なぜ今Pardot(Account Engagement)が注目されているのか
Pardot(Account Engagement)とは何か。Pardot(Account Engagement)はBtoB向けMAツールの中でもSalesforce連携に優れた選択肢であり、機能の理解だけでなく導入後の運用設計まで含めて検討することで効果的に活用できます。
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot) とは、SalesforceのBtoB向けMAツールです。リード獲得から育成、商談化までをSalesforce CRM/SFAと連携して支援します。
矢野経済研究所の調査によると、日本のMA市場規模は2020年の約543億円から、2026年には約865億円に達する見通しです。また、ITR調査では2022年度の国内MA市場売上は269億円(前年度比+14.7%)で、BtoB向けMA市場は2027年度に220億円、CAGR12.0%で成長見込みとされています。
このように成長を続けるMA市場において、Salesforceを導入済み、または導入予定の企業にとってPardotは有力な選択肢となっています。この記事では、従業員50〜300名程度のBtoB企業を主な対象として、Pardotの基本から導入判断に必要な情報までを解説します。
この記事で分かること
- Pardot(Account Engagement)の基本的な定義と主要機能
- Salesforce連携がもたらす具体的なメリット
- 導入前に確認すべきチェックリスト
- 料金目安と自社に合っているかの判断基準
- 運用定着のための組織体制の考え方
Pardot(Account Engagement)の定義と主要機能
Pardot(Marketing Cloud Account Engagement)は、SalesforceのBtoB向けMAツールであり、リード獲得から育成、商談化までを一貫して支援する機能を備えています。
DataSign調査(2026年1月時点)によると、国内MAツールシェアはBowNow 23.0%、HubSpot Marketing Hub 20.3%、Marketing Cloud Account Engagement 13.4%、Adobe Marketo Engage 7.5%となっています。なお、MAツールシェアの数値は調査対象サンプルや定義により異なるため、参考値としてご覧ください。
スコアリングとは、リードの行動(Web閲覧、メール開封等)に点数を付け、商談化可能性を数値化するMAの機能です。
リードナーチャリングとは、見込み顧客を継続的なコンテンツ提供や接点を通じて育成し、商談化につなげるマーケティング活動を指します。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が一定の条件を満たすと判断した見込み顧客です。営業への引き渡し前のリードを指します。
Pardotの主要機能一覧
Pardotの主要機能を活用シーンと合わせて整理します。
【比較表】Pardot主要機能一覧と活用シーン
| 機能カテゴリ | 主要機能 | 活用シーン |
|---|---|---|
| リード管理 | リードプロファイル管理 | 見込み顧客の基本情報・行動履歴を一元管理 |
| リード管理 | セグメンテーション | 業種・規模・行動履歴でリストを分類 |
| スコアリング | 行動スコアリング | Web閲覧・メール開封等の行動に点数付与 |
| スコアリング | グレーディング | 企業規模・業種等の属性で見込み度を評価 |
| メール配信 | メールテンプレート | 定型メールの作成・管理 |
| メール配信 | Engagement Studio | ステップメールの自動配信シナリオ作成 |
| フォーム・LP | ランディングページ作成 | リード獲得用ページの作成 |
| フォーム・LP | フォーム作成 | 問い合わせ・資料請求フォームの作成 |
| レポート | キャンペーン効果測定 | 施策別の成果を可視化 |
| 連携 | Salesforce CRM連携 | リード〜商談〜売上を一貫追跡 |
旧称「Pardot」から「Account Engagement」への名称変更
2024年に旧称「Pardot」から「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更されました。ただし、機能自体は変わっておらず、これまで「Pardot」として認知されてきた機能がそのまま提供されています。本記事では検索性を考慮し、「Pardot(Account Engagement)」と併記しています。
Salesforce連携がもたらすメリット
Pardotの最大の強みは、Salesforce CRM/SFAとのネイティブ連携によりリードから商談、売上までを1つのIDで一貫追跡できる点です。
ネイティブ連携とは、同一プラットフォーム内で標準機能として統合されている連携方式です。API連携より深い統合が可能であり、リアルタイムでのデータ同期や、シームレスな画面遷移が実現します。
Salesforceとのネイティブ連携により、以下のようなメリットが得られます。
- マーケティング活動からの商談貢献を売上単位で可視化できる
- リードの行動履歴を営業担当者がSalesforce上で確認できる
- スコアリング結果に基づくMQL→SQL引き渡しを自動化できる
導入事例に見る連携効果
以下に、Salesforce連携により成果を上げた企業の事例を紹介します。なお、これらはSalesforceタイアップ事例であり、全体平均より良い傾向がある点にご注意ください。また、売上成長はAccount Engagement単独の効果ではなく、Salesforce全体活用の成果として理解すべきです。
