オンラインでリードを獲得しても商談につながらない理由
オンライン施策でリードは獲得できているが商談につながらないという課題を解決したいなら、オンラインリード獲得は施策選定だけでなく、MA/SFAへの連携設定と商談トリガーの実装まで一貫して整備することで初めて商談につながります。
