なぜCRMでの問い合わせ管理が注目されるのか
「Excelで問い合わせを管理しているけど、対応漏れが多い...」「複数のチャネルからの問い合わせが増えて、管理が大変...」
B2B企業のカスタマーサポート担当者の多くが、問い合わせ管理の非効率さに悩んでいます。メール、電話、チャット、SNSなど、顧客との接点が多様化する中で、Excelやスプレッドシートでの管理には限界があります。
この記事では、CRMを活用した問い合わせ管理の方法を、機能・メリット・導入手順の観点から解説します。
この記事のポイント:
- CRMは複数チャネルの問い合わせを一元管理し、対応漏れや二重対応を防止できる
- 顧客情報との紐づけにより、個別化された適切な対応が可能になる
- 月額1,000〜3,000円/ユーザーが一般的な料金相場
- システム選定時は複数チャネル対応・既存システム連携・自動化機能を確認
- 導入前のトライアル実施と社内トレーニングが定着の鍵
CRMと問い合わせ管理システムの基礎知識
CRMによる問い合わせ管理を理解するために、まず基本的な用語と仕組みを確認しましょう。
(1) CRM(顧客関係管理)とは
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報や接触履歴を一元管理し、関係性を強化するシステムです。営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、顧客と関わる全部門で活用されます。
(2) 問い合わせ管理システムとCRMの違い
問い合わせ管理システムは、顧客からの問い合わせを一元管理し、紐づいた顧客情報や案件情報をもとに対応を行うシステムです。CRMは顧客関係管理全般を扱い、問い合わせ管理はその機能の一部として位置づけられます。
多くのCRM製品には問い合わせ管理機能が内蔵されており、別途専用システムを導入せずに運用できるケースが一般的です。
(3) CRMの主な問い合わせ管理機能
CRMに搭載される問い合わせ管理機能には、以下のようなものがあります。
チケット管理: 各問い合わせを「チケット」として登録し、担当者割り当てや進捗管理を行います。
マルチチャネル対応: メール、電話、チャット、SNS等の複数チャネルからの問い合わせを統合管理します。
自動ルーティング: 問い合わせ内容を解析し、最適な担当者やチームに自動振り分けします。
顧客情報との紐づけ: 過去の問い合わせ履歴や購買履歴と連携し、個別化された対応が可能になります。
SLA(Service Level Agreement)管理: 問い合わせへの応答時間や解決時間の目標値を設定し、達成状況を可視化します。
CRMで問い合わせ管理を行う3つのメリット
CRMによる問い合わせ管理には、従来のExcel管理と比較して明確なメリットがあります。
(1) マルチチャネルの一元管理で対応漏れを防止
複数のチャネル(メール、電話、チャット、SNS等)からの問い合わせを一元管理することで、対応漏れや二重対応を防止できます。
Excelでの管理の課題:
- チャネルごとに管理が分散し、全体像の把握が困難
- データ破損リスクや情報検索の困難さがある
- リアルタイム共有ができず、担当者不在時の引き継ぎが難しい
CRMでの改善:
- すべての問い合わせが単一のプラットフォームに集約される
- 担当者全員がリアルタイムで最新状況を確認できる
- 対応状況が可視化され、未対応の問い合わせが明確になる
(2) 顧客情報との紐づけで対応品質が向上
CRMに蓄積された顧客の過去の問い合わせ履歴や購買履歴を参照することで、個別化された適切な対応が可能になります。
具体例:
- 過去に同様の問い合わせをした顧客には、前回の対応内容を踏まえた回答ができる
- 契約中の製品やサービスに応じた専門的なサポートを提供できる
- 顧客の属性(企業規模、業種など)に合わせた提案が可能になる
(3) リアルタイム共有でチーム全体の効率化
問い合わせ内容と対応状況がリアルタイムで共有されるため、チーム全体でスピーディーな対応ができます。
効率化のポイント:
- 担当者不在時でも別のメンバーが状況を把握し、対応を継続できる
- エスカレーションが必要な場合、スムーズに上位者に引き継げる
- 対応ナレッジが蓄積され、同様の問い合わせに素早く対応できる
2024年現在、AI・NLPアルゴリズムを活用した問い合わせの自動分類機能が普及しており、対応効率がさらに向上しています。
CRM選定時の5つのチェックポイント
CRMによる問い合わせ管理を成功させるには、適切なシステム選定が重要です。
(1) 複数チャネルへの対応可否を確認
自社が使用している問い合わせチャネルに対応しているか、事前に確認しましょう。
確認項目:
- メール、電話、チャット、SNS(Twitter、Facebook等)への対応
- Webフォームからの問い合わせの取り込み機能
- 複数チャネルを統合管理する画面の使いやすさ
複数チャネルへの対応可否を事前に確認しないと、使用中のチャネルに対応していない可能性があります。
(2) 既存システムとの連携機能
既存のCRM、ERP、営業支援システム(SFA)との連携機能を確認しましょう。
