シリーズA KPI設定|商談化率15%達成のMA/SFA活用ガイド

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/415分で読めます

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シリーズA段階で必要なKPI管理の全体像

多くの人が見落としがちですが、シリーズA段階では、KPI設定だけでなく、MA/SFAを活用した測定体制とPDCA運用プロセスの構築が不可欠です。

シリーズA段階のスタートアップ企業は、資金調達に向けてKPIを設定する必要があります。PMF(プロダクト・マーケット・フィット) とは、プロダクトが市場のニーズに適合し、顧客基盤を確立した状態を指します。これはシリーズA調達の前提条件です。シリーズAラウンドの調達額相場は1億円~5億円(日本市場)と言われており、この規模の資金を調達するには、再現性のある成長を示すKPIが求められます。

しかし、多くの企業がKPI設定だけで満足し、MA/SFAツールでの測定体制やPDCA運用プロセスの構築を後回しにしてしまいます。その結果、KPIが形骸化し、実際の改善活動につながらないという課題が発生します。

この記事で分かること

  • シリーズA段階で追跡すべき主要KPI(ARR、MRR、CPA、商談化率、受注率)
  • 成長段階別KPI設計(シード/シリーズA/シリーズB)の違い
  • MA/SFAツールを活用したKPIダッシュボード設計と運用方法
  • KPI管理を形骸化させない定期レビュー体制とPDCA運用のポイント
  • VCがシリーズA調達で重視するKPIの特徴

シリーズAの定義とKPIの重要性

シリーズAとは、PMF達成後の本格的な成長フェーズにおける資金調達ラウンドです。調達額相場は1億円~5億円(日本市場)で、この段階では再現性のある成長を示すKPIが投資家から求められます。

プレシリーズAの調達額相場は5,000万円~1億円で、PMF検証準備段階の資金調達です。シリーズAはこれよりも規模が大きく、PMF達成後の本格的な成長投資を目的としています。

PMF達成後のシリーズA段階では、再現性のある成長を証明するKPIが不可欠です。単に「良いプロダクトを作った」というビジョンだけでは投資を受けられず、定量的なデータで成長の再現性を示す必要があります。

ARR(Annual Recurring Revenue) とは、年間経常収益を指します。SaaS企業の成長性を測る主要指標で、安定的な収益基盤を評価するために使用されます。

シリーズA調達でVCが重視するKPI

VCは、シリーズA段階で「再現性のある計算式(LTV/CAC比率など)」を重視します。ビジョンを語るだけでは投資を受けられないという点を理解することが重要です。

LTV/CAC比率とは、顧客生涯価値と顧客獲得コストの比率を指します。3倍以上が健全とされています。この比率が低いと、顧客獲得コストが高すぎて収益性に課題があることを示します。

T2D3とは、Triple Triple Double Double Doubleの略で、SaaS企業の超高成長パターンを指します。3倍成長を2年、2倍成長を3年続けるという成長軌道で、VCが理想とする成長モデルの一つです。

SaaS企業では、MRR 1,000万円超、年間成長率200%以上がシリーズA投資の閾値目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、業種や市場環境により異なる場合があります。

シリーズA段階で追跡すべき主要KPI

シリーズA段階で追跡すべきKPIは、マーケティングKPI、営業KPI、SaaS固有KPIの3つに分類されます。BtoB企業で最も重視されるマーケティングKPIは「新規リード獲得数」で32.1%、次いで「受注率」が11.1%(2025年調査)となっています。

CPA(Cost Per Acquisition) とは、リード獲得単価を指します。1件のリードを獲得するためにかかる広告費用で、マーケティング効率を測る重要な指標です。

商談化率とは、リード(見込み客)が商談に進む割合を指します。BtoB企業では15%が及第点とされています。

BtoB企業の目標CPAは5,000-10,000円未満が21.8%で最多、次いで10,000-15,000円未満が15.3%(2025年、n=326)となっています。ただし、これは自己申告ベースのため、実際の数値とは異なる可能性がある点に留意が必要です。

BtoB企業の商談化率の目安は11-20%で、及第点は15%です。5%未満の場合はターゲティング・LP見直しが推奨されます(2025年、n=330)。

注意点として、シリーズA段階で追跡すべき主要KPIの具体的な目標値や業界平均値は、検索結果に十分な情報が含まれていないため、一般的なBtoB企業のKPIデータで補完しています。業種や企業規模により最適な目標値は異なります。

