営業フローを可視化してもツール実装が進まない理由
営業フロー可視化の成功は、フロー図を作成するだけでなく、MA/SFA実装設定とカスタムツール開発まで完了させることで実現します——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
多くの企業が営業活動の見える化に取り組んでいますが、実際には可視化体制が整っていないケースも少なくありません。新規開拓業務では、全体の39.0%の企業が「明確に設定された指標(KPI)はない」と回答しており、フロー図を作成しても実際のデータ活用まで至っていない実態が浮き彫りになっています。
また、2025年の調査によればSFA導入企業は約70%に達しており、多くのBtoB企業がデジタル化を推進しています。しかし、ツールを導入しただけでは成果が出ません。データを読み解き、次の行動に活かすことが成功要因であり、ツール導入だけで満足してしまうと、結局従来の非効率な営業体制のままになってしまうのです。
よくある失敗パターンとして、フロー図を作成すれば可視化できると考え、MA/SFA実装設定やカスタムダッシュボード開発を後回しにして、結局可視化したデータが活用されないというケースがあります。本記事では、このような失敗を避け、実際に営業活動の改善につながる可視化を実現する方法を解説します。
この記事で分かること
- 営業フロー可視化の定義と可視化によって得られるメリット
- 営業プロセスの基本ステップと可視化の具体的な方法
- MA/SFA実装設定によるダッシュボード設計とアラート設定の実践手法
- 既存ツールを超えるカスタムダッシュボード開発と組織全体でのデータ共有
- 営業フロー可視化を成功させるためのチェックリストとフロー図テンプレート
営業フロー可視化とは|定義とメリット
営業フロー可視化とは、営業フェーズを明確に定義し、活動データをリアルタイムで把握・分析する仕組みを指します。単にフロー図を作成するだけでなく、ツール実装・データ蓄積・分析まで含む一連の取り組みが営業フロー可視化です。
日本の売り手企業におけるCRM導入率は、2024年度時点で37.2%となっており、前年度(36.2%)から1.0ポイント上昇しました。このように、多くの企業がデジタルシフトを進めていますが、導入と活用は別の問題です。ツールを入れただけでは営業活動の改善にはつながりません。
企業の購買行動のうち85%が営業面談前に候補を選定しており、特に高額取引ほどプロセスが複雑化・長期化する傾向があります。この背景から、営業プロセスの早い段階でリードを獲得し、適切にアプローチすることが重要になっています。そのためには、営業活動のどの段階で何が起きているのかを正確に把握する必要があり、可視化が不可欠なのです。
営業フロー可視化の定義
営業プロセスとは、見込み顧客の発見から契約締結・アフターフォローまでの一連の営業活動の流れを体系的にまとめたものです。営業フロー可視化では、この営業プロセスを明確に定義し、各フェーズでの活動データをリアルタイムで把握・分析する仕組みを構築します。
フロー図作成だけで可視化が完了するわけではありません。実際には、SFA(営業支援システム) やCRM(顧客関係管理) といったツールを導入し、営業活動のデータを継続的に蓄積し、そのデータを分析して改善につなげるところまで完了させて初めて、可視化が実現します。
可視化のメリット
営業フロー可視化によって得られるメリットは、主に次の5つです。
- 営業活動の標準化: フローを明確にすることで、誰がやっても同じ品質の営業活動ができるようになります
- 業務効率化: ボトルネックが明確になり、無駄な作業を削減できます
- ボトルネック発見: どのプロセスで商談が止まっているのかが見えるようになります
- 人事評価改善: 定量的なデータで評価できるため、公正な評価が可能になります
- 進捗管理の明確化: 案件ごとの進捗状況がリアルタイムで把握できます
KPI(重要業績評価指標) とは、営業活動の成果を測定する指標(架電数・接続率・アポ率・商談化率など)を指します。新規開拓業務では、全体の39.0%の企業が「明確に設定された指標(KPI)はない」と回答しており、可視化体制が整っていない企業も依然として存在します。可視化によってKPI設定・測定が可能になり、データドリブンな改善が実現するのです。
