ダブルファネルとは?マーケティング戦略への活用法・事例を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

従来のファネルモデルだけでは、顧客を獲得しても維持できない...

マーケティング担当者やマネージャーの多くが、「新規顧客は獲得できているが、リピーターになってくれない」「既存顧客の継続率が低く、LTVが伸びない」という課題を抱えています。 従来のファネルモデルは、認知から購入までの一方通行のプロセスに焦点を当てていますが、購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)を考慮していませんでした。

こうした課題を解決するのが「ダブルファネル」です。ダブルファネルは、パーチェスファネル(新規顧客獲得)とインフルエンスファネル(既存顧客育成)を組み合わせた砂時計型のマーケティングモデルであり、顧客獲得から購入後までを統合的に管理します。

この記事では、ダブルファネルの基礎知識から、従来ファネルとの違い、7つのステージと実践方法、サブスクリプション・ECでの活用事例まで、実務で使える情報を解説します。

この記事のポイント:

  • ダブルファネルは、パーチェスファネル(新規顧客獲得)とインフルエンスファネル(既存顧客育成)を組み合わせた砂時計型モデル
  • 従来型が購入までの一方通行だったのに対し、購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)まで統合した点が違い
  • 7つのステージ(認知→興味→比較→購入→継続→紹介→発信)ごとに適した施策を実行する
  • 特にサブスクリプション型ビジネスやEC市場で、顧客維持が重要な業種に効果的
  • 2024年現在、新規顧客獲得よりも既存顧客の維持が重要視されている

1. 導入:なぜ従来のファネルモデルでは不十分なのか

従来のマーケティングファネルは、認知→興味→比較→購入という一方通行のプロセスに焦点を当てており、購入後の顧客行動を考慮していませんでした。

従来型ファネルの課題:

  • 購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)が可視化されていない
  • 新規顧客獲得コストは、既存顧客維持コストの5倍と言われており、新規獲得のみに注力すると非効率
  • リピーターや推奨者を育成する仕組みがない

2024年現在、競争が激化する市場環境と、顧客維持の重要性から、特にサブスクリプション型ビジネスやEC市場では、新規顧客獲得よりも既存顧客の維持が重要視されています。 また、SNSやデジタルツールの発達により、既存顧客による口コミや紹介の影響力が増大し、インフルエンスファネルの重要性が高まっています。

こうした背景から、購入後の顧客行動まで含めた「ダブルファネル」が注目されています。

2. 基礎知識:ダブルファネルとは?砂時計型マーケティングモデルの全体像

(1) ダブルファネルの定義:パーチェスファネル+インフルエンスファネル

ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた砂時計型のマーケティングモデルです。

ダブルファネルの構造:

【パーチェスファネル(逆三角形)】
  ↓ 認知
  ↓ 興味・関心
  ↓ 比較・検討
  ↓ 購入・申し込み
  ↓
【購入】← ここで従来型ファネルは終了
  ↓
【インフルエンスファネル(三角形)】
  ↓ 継続
  ↓ 紹介
  ↓ 発信

ダブルファネルは、新規顧客の獲得(パーチェスファネル)と、既存顧客の維持・拡散(インフルエンスファネル)を統合的に管理することで、顧客獲得から購入後までをカバーします。

(2) パーチェスファネル:新規顧客獲得(認知→興味→比較→購入)

パーチェスファネルは、新規顧客の獲得を目的とし、認知→興味・関心→比較・検討→購入の4段階で構成されます。

パーチェスファネルの各段階:

  1. 認知: 広告・SEO・SNSで潜在顧客にリーチ
  2. 興味・関心: コンテンツマーケティング・ウェビナーで関心を引く
  3. 比較・検討: 資料請求・無料トライアルで具体的な検討を促す
  4. 購入・申し込み: 購入・契約を完了させる

(3) インフルエンスファネル:既存顧客育成(継続→紹介→発信)

インフルエンスファネルは、既存顧客の維持と拡散を目的とし、継続→紹介→発信の段階で構成されます。

インフルエンスファネルの各段階:

  1. 継続: カスタマーサクセス・サポートで顧客満足度を高め、継続利用を促す
  2. 紹介: リピーターに友人・知人への紹介を促す(紹介プログラム・インセンティブ)
  3. 発信: 推奨者がSNS・レビューで自発的に発信し、新規顧客の認知拡大につながる

Web担当者Forumの記事によると、既存顧客の共感・感動体験の口コミを新規顧客に共有・拡散することで、認知度・受注率・継続率を底上げできるとされています。

3. 従来のファネルとの違い:購入後まで含めた統合的アプローチ

(1) 従来型:購入までの一方通行

従来のマーケティングファネルは、以下の特徴がありました:

