スタートアップ営業立ち上げ完全ガイド|属人営業から脱却する実践法

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1210分で読めます

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スタートアップの営業組織はなぜ立ち上げが難しいのか

多くの人が見落としがちですが、スタートアップの営業組織立ち上げは、営業手法の選定だけでなくSFA/MAによるプロセス可視化と部門間連携の仕組みまで含めて設計することで、属人営業から脱却しスケール可能な組織が構築できます。

グローバル統計によると、スタートアップの約90%が失敗するとされています(日本単独のデータではなく、海外調査に基づく数値です)。そのうち約20%が競合に敗北、約19%がビジネスモデルの不備が原因とされています。この数字は、営業組織の構築がスタートアップの成否を左右する重要な要素であることを示唆しています。

日本のスタートアップの約3分の1は従業員なしまたは1人で事業を運営しているという調査結果があります。少人数から営業組織を立ち上げる際、創業者自身の営業スキルに依存しがちですが、これでは組織としてスケールすることが困難です。

PMF(プロダクトマーケットフィット) とは、製品・サービスが市場のニーズに適合し、顧客に受け入れられている状態を指します。PMF達成前後で、営業組織のあり方は大きく変わります。

この記事で分かること

  • スタートアップ営業と大企業営業の根本的な違い
  • ステージ別(PMF前後・シリーズA〜B)の営業組織構築フレームワーク
  • 属人営業から脱却するためのSFA/MA活用と部門間連携
  • 営業組織構築の実践チェックリスト

スタートアップ営業と大企業営業の根本的な違い

スタートアップの営業は、大企業と異なり、ブランド認知ゼロ・信頼ゼロの状態からスタートします。この前提条件の違いを理解することが、適切な営業組織設計の第一歩です。

日本の成長型スタートアップは2025年1月時点で612社です。米国82,917社、インド17,648社と比較すると小規模ですが、これは日本のスタートアップ市場の特性を反映しています。

スタートアップの販売先は89%の企業が「50%以上が国内」と回答しており、国内市場に注力するケースが多いことがわかります。大企業のように既存の販路や代理店網を活用できないため、自社で顧客開拓の仕組みを構築する必要があります。

ICP(理想的顧客プロファイル) とは、自社製品・サービスに最も適合し、高い成約率・LTVが期待できる顧客像の定義です。スタートアップでは限られたリソースでICPに集中することが重要です。

限られたリソースで成果を出す営業の考え方

CAC(顧客獲得コスト) とは、1顧客を獲得するためにかかるマーケティング・営業コストの合計です。スタートアップでは、このCACを適切に管理しながら効率的に顧客を獲得することが求められます。

0→1フェーズでは、営業は単なる受注活動ではなく、仮説検証者として機能することが重要です。顧客との対話を通じてプロダクトの改善点を発見し、PMFに向けたフィードバックを得る役割を担います。

大企業の営業手法をそのまま適用しても、スタートアップでは成果が出にくいケースが多いです。ブランド力や既存顧客基盤に頼れないため、製品の価値提案を明確にし、早期にトラストを構築するアプローチが必要です。

ステージ別の営業組織構築フレームワーク

スタートアップの営業組織は、成長ステージに応じて最適な形態が変化します。PMF前後、シリーズA、シリーズBの各段階で求められる営業組織の設計が異なります。

日本の開業率は2010年3.4%から2019年4.3%に上昇しましたが、米国(9.2%)と比べると依然として低い水準です。このような環境の中で、スタートアップが成長するには、適切なタイミングで営業組織を進化させることが重要です。

【フロー図】ステージ別営業組織構築フロー

flowchart TD
    A[PMF前] --> B[PMF達成]
    B --> C[シリーズA]
    C --> D[シリーズB以降]
    
    A --> A1[創業者自身が営業]
    A1 --> A2[仮説検証と顧客フィードバック収集]
    
    B --> B1[勝ちパターンの言語化]
    B1 --> B2[営業プロセスの設計]
    
    C --> C1[初期営業チーム構築]
    C1 --> C2[SFA/MA導入]
    C2 --> C3[IS/FS分業体制]
    
    D --> D1[組織拡大]
    D1 --> D2[プロセス標準化]
    D2 --> D3[部門間連携強化]

PMF前: 創業者自身が営業を担当し、顧客との直接対話を通じてプロダクトの価値検証を行います。この段階での営業は受注よりもフィードバック収集が主目的です。

PMF達成後: 勝ちパターンを言語化し、再現可能な営業プロセスを設計します。属人的な成功体験を形式知化することが重要です。

シリーズA: 初期の営業チームを構築し、SFA/MAを導入してプロセスを可視化します。インサイドセールス(IS)とフィールドセールス(FS)の分業体制を検討します。

シリーズB以降: 組織を拡大しながら、プロセスの標準化と部門間連携を強化します。採用した人材が早期に成果を出せる再現性のある体制を構築します。

営業代行の活用判断基準

営業代行市場は2021年に約8,856億円、2025年には1兆円超になる見込みとされています(推計値を含みます)。スタートアップにおいても、営業代行を活用する選択肢があります。

ただし、PMF前の段階で営業代行を全面的に活用すると、顧客フィードバック獲得の機会損失につながる可能性があります。創業者や初期メンバーが顧客と直接対話することで得られる洞察は、プロダクト開発において非常に価値があります。

営業代行を活用するタイミングとしては、PMF達成後に営業プロセスが確立されてから、一部の業務を外部委託するパターンが増えています。自社でコアとなる営業機能を持ちつつ、量的な補完として代行を活用する形です。

属人営業から脱却するための仕組みづくり

よくある失敗パターンとして、「営業人員を増やせば売上が伸びる」と考え、営業プロセスやツール連携を後回しにした結果、属人営業のまま組織が肥大化し、採用コストだけがかさんで売上が伸びないケースがあります。この考え方は誤りです。

