シリーズAマーケティング|再現性あるプロセス構築で成長加速

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1010分で読めます

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シリーズA段階のマーケティングが成長の分岐点になる理由

先に答えを言うと、シリーズA段階のスタートアップがマーケティングで成果を出すには、限られたリソースの中でMA/SFAを活用した再現性のあるリード獲得・商談化プロセスを早期に構築し、属人的な営業から脱却することが成長の鍵となります。

シリーズAとは、PMF達成後または達成見込みが高く、追加開発・販路拡大・人材確保の資金を調達する段階を指します。日本のスタートアップ数は2021年約16,100社から2024年約25,000社へと増加し、日本スタートアップへの投資額は2022年に8,770億円で2013年比約5倍に拡大しています(内閣府「スタートアップ育成5か年計画の進捗状況」)。1社あたりの資金調達額も2021年の平均2.6億円/中央値4,610万円から2024年には平均3.1億円/中央値7,760万円へと増加しており、シリーズA段階のスタートアップには成長への期待と投資が集まっています。

しかし、調達した資金をどのようにマーケティングに投資するかで、その後の成長軌道は大きく分かれます。属人的な営業に頼ったままでは、シリーズBに向けた持続的成長は困難です。

この記事で分かること

  • シリーズA段階特有のマーケティング課題と優先順位の考え方
  • 限られたリソースで成果を出すための施策優先度
  • MA/SFAを活用した再現性あるプロセス構築の具体的手法
  • シリーズAマーケティング立ち上げの実践ステップとチェックリスト

シリーズA段階のマーケティング課題と優先順位

シリーズA段階のスタートアップが直面するマーケティング課題は、大企業やシリーズB以降の企業とは本質的に異なります。主な課題は、限られたリソースの中で再現性のある成長モデルを構築することです。

高成長AIネイティブSaaS企業の組織構成比を見ると、セールス約50%弱、ポストセールス約3分の1、マーケティング15%強、RevOps約10%前後とされています(All Star SaaS Fund調査)。つまり、シリーズA段階ではマーケティングに割けるリソースは限定的であり、効率的な投資判断が求められます。

リソース制約下での投資優先順位の考え方

限られた予算・人員でどこに投資すべきかを判断するには、ユニットエコノミクスの視点が不可欠です。ユニットエコノミクスとは、顧客1単位あたりの収益性を示す指標で、LTV/CACで算出され、一般的に3倍以上が健全とされています。

CAC(Customer Acquisition Cost) は顧客獲得コスト、LTV(Life Time Value) は顧客生涯価値を指します。シリーズA段階では、この比率を意識しながら、まずは再現性のあるチャネルを1-2つ確立することを優先すべきです。

「営業人員増員・広告費大量投下」の落とし穴

シリーズA段階で「まずは営業人員を増やして数を打つ」「広告費を大量投下する」というアプローチを取りがちですが、この考え方は誤りです。 プロセスが標準化されていないまま規模拡大しても、コストだけが増加し成果に繋がりません。

営業人員を増やしても、リード獲得から商談化までのプロセスが属人的であれば、採用コストと教育コストばかりが膨らみます。同様に、広告費を大量投下しても、獲得したリードを適切に育成・商談化できなければ、CACが高騰するだけでシリーズBに向けた成長を実現できません。

シリーズA段階で有効なマーケティング施策の優先度

シリーズA段階では、限られたリソースで高い投資対効果を得られる施策から着手することが重要です。2024年の国内デジタルマーケティング市場規模は3,672億4,000万円、2025年は前年比114.1%の4,190億2,000万円と予測されており(矢野経済研究所)、デジタルマーケティングへの投資は拡大傾向にあります。