  • 一方通行: 認知から購入までの流れのみを可視化
  • 新規顧客中心: 既存顧客の維持・育成は別のプロセスとして扱われる
  • 購入がゴール: 購入後の顧客行動は考慮されない

(2) ダブルファネル:購入後の顧客行動を統合

ダブルファネルは、購入後の顧客行動まで含めた統合的なアプローチです:

ダブルファネルの特徴:

  • 双方向: 既存顧客の口コミ・紹介が新規顧客の認知を拡大(インフルエンスファネル → パーチェスファネル)
  • 顧客中心: 新規顧客獲得と既存顧客維持を統合的に管理
  • 購入が中間点: 購入後の継続・紹介・発信まで含めたライフサイクル全体を可視化

(3) 顧客維持の重要性:サブスクリプション・EC市場での必須性

特にサブスクリプション型ビジネスやEC市場では、顧客維持が重要です。

顧客維持が重要な理由:

  • 新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍: 新規顧客のみに注力すると非効率
  • LTV(顧客生涯価値)の最大化: 継続利用してもらうことで、長期的な収益が確保できる
  • 口コミ・紹介の効果: 既存顧客が推奨者になると、新規顧客の獲得コストが削減できる

2024年のトレンドとして、a4kikakuの資料によると、サブスクリプション型ビジネスやEC市場では、新規顧客獲得よりも既存顧客の維持が重要視されており、既存顧客をリピーターや推奨者に育てることが成功の鍵とされています。

4. ダブルファネルの7つのステージと実践方法

(1) 7つのステージの全体像(認知→興味・関心→比較・検討→購入→継続→紹介→発信)

connected-oneの資料によると、ダブルファネルは7つのステージで構成されます:

パーチェスファネル(新規顧客獲得):

  1. 認知: 潜在顧客にリーチ
  2. 興味・関心: 関心を引く
  3. 比較・検討: 具体的な検討を促す
  4. 購入・申し込み: 購入を完了させる

インフルエンスファネル(既存顧客育成): 5. 継続: 継続利用を促す 6. 紹介: 友人・知人への紹介を促す 7. 発信: 自発的な口コミ・レビューを促す

(2) 各ステージでの具体的施策

connected-oneの資料によると、7つのステージごとに適した施策を実行することが重要です:

【1. 認知】

  • Web広告(Google広告、SNS広告)
  • SEO(検索エンジン最適化)
  • SNSマーケティング
  • プレスリリース

【2. 興味・関心】

  • コンテンツマーケティング(ブログ、ホワイトペーパー)
  • ウェビナー・セミナー
  • 動画コンテンツ

【3. 比較・検討】

  • 資料請求フォーム
  • 無料トライアル・デモ
  • 事例紹介
  • FAQページ

【4. 購入・申し込み】

  • スムーズな購入フロー
  • チャットサポート
  • 購入後のサンキューメール

【5. 継続】

  • カスタマーサクセス(オンボーディング、活用支援)
  • 定期的なフォローアップメール
  • 製品アップデート情報の提供
  • ロイヤルティプログラム

【6. 紹介】

  • 紹介プログラム(紹介者・被紹介者にインセンティブ)
  • 紹介しやすい仕組み(紹介コード、SNSシェアボタン)

【7. 発信】

  • レビュー投稿の依頼
  • SNSでのハッシュタグキャンペーン
  • ユーザー事例の掲載(許可を得て)

(3) 部署間連携の鍵:マーケティング・営業・IS・CS

connected-oneの資料によると、マーケティング、営業、インサイドセールス、カスタマーサクセスなど関与する部署の役割を明確化し、顧客体験をシームレスにすることが重要です。

部署間の役割分担:

  • マーケティング: 認知→興味・関心のステージを担当(広告、コンテンツ、SEO)
  • インサイドセールス: 比較・検討のステージを担当(資料請求対応、無料トライアル案内)
  • 営業: 購入のステージを担当(商談、契約締結)
  • カスタマーサクセス: 継続→紹介→発信のステージを担当(オンボーディング、活用支援、紹介プログラム)

部署間連携の注意点:

  • 部署間の連携が不十分だと顧客体験が分断され、ダブルファネルの効果が得られない
  • データを一元化し、どの部署も同じ顧客情報を参照できるようにする(CRM・MAツールの活用)

(4) データ一元化とパフォーマンス測定

connected-oneの資料によると、マーケティングとセールスの両方のデータを一元化し、それぞれのファネルのパフォーマンスを測定することが重要です。

測定すべきKPI:

