営業目標が達成できない根本原因とは
多くの方が悩む営業目標設定。結論は、営業目標設定で成果を出すには、SMARTな目標設定だけでなく、MA/SFAによるデータ連携と部門横断での進捗管理を組み合わせることで、原因特定と改善アクションにつながる目標管理を実現できます——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
KGI(Key Goal Indicator) とは、重要目標達成指標のことで、事業の最終目標を定量的に示す指標(例:年間売上高1億円)を指します。多くの企業では、このKGIである「売上金額」だけを営業目標に設定し、達成できなかった場合に「なぜ達成できなかったのか」が特定できない状況に陥っています。
営業チームが毎月の売上目標を追いかけているものの、未達が続いても具体的な改善策が打てない——これは営業責任者・マネージャーにとって大きな課題です。
この記事で分かること
- SMARTフレームワークとKGI/KPIを組み合わせた目標設計の方法
- プロセスKPI(商談化率・受注率)の業界目安と設定方法
- MA/SFAデータを活用した進捗可視化と改善アクションの導き方
- マーケ・インサイドセールス・営業の部門横断KPI連携の設計
SMARTフレームワークとKGI/KPI設計の基礎
営業目標設定の基本は、SMARTフレームワークに基づく具体的な目標設計と、KGI/KPIの階層構造の理解です。
SMARTフレームワークとは、目標設定の5要素を指します。Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限付き)の頭文字を取ったもので、曖昧な目標を実行可能な形に落とし込むための枠組みです。
目標設計の手順としては、まずKGIを設定し、その達成に必要なKSF(Key Success Factor) を特定し、KSFを測定するためのKPIを逆算設計するのが標準的なアプローチとされています。
KSF(Key Success Factor) とは、重要成功要因のことで、KGI達成のために特に重要となる要因を特定したものです。例えば、年間売上1億円というKGIに対して「新規顧客獲得」「既存顧客の単価向上」などがKSFとして挙げられます。
実務上、KPIは1部門あたり3〜5個程度に絞ることが推奨されています。KPI数が多すぎると管理負荷が高まり、形骸化するリスクがあるためです。
営業目標におけるKGIとKPIの違い
KGIとKPIの違いは、最終目標と中間プロセスの関係として理解できます。
KGI(Key Goal Indicator) は、事業の最終目標を定量的に示す指標です。営業部門では「年間売上1億円」「四半期受注件数30件」などがKGIに該当します。
KPI(Key Performance Indicator) は、重要業績評価指標のことで、KGI達成に向けた中間プロセスを測定する指標を指します。例えば、商談数、受注率、アポイント獲得数などがKPIに該当します。
階層構造の例:
- KGI:年間売上1億円
- KPI:商談数月20件、受注率25%、平均単価200万円
- 行動指標:架電数日30件、メール送信数日50件
この階層構造を明確にすることで、KGIが未達の場合に「どのKPIがボトルネックか」を特定しやすくなります。
プロセスKPIの設計方法と業界目安
プロセスKPIの設計では、自社の実績をベースにしつつ、業界相場を参考値として活用することが重要です。
営業目標を「売上金額」だけで設定し、プロセスKPI(商談数、アポ数、リード獲得数)との連携やMA/SFAデータを活用した進捗管理を行わず、未達時に何が原因かわからないパターンは、よくある失敗パターンです。この考え方は誤りであり、プロセスの各段階にKPIを設定することで、改善ポイントを特定できるようになります。
BtoBマーケティングのKPI設定例として、受注率25%、商談化率20%が実装相場として挙げられています(2023-2024年の事例ベース)。また、Web広告経由のリードでは、受注率10〜20%、商談化率10〜30%が日本市場の相場とされています。
ただし、これらの数値は業界・企業規模・チャネルにより大きく変動するため、あくまで参考値として捉え、自社の実績データを蓄積して目標設定に活用することが推奨されます。
【比較表】営業KPI階層設計表(KGI→KPI→行動指標)
| 階層 | 指標名 | 定義 | 設定例 | 計測頻度 |
|---|---|---|---|---|
| KGI | 年間売上高 | 事業の最終目標 | 1億円 | 年次/四半期 |
| KGI | 四半期受注件数 | 期間内の受注数 | 30件 | 四半期 |
| KPI | 商談数 | 月間の商談実施件数 | 月20件 | 月次 |
| KPI | 受注率 | 商談からの受注率 | 25% | 月次 |
| KPI | 商談化率 | リードからの商談化率 | 20% | 月次 |
| KPI | 平均受注単価 | 1件あたりの平均単価 | 200万円 | 月次 |
| 行動指標 | 架電数 | 日次の架電件数 | 日30件 | 日次 |
| 行動指標 | メール送信数 | 日次のメール送信数 | 日50件 | 日次 |
| 行動指標 | 提案書作成数 | 週次の提案書作成数 | 週5件 | 週次 |
| 行動指標 | 訪問数 | 週次の顧客訪問数 | 週10件 | 週次 |
KPIが目的化してしまう失敗パターン
KPIが目的化し、KGIとの連動が欠如してしまう失敗パターンには注意が必要です。
典型的な例として、リード獲得数をKPIに設定した結果、「リード数は目標達成しているが、商談化率・受注率が低く、売上につながらない」という状況が挙げられます。リード数という量的指標を追いかけるあまり、リードの質が低下してしまうケースです。