【比較表】シリーズA段階のマーケティング施策優先度比較表

施策カテゴリ 優先度 初期投資 必要リソース 成果までの期間 シリーズA適性
コンテンツマーケティング/SEO 低〜中 少人数で可 中期(3-6ヶ月) 高い
メールナーチャリング 少人数で可 短期(1-3ヶ月) 高い
リスティング広告 中〜高 運用知識要 短期(即時) 検証後に拡大
SNS広告 クリエイティブ要 短期(即時) 商材による
展示会/イベント 人員要 短期(即時) 業界による
アウトバウンド営業 人員要 短期(即時) プロセス整備後

コンテンツマーケティングとSEO施策

シリーズA段階で始めやすく、中長期的な資産となるのがコンテンツマーケティングです。自社の専門領域に関するコンテンツを継続的に発信することで、検索流入からのリード獲得が可能になります。

少人数マーケ組織では、生成AIを活用したコンテンツ制作支援により生産性を補完するアプローチも一般化しています。社内リソースが不足する場合は、外部パートナーの活用も選択肢の一つです。

リスティング広告とSNS広告の使い分け

2023年の広告費に占めるインターネット広告費は3兆3,316億円で総広告費の約55%超を占めています(電通「日本の広告費」)。デジタル広告は効果測定がしやすく、シリーズA段階でも検証に適しています。

ただし、前述の通り「広告費の大量投下」は避けるべきです。まずは少額でテストを行い、効果が確認できたチャネルに集中投資する方がリスクを抑えられます。

MA/SFAを活用した再現性あるリード獲得プロセスの構築

シリーズA段階で属人的営業から脱却するには、MA/SFAを活用したプロセス標準化が有効です。a16z分析によると、エンタープライズAIスタートアップのシリーズA時点の中央値はARR 210万ドル(約3.2億円)に到達するまでに約9ヶ月とされています(All Star SaaS Fund、ただし米国市場ベンチマーク)。日本市場への直接適用には注意が必要ですが、早期のプロセス構築が成長速度に影響することを示唆しています。

リード管理からスコアリングまでの基本フロー

MA(マーケティングオートメーション) を使ったリード管理の基本フローは、リード獲得→情報蓄積→スコアリング→ナーチャリング→営業引き渡しという流れです。

シリーズA段階では、高機能ツールを最初から導入するよりも、自社で運用できるシンプルなツールから始めて運用を定着させるアプローチが失敗リスクを下げます。CRM領域では生成AIによる商談履歴要約やリード育成機能が進展しており、少人数でも効率的な運用が可能になりつつあります。

SFA連携による商談化プロセスの標準化

SFA(セールスフォースオートメーション) は営業活動の管理・可視化を支援するシステムです。MAで育成したリードをSFAに引き渡し、商談化プロセスを標準化することで、「誰が担当しても同じ成果が出る」再現性のある営業体制を構築できます。

MA→SFA連携で重要なのは、リード引き渡し基準(MQL→SQL)の明確化です。この基準が曖昧だと、マーケティングと営業の間で認識のズレが生じ、リードの取りこぼしや非効率なフォローが発生します。

シリーズAマーケティング立ち上げの実践ステップ

シリーズA段階でマーケティングを立ち上げる際は、プロセス設計→ツール選定→組織体制構築→KPI設定の順で進めることが重要です。前述の組織構成比(マーケティング15%強)を参考にすると、シリーズA段階では専任マーケ1〜3名+外部パートナー活用が現実的な体制です。

【チェックリスト】シリーズAマーケティング立ち上げチェックリスト

  • ターゲット顧客像(ICP)が明確に定義されている
  • 既存顧客の成功パターンが分析・言語化されている
  • リード獲得から商談化までのプロセスが設計されている
  • リード引き渡し基準(MQL→SQL)が営業と合意されている
  • CACとLTVの目標値が設定されている
  • MAツールの選定基準が明確になっている
  • SFA/CRMの選定基準が明確になっている
  • ツール間のデータ連携設計ができている
  • 専任マーケティング担当者がアサインされている
  • 外部パートナー活用の要否が検討されている
  • コンテンツ制作のリソース計画がある
  • 広告運用のテスト計画がある
  • 主要KPI(リード数、商談化率、CAC等)が設定されている
  • KPIの測定・レポーティング体制が構築されている
  • PDCAサイクルの運用ルールが決まっている