ステージ KPI
認知 PV、UU、インプレッション数
興味・関心 コンテンツダウンロード数、ウェビナー参加者数
比較・検討 資料請求数、無料トライアル申込数
購入 受注数、CVR
継続 継続率、解約率
紹介 紹介経由の新規顧客数
発信 レビュー投稿数、SNSでの言及数

5. 活用事例・効果測定:サブスクリプションとECでの成功パターン

(1) サブスクリプション型ビジネスでの活用方法

サブスクリプション型ビジネス(SaaS、定期購入サービスなど)では、ダブルファネルが特に効果的です。

活用のポイント:

  • オンボーディング強化: 初回利用時のサポートを手厚くし、継続率を向上
  • 定期的なフォローアップ: 使い方のヒント、新機能の紹介を定期配信
  • 紹介プログラム: 既存顧客が友人を紹介すると、双方に割引やクレジットを付与

成功パターン:

  • 継続率: 70% → 85%(オンボーディング強化により)
  • 紹介経由の新規顧客: 全体の20-30%(紹介プログラム導入により)
  • LTV: 1.5-2倍に向上(継続率向上と紹介増加により)

(2) EC市場での顧客育成戦略

EC市場では、リピーターの育成が重要です。

活用のポイント:

  • 購入後フォローメール: 商品の使い方、関連商品の提案
  • ロイヤルティプログラム: ポイント制度、会員ランク制度
  • レビュー投稿依頼: 購入後1週間でレビュー投稿を依頼(インセンティブ付き)

成功パターン:

  • リピート率: 30% → 50%(購入後フォローメールにより)
  • レビュー投稿数: 2倍(レビュー投稿依頼により)
  • 新規顧客の購入率: 15% → 25%(既存顧客のレビューにより)

(3) KPI設定とROI測定のポイント

KPIを適切に設定しないと、どちらのファネルに注力すべきか判断を誤ります。

KPI設定のポイント:

connected-oneの資料によると、まず自社の現状を把握し、パーチェスファネルとインフルエンスファネルのどちらに注力するかを決めることが重要です:

  • 成熟産業の場合: インフルエンスファネル寄りに注力(既存顧客の維持・紹介)
  • 成長産業・新製品の場合: パーチェスファネル寄りに注力(新規顧客獲得)

ROI測定のポイント:

  • 新規顧客獲得コスト(CAC)
  • 既存顧客維持コスト
  • LTV(顧客生涯価値)
  • ROI = (LTV - CAC) ÷ CAC

6. まとめ:ダブルファネル導入ステップと2024年のトレンド

ダブルファネルは、パーチェスファネル(新規顧客獲得)とインフルエンスファネル(既存顧客育成)を組み合わせた砂時計型のマーケティングモデルであり、顧客獲得から購入後までを統合的に管理します。

従来型が購入までの一方通行だったのに対し、購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)まで含めた点が大きな違いです。 特にサブスクリプション型ビジネスやEC市場で、顧客維持が重要な業種に効果的です。

ダブルファネル導入のステップ:

  1. 自社の現状を把握する(パーチェスファネルとインフルエンスファネルのどちらに注力すべきか)
  2. 7つのステージごとにKPIを設定する
  3. 部署間の役割を明確化する(マーケティング・営業・IS・CS)
  4. データを一元化する(CRM・MAツールの活用)
  5. 小規模に試行する(一部の顧客セグメントでテスト)
  6. 効果測定・改善する(継続率・紹介率・LTVを測定)

2024年のトレンド:

  • 顧客維持の重要性: 新規顧客獲得よりも既存顧客の維持が重要視されている
  • SNS・デジタルツールの発達: 既存顧客による口コミや紹介の影響力が増大
  • カスタマーサクセスの台頭: 継続率向上のためのCS部門の役割が重要に

次のアクション:

  • 自社のファネルを可視化し、7つのステージごとに現状を把握する
  • パーチェスファネルとインフルエンスファネルのKPIを設定する
  • 部署間の役割分担を明確化し、データ一元化を進める
  • カスタマーサクセス施策(オンボーディング、紹介プログラム)を強化する

ダブルファネルで顧客獲得から購入後までを統合的に管理し、LTVの最大化を目指しましょう。

よくある質問:

Q: ダブルファネルとは何ですか?従来のファネルとの違いは? A: パーチェスファネル(新規顧客獲得:認知→購入)とインフルエンスファネル(既存顧客育成:継続→紹介→発信)を組み合わせた砂時計型モデルです。従来型が購入までの一方通行だったのに対し、購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)まで統合した点が大きな違いです。既存顧客の口コミ・紹介が新規顧客の認知を拡大する双方向の仕組みを実現します。

