営業投資のROIが見えない企業が抱える課題
営業投資のROIとは何か。営業投資のROIを正確に測定し改善するには、ROIの計算式を理解するだけでなく、MA/SFAのデータ連携による施策別の効果測定と、改善PDCAを回す仕組みを整備することが重要です。
ROI(Return On Investment) とは、投資したコストに対してどれだけの利益が得られたかを測る指標です。計算式は「(利益 ÷ 投資額) × 100」で算出します。
調査によると、リード獲得において「質」に課題を実感している企業は48.6%で、前年比7.6ポイント増加しています(調査対象は限定的)。この結果は、投資に対する効果を正確に測定できていない企業が多いことを示唆しています。ROIの計算式を知っていても、施策別の効果測定ができず、どの施策に投資すべきか判断できないという課題を抱える企業は少なくありません。
この記事で分かること
- ROIの計算式と関連指標(ROAS・CPA・LTV)の違い
- 営業投資ROIの具体的な計算方法と活用のポイント
- ROIが改善しない原因と施策別効果測定の重要性
- 営業ROI改善のための実践ステップとチェックリスト
ROIの基本|計算式と関連指標(ROAS・CPA・LTV)の違い
ROIは投資に対する利益を測る指標であり、ROASやCPA、LTVとは評価対象や目的が異なります。まずはそれぞれの違いを正確に理解することが、適切な投資判断の第一歩です。
ROAS(Return On Ad Spend) とは、広告費用対効果を指します。計算式は「広告経由売上 ÷ 広告費 × 100」です。ROASは売上ベースで評価するのに対し、ROIは利益ベースで評価する点が大きな違いです。
CPA(Cost Per Acquisition) とは、顧客獲得単価を指します。計算式は「総コスト ÷ 獲得顧客数」です。1顧客を獲得するのにかかったコストを示す指標であり、獲得効率を評価する際に使用されます。
LTV(Life Time Value) とは、顧客生涯価値を指します。一人の顧客が取引期間全体で企業にもたらす収益の総額です。短期的なROIだけでなく、LTVを考慮した長期的な視点での投資判断も重要です。
ROASが高くてもROIが低いケースがあることに注意が必要です。例えば、広告経由で売上が上がっても、粗利率が低ければ利益が出ず、ROIはマイナスになる可能性があります。営業投資の効果を正確に評価するには、売上ベースのROASではなく、利益ベースのROIで判断することが重要です。
ROI計算で見落としがちなコスト
正確なROIを算出するためには、広告費以外の「見えないコスト」も含める必要があります。
見落としがちなコストとしては、人件費(施策に関わった担当者の工数)、教育・研修費、ツール・システム利用料、外注費、コンテンツ制作費などが挙げられます。これらを含めずにROIを計算すると、実際よりも高い数値が出てしまい、投資判断を誤る原因になります。
なお、ROI計算式は企業の経理ルールによって異なる場合があります。自社でどのコストを含めるかを明確に定義し、継続的に同じ基準で測定することが重要です。
営業投資ROIの計算方法と活用のポイント
営業投資ROIの計算は、正確なコスト把握と適切な利益の定義が前提となります。以下の計算式を基本として、自社の状況に合わせて活用してください。
【計算式】営業投資ROI計算式
計算式: ROI(%) = (利益 - 投資額) ÷ 投資額 × 100
変数の説明:
- 利益: 施策による売上増加額から原価を差し引いた粗利
- 投資額: 広告費 + 人件費 + ツール費用 + 外注費などの総コスト
計算例:
- 施策による売上増加額: 500万円
- 粗利率: 40%(粗利: 200万円)
- 投資額: 100万円(広告費50万円 + 人件費30万円 + ツール費用20万円)
- ROI = (200万円 - 100万円) ÷ 100万円 × 100 = 100%
調査によると、BtoB広告運用の年間予算は500万円以上が主流とされています。これだけの投資を行うのであれば、ROIを正確に測定し、投資判断の根拠とすることが重要です。
ROI活用のメリットとしては、投資判断に根拠を持てること、施策間の比較が可能になること、経営層への説明責任を果たせることが挙げられます。
ROI活用のデメリット・注意点としては、短期成果に偏重するリスク、長期施策の評価が難しいこと、評価期間の設定により結果が変わることがあります。ROIだけでなく、LTVなど長期視点の指標も併用して総合的に判断することが推奨されます。