マーケティングKPI:リード獲得と質の管理

マーケティング部門が追跡すべきKPIの中心は、新規リード獲得数とCPAです。新規リード獲得数が最重視される理由(32.1%)は、リード数が営業パイプラインの源泉となるためです。

BtoB企業の目標CPAは5,000-10,000円未満が21.8%で最多、10,000-15,000円未満が15.3%(2025年、n=326)となっています。ただし、これは自己申告ベースのため過大評価リスクがあります。実際の運用では、自社の商材単価やLTVを踏まえた目標CPA設定が必要です。

リード獲得施策として最も効果が高いのはSNSで33.3%、広告は16.1%(前年比減)(2025年、n=87)となっています。2025年はリード獲得からリード品質重視へのシフトが顕著で、広告依存が前年比10pt減となっています。

この傾向は、単にリード数を追うのではなく、商談化率や受注率の高いリードを獲得することが重要視されていることを示しています。

営業KPI:商談化率と受注率の改善

営業部門が追跡すべきKPIは、商談化率と受注率です。受注率が最重視される理由(11.1%)は、最終的な収益につながる指標だからです。

商談化率の目安は11-20%で、及第点は15%です。5%未満の場合はターゲティング・LP見直しが推奨されます(2025年、n=330)。商談化率5%未満は低すぎるため、ターゲティングやLP訴求のズレを疑うべきです。

CPA高騰対策としてCRM施策強化を実施している企業は47.6%(2025年調査)となっており、マーケティング-営業のデータ統合が加速しています。CRM/MAツールでリードスコアリングを実施し、商談化率15%を目標にPDCAを回すことが推奨されます。

リードスコアリングとは、リードの属性や行動履歴をもとに見込み度を数値化する手法です。高スコアのリードに優先的に営業リソースを投下することで、商談化率と受注率の向上が期待できます。

SaaS固有KPI:ARRとLTV/CAC比率

SaaS企業特有のKPIとして、ARR(年間経常収益)、MRR(月次経常収益)、LTV/CAC比率があります。これらはストック型ビジネスの健全性を評価する指標です。

ARRは年間経常収益で、SaaS企業の成長性を測る主要指標です。MRRは月次経常収益で、月次での収益成長トレンドを把握するために使用されます。LTV/CAC比率は顧客生涯価値と顧客獲得コストの比率で、3倍以上が健全とされています。

BtoB SaaS系のMODEがシリーズBファーストクローズで12.8億円を調達(シリーズA基盤強化後)した事例があります。これは、シリーズA段階でARRやLTV/CAC比率などの基盤を強化することで、シリーズBでの大型調達につながる好例です。

SaaS企業では、MRR 1,000万円超、年間成長率200%以上がシリーズA投資の閾値目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、業種やビジネスモデルにより異なります。

成長段階別KPI設計:シードからシリーズBまで

成長段階ごとにKPIの重点が変化します。シード段階ではPMF検証、シリーズAでは成長加速、シリーズBではスケールが主な目的となります。

【比較表】成長段階別KPI比較表

成長段階 調達額相場 主な目的 重視するKPI 目標値の目安
シード 数百万円~5,000万円 PMF検証 ユーザー獲得数、アクティブ率、NPS PMF達成(再購入率、推奨度の向上)
プレシリーズA 5,000万円~1億円 PMF検証準備 リード獲得数、初期顧客獲得 初期顧客基盤の確立
シリーズA 1億円~5億円 成長加速 ARR、MRR、商談化率、LTV/CAC比率 MRR 1,000万円超、年間成長率200%以上
シリーズB 5億円~20億円 スケール ARR成長率、チャーン率、ユニットエコノミクス T2D3成長軌道、LTV/CAC比率3倍以上
シリーズC以降 20億円~ 市場支配・上場準備 市場シェア、営業利益率、フリーキャッシュフロー 黒字化、IPO準備

シリーズAラウンドの調達額相場は1億円~5億円(日本市場)で、プレシリーズAの調達額相場は5,000万円~1億円です。この表は、各段階で重視すべきKPIの違いを明確にしています。

シード段階では、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の検証が主な目的です。ユーザー獲得数やアクティブ率、NPS(ネットプロモータースコア)などを追跡し、プロダクトが市場に受け入れられているかを確認します。