営業プロセスの基本ステップと可視化の方法
営業プロセスを可視化するには、まず営業活動の基本ステップを明確にする必要があります。BtoB営業では一般的に、リード獲得→アプローチ→商談→受注→アフターフォローという流れになります。このプロセスを定義した上で、ツール導入→データ蓄積→分析・改善という段階的なアプローチで可視化を進めることが効果的です。
【フロー図】営業フロー図テンプレート(BtoB営業の標準フロー)
flowchart TD
A[リード獲得] --> B[リードナーチャリング]
B --> C[アプローチ]
C --> D[ヒアリング・課題特定]
D --> E[提案・商談]
E --> F[クロージング]
F --> G[受注]
G --> H[アフターフォロー・カスタマーサクセス]
H --> I[アップセル・クロスセル]
営業プロセスの基本ステップ
BtoB営業の標準的なプロセスは、次のようなステップで構成されます。
- リード獲得: Webサイト、展示会、セミナーなどで見込み顧客の情報を獲得します
- リードナーチャリング: メールやコンテンツ配信でリードを育成し、検討度を高めます
- アプローチ: 電話やメールで初回接触を図ります
- ヒアリング・課題特定: 顧客の課題やニーズを深掘りします
- 提案・商談: 課題解決策を提案し、商談を進めます
- クロージング: 契約条件を詰め、受注につなげます
- 受注: 契約締結となります
- アフターフォロー・カスタマーサクセス: 導入支援や活用支援を行います
- アップセル・クロスセル: 追加提案で顧客単価を向上させます
企業の購買行動のうち85%が営業面談前に候補を選定しており、特に高額取引ほどプロセスが複雑化・長期化する実態があります。このため、リード獲得とアプローチの段階で適切な情報提供を行い、候補に入ることが重要です。
可視化の方法とステップ
営業フロー可視化を実現するには、次の4つのステップを順番に進めることが推奨されます。
- プロセス定義: 営業プロセスの各ステップを明確化し、KPIを設定します
- ツール導入: SFA/CRMツールを選定・導入し、データ入力の仕組みを構築します
- データ蓄積: 営業活動データ(架電数、接続率、アポ率、商談化率等)を継続的に記録します
- 分析・改善: 蓄積したデータを分析し、ボトルネックを特定・改善します
2025年の調査によれば、SFA導入企業は約70%に達しており、多くのBtoB企業がデジタル化を推進しています。しかし、ツール導入と活用は別の問題です。データを読み解き、次の行動に活かすことが成功要因であり、ツール導入だけでは成果が出ないことを認識する必要があります。
MA/SFA実装設定によるデータ活用|ダッシュボード設計とアラート設定
フロー図を作成し、ツールを導入しただけでは、営業フロー可視化は完了しません。MA/SFA実装設定を通じて、ダッシュボード設計、アラート設定、自動化ワークフローを構築し、可視化したデータを実際に活用する仕組みを整えることが重要です。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化し、リードの行動履歴を記録・分析するツールです。SFAと連携して営業プロセスを最適化することで、営業とマーケティングの分業が実現し、営業が商談に集中できる体制を構築できます。
【チェックリスト】営業フロー可視化チェックリスト(フロー図作成・データ定義・ツール実装の3軸)
- 営業プロセスの各ステップを定義した
- 各ステップのKPIを設定した(架電数・接続率・アポ率・商談化率など)
- フロー図を作成し、組織全体で共有した
- SFA/CRMツールを選定・導入した
- データ入力の仕組みとルールを策定した
- 営業担当者にツールの使い方を研修した
- データ入力を習慣化する体制を整えた
- ダッシュボードでKPIをリアルタイム監視できるようにした
- 週次・月次でデータを分析する運用を開始した
- ボトルネックを特定し、改善施策を実行した
- MA/SFA連携でリードスコアリングを設定した
- 検討停滞時やChurnリスク時のアラート設定を行った
- 自動化ワークフロー(商談自動化・通知等)を構築した
- 組織全体でデータを共有する仕組み(SSOT)を整えた
- 定期的にプロセスとKPIを見直す運用を確立した
ダッシュボード設計とKPIのリアルタイム監視