Q: どんな企業にダブルファネルが向いていますか? A: 特にサブスクリプション型ビジネス(SaaS、定期購入サービス)やEC市場で効果的です。顧客維持が重要な業種(オンラインサービス、定期購入、会員制ビジネス等)に向いています。自社の状況に応じて、成熟産業ならインフルエンスファネル寄り(既存顧客の維持・紹介)、成長産業・新製品ならパーチェスファネル寄り(新規顧客獲得)に注力するのが推奨されます。

Q: ダブルファネル導入時の注意点は? A: ①部署間連携(マーケティング・営業・インサイドセールス・カスタマーサクセス)が不十分だと顧客体験が分断され、効果が半減します。②適切なKPI設定が必須で、どちらのファネルに注力すべきか判断を誤ると非効率になります。③新規顧客獲得のみに注力すると既存顧客が離反し、長期的な成長が阻害されます。データ一元化とシームレスな顧客体験の提供が成功の鍵です。

Q: パーチェスファネルとインフルエンスファネルの違いは何ですか? A: パーチェスファネルは新規顧客の獲得を目的とし、認知→興味・関心→比較・検討→購入の4段階で構成されます。インフルエンスファネルは既存顧客の維持と拡散を目的とし、継続→紹介→発信の段階で構成されます。パーチェスファネルが「下に向かう逆三角形」、インフルエンスファネルが「上に向かう三角形」で、組み合わせると砂時計型になります。

Q: ダブルファネルの効果測定はどうすればいいですか? A: 7つのステージごとにKPIを設定し、パフォーマンスを測定します。パーチェスファネルでは、PV・UU・コンテンツダウンロード数・資料請求数・受注数などを測定します。インフルエンスファネルでは、継続率・解約率・紹介経由の新規顧客数・レビュー投稿数・SNSでの言及数などを測定します。最終的にはLTV(顧客生涯価値)とROI(投資対効果)で総合的に評価します。

よくある質問

Q1ダブルファネルとは何ですか?従来のファネルとの違いは?

A1パーチェスファネル(新規顧客獲得:認知→購入)とインフルエンスファネル(既存顧客育成:継続→紹介→発信)を組み合わせた砂時計型モデルです。従来型が購入までの一方通行だったのに対し、購入後の顧客行動(継続・紹介・発信)まで統合した点が大きな違いです。既存顧客の口コミ・紹介が新規顧客の認知を拡大する双方向の仕組みを実現します。

Q2どんな企業にダブルファネルが向いていますか?

A2特にサブスクリプション型ビジネス(SaaS、定期購入サービス)やEC市場で効果的です。顧客維持が重要な業種(オンラインサービス、定期購入、会員制ビジネス等)に向いています。自社の状況に応じて、成熟産業ならインフルエンスファネル寄り(既存顧客の維持・紹介)、成長産業・新製品ならパーチェスファネル寄り(新規顧客獲得)に注力するのが推奨されます。

Q3ダブルファネル導入時の注意点は?

A3①部署間連携(マーケティング・営業・インサイドセールス・カスタマーサクセス)が不十分だと顧客体験が分断され、効果が半減します。②適切なKPI設定が必須で、どちらのファネルに注力すべきか判断を誤ると非効率になります。③新規顧客獲得のみに注力すると既存顧客が離反し、長期的な成長が阻害されます。データ一元化とシームレスな顧客体験の提供が成功の鍵です。

Q4パーチェスファネルとインフルエンスファネルの違いは何ですか?

A4パーチェスファネルは新規顧客の獲得を目的とし、認知→興味・関心→比較・検討→購入の4段階で構成されます。インフルエンスファネルは既存顧客の維持と拡散を目的とし、継続→紹介→発信の段階で構成されます。パーチェスファネルが「下に向かう逆三角形」、インフルエンスファネルが「上に向かう三角形」で、組み合わせると砂時計型になります。

Q5ダブルファネルの効果測定はどうすればいいですか?

A57つのステージごとにKPIを設定し、パフォーマンスを測定します。パーチェスファネルでは、PV・UU・コンテンツダウンロード数・資料請求数・受注数などを測定します。インフルエンスファネルでは、継続率・解約率・紹介経由の新規顧客数・レビュー投稿数・SNSでの言及数などを測定します。最終的にはLTV(顧客生涯価値)とROI(投資対効果)で総合的に評価します。

B

B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

「B2Bデジタルプロダクト実践ガイド」は、デシセンス株式会社が運営する情報メディアです。B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業・カスタマーサクセス・開発・経営に関する実践的な情報を、SaaS、AIプロダクト、ITサービス企業の実務担当者に向けて分かりやすく解説しています。