プロセス確立なしに営業人員を増やすと、以下の問題が発生します。

  • 新人が成果を出すまでに時間がかかる
  • 創業メンバーの営業ノウハウが共有されない
  • 人によって営業成果にばらつきが大きくなる
  • 離職率が高まり、採用コストが膨らむ

HubSpot Japanの調査によると、20代の約7割が営業を転職や起業の足がかりと捉えており、30代以上は半数以上が営業を極めていく前提でキャリアを開始しています。若手営業が短期間でキャッチアップできるオンボーディングと再現性のあるプロセス・ツール前提の組織設計が効果的です。

SFA/MAによるプロセス可視化と部門間連携

MQL(マーケティング有望リード) とは、マーケティング活動で獲得した、営業へ引き渡す基準を満たした見込み顧客です。SQL(営業有望リード) とは、営業が商談を進める価値があると判断した見込み顧客を指します。

MQL/SQLの定義を明確にし、マーケティング部門とインサイドセールス・営業部門で共有することが、部門間連携の基盤となります。定義が曖昧なままだと、「マーケから来るリードの質が悪い」「営業がリードをフォローしない」といった相互不信が生まれます。

SFA/MAを導入する際は、ツール導入よりも先にプロセス設計が重要です。以下の要素を整理してからツールを選定・導入します。

  • リード獲得から商談、受注までのステージ定義
  • 各ステージの判定基準と担当部門
  • リード引き渡しのタイミングとルール
  • KPIと計測方法

スタートアップ営業組織構築の実践ステップ

営業組織の構築は、PMF検証→プロセス設計→ツール導入→採用の順序で進めることが重要です。この順序を逆にすると、属人営業の肥大化を招きます。

【チェックリスト】スタートアップ営業組織構築チェックリスト

  • PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成している
  • ICPを定義し、文書化している
  • 勝ちパターン(受注に至る顧客特性・商談プロセス)を言語化している
  • 営業ステージ(リード〜商談〜受注)を定義している
  • 各ステージの判定基準を明確にしている
  • MQL/SQLの定義を決定している
  • マーケ→IS→営業のリード引き渡しルールを設定している
  • SFAツールを導入している
  • 営業活動がSFAに記録される運用ルールがある
  • MAツールを導入している(またはマーケとの連携方法を決めている)
  • 営業KPIを設定し、週次でレビューしている
  • 営業のオンボーディングプログラムを整備している
  • 商談テンプレート・トークスクリプトを用意している
  • 成功事例・失敗事例のナレッジを蓄積する仕組みがある
  • 定期的な営業会議・パイプラインレビューを実施している
  • 採用計画と育成計画を策定している

チェックが半分以下の場合、営業人員の拡大よりも先にプロセス整備を優先することをおすすめします。

専門家支援を活用すべきタイミング

自社リソースだけでは営業組織の構築が難しい場合、専門家支援の活用も選択肢となります。以下のようなタイミングで外部支援を検討することが有効です。

  • 営業プロセスの設計・言語化
  • SFA/MAツールの選定・導入・設定
  • MQL/SQL定義と部門間連携ルールの策定
  • 営業KPI設計とダッシュボード構築
  • 営業責任者の採用支援・育成

特にSFA/MA導入は、設計段階で専門的な知見があると、後の運用が大きく変わります。ツールの機能だけでなく、自社の営業プロセスに合った設計ができるかがポイントです。

まとめ|スケール可能な営業組織は設計から始まる

本記事では、スタートアップの営業組織立ち上げについて解説しました。

重要なポイントを振り返ります。

  • スタートアップはブランド認知ゼロからのスタートであり、大企業と前提条件が異なる
  • 「営業人員を増やせば売上が伸びる」という考え方は誤り
  • PMF検証→プロセス設計→ツール導入→採用の順序が重要
  • SFA/MAによるプロセス可視化と部門間連携が再現性の鍵
  • 若手が短期間でキャッチアップできるオンボーディングと仕組みが必要

まずは本記事のチェックリストを活用し、自社の営業組織の現状を確認してみてください。チェックが少ない項目から優先的に取り組むことで、属人営業からの脱却を進められます。

スタートアップの営業組織立ち上げは、営業手法の選定だけでなくSFA/MAによるプロセス可視化と部門間連携の仕組みまで含めて設計することで、属人営業から脱却しスケール可能な組織が構築できます。

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よくある質問

Q1スタートアップの営業組織はいつ立ち上げるべきですか?

A1PMF(プロダクトマーケットフィット)達成後が基本です。PMF前は創業者自身が営業を行い、顧客フィードバックを直接プロダクトに反映することが重要です。PMF達成後にプロセス設計を行い、再現性のある営業組織の構築に着手します。

Q2スタートアップの営業代行は使うべきですか?

A2営業代行市場は2021年に約8,856億円規模で拡大しています。ただしPMF前の営業代行活用は顧客フィードバック獲得の機会損失につながる可能性があります。PMF検証後に内製で営業組織を立ち上げ、一部を営業代行で補完するパターンが増加しています。

Q3スタートアップの失敗率はどのくらいですか?

A3グローバル統計ではスタートアップの約90%が失敗するとされています(日本単独のデータではありません)。そのうち約20%が競合に敗北、約19%がビジネスモデルの不備が原因です。営業組織の構築は失敗を防ぐ重要な要素の一つです。

Q4日本のスタートアップの規模感はどのくらいですか?

A4日本の成長型スタートアップは2025年1月時点で612社です。米国82,917社、インド17,648社と比較すると小規模ですが、開業率は2010年3.4%から2019年4.3%に上昇傾向にあります。約3分の1が従業員なしまたは1人で事業を運営しています。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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