ダッシュボード設計では、架電数・接続率・アポ率・商談化率などのKPIをリアルタイムで監視できるようにします。週次・月次でデータを分析し、PDCAサイクルを高速化することで、営業活動の改善スピードが向上します。
具体的には、トークスクリプトのA/Bテストや曜日・時間帯別の接続率を比較し、最適なアプローチ方法を特定します。どの曜日・時間帯に架電すれば接続率が高いのか、どのトークスクリプトがアポ率向上につながるのかを、データで検証できるようになるのです。
アラート設定と自動化ワークフロー
MA/SFA連携によって、リードの行動履歴(Web閲覧・資料DL・ウェビナー参加)を監視し、検討停滞時やChurnリスク時に自動通知する仕組みを構築できます。例えば、商談が一定期間動いていない場合にアラートを出し、営業担当者にフォローを促すことが可能です。
また、リードスコアリングと商談自動化を実現することで、見込み度の高いリードを優先的に営業がフォローできる体制が整います。これにより、営業の生産性が向上し、受注率の改善につながります。
カスタムダッシュボード開発とデータ共有|既存ツールを超える可視化
ここまで解説したMA/SFA実装設定だけでは、既存ツールの機能の範囲内に留まります。しかし、営業フローを図で作成すれば可視化できると考え、MA/SFA実装設定やカスタムダッシュボード開発を後回しにして、結局可視化したデータが活用されないという失敗パターンに陥るケースが少なくありません。
既存ツールには限界があります。カスタマイズ性が低く、自社の営業プロセスに完全に合わせることが難しい場合や、高額なライセンス費用が継続的に発生する場合、複数のツールのデータを統合することが難しい場合などです。このような課題を解決するために、カスタムダッシュボード開発と組織全体でのデータ共有(SSOT)の構築が有効です。
既存ツールの限界とカスタム開発の必要性
既存のSFA/MAツールは汎用的に作られているため、自社の営業プロセスに完全にフィットしないことがあります。カスタマイズ機能はあっても、複雑な設定が必要だったり、追加費用が発生したりするケースも多いです。
カスタムダッシュボード開発では、Next.js+Supabaseなどのモダンな技術スタックを使って、自社の営業プロセスに最適化したダッシュボードを構築します。これにより、必要な指標だけを表示し、営業担当者が直感的に理解できるUIを実現できます。また、ツールのライセンス費用を削減し、長期的なコスト最適化にもつながります。
組織全体でのデータ共有とSSOT構築
SSOT(Single Source of Truth) とは、単一の信頼できる情報源を意味します。顧客データを一元管理し、組織全体で同じデータを共有する概念です。営業・マーケティング・カスタマーサクセスの各部門が、同じ顧客データを参照することで、部門間の連携がスムーズになり、役割分業が実現します。
SSOTを構築することで、営業担当者は商談に集中できる体制が整います。リード獲得や初期のナーチャリングはマーケティングが担当し、商談フェーズ以降を営業が担当するという分業が可能になるのです。これにより、営業の生産性が向上し、受注率の改善につながります。
まとめ|営業フロー可視化成功のポイント
営業フロー可視化の成功は、フロー図を作成するだけでなく、MA/SFA実装設定とカスタムツール開発まで完了させることで実現します。
本記事で解説した重要なポイントは次の通りです。
- 営業フロー可視化は、フロー図作成だけでなく、ツール実装・データ蓄積・分析まで含む一連の取り組みである
- 可視化によって、営業活動の標準化、業務効率化、ボトルネック発見、人事評価改善、進捗管理の明確化が実現する
- プロセス定義→ツール導入→データ蓄積→分析・改善という段階的アプローチで可視化を進める
- MA/SFA実装設定を通じて、ダッシュボード設計、アラート設定、自動化ワークフローを構築する
- 既存ツールの限界を超えるために、カスタムダッシュボード開発と組織全体でのデータ共有(SSOT)を実現する
フロー図を作成しただけで満足せず、本記事で紹介した営業フロー可視化チェックリストと営業フロー図テンプレートを活用して、自社のMA/SFA実装設定を完了させることをお勧めします。可視化したデータを実際に活用し、営業活動の継続的な改善につなげることが、営業フロー可視化成功の鍵です。