シリーズA段階では、PMF達成後の成長加速が目的です。ARR、MRR、商談化率、LTV/CAC比率などを追跡し、再現性のある成長を示すことが求められます。

シリーズB段階では、スケールが目的です。ARR成長率、チャーン率(解約率)、ユニットエコノミクス(顧客一人当たりの経済性)などを追跡し、大規模な成長を実現します。

シリーズA市場は成長初期の投資集中期ですが、シリーズC以降で中央値減少傾向(JICレポート2025H1)が見られます。これは、シリーズA段階での基盤強化が、その後の資金調達の成否を左右することを示しています。

MA/SFAを活用したKPI測定・改善の実装

KPI設定だけで満足してはいけません。MA/SFAダッシュボードの整備と定期レビュー体制の構築が不可欠です。

よくある誤解として、KPIを設定しただけで満足し、MA/SFAダッシュボードの整備や定期レビュー体制の構築を後回しにすることがあります。この失敗パターンでは、KPIが形骸化し、実際の改善活動につながりません。

CPA高騰対策としてCRM施策強化を実施している企業は47.6%(2025年調査)で、マーケティング-営業のデータ統合が加速しています。マーケティング-営業連携の強化として、顧客情報のタイムリーな共有を実施する企業が増えており、これが受注率向上に効果的とされています。

MA/SFAダッシュボードの設計では、以下のチェックリストを活用して、測定体制を整備することが重要です。

【チェックリスト】KPIダッシュボード設計・運用チェックリスト

  • 主要KPI(ARR、MRR、CPA、商談化率、受注率)が自動集計される仕組みがある
  • KPIがリアルタイムで可視化されるダッシュボードが構築されている
  • マーケティング・営業・カスタマーサクセスの部門横断ダッシュボードがある
  • 各KPIの目標値と実績値が一目で比較できる
  • KPIの推移がグラフで可視化されている(週次・月次・四半期)
  • リードスコアリングが自動化されている
  • 商談ステージごとの滞留期間が可視化されている
  • 商談化率・受注率が営業担当者ごとに集計されている
  • マーケティング施策ごとのリード獲得数・商談化率・受注率が追跡できる
  • LTV/CAC比率が自動計算される
  • チャーン率(解約率)が月次で集計される
  • ダッシュボードへのアクセス権限が部門・役職ごとに設定されている
  • 週次レビュー会議でダッシュボードを全員で確認する習慣がある
  • 月次レビュー会議でKPI未達の原因分析とアクションプラン作成を行っている
  • 四半期レビューでKPI目標値の見直しを行っている
  • KPI未達時のエスカレーションルールが定義されている
  • MA/SFAツールの操作研修が全員に実施されている
  • ダッシュボードの改善要望を定期的に収集している
  • データの正確性を定期的にチェックする仕組みがある
  • 他部門とのKPI共有会議が定期的に開催されている

このチェックリストで15項目以上にチェックが付かない場合、KPI管理が形骸化するリスクがあります。優先的に改善すべき項目を特定し、MA/SFAツールの導入やプロセス改善を検討してください。

KPIダッシュボードの設計

MA/SFAツールを使ったダッシュボード設計では、KPI自動集計、リアルタイム可視化、部門横断ダッシュボードの3つが重要です。

KPI自動集計では、MA/SFAツールにデータソースを連携し、主要KPIが手動集計なしで自動更新される仕組みを構築します。これにより、データ更新の遅延や集計ミスを防ぎます。

リアルタイム可視化では、KPIの現状値が常に最新の状態で表示されるダッシュボードを構築します。これにより、意思決定のスピードが向上します。

部門横断ダッシュボードでは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスの各部門が共通のKPIを確認できる仕組みを構築します。これにより、部門間の連携が強化されます。

CVR(コンバージョン率)を最重視する企業がありますが、ROI(受注数)への移行が推奨されています。単にリード数やCVRを追うのではなく、最終的な収益につながる受注数やARRを重視する設計が重要です。

定期レビュー体制とPDCA運用

KPI管理を形骸化させないためには、週次・月次レビューの実施とKPI未達時のアクションプラン作成が不可欠です。

週次レビューでは、主要KPI(リード獲得数、商談化率、受注率など)の進捗を確認し、週次での課題や改善点を共有します。短いサイクルでPDCAを回すことで、早期に問題を発見し対処できます。