ROIが改善しない原因と施策別効果測定の重要性
ROIが改善しない最大の原因は、施策別の効果測定ができていないことにあります。ROIを経営指標として把握しているだけでは、改善アクションにつなげることはできません。
よくある失敗パターンとして、ROIを経営指標として把握しているだけで、施策別の投資効果を測定せず、改善アクションにつなげられていないケースがあります。 この状態では、どの施策が効いていて、どの施策を見直すべきかが分からず、投資判断に根拠がないまま予算配分を続けることになります。
施策によってROIは大きく異なります。グローバル統計によると、BtoBリードの成約率は1〜2%程度ですが、検索経由リードの成約率は14.6%と高い傾向があります(日本市場では異なる可能性があります)。このように、施策別の効果を測定することで、ROIの高い施策に投資を集中させることが可能になります。
調査によると、ROI改善策として実施している取り組みは、ターゲット見直しが36.6%、データ分析強化が24.7%、コンテンツ見直しが22.6%となっています(調査対象は限定的)。データ分析強化を通じて施策別の効果を可視化することが、ROI改善の基盤となります。
MA(Marketing Automation) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するためのツール・システムです。MA/SFA連携によるデータ可視化を行うことで、どの施策がどれだけの成果を生んでいるかを正確に把握できるようになります。
営業ROI改善の実践ステップとチェックリスト
営業ROIを改善するには、測定の仕組みを整え、継続的にPDCAを回すことが重要です。以下のチェックリストで自社の現状を確認してください。
国内BtoB MA市場規模は約753億円で、前年から約11.2%の成長を記録しています。また、全企業平均のMA導入率は1.5%ですが、上場企業では14.6%に達しています。MA活用による効率化がROI改善の標準的なアプローチになりつつあります。
さらに、生成AIを活用したBtoBマーケティング企業の65.7%が外注費削減効果を実感しているという調査結果もあります(自己申告ベース)。新しいテクノロジーを活用したコスト削減もROI改善の有効な手段です。
【チェックリスト】営業ROI改善チェックリスト
- ROIの計算式を社内で統一している
- 投資額に人件費・ツール費用を含めて計算している
- 施策別のコストを正確に把握している
- 施策別の売上・利益を測定できる仕組みがある
- MA/SFAでデータ連携ができている
- リード獲得チャネル別の成約率を把握している
- 定期的(月次・四半期)にROIを測定している
- ROI測定結果を投資判断に活用している
- ROIの低い施策を見直す基準を設けている
- ROIの高い施策に投資を集中させている
- 長期施策はLTVも含めて評価している
- 担当者間でROI測定方法を共有している
- 経営層にROIレポートを定期報告している
- 改善PDCAを回す担当者をアサインしている
- 改善施策の効果検証サイクルを回している
上記チェックリストで不足している項目があれば、優先順位をつけて整備を進めてください。すべてを同時に整備する必要はなく、段階的に改善していくことが現実的です。
まとめ|営業投資ROIは測定と改善の仕組み化で最大化する
本記事では、営業投資ROIの計算方法から改善の仕組み化まで解説しました。
要点を整理します。
- ROIの基本: 計算式は「(利益 - 投資額) ÷ 投資額 × 100」。広告費だけでなく人件費・ツール費用も含める
- ROAS・CPA・LTVとの違い: ROIは利益ベース、ROASは売上ベース。LTVは長期視点の評価に活用
- 改善の前提: 施策別の効果測定ができていないとROI改善はできない
- MA/SFA活用: データ連携により施策別の効果を可視化し、投資判断の根拠を得る
- 継続的PDCA: 定期的に測定し、ROIの高い施策に投資を集中させる
繰り返しになりますが、営業投資のROIを正確に測定し改善するには、ROIの計算式を理解するだけでなく、MA/SFAのデータ連携による施策別の効果測定と、改善PDCAを回す仕組みを整備することが重要です。
まずは本記事のチェックリストで自社の現状を確認し、不足している項目から優先的に整備を進めてみてください。
