧客の声など、定性的なデータが中心でした。eCRMでは、Webサイトの閲覧履歴、メールの開封率、クリック行動など、リアルタイムの行動データを収集・分析できます。
eCRMの主要機能(Web連携・メール自動化・顧客分析)
eCRMツールには、デジタルチャネルでの顧客管理に特化した機能が搭載されています。
(1) Webサイト連携:行動追跡・パーソナライズ
主な機能:
- Webサイト訪問者の行動追跡(閲覧ページ、滞在時間など)
- 訪問履歴に基づくパーソナライズ表示
- フォーム入力データの自動取り込み
- ポップアップやバナーの出し分け
Webサイトと連携することで、匿名訪問者がフォーム入力した時点で、過去の行動履歴と紐付けて管理できるようになります。
(2) メールマーケティング自動化
主な機能:
- トリガーメール(特定の行動をきっかけに自動送信)
- ステップメール(段階的に情報を配信)
- セグメント配信(属性や行動に基づく出し分け)
- A/Bテスト(件名や配信時間の効果検証)
メール配信の自動化により、適切なタイミングで適切な内容を届けることが可能になります。
(3) 顧客分析:LTV・F2転換率・残存率の計測
主な分析指標:
- LTV(Life Time Value): 1人の顧客がもたらす累計利益
- F2転換率: 初回購入から2回目購入への転換率
- 残存率: 一定期間後も継続利用している顧客の割合
- 購買頻度・購買単価: 顧客の購買パターン
導入時は、自社サイトで分析したい項目(LTV、F2転換率、残存率等)が分析できるかを事前に確認することが推奨されます。
eCRM導入のメリットと期待効果
(1) コミュニケーションコスト削減(約30〜40%減の可能性)
eCRMを活用することで、従来のダイレクトメールと比較してコミュニケーション費用を約30〜40%削減できる可能性があると言われています。ただし、削減効果は導入規模、既存システム、業種・業態により異なります。
コスト削減のポイント:
- 印刷・郵送費の削減(紙のDM → メール配信)
- 人件費の削減(手動対応 → 自動化)
- 営業効率の向上(見込み度の高い顧客への集中)
(2) One-to-Oneマーケティングの実現
eCRMにより、顧客一人ひとりに合わせた個別マーケティング(One-to-Oneマーケティング)が実現しやすくなります。
実現できること:
- 閲覧履歴に基づくおすすめ製品の表示
- 購買ステージに応じたメールコンテンツの出し分け
- 過去の問い合わせ内容を踏まえた対応
(3) 顧客データの一元管理と活用
複数のデジタルチャネルから収集した顧客データを一元管理し、部門横断で活用できるようになります。
一元管理のメリット:
- 営業・マーケティング・カスタマーサポート間での情報共有
- 顧客ごとの全体像の把握
- データに基づく施策の立案・改善
eCRMツールの選定ポイントと注意点
(1) 分析したい指標(LTV・転換率)に対応しているか
自社で重視する指標を分析できるかを確認します。ECサイトの場合はLTVやF2転換率、BtoBの場合はリードスコアリングやファネル分析などが重要になるケースが多いです。
確認ポイント:
- 標準で対応している分析指標
- カスタム指標の設定可否
- レポート・ダッシュボード機能
(2) 既存システム(EC・SFA・MA)との連携性
既存のシステムとの連携可否を確認します。連携や設定に専門的な知識が求められるツールもあるため、事前にデモや無料トライアルで確認することが推奨されます。
連携先の例:
- ECプラットフォーム(Shopify、EC-CUBEなど)
- SFA(営業支援システム)
- MA(マーケティングオートメーション)
- 会計・請求システム
(3) セキュリティ対策と操作性の確認
顧客データを扱うため、セキュリティ対策の充実度を重要な指標として評価すべきです。また、現場担当者が使いこなせるかどうか、操作性も事前に確認しておく必要があります。
確認ポイント:
- データ暗号化、アクセス制御などのセキュリティ機能
- 権限設定の柔軟性
- UIの直感性、マニュアルの充実度
- サポート体制(日本語対応、対応時間など)
無料トライアルで操作性を確認してから本格導入を決定することが推奨されます。
まとめ:eCRM導入判断のチェックポイント
eCRMは、デジタルチャネルでの顧客管理を効率化・高度化するための手法です。従来型CRMとの優劣ではなく、自社の顧客接点やビジネスモデルに応じた使い分けが重要です。
eCRM導入のチェックポイント:
- 自社の顧客接点はデジタルチャネルが中心か
- 分析したい指標(LTV、転換率等)は明確か
- 既存システムとの連携要件は整理できているか
- セキュリティ要件は満たせるか
- 無料トライアルで操作性を確認したか
次のステップ:
- 自社の顧客接点と課題を整理する
- 必要な機能・分析指標をリストアップする
- 候補ツールの公式サイトで最新情報を確認する
- 無料トライアルで実際に操作性を検証する
※この記事は2024年時点の情報に基づいています。ツールの機能・料金は更新される可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
よくある質問:
Q: eCRMとCRMの違いは何? A: 決定的な違いはインターネット活用の有無です。eCRMはWeb・メール・SNSなどデジタルチャネルを通じた顧客管理に特化し、365日24時間対応が可能です。従来型CRMは対面・電話などオフラインチャネルが中心です。
Q: eCRMの「e」は何を意味する? A: 3つの意味があると言われています。electronic(電子的)、efficient(効率的)、effective(効果的)です。インターネット活用による効率化と効果向上を表しています。
Q: eCRM導入でどの程度コスト削減できる? A: 従来のダイレクトメールと比較してコミュニケーション費用を約30〜40%削減できる可能性があります。ただし、導入規模・既存システム・業種により効果は異なります。
Q: B2B企業でもeCRMは有効? A: 有効です。Webサイト経由のリード獲得、メールナーチャリング、顧客行動分析など、B2Bのデジタルマーケティングに活用できます。SFA・MAとの連携により、営業・マーケティング活動の効率化が期待できます。