月次レビューでは、KPI未達の原因分析とアクションプラン作成を行います。なぜKPIが未達だったのか、どの施策が効果的だったのかを分析し、次月の改善策を具体化します。

CRM/MAツールでリードスコアリングを実施し、商談化率15%を目標にPDCAを回すことが推奨されます。リードスコアリングにより、高見込み度のリードに営業リソースを集中させ、商談化率の向上を図ります。

四半期レビューでは、KPI目標値の見直しを行います。市場環境やビジネスの成長に応じて、目標値を適切に調整することが重要です。

まとめ:シリーズA段階のKPI管理成功のポイント

シリーズA段階では、KPI設定だけでなく、MA/SFAを活用した測定体制とPDCA運用プロセスの構築が成功の鍵です。

この記事の要点

  • シリーズA段階で追跡すべき主要KPIは、マーケティングKPI(新規リード獲得数32.1%、CPA 5,000-10,000円未満が21.8%)、営業KPI(商談化率15%が及第点、受注率11.1%)、SaaS固有KPI(ARR、LTV/CAC比率3倍以上)
  • 成長段階別にKPIの重点が変化(シード:PMF検証、シリーズA:成長加速、シリーズB:スケール)
  • VCはシリーズA調達で「再現性のある計算式(LTV/CAC比率など)」を重視(SaaS企業でMRR 1,000万円超、年間成長率200%以上が閾値目安)
  • KPIを設定しただけで満足せず、MA/SFAダッシュボードの整備と定期レビュー体制(週次・月次)を構築することが不可欠
  • マーケティング-営業のデータ統合とリードスコアリングで商談化率15%を目標にPDCAを回す

次のアクション

  1. 主要KPIの選定:自社の成長段階に応じて、追跡すべきKPIを選定する
  2. MA/SFAダッシュボード設計:チェックリストを活用して、自動集計・リアルタイム可視化・部門横断ダッシュボードを構築する
  3. 定期レビュー体制の構築:週次・月次・四半期レビューのスケジュールを設定し、PDCA運用を開始する

シリーズA段階では、KPI設定だけでなく、MA/SFAを活用した測定体制とPDCA運用プロセスの構築が不可欠です。 KPIを形骸化させないためには、測定体制とPDCA運用を先行して整備することが重要です。今すぐチェックリストを活用して自社のKPI管理体制を診断し、MA/SFAツール導入やプロセス改善を検討してください。

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よくある質問

Q1シリーズA段階で最も重要なKPIは何ですか?

A1マーケティングでは新規リード獲得数(32.1%が最重視)、営業では受注率(11.1%が最重視)、SaaS企業ではARRとLTV/CAC比率(3倍以上が健全)が最も重要です。ただし、業種や企業規模により最適なKPIは異なります。

Q2シリーズA資金調達に必要な目標CPA(リード獲得単価)はどのくらいですか?

A2BtoB企業の目標CPAは5,000-10,000円未満が21.8%で最多、次いで10,000-15,000円未満が15.3%です(2025年、n=326)。ただし、これは自己申告ベースのため実際の数値と異なる可能性があります。自社の商材単価やLTVを踏まえた目標CPA設定が必要です。

Q3商談化率の目安と改善方法は?

A3商談化率の目安は11-20%で、及第点は15%です。5%未満の場合はターゲティング・LP見直しが推奨されます(2025年、n=330)。CRM/MAツールでリードスコアリングを実施し、高見込み度のリードに営業リソースを集中させることで、商談化率15%を目標にPDCAを回すことが効果的です。

Q4シリーズA調達の資金相場はどのくらいですか?

A4シリーズAラウンドの調達額相場は1億円~5億円(日本市場)です。プレシリーズAは5,000万円~1億円で、PMF検証準備段階の資金調達です。シリーズAはPMF達成後の本格的な成長フェーズにおける資金調達となります。

Q5KPI管理を形骸化させないためにはどうすればよいですか?

A5KPIを設定しただけで満足せず、MA/SFAダッシュボードの整備と定期レビュー体制(週次・月次)を構築することが不可欠です。マーケティング-営業の顧客情報共有(34.7%が実施)やCRM施策強化(47.6%が実施)も効果的です。KPI自動集計、リアルタイム可視化、部門横断ダッシュボードの3つを整備し、週次・月次・四半期でPDCAを回すことが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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