淵本鋼機の事例
淵本鋼機はSales Cloud導入後にAccount Engagementを導入し、売上高が2017年5月期の約30億円から2019年5月期の約41億円へ、2年間で約37%増加しました。
コニカミノルタジャパンの事例
コニカミノルタジャパンはPardot(Account Engagement)とSalesforce連携により、マーケティングとインサイドセールスの連携強化で案件創出が3倍に向上しました。
ロックオンの事例
株式会社ロックオンはSalesforceとのリアルタイム連携により、15分のタイムラグを解消し、アポイント獲得数が2倍に向上しました。
これらの事例が示すように、Salesforce連携を前提とした運用設計が成果につながっています。
Pardot導入で「使いこなせない」を防ぐポイント
Pardot導入で成果を出すためには、ツール設定だけでなく運用体制の設計が不可欠です。
よくある失敗パターンとして、Pardotの高機能さに魅力を感じて導入したものの、運用体制の設計を後回しにした結果、機能を使いこなせずにメール配信ツールとしてしか活用できていない状態に陥るケースがあります。このアプローチでは成果が出ません。
スコアリングやEngagement Studioといった高度な機能を活用するためには、以下の準備が必要です。
- 運用を担当するマーケティングチームの体制確保
- ナーチャリング用のコンテンツ(メール文面、ホワイトペーパー等)の準備
- Salesforce CRM/SFAとの連携設計(MQL→SQL引き渡し基準の定義)
toBeマーケティングは1,700社以上のAccount Engagement(旧Pardot)支援実績を公表しており、自社リソースだけでは難しい場合、専門家支援の活用も選択肢です。
導入前に確認すべきチェックリスト
導入前に以下のチェックリストで準備状況を確認してください。
【チェックリスト】Pardot導入前確認チェックリスト
- Salesforce CRM/SFAを導入済み、または導入予定である
- BtoBリードの育成・管理にMAツールが必要な状況である
- マーケティング担当者(専任または兼務)をアサインできる
- ナーチャリング用コンテンツを準備できる体制がある
- MQL→SQL引き渡し基準を営業部門と合意できる
- 月額費用を継続的に負担できる予算がある
- 導入後の運用ルールを策定する時間を確保できる
- Salesforceとの連携設計を行える知見がある(または外部支援を活用する)
- 効果測定のKPIを設定できる
- 経営層のコミットを得られている
- 導入後のサポート体制(社内または外部)を確保できる
- 既存リードデータの移行計画がある
- インサイドセールスとの連携体制を構築できる
- 運用定着までの期間を見込んでいる
運用定着のための組織体制
効果を出している企業では、専任の担当者を置いた運用体制を構築しています。目安として、マーケティングチームに専任1名+兼務1〜2名、インサイドセールス数名という体制が参考になります。
自社リソースだけで運用体制を整えることが難しい場合は、専門家支援の活用も選択肢です。ツール設定だけでなく、運用ルール策定やコンテンツ制作まで支援を受けられるサービスがあります。
Pardot導入の判断基準と料金目安
Marketing Cloud Account Engagementの月額費用は約15万円〜とされています。中堅〜大企業向けの価格帯です。ただし、エディション、ユーザー数、為替により変動するため、必ず最新の見積りを確認してください。
「高機能=高額で中小企業には向かない」という誤解がありますが、実際には顧客数やPV規模に応じたプランが用意されています。自社の状況に合わせて検討することが重要です。
自社に合っているかの判断ポイント
Pardotが自社に適しているかは、以下の3点で判断できます。
Salesforce導入済み/予定: Salesforce CRM/SFAを使用している、または導入予定であれば、ネイティブ連携のメリットを最大限に活かせます
BtoBリード育成ニーズ: 問い合わせや資料請求で獲得したリードを育成し、商談につなげるニーズがある場合に適しています
運用体制の確保: 専任または兼務でマーケティング担当者をアサインでき、コンテンツ制作・運用を継続できる体制が必要です
上記3点を満たす場合、Pardotは有力な選択肢となります。逆に、Salesforceを使用しておらず導入予定もない場合は、他のMAツールも含めて検討することをおすすめします。
まとめ|Pardot導入成功のために押さえるべきこと
本記事では、Pardot(Account Engagement)の基本から導入判断に必要な情報までを解説しました。
本記事のポイント
- Pardotは SalesforceのBtoB向けMAツールで、リード獲得から商談化までを支援
- Salesforce CRM/SFAとのネイティブ連携が最大の強み
- 国内MAツールシェアは13.4%(DataSign調査、2026年1月時点)
- 月額費用は約15万円〜(エディション・ユーザー数・為替により変動)
- 運用体制の設計を後回しにするとメール配信ツールとしてしか活用できなくなる
Pardot(Account Engagement)はBtoB向けMAツールの中でもSalesforce連携に優れた選択肢であり、機能の理解だけでなく導入後の運用設計まで含めて検討することで効果的に活用できます。本記事のチェックリストを活用して、自社の準備状況を確認してください。自社リソースだけでは難しい場合は、専門家支援の活用も検討してみてください。