マーケティング組織体制の構築

シリーズA段階では、少人数チーム+外部パートナーの組み合わせが現実的です。内製すべき領域(戦略設計、顧客理解、KPI管理)と外注できる領域(コンテンツ制作、広告運用、ツール設定)を明確に分けることで、限られたリソースを有効活用できます。

KPI設定とPDCAサイクルの回し方

シリーズA段階で追うべき主要KPIは、リード獲得数、商談化率、受注率、CAC、LTVです。ユニットエコノミクス(LTV/CAC)を継続的にモニタリングし、投資対効果を検証しながらPDCAを回すことが重要です。

CAC回収期間については、シリーズA段階では一定期間を許容し、シリーズB以降で圧縮を目指すのが標準的な考え方とされています。ただし、業種・商材・ACV(年間契約額)により大きく変動するため、自社の状況に合わせた目標設定が必要です。

まとめ:シリーズA成長の鍵は再現性あるマーケティングプロセス構築

本記事では、シリーズA段階のスタートアップがマーケティングで成果を出すための戦略と実践ステップを解説しました。

要点の整理

  • シリーズA段階では限られたリソースで再現性のあるプロセス構築が最優先
  • 「営業人員増員」「広告費大量投下」はプロセス未整備では逆効果
  • コンテンツマーケティングやナーチャリングなど、資産となる施策から着手
  • MA/SFAを活用し、属人的営業から標準化されたプロセスへ移行

シリーズA段階のスタートアップがマーケティングで成果を出すには、限られたリソースの中でMA/SFAを活用した再現性のあるリード獲得・商談化プロセスを早期に構築し、属人的な営業から脱却することが成長の鍵です。チェックリストを活用し、自社の準備状況を確認することから始めてみてください。

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よくある質問

Q1シリーズA段階でマーケティングにどのくらいの予算を配分すべきですか?

A1業種・商材・ACVにより大きく変動しますが、調達資金のうちSales & Marketing全体に一定割合を配分するケースが多いとされています。まずは再現性のあるチャネルを1-2つ確立することを優先し、効果検証後に投資を拡大するアプローチが推奨されます。1社あたり資金調達額の中央値は2024年時点で7,760万円程度であり、限られた資金の効率的な配分が重要です。

Q2シリーズA段階でMAツールは必要ですか?

A2リード数が一定以上になり、人手でのフォローが追いつかなくなった段階でMAツールの導入を検討する価値があります。高機能ツールを最初から導入するよりも、自社で運用できるシンプルなツールから始めて運用を定着させるアプローチが失敗リスクを下げます。

Q3シリーズA段階のマーケティング組織は何名体制が適切ですか?

A3シリーズA段階のBtoB SaaSでは専任マーケ1〜3名+外部パートナー活用が一般的です。高成長企業でもマーケティング部門は全体の15%程度であり、少人数で効率的に運用できる体制構築が重要です。

Q4シリーズAでCAC(顧客獲得コスト)の目安はどのくらいですか?

A4CACの絶対値は業種・商材・ACVにより大きく異なるため一概には言えません。ユニットエコノミクス(LTV/CAC)で評価し、一般的に3倍以上が健全とされています。CAC回収期間はシリーズA段階では一定期間を許容し、成長に伴い圧縮を目指すのが標準的な考え方です。

Q5シリーズA段階で最初に取り組むべきマーケティング施策は何ですか?

A5PMF達成後であれば、まず既存顧客の成功パターンを分析し、再現性のあるリード獲得チャネルを1-2つ確立することが優先です。コンテンツマーケティングや既存リードの育成から始め、効果検証後に広告投資を拡大するアプローチが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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