SFAを比較検討する際に多くの企業が見落とすポイント
SFAツールを比較してもどれを選んでも同じに見える、導入後に使われなくなることを懸念している——こうした課題を解決したいなら、SFA選定は機能・料金の比較だけでなく、MA連携・インサイドセールス連携の要件と、導入後の運用定着を見据えた評価軸を持つことで、活用不全を防ぎ投資効果を高められます。
SFA(Sales Force Automation) とは、営業活動を自動化・効率化するシステムです。顧客情報、商談進捗、活動履歴を一元管理し、営業チームの生産性向上を支援します。
CRM/SFAの国内導入率は2022年時点で32.1%に達し、2020年の16.1%から約2倍に拡大しています(矢野経済研究所調査。サンプルは主に中堅以上企業に偏りがある可能性があります)。導入が進む一方で、導入後に活用されず形骸化してしまう企業も少なくありません。
この記事で分かること
- SFA・CRM・MAの違いと役割、連携の考え方
- SFA選定で確認すべき比較軸と評価ポイント
- 主要SFAツールの機能・料金比較表
- 導入後の活用不全を防ぐチェックリスト
SFA・CRM・MAの違いと役割を正しく理解する
SFAを比較する前に、SFA・CRM・MAの違いを正しく理解することが重要です。これらは役割が異なり、「どれか1つを入れればいい」というものではありません。
CRM(Customer Relationship Management) とは、顧客関係管理システムです。営業・マーケティング・サポート全体の顧客情報を管理し、顧客との関係性を一元的に把握することを目的としています。
MA(Marketing Automation) とは、マーケティング自動化ツールです。リード獲得・育成(メール配信、スコアリング)を自動化し、見込み顧客を営業に引き渡すまでのプロセスを効率化します。
SFAの基本機能と対象業務
SFAは営業活動の効率化に特化しており、主に以下の機能を提供します。
- 顧客情報管理:企業情報、担当者情報、接触履歴を一元管理
- 商談進捗管理:見込み→アプローチ→提案→交渉→受注などの商談ステージを可視化
- 活動履歴管理:電話、メール、訪問などの営業活動を記録
- 売上予測:商談データに基づく売上見込みの算出
- レポート作成:営業活動の分析レポートを自動生成
CRM・MAとの違いと連携の考え方
CRM・MAとSFAは連携して活用することで、マーケティングから営業、顧客対応までのプロセスを一気通貫で管理できます。
典型的な連携フローは以下の通りです。
- MAでリードを獲得・育成し、スコアリングで優先度を判定
- 一定スコア以上のリードをSFAに引き渡し、営業が商談化
- 商談情報と顧客情報をCRMに蓄積し、サポート・継続提案に活用
連携が不十分な場合、MAとSFAで同じ情報を二重入力する必要が生じ、データの不整合も発生しやすくなります。SFA選定時には、MAや既存システムとの連携可否を必ず確認してください。
SFA選定で確認すべき比較軸と評価ポイント
SFA選定では、機能・操作性・連携・価格・サポートの5つの軸で評価することが重要です。
日本国内のSFA市場は成長を続けており、2021年度約664億円から2026年度には約922億円規模に達すると予測されています(富士キメラ総研)。また別の調査では、2022年度570億円(前年度比13.5%増)、2027年度には1,000億円規模に達する見込みとされています(ITR調査)。
よくある失敗パターンとして、SFAを機能の多さや知名度だけで選び、自社の営業プロセスや連携要件を確認せずに導入した結果、入力が定着せず形骸化してしまうケースがあります。この考え方は誤りであり、「高機能なSFAほど良い」とは限りません。
機能・操作性の評価ポイント
必要十分な機能と使いやすさのバランスが、定着の鍵を握ります。
機能評価のポイント
- 自社の営業プロセスに必要な機能が揃っているか
- 不要な機能が多すぎて操作が複雑になっていないか
- モバイル対応しており、外出先からも入力できるか
操作性評価のポイント
- 入力項目を最小限に絞れる設計か
- 現場担当者がストレスなく使えるUIか
- 無料トライアルで実際の操作感を確認できるか
入力項目が多すぎると現場の負担が増え、入力が滞る原因になります。必須項目を絞り、段階的に運用を拡大する方針が定着につながりやすいとされています。
MA・インサイドセールス連携の確認ポイント
MA連携やインサイドセールス(IS)連携を前提とした選定基準を持つことで、データの二重入力を防ぎ、リードの受け渡しをスムーズに行えます。
確認すべき項目は以下の通りです。
- 既存のMAツールとのデータ連携(API連携、ネイティブ連携)が可能か
- リードの受け渡しルールをシステム上で設定できるか
- インサイドセールスの活動記録を一元管理できるか
- データ連携が自動化できるか、手動インポートが必要か
主要SFAツールの機能・料金比較
代表的なSFAツールの機能・料金・特徴を比較表で整理します。なお、価格は公開情報に基づく目安であり、オプション機能や利用規模によって変動する場合があります。
