Salesforce API連携の目的と企業が直面する課題
自社に適したAPIを選定し、MA/SFAツールとの連携設計・運用体制を構築するために必要なのは、Salesforce APIは12種類あるが、BtoB企業のMA/SFA連携では用途に応じた適切なAPI選定と、連携後の運用設計を事前に整備することで、データ連携の価値を最大化できるという認識です。
この記事で分かること
- Salesforce APIの種類と各APIの特徴・用途
- MA/SFAツール連携で適切なAPIを選定するための判断基準
- API連携後の運用設計で失敗しないためのチェックリスト
- 接続アプリケーションとOAuth認証の設定概要
国内CRM市場は2023年に2,497億8,600万円(前年比+13.4%)に達し、2023-2028年CAGR 9.6%で2028年には3,950億円へ成長予測されています(IDC調査)。この市場拡大に伴い、Salesforceと他システムとのAPI連携ニーズも高まっています。
一方で、Salesforceユーザーの33%のみがAI施策のROIを達成しており、経営層の69%がプラットフォーム間相互運用性の不足を課題として指摘しています(IBM IBV調査、2025年)。このデータはAI施策全般の数値であり、API連携単独の効果ではありませんが、連携設計の重要性を示唆しています。
Salesforce APIの種類と特徴
Salesforceには12種類のAPIが存在し、代表的なものにREST API、SOAP API、Bulk APIなどがあります。用途に応じて適切なAPIを選定することが、連携の成功に不可欠です。
グローバルAPI市場は2025年に101億米ドル、2035年には875億5,000万米ドルへ拡大予測されており(CAGR 24.1%)、API連携の重要性は今後さらに高まると考えられます。ただし、これはグローバル平均であり、日本市場への直接適用は慎重に判断する必要があります。
REST API:リアルタイム連携に最適
REST APIとは、HTTPプロトコルを使用したWebサービスAPIで、Salesforceデータへのリアルタイムアクセスに使用される軽量なAPIです。
REST APIは、MAツールとのリアルタイム連携に適しています。例えば、Webサイトでのフォーム送信をトリガーにSalesforceへリードを即時作成する、といったユースケースで活用されます。JSONフォーマットでデータをやり取りするため、開発者にとって扱いやすいという特徴があります。
SOAP API:複雑なデータ構造・厳密なセキュリティ向け
SOAP APIとは、XMLベースのプロトコルを使用するAPIです。複雑なデータ構造や厳密なセキュリティが必要な場合に使用されます。
SOAP APIは、REST APIに比べてより厳格な型定義とエラーハンドリングが可能です。金融系システムや基幹システムとの連携など、トランザクションの整合性が重要な場合に選択されるケースが多いです。
Bulk API:大量データ一括処理に特化
Bulk APIとは、大量データの一括処理に特化したAPIです。数万〜数百万件のデータ同期に使用されます。
Bulk APIは、日次バッチ処理やデータ移行など、大量のレコードを効率的に処理したい場合に適しています。API呼び出し回数の制限を回避しながら、大容量データを扱えるという利点があります。
用途別API選定の判断基準
適切なAPIを選定するには、連携の目的・データ量・リアルタイム性の要件を明確にすることが重要です。REST APIが万能ではなく、用途(リアルタイム/バッチ/大容量)に応じたAPI選定が必要です。
【比較表】Salesforce API種類別・用途別選定ガイド
| API種類 | 主な用途 | データ量の目安 | リアルタイム性 | 適したユースケース |
|---|---|---|---|---|
| REST API | CRUD操作・リアルタイム連携 | 少量〜中量 | 高い | MAツール連携、Webフォーム連携 |
| SOAP API | 複雑なトランザクション | 少量〜中量 | 高い | 基幹システム連携、金融系連携 |
| Bulk API | 大量データ一括処理 | 大量(数万〜数百万件) | 低い(バッチ) | データ移行、日次同期 |
| Streaming API | リアルタイム通知 | イベントベース | 非常に高い | ダッシュボード更新、アラート |
| Metadata API | 設定情報の取得・変更 | 設定情報 | 低い | 環境移行、設定バックアップ |
| Composite API | 複数操作の一括実行 | 中量 | 高い | 複数オブジェクト同時更新 |
MA/SFAツール連携でよく使われるAPI
BtoB企業のMA/SFA連携では、REST APIが最も多く使用されています。リアルタイムでリード情報を同期したり、キャンペーン反応を記録したりするユースケースに適しているためです。
Salesforce AI-API連携で顧客インサイト57%向上、パイプライン2倍化がリーダー企業の平均成果として報告されています(IBM IBV調査、2025年)。ただし、この数値はSalesforce公式発表に基づくものであり、企業寄りのバイアス可能性がある点に留意が必要です。
