シリーズCスケール戦略|資金調達後の組織拡大とオペレーション標準化

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1210分で読めます

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シリーズC調達後に事業スケールが停滞する企業が陥る共通パターン

シリーズC段階のスタートアップが持続的な成長を実現するには、資金調達だけでなく、調達後の事業スケール(組織拡大・MA/SFAを活用したオペレーション標準化・部門間連携)の仕組みを早期に構築することが成功の鍵となる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。

シリーズCとは、レイターステージの資金調達ラウンドであり、M&AやIPOに必要な売上・利益確保を目的とします。2025年上半期の国内スタートアップ資金調達総額(デット除く)は3,399億円で前年比+4%となっていますが、VCファンド募集額は1,663億円で前年同期2,321億円から28.4%減少しており、調達環境が厳しくなっています。

多くのスタートアップが「資金調達額を最大化する」ことに集中しすぎ、調達後の事業スケール体制(組織拡大、オペレーション標準化、部門間連携)の設計を後回しにした結果、調達した資金を効率的に使えず、次のラウンドや上場に向けた成長が鈍化するケースが少なくありません。この考え方では投資家の期待に応えられません。

この記事で分かること

  • シリーズCの定義と他ラウンドとの違い
  • 2025年の資金調達環境と調達額の相場感
  • 調達後の事業スケール戦略(組織拡大・オペレーション標準化)
  • MA/SFAを活用した営業プロセス標準化の方法
  • シリーズCスケール準備チェックリストと施策優先度比較表

シリーズCの基礎知識|定義と事業フェーズの特徴

シリーズCは、M&AやIPOに向けた売上・利益確保を目的とするレイターステージの資金調達ラウンドです。

レイターステージとは、組織が20名以上に拡大し、IPO・M&Aに向けた量産実証〜商用化段階にある事業フェーズを指します。シリーズCに到達したスタートアップは、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)を達成し、事業モデルの有効性が実証されている段階にあるのが一般的です。

エクステンションラウンドとは、前ラウンドの評価を基本維持したまま追加資金を調達するラウンドです。キャディのようにシリーズCエクステンションで追加調達を行う企業も増えています。

シリーズCと他ラウンドの違い

シリーズA/B/Cは、それぞれ異なる目的と事業フェーズを持ちます。

  • シリーズA: PMF達成後、初期の成長資金を調達する段階
  • シリーズB: 成長を加速させ、組織・事業を拡大する段階
  • シリーズC: IPO・M&Aに向けた準備を本格化させる段階

シリーズCでは、売上規模の拡大だけでなく、収益性の改善や組織体制の整備が求められます。投資家は「この会社が上場できるか」「イグジットが成功するか」という視点で評価するため、事業スケールの仕組みが整っているかどうかが重要な判断基準となります。

シリーズCの資金調達方法と調達額の相場

シリーズCの資金調達は、エクイティとデットを組み合わせたハイブリッド型が主流となっています。

2025年上半期において100億円を超える大型調達案件が一件も成立せず、1社あたりの調達額中央値も8,360万円(前年同期)から6,790万円(2025年上半期)に減少しています。調達環境が厳しくなる中、複数の調達手法を組み合わせた戦略的なアプローチが求められます。

具体的な事例として、キャディはシリーズCエクステンションで91億円を調達し、累計エクイティ調達額は257.3億円に達しています(2025年3月発表)。また、Fact Base(図面管理SaaS「ズメーン」)はシリーズCで44億円を調達しています(2025年9月)。

なお、日本にはシリーズCのみを網羅した公的統計がほぼなく、「シリーズC日本平均は○億円」などの厳密な統計値は公的資料からは得られません。個別企業の調達事例を一般化して「シリーズCの相場」として断定することは適切ではありませんが、日本のシリーズCは30〜70億円程度に集中している傾向がみられます。

エクイティとデットの組み合わせ戦略

売上規模やキャッシュフローが一定水準に達している企業では、資本コストと希薄化のバランスをとるデット活用が有効です。

デットファイナンスとは、銀行借入やコミットメントラインなど、株式希薄化を伴わない負債による資金調達手法です。GROWTH VERSEはシリーズCでエクイティ9.2億円、銀行借入20億円を組み合わせ、総額29.2億円を調達しています。累計調達額は54.8億円に達しています。

この事例のように、エクイティで成長資金を確保しつつ、デットで運転資金を補うハイブリッド型の調達が、シリーズC段階では有効な選択肢となります。

シリーズC段階の事業スケール戦略|組織拡大とオペレーション標準化

調達後の事業スケールを成功させるには、組織拡大とオペレーション標準化を計画的に進める必要があります。

よくある失敗パターンとして、シリーズC段階で「資金調達額を最大化する」ことに集中しすぎ、調達後の事業スケール体制の設計を後回しにするケースがあります。この考え方では、調達した資金を効率的に使えず、次のラウンドや上場に向けた成長が鈍化します。

事業スケールを成功させるためには、以下の施策を優先度に応じて実行する必要があります。

【比較表】シリーズC段階のスケール施策優先度比較表

施策カテゴリ 具体的な施策 優先度 期待効果
組織設計 組織図・責任範囲の明確化 意思決定の迅速化
組織設計 採用計画の策定(職種・人数・時期) 計画的な人員確保
組織設計 オンボーディングプログラムの整備 早期戦力化・離職防止
オペレーション 営業プロセスの標準化 属人性の排除
オペレーション MA/SFA連携による自動化 業務効率化
オペレーション KPIダッシュボードの構築 可視化・改善サイクル
部門間連携 MQL/SQL定義の部門間合意 リード引き渡しの最適化
部門間連携 共通KPIの設計 目標の整合性確保
部門間連携 定例レビュー会議の設置 継続的な改善