連携のメリット:
- 営業部門の顧客情報をカスタマーサポート部門と共有できる
- 購買履歴や契約情報を参照しながら問い合わせ対応ができる
- 問い合わせ内容を営業活動にフィードバックできる
多くの問い合わせ管理システムはCRM、ERP等との連携機能を提供していますが、連携方法(API、ファイル連携等)や連携できるデータ項目は製品により異なります。
(3) 料金体系とコスト(月額1,000〜3,000円/ユーザー)
料金体系を確認し、自社の予算と照らし合わせましょう。
一般的な料金相場:
- 月額1,000〜3,000円/ユーザーが一般的
- 初期費用が発生する製品もある
- 機能や利用人数により変動する
製品によっては多額の初期導入費用が発生するケースがあり、ランニングコストも継続的にかかります。総コストで比較することが重要です。
※2025年1月時点の料金です。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
(4) 自動ルーティングやAI機能の有無
問い合わせ対応を効率化する自動化機能の有無を確認しましょう。
主な自動化機能:
- 自動ルーティング:問い合わせ内容に応じて適切な担当者に自動振り分け
- AI自動分類:問い合わせ内容を解析し、カテゴリや優先度を自動判定
- 定型応答の自動生成:FAQ機能と連携し、よくある質問への自動回答
2024年現在、音声認識やFAQ機能を備えたコンタクトセンターシステムとCRMの連携が進んでおり、より高度な自動化が可能になっています。
(5) サポート体制とトレーニング提供
システム導入後のサポート体制とトレーニング提供を確認しましょう。
確認項目:
- 日本語サポートの有無(海外製品の場合)
- オンボーディング支援(初期設定、運用立ち上げ支援)
- ユーザーコミュニティやヘルプドキュメントの充実度
システム導入後の社内トレーニングやワークフロー見直しが必要で、定着までに時間がかかる場合があります。サポート体制が充実している製品を選ぶことで、スムーズな立ち上げが期待できます。
CRM導入の具体的な手順と注意点
CRMによる問い合わせ管理を成功させるための導入手順を解説します。
(1) 現状の問い合わせ管理フローを可視化
まず、現在の問い合わせ管理フローを整理しましょう。
可視化すべき項目:
- 問い合わせチャネルの種類と件数
- 対応フロー(受付→担当者割り当て→対応→完了)
- 現状の課題(対応漏れ、二重対応、情報共有の遅れなど)
- 平均対応時間、解決率などのKPI
Excelでの管理はデータ破損リスクや情報検索の困難さがあるため、専用システムの導入が推奨されますが、移行前に現状を正確に把握することが重要です。
(2) システム選定とトライアル実施
要件を整理し、複数のシステムを比較検討しましょう。
選定ステップ:
- 自社の要件(チャネル数、利用人数、必要機能)を整理
- 3〜5社の製品を候補として選定
- 各社の公式サイトで機能・料金を確認
- 無料トライアルで実際の操作性を試す
- 現場担当者の意見を収集し、最終決定
システム導入による効果は企業規模や業種により異なるため、トライアル期間での検証が推奨されます。
(3) データ移行とワークフロー設計
既存の問い合わせデータをCRMに移行し、新しいワークフローを設計します。
データ移行のポイント:
- Excelやスプレッドシートからのデータ移行方法を確認
- 顧客情報、問い合わせ履歴、対応ステータスを漏れなく移行
- データクレンジング(重複排除、形式統一)を実施
ワークフロー設計:
- 問い合わせ受付から完了までのフローを定義
- 担当者割り当てルール、エスカレーション基準を設定
- SLA(応答時間、解決時間の目標値)を設定
Excel管理からの移行時はデータ移行作業と社内トレーニングが必要です。
(4) 社内トレーニングと定着支援
現場担当者への教育と定着支援を行います。
トレーニング内容:
- システムの基本操作(問い合わせ登録、ステータス更新など)
- 顧客情報の参照方法
- レポート・ダッシュボードの活用方法
定着支援:
- 運用開始後1〜3ヶ月は定期的に振り返りミーティングを実施
- 操作に不慣れな担当者へのフォローアップ
- 運用ルールの見直しと改善
導入後の定着には時間がかかるため、継続的なサポートが重要です。
まとめ:問い合わせ管理を成功させるために
CRMによる問い合わせ管理は、マルチチャネルの一元管理、顧客情報との紐づけ、リアルタイム共有により、対応品質と効率を大幅に向上させます。
システム選定時は、複数チャネル対応・既存システム連携・料金体系・自動化機能・サポート体制の5つのポイントを確認しましょう。導入前のトライアル実施と、導入後の社内トレーニングが定着の鍵となります。
次のアクション:
- 現状の問い合わせ管理フローを可視化し、課題を整理する
- 自社の要件(チャネル数、利用人数、予算)を明確にする
- 3〜5社の公式サイトで機能・料金を比較する
- 無料トライアルで実際の操作性と自社への適合性を確認する
CRMによる問い合わせ管理で、顧客満足度の向上と業務効率化を実現しましょう。
