BtoB向けのCRMを導入したいけれど、どれを選べばいいか分からない...
BtoB企業の営業・マーケティング活動を効率化するため、CRMの導入を検討している企業は多いと思います。しかし、「BtoB CRMとBtoC CRMの違いは?」「どんな機能が必要?」「ツールが多すぎてどれを選べばいいか分からない」といった悩みは尽きません。
この記事では、BtoB企業の営業・マーケティング担当者・経営者向けに、BtoB CRMの特徴、選定基準、主要ツールの比較、導入メリット・注意点を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- BtoB CRMはBtoC CRMと異なり、長期的な営業サイクル、高額予算、複数ステークホルダーとの関係管理が特徴
- 製造業の71%、ビジネスサービス企業の75%がCRMを利用している
- 2026年までにBtoB営業組織の65%がデータドリブンな意思決定に移行すると予測されている
- 主要ツールはSalesforce、HubSpot CRM、Mazrica、GENIEE SFA/CRM、Zoho CRMなど
- 操作性が悪いと社内で浸透せず、導入しても活用されない失敗に陥る可能性がある
1. BtoB CRMの重要性と期待できる効果
BtoB企業におけるCRMの重要性は年々高まっています。まずは導入状況と期待できる効果を理解しましょう。
(1) BtoB企業におけるCRMの導入状況(製造業71%、ビジネスサービス75%)
BtoB企業でのCRM導入率は高い水準にあります。
業種別のCRM利用率(2024年時点):
- 製造業: 71%がCRMを利用していると報告されています
- ビジネスサービス企業: 75%がCRMを利用していると言われています
CRM市場の成長:
- 世界のCRM市場規模は前年比588.2億ドルと報告されています
- 2030年までに年率14%の成長が見込まれています
これらのデータから、BtoB企業におけるCRMの導入は「標準装備」になりつつあると言えます。
(2) データドリブンな意思決定への移行(2026年までに65%の営業組織が移行予測)
営業活動において、データに基づく意思決定の重要性が高まっています。
データドリブン意思決定への移行予測:
- 2026年までに、BtoB営業組織の65%が直感に基づく意思決定からCRM技術を使ったデータドリブンな意思決定に移行すると予測されています(Gartner調査)
データドリブンな意思決定のメリット:
- 営業担当者の「勘」や「経験」に頼らず、データで顧客ニーズを把握できる
- 過去の商談データから成約率の高いパターンを特定できる
- リソースの配分を最適化できる(成約率の高い顧客に注力)
(3) 既存顧客からの収益がBtoB企業の73%を占める背景
BtoB企業では、新規顧客獲得よりも既存顧客の維持が重要と言われています。
既存顧客の重要性:
- 既存顧客からの収益がBtoB企業全体の73%を占めると報告されています
- 新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍とも言われています
CRMによる既存顧客管理の効果:
- 顧客の過去の取引履歴・問い合わせ履歴を一元管理できる
- 顧客のニーズ変化を早期に検知し、適切なタイミングでアプローチできる
- 解約リスクのある顧客を事前に特定し、対策を講じられる
2. BtoB CRMとは(BtoC CRMとの違い・主要機能)
BtoB CRMの基本的な定義と、BtoC CRMとの違いを理解しましょう。
(1) BtoB CRMの定義と役割(顧客関係管理の仕組み)
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客関係管理を指します。BtoB CRMは、企業間取引における顧客関係管理のシステム、技術、戦略、プロセスを統合したものです。
BtoB CRMの主な役割:
- 顧客情報の一元管理(企業情報・担当者情報・商談履歴・問い合わせ履歴等)
- 営業活動の効率化(商談進捗の可視化・タスク管理・スケジュール管理)
- コミュニケーションの向上(顧客とのやり取りを記録・共有)
- 顧客エンゲージメントの一貫性確保(顧客対応の品質を統一)
- サービス提供の改善(顧客の声を収集・分析)
(2) BtoC CRMとの違い(長期的な営業サイクル・高額予算・複数ステークホルダー)