組織拡大における採用・オンボーディングの考え方

シリーズC段階では、属人的な営業・マーケから脱却し、スケーラブルな体制を構築することが求められます。

採用活動においては、単に人数を増やすだけでなく、採用基準を明確化し、一貫した評価プロセスを構築することが重要です。また、採用した人材が早期に戦力化できるよう、オンボーディングプログラムを体系化しておく必要があります。

組織が急拡大するフェーズでは、「誰が何を担当するか」「意思決定はどのレベルで行うか」といった責任範囲の明確化も不可欠です。これらが曖昧なままでは、組織拡大に伴って混乱が生じ、成長が鈍化するリスクがあります。

MA/SFAを活用した営業・マーケティングプロセスの標準化

シリーズC段階でスケーラブルな営業体制を構築するには、MA/SFAを活用したプロセスの標準化が有効です。

属人的な営業活動から脱却し、再現性のある営業プロセスを構築することで、新規採用した人材も早期に成果を出せる体制を整えられます。また、データに基づいた営業活動の可視化により、改善サイクルを回しやすくなります。

以下のチェックリストを活用して、シリーズCスケールに向けた準備状況を確認してください。

【チェックリスト】シリーズCスケール準備チェックリスト

  • 組織図と各ポジションの責任範囲を明確化している
  • 採用計画(職種・人数・採用時期)を策定している
  • オンボーディングプログラムを体系化している
  • 営業プロセスを文書化・標準化している
  • MA/SFAツールを導入・連携設定している
  • リードスコアリングの基準を設定している
  • MQL/SQLの定義を部門間で合意している
  • マーケ・営業・CSの連携フローを設計している
  • 共通KPIを設計・可視化している
  • 定例レビュー会議の運用ルールを決めている
  • 採用基準を統一し、評価プロセスを構築している
  • 事業計画と連動した人員計画を策定している
  • データ連携によるファネル全体の可視化ができている
  • 営業活動の成果を定量的に測定できる体制がある
  • スケール後の組織体制のイメージを経営陣で共有している

ツール選定においては、「自社で運用できるか」を重視することが重要です。高機能なツールを導入しても、運用が定着しなければ投資対効果は得られません。

部門間連携と共通KPIの設計

マーケティング・営業・カスタマーサクセスの連携体制を構築するには、共通のKPIを設計し、部門間でデータを連携させることが重要です。

MQL(Marketing Qualified Lead)SQL(Sales Qualified Lead) の定義を部門間で合意することで、リードの引き渡し基準が明確になり、「マーケが渡したリードを営業が追わない」といった連携の問題を防げます。

また、ファネル全体を可視化することで、どの段階でボトルネックが生じているかを特定し、改善施策を打つことができます。データ連携により、マーケティング投資のROIを正確に測定することも可能になります。

まとめ|シリーズCのスケールは資金調達後の体制構築で決まる

シリーズC段階のスタートアップが持続的な成長を実現するには、資金調達だけでなく、調達後の事業スケール体制を早期に構築することが不可欠です。

本記事で解説したように、組織拡大(採用・オンボーディング)、オペレーション標準化(MA/SFA活用)、部門間連携(マーケ・営業・CSの共通KPI)の仕組みを整えることで、調達した資金を効率的に活用し、次のラウンドやIPOに向けた成長を加速させることができます。

次のステップとして、以下のアクションを検討してください。

  1. チェックリストで現状を確認: 本記事のシリーズCスケール準備チェックリストを活用し、自社の準備状況を棚卸しする
  2. 優先施策を決定: スケール施策優先度比較表を参考に、リソースを集中すべき施策を決める
  3. 専門家への相談: 組織設計やMA/SFA活用について、実務経験のある専門家に相談することも有効な選択肢

シリーズC段階のスタートアップが持続的な成長を実現するには、資金調達だけでなく、調達後の事業スケール(組織拡大・MA/SFAを活用したオペレーション標準化・部門間連携)の仕組みを早期に構築することが成功の鍵です。

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よくある質問

Q1シリーズCの資金調達額の相場はどのくらいですか?

A1日本のシリーズCは30〜70億円程度に集中している傾向がみられます。2025年上半期は100億円超の大型調達案件がゼロで、1社あたりの調達額中央値も8,360万円から6,790万円に減少しています。なお、日本にはシリーズCのみを網羅した公的統計がほぼなく、個別企業の事例を一般化することは適切ではありません。エクイティとデットを組み合わせた調達が主流です。

Q2シリーズC段階で事業をスケールさせるために必要なことは?

A2資金調達だけでなく、組織拡大(採用・オンボーディング)、オペレーション標準化(MA/SFA活用)、部門間連携(マーケ・営業・CSの共通KPI)の仕組みを早期に構築することが重要です。「資金調達額を最大化する」ことに集中しすぎて事業スケール体制を後回しにすると、成長が鈍化するリスクがあります。

Q3シリーズCの調達でエクイティとデットをどう使い分けるべきですか?

A3売上規模やキャッシュフローが一定水準に達している場合、資本コストと希薄化のバランスをとるデット活用が有効です。GROWTH VERSEのようにエクイティ9.2億円+銀行借入20億円を組み合わせる事例もあります。エクイティで成長資金を確保しつつ、デットで運転資金を補うハイブリッド型が、シリーズC段階では有効な選択肢となります。

Q4シリーズC段階の組織設計で気をつけるべきポイントは?

A4属人的な営業・マーケから脱却し、スケーラブルな体制を構築することが重要です。採用だけでなくオンボーディングの仕組み化、MA/SFA連携による営業プロセス標準化、部門間の共通KPI設計が成功の鍵となります。責任範囲を明確化し、意思決定プロセスを整備することも不可欠です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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