MuleSoft Anypointは、SalesforceグループのAPI統合プラットフォームです。異なるシステム間のAPI連携を管理・運用する基盤として活用されており、複数システムとの連携を一元管理したい場合に検討されます。
接続アプリケーションとOAuth認証の設定
API連携を実現するには、Salesforce側で接続アプリケーションを作成し、OAuth認証を設定する必要があります。この設定が連携のセキュリティ基盤となります。
接続アプリケーションの作成手順
接続アプリケーションは、外部システムがSalesforceにアクセスするための認証情報を管理する仕組みです。Salesforceの「設定」から「アプリケーションマネージャ」にアクセスして作成します。
詳細な設定手順については、Salesforce公式ドキュメント「接続アプリケーションの作成」を参照することを推奨します。設定時には、必要最小限の権限スコープを設定することが、セキュリティの観点から重要です。
OAuth認証フローの選択
OAuth認証フローは、連携するシステムの特性に応じて選択します。主な認証フローには以下があります。
- Web Server Flow: サーバーサイドアプリケーション向け。最も一般的に使用される
- JWT Bearer Flow: サーバー間連携向け。ユーザー介入なしの自動連携に適する
- Device Flow: デバイスアプリケーション向け。入力が制限された環境で使用
連携するシステムの要件に応じて、適切なフローを選択してください。
API連携後の運用設計と定着のポイント
よくある失敗パターンとして、APIの種類を調べただけで連携を始め、運用設計やエラーハンドリングを後回しにするケースがあります。この進め方では、連携が不安定になり活用が進まない状態に陥りやすいです。
Salesforceユーザーの33%のみがAI施策のROIを達成しており、経営層の69%がプラットフォーム間相互運用性の不足を課題として指摘しています(IBM IBV調査、2025年)。この課題を克服するには、API選定だけでなく、連携後の運用設計を事前に整備することが不可欠です。
Agentforceは、SalesforceのAIエージェント統合プラットフォームです。API連携でカスタマーサポートやマーケティング自動化を実現する基盤として注目されています。Salesforce自社での導入では、年間サポートコスト削減1億ドル、商談創出6,000万ドルを達成したと報告されています(2025年)。ただし、これはSalesforce自社事例であり、一般企業への適用は異なる結果になる可能性があります。
【チェックリスト】Salesforce API連携 運用設計チェックリスト
- 連携目的と期待する成果を明文化している
- 用途に応じた適切なAPIを選定している
- 接続アプリケーションの権限スコープを最小限に設定している
- OAuth認証フローを連携システムの特性に応じて選択している
- APIレスポンスのエラーハンドリングを実装している
- API呼び出し失敗時のリトライロジックを設計している
- API呼び出し制限(ガバナ制限)を把握している
- 大量データ処理時はBulk APIの使用を検討している
- API呼び出しログの監視体制を整備している
- エラー発生時のアラート通知を設定している
- 本番環境デプロイ前にSandboxでテストを実施している
- 連携データの整合性チェック方法を定義している
- 運用担当者への引き継ぎドキュメントを作成している
- 障害発生時のエスカレーションフローを定義している
- 定期的なAPI利用状況レビューの計画を立てている
エラーハンドリングと監視体制
API連携の安定運用には、エラーハンドリングと監視体制の整備が欠かせません。運用設計を後回しにする失敗パターンを避けるため、連携開始前に以下を整備することを推奨します。
- APIレスポンスのステータスコードに応じた処理分岐
- 一時的なエラー(タイムアウト等)に対するリトライロジック
- 致命的なエラー発生時のアラート通知
- API呼び出しログの保存と定期レビュー
API呼び出し制限と対策
SalesforceにはAPI呼び出し回数の制限(ガバナ制限)があります。制限を超過すると連携が停止するため、事前に制限値を把握し、対策を講じることが重要です。
大量データを扱う場合は、Bulk APIを活用することでAPI呼び出し回数を削減できます。数万〜数百万件のデータ同期が必要な場合は、REST APIではなくBulk APIの使用を検討してください。
まとめ:適切なAPI選定と運用設計でデータ連携の価値を最大化する
Salesforce APIを活用したMA/SFA連携では、12種類あるAPIの中から用途に応じた適切なAPIを選定することが重要です。リアルタイム連携にはREST API、大量データ処理にはBulk APIなど、要件に合ったAPIを選ぶことで、連携の安定性と効率性が向上します。
Salesforceエコシステムで2021-2026年に日本新規事業収益974億ドル、新規雇用44万3,000人創出予測されています(IDC調査)。この成長の恩恵を受けるためにも、API連携を戦略的に活用することが求められます。
APIの種類を調べただけで連携を始めるのではなく、用途に応じた適切なAPI選定と、連携後の運用設計を事前に整備することで、データ連携の価値を最大化できます。本記事で紹介した運用設計チェックリストを活用し、安定したAPI連携基盤を構築してください。