Salesforceは世界CRM市場でシェア21.7%を占め、国内CRMアプリケーション市場でも22.1%のシェアを獲得しています(IDC Japan調査)。一方、国内SFA市場シェアではMicrosoft Dynamics 365が最大で、Salesforce Sales Cloud(7.56%)、Sansan(7.38%)、esm(7.25%)が続いています。グローバルシェアと国内シェアでは順位が異なる点に注意が必要です。
また、esm(eセールスマネージャー)は導入5,500社超、185業種以上で採用され、定着率95%を達成しています(ベンダー公表数値のため、プロモーションバイアスの可能性があります)。
【比較表】主要SFA機能・料金比較表
| ツール名 | 月額料金目安 | 特徴 | 向いている企業 | MA連携 |
|---|---|---|---|---|
| Salesforce Sales Cloud | 3,000円〜/ユーザー | 世界最大シェア、高いカスタマイズ性 | 大企業〜中堅企業 | ○ |
| Microsoft Dynamics 365 | 8,000円〜/ユーザー | Microsoft製品との親和性 | Microsoft環境の企業 | ○ |
| esm(eセールスマネージャー) | 要問合せ | 国産、定着率95%、日本企業向け設計 | 中堅〜中小企業 | ○ |
| Sansan | 要問合せ | 名刺管理との連携、日本市場に強い | 名刺管理を重視する企業 | △ |
| HubSpot CRM | 無料〜 | 無料プランあり、操作がシンプル | スタートアップ、中小企業 | ○ |
※料金は公開情報に基づく目安です。詳細は各ベンダーにお問い合わせください。
比較表の見方と注意点
比較表を参照する際は、以下の点に注意してください。
- 価格は基本プランの目安であり、オプション機能やユーザー数により変動する
- 機能の有無だけでなく「自社で実際に使う機能か」を確認する
- 無料トライアルを活用し、現場担当者の使いやすさを検証する
- シェアや導入実績だけでなく、自社の業種・規模に適した事例があるかを確認する
導入後の活用不全を防ぐSFA選定チェックリスト
SFA導入後に形骸化しないためには、選定段階から運用定着を見据えた視点が必要です。
定着率とは、SFA導入後に継続的に活用されている割合を指し、入力習慣の定着を示す指標です。前述のように、ある国産SFAでは定着率95%を達成した事例がありますが、これは運用設計とサポート体制が整っていた結果であり、ツールを導入するだけで同様の結果が得られるわけではありません。
【チェックリスト】SFA選定時の活用不全防止チェックリスト
- 自社の営業プロセスを可視化・整理している
- SFAで管理すべき必須項目を絞り込んでいる
- 現場担当者へのヒアリングを行い、使いやすさを確認している
- MAなど既存ツールとの連携要件を洗い出している
- 無料トライアルで操作感を検証している
- モバイル対応の必要性を確認している
- 導入後の運用ルールを明文化する予定がある
- 入力定着のためのKPIを設定する予定がある
- 定着モニタリングの体制を検討している
- 段階的導入(スモールスタート)の計画を立てている
- 導入後のサポート体制を確認している
- ベンダーの教育・オンボーディング支援を確認している
導入前に確認すべき項目
選定段階で以下の自社要件を整理しておくことで、導入後のミスマッチを防げます。
- 現在の営業プロセスとボトルネックの特定
- 必須入力項目の絞り込み(多すぎると入力が定着しない)
- 連携が必要なツール(MA、会計システム、名刺管理など)の洗い出し
- 導入予算と費用対効果の試算
運用定着のための体制確認
導入後の運用ルール策定と教育体制も、選定段階で確認すべき重要項目です。
- 運用ルールを明文化し、全員に共有する
- 入力率・更新頻度などのKPIを設定する
- 定期的に入力状況をモニタリングし、課題を早期発見する
- 現場担当者への教育・サポート体制を整える
運用定着を見据えたSFA選定のために
本記事では、SFA比較・選定において見落としがちなポイントと、運用定着を見据えた選定基準を解説しました。
本記事の要点
- SFA・CRM・MAは役割が異なり、連携を前提とした選定が重要
- 機能・操作性・連携・価格・サポートの5軸で比較する
- 「高機能なSFAほど良い」は誤り。入力項目を絞り、段階的に運用拡大する
- 導入前にチェックリストで自社要件と運用体制を確認する
CRM/SFA導入率は2020年の16.1%から2022年には32.1%へと約2倍に拡大しています。導入が進む中で差がつくのは「選び方」です。
次のステップとして、まず自社の営業プロセスを整理し、必須要件を明確にすることをおすすめします。その上で無料トライアルを活用し、現場担当者の使いやすさを確認してから最終決定してください。
改めて強調すると、SFA選定は機能・料金の比較だけでなく、MA連携・インサイドセールス連携の要件と、導入後の運用定着を見据えた評価軸を持つことで、活用不全を防ぎ投資効果を高められます。