BtoB CRMとBtoC CRMは、顧客の特性により大きく異なります。
BtoB CRMの特徴:
- 長期的な営業サイクル: 初回接触から成約まで数週間〜数ヶ月かかることが一般的
- 高額な予算: 数十万円〜数千万円規模の取引が多い
- 複数のステークホルダー: 購買決定に複数の担当者(現場担当者・マネージャー・役員・情報システム部門等)が関与
- 継続的な関係: 契約後も継続的なサポート・追加購入が発生
BtoC CRMの特徴:
- 短期的な取引: 数分〜数日で購入決定
- 低〜中額の予算: 数百円〜数万円規模の取引が多い
- 個人の意思決定: 購買決定は個人が単独で行う
- 単発的な関係: 購入後の関係が薄いことが多い
(3) BtoB CRMの主要機能(組織管理・名刺管理・商談管理・顧客履歴管理)
BtoB CRMには、以下のような主要機能があります。
組織管理機能:
- 取引先企業の情報を詳細に管理(企業名・業種・規模・所在地・資本金等)
- 顧客の組織体制をスムーズに把握できる
- 過去のやり取りを確認してから商談に臨める
名刺管理機能:
- 名刺情報をデジタル化して一元管理
- 名刺管理システム(Sansan等)と連携できるCRMを選択することで、営業担当者の手入力作業を削減できる
商談管理機能:
- 商談の進捗状況を可視化(見込み客→提案→見積もり→契約)
- 商談ごとの受注確度・予想受注額・受注予定日を管理
- ボトルネックを特定し、営業プロセスを改善
顧客履歴管理機能:
- 顧客とのやり取り(メール・電話・訪問・Web会議等)を記録
- 担当者が変わっても、過去の対応履歴を引き継げる
- 顧客からの問い合わせに迅速に対応できる
(4) SFA・MAツールとの違いと連携
CRMは、SFA(営業支援システム)やMAツール(マーケティングオートメーション)と関連していますが、役割が異なります。
CRM・SFA・MAツールの違い:
| ツール | 主な役割 |
|---|---|
| CRM | 顧客情報の一元管理・顧客関係の維持 |
| SFA | 営業活動の効率化・商談管理・売上予測 |
| MAツール | リード獲得・育成の自動化 |
連携による効果:
- MAツールでリードを獲得 → CRMで顧客情報を一元管理 → SFAで営業活動を効率化
- CRMツールは他のツール(MAツール、SFA、名刺管理など)との連携により、さらに高い効果を発揮すると言われています
3. BtoB CRM選定のポイント(企業規模・業種・予算別)
BtoB CRMを選定する際は、以下の5つのポイントを確認しましょう。
(1) 顧客の組織管理のしやすさ(取引先企業情報の詳細管理)
BtoB CRMでは、取引先企業の組織体制を詳細に管理できることが重要です。
確認すべきポイント:
- 企業情報を細かくデータ入力できるか(企業名・業種・規模・所在地・資本金・従業員数等)
- 企業内の複数の担当者(現場担当者・マネージャー・役員等)を関連付けて管理できるか
- 組織図を可視化できる機能があるか
(2) 名刺管理システムとの連携
名刺管理システムと連携できるCRMを選択することで、営業担当者の手入力作業を削減できます。
主な名刺管理システム:
- Sansan(名刺スキャン精度99.9%、企業情報の自動付与)
- Eight(個人向け名刺管理、無料プランあり)
連携のメリット:
- 名刺をスキャンするだけでCRMに自動登録される
- 手入力によるヒューマンエラーを防げる
- 営業担当者の作業時間を削減できる
(3) 操作性とユーザーインターフェースの重要性
操作性が悪いとCRMツールが社内で浸透しないため、ユーザーインターフェースのわかりやすさを重視することが重要です。
操作性のチェックポイント:
- 直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)か
- モバイルアプリ(スマートフォン・タブレット)に対応しているか
- データの入力・検索が簡単か
- カスタマイズ性が高いか(自社の業務フローに合わせて画面をカスタマイズできる)
無料トライアルの活用:
- 多くのCRMツールは無料トライアル期間を提供しています
- 実際に操作してみて、自社に合うかどうかを確認することが推奨されます
(4) 他ツール(MAツール・SFA)との連携性
CRMは単独で使うよりも、他のツールと連携することで効果を最大化できます。
連携すべき主なツール:
- MAツール(HubSpot、Marketo、SATORI等)
- SFA(Salesforce Sales Cloud、Mazrica Sales等)
- 名刺管理システム(Sansan、Eight等)
- メール配信ツール(Mailchimp、SendGrid等)
- ビジネスチャット(Slack、Chatwork等)
連携性の確認方法:
- 公式サイトで連携可能なツール一覧を確認
- API連携が可能か確認(独自開発のシステムと連携する場合)
(5) サポート体制(範囲・料金・問い合わせ対応時間)
サポート体制を事前に確認しないと、導入後の運用に支障が出る可能性があります。
サポート体制の確認ポイント:
- サポート範囲: 導入支援・初期設定・トレーニング・運用サポート
- サポート料金: 無料か有料か(有料の場合の料金体系)
- 問い合わせ対応時間: 平日9-18時のみか、24時間365日対応か
- 日本語サポート: 日本語でのサポートが提供されているか(海外ツールは要確認)
- コミュニティ: ユーザーコミュニティやFAQ・ナレッジベースが充実しているか
4. 主要BtoB CRMツールの比較(Salesforce・HubSpot・Zoho等)
主要なBtoB CRMツールの特徴を比較します。
(1) 主要ツールの機能比較(Salesforce・HubSpot・Mazrica・GENIEE・Zoho)
Salesforce:
- 世界最大のCRMプラットフォーム
- 高機能でカスタマイズ性が高い
- 大企業向け(月額ユーザー単価3,000円〜)
- AppExchangeで3,000以上のアプリ連携が可能
HubSpot CRM:
- 無料プランあり(機能制限あり)
- 使いやすさ重視、中小企業向け
- MAツールとの連携が強み
- 有料プランは月額45,000円〜
Mazrica Sales:
- 国産CRM、日本企業向けに最適化
- AIによる商談リスク予測機能
- 名刺管理・SFA機能を統合
- 月額27,500円〜(5ユーザー)
GENIEE SFA/CRM(ちきゅう):
- 国産CRM、定着率99%と高い評価
- 直感的な操作性
- カスタマイズ性が高い
- 月額1,480円〜(ユーザー単価)
Zoho CRM:
- コストパフォーマンスが高い
- 中小企業向け
- 多機能(メール配信・SNS連携・レポート作成等)
- 月額1,680円〜(ユーザー単価)
(2) 価格帯別の選択肢(無料プラン・月額数千円〜数万円)
無料プラン:
- HubSpot CRM(機能制限あり、ユーザー数無制限)
月額数千円〜1万円(ユーザー単価):
- Zoho CRM(月額1,680円〜)
- GENIEE SFA/CRM(月額1,480円〜)
月額数万円〜(チーム単位):
- Mazrica Sales(月額27,500円〜、5ユーザー)
- HubSpot CRM(有料プランは月額45,000円〜)
- Salesforce(月額ユーザー単価3,000円〜、大規模導入では月額数十万円〜)
(3) 企業規模別の推奨ツール(スタートアップ・中小企業・大企業)
スタートアップ(従業員数10人未満):
- HubSpot CRM(無料プラン)
- Zoho CRM(コストパフォーマンス重視)
中小企業(従業員数10〜500人):
- Mazrica Sales(国産、日本企業向け)
- GENIEE SFA/CRM(定着率が高い)
- HubSpot CRM(有料プラン)
大企業(従業員数500人以上):
- Salesforce(高機能・カスタマイズ性)
- Mazrica Sales(国産、大企業導入実績あり)
(4) AI活用の最新トレンド(見込み客スコアリング・予測的商談インサイト)
2024年のBtoB CRMでは、AI活用が主流になっています。
AI活用の主な機能:
- 見込み客スコアリング: AIが見込み客の関心度や購買意欲を自動的に数値化
- 予測的商談インサイト: 過去の商談データから成約確率を予測
- インテリジェントワークフロー: AIが最適なアクション(メール送信・架電タイミング等)を提案
AI活用の事例:
- Freshsales: AIを活用した見込み客スコアリング、予測的商談インサイト、インテリジェントワークフローを提供
- Mazrica Sales: AIによる商談リスク予測機能(成約確率が低い商談を事前に特定)
5. 導入効果と注意点(成功事例・失敗を避けるポイント)