また、トップダウンのみでKPIを設定すると、現場のリソースや実現可能性を考慮しない目標になりがちです。KGIから逆算しつつ、現場の実情を踏まえたボトムアップの視点を組み合わせることが重要です。
MA/SFAデータ連携で進捗を可視化する
MA/SFAによるデータ連携は、営業目標の進捗を可視化し、未達原因を特定するために不可欠です。
BtoBメールマーケティングでは、決裁者層で開封率30%後半〜40%がSMART目標の相場とされています。このような指標をMA/SFAで計測・可視化することで、施策の効果を定量的に把握できます。
MA/SFAデータを活用することで、「リード獲得は順調だが商談化率が低い」「商談数は達成しているが受注率が目標を下回っている」といった具体的なボトルネックを特定できるようになります。
一方で、DXツール導入自体が目的化し、データを取得しても分析・改善に活用されないケースも見受けられます。ツール導入はあくまで手段であり、KPI検証と改善アクションにつなげることが重要です。
進捗データから改善アクションを導く方法
データを見て終わりにせず、改善アクションにつなげることが目標管理の本質です。
月次でPDCAサイクルを回すことが推奨されます。具体的な進め方は以下のとおりです。
- Plan(計画): KGI/KPIを設定し、達成に必要な行動計画を策定
- Do(実行): 計画に基づいて営業活動を実施、データをMA/SFAに記録
- Check(検証): 月次でKPI達成状況を確認、ボトルネックを特定
- Action(改善): 未達KPIに対する改善施策を立案・実行
「数字を見る」だけでなく「なぜその数字なのか」を分析し、「次に何をするか」を決めることが重要です。
部門横断での目標管理と連携体制
部門横断での目標管理は、マーケティングからインサイドセールス、フィールドセールスへとリードを引き渡すプロセス全体を最適化するために重要です。
ABM(Account Based Marketing) とは、ターゲット企業を絞り込み、部門横断で個社別にアプローチするBtoBマーケティング手法です。ABM導入企業では、カスタマーサクセスのKPI(解約率、アップセル率など)を営業目標に組み込むことが標準的になっています。
部門横断でKPI設計を行わない場合、「マーケが獲得したリードの質が悪い」「営業がリードをフォローしない」といった部門間の責任の押し付け合いが発生しやすくなります。全体最適の視点でKPIを連携させることが求められます。
【チェックリスト】営業目標設定チェックリスト
- KGI(売上目標、受注件数など)を明確に定義している
- KGIから逆算してKSF(重要成功要因)を特定している
- KPIを1部門あたり3〜5個に絞り込んでいる
- KPIがSMART基準を満たしている(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限付き)
- 行動指標(日次・週次の活動目標)を設定している
- MA/SFAでKPI進捗をリアルタイムに計測できる環境がある
- 商談化率・受注率などプロセスKPIを設定している
- リード獲得から受注までのファネル全体でKPIを連携させている
- マーケティング部門のKPIと営業部門のKPIを整合させている
- インサイドセールスからフィールドセールスへの引き渡し基準を明確化している
- 月次でKPI達成状況をレビューする仕組みがある
- 未達時の原因分析と改善アクションのプロセスが定義されている
- トップダウンとボトムアップの両面からKPIを検証している
- カスタマーサクセスKPI(解約率、アップセル率など)を営業目標に組み込んでいる
- KPIの目的化(数字追いかけ)を防ぐ仕組みがある
マーケ・IS・営業のKPI連携設計
各部門のKPIを連携させるためには、リード獲得から育成、商談化、受注までの一連のプロセスを設計することが重要です。
連携設計のポイントは以下のとおりです。
- マーケティング → インサイドセールス: MQL(Marketing Qualified Lead)の定義と引き渡し基準を明確化
- インサイドセールス → フィールドセールス: SQL(Sales Qualified Lead)の定義とBANT基準を設定
- フィールドセールス → カスタマーサクセス: 受注後の引き継ぎ項目とオンボーディング基準を整備
各部門の引き渡し基準を文書化し、SLA(Service Level Agreement)として合意することで、部門間の責任範囲が明確になり、連携がスムーズになります。
改善アクションにつながる営業目標設定へ
本記事では、営業目標設定の基礎から実践までを解説しました。
要点のまとめ
- SMARTフレームワークとKGI/KPIの階層構造を理解し、目標を設計する
- プロセスKPI(商談化率、受注率)を設定し、業界目安を参考に自社の基準を定める
- MA/SFAデータを活用して進捗を可視化し、ボトルネックを特定する
- 月次PDCAサイクルで改善アクションにつなげる
- マーケ・インサイドセールス・営業の部門横断でKPIを連携させる
売上金額だけを追いかけるのではなく、プロセスKPIを設定し、MA/SFAデータで進捗を可視化することで、未達時に「どこがボトルネックか」を特定し、具体的な改善アクションにつなげることが可能になります。
本記事のチェックリストを活用し、自社の営業目標設定を見直してみてください。MA/SFA連携の設計や運用定着に課題を感じる場合は、専門家の支援を活用することで、より効率的に体制構築を進められます。
営業目標設定で成果を出すには、SMARTな目標設定だけでなく、MA/SFAによるデータ連携と部門横断での進捗管理を組み合わせることで、原因特定と改善アクションにつながる目標管理を実現できます。