BtoB CRMの導入効果と、よくある失敗パターンを理解しましょう。
(1) 導入効果(顧客情報の一元管理・営業効率化・顧客満足度向上)
BtoB CRM導入により、以下のような効果が期待できます。
顧客情報の一元管理:
- 顧客情報が散在せず、一箇所で管理できる
- 担当者が変わっても、過去の対応履歴を引き継げる
- 部門横断的に顧客情報を共有できる(営業・マーケティング・カスタマーサクセス)
営業効率化:
- 商談の進捗状況を可視化し、ボトルネックを特定できる
- 営業担当者の作業時間を削減できる(手入力作業の削減・情報検索の効率化)
- リソースの配分を最適化できる(成約率の高い顧客に注力)
顧客満足度向上:
- 顧客からの問い合わせに迅速に対応できる
- 顧客のニーズを正確に把握し、適切な提案ができる
- 顧客の声を収集・分析し、サービス改善につなげられる
(2) BtoB企業の成功事例(NTT PCコミュニケーションズ・ソウルアウト等)
Mazricaが公開している事例では、以下のような成功パターンが報告されています:
NTT PCコミュニケーションズの事例:
- CRM導入により、営業プロセスの可視化を実現
- 商談の進捗状況をリアルタイムで把握できるようになった
ソウルアウトの事例:
- CRM導入により、顧客情報の一元管理を実現
- 部門横断的な顧客情報共有により、提案の質が向上した
(3) よくある失敗パターン(操作性の悪さによる社内浸透不足)
CRM導入で失敗する典型的なパターンは、以下の通りです:
失敗パターン1: 操作性が悪く、社内で浸透しない
- 操作が複雑で営業担当者が使いこなせない
- データ入力が面倒で、CRMに情報が蓄積されない
- 結果的に「導入したが誰も使わない」状態に
失敗パターン2: 自社の目的と合致していない
- 「高機能」という理由だけでツールを選定
- 実際には不要な機能が多く、必要な機能が不足
- 費用対効果が低い
失敗パターン3: 導入しただけで満足してしまう
- CRMツールを導入するだけでは効果が出ない
- 顧客情報の管理・活用方法を明確にする必要がある
- 社内トレーニングや運用ルールの整備が不可欠
(4) 導入しただけでは効果が出ない理由(活用方法の明確化が必要)
CRM導入を成功させるためには、以下のポイントが重要です:
活用方法の明確化:
- どの情報をCRMに登録するか(顧客情報・商談履歴・問い合わせ履歴等)
- どのタイミングで情報を更新するか(商談後すぐ・週1回等)
- 誰がどの情報にアクセスできるか(権限設定)
社内トレーニング:
- CRMの基本操作を全社員に教育
- 営業担当者向けの実践的なトレーニング
- 定期的なフォローアップ研修
運用ルールの整備:
- CRM入力のルール(入力項目・フォーマット等)を統一
- データ品質を維持するための定期的なチェック
- CRM活用度を評価する指標(KPI)を設定
6. まとめ:BtoB CRM導入の判断基準とチェックリスト
BtoB CRM導入により、顧客情報の一元管理、営業効率化、顧客満足度向上が実現できます。
BtoB CRM導入の判断基準:
- 顧客情報が散在しており、一元管理が必要か
- 営業プロセスを可視化し、ボトルネックを特定したいか
- データドリブンな意思決定を目指すか
- 既存顧客の維持・育成を強化したいか
- 部門横断的な顧客情報共有が必要か
CRM選定のチェックリスト:
- 顧客の組織管理のしやすさ(取引先企業情報の詳細管理)
- 名刺管理システムとの連携
- 操作性とユーザーインターフェースのわかりやすさ
- 他ツール(MAツール・SFA)との連携性
- サポート体制(範囲・料金・問い合わせ対応時間)
- 無料トライアルで実際に操作して確認
次のアクション:
- 自社の目的を明確にする(顧客情報の一元管理・営業効率化・データドリブンな意思決定等)
- 必要な機能を絞り込む(組織管理・名刺管理・商談管理・顧客履歴管理等)
- 予算を設定する(無料プラン・月額数千円〜数万円)
- 主要ツール(Salesforce・HubSpot・Mazrica・GENIEE・Zoho等)の無料トライアルを試す
- 社内トレーニングと運用ルールを整備する
※CRMツールの機能や価格は更新される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。(この記事は2024年時点の情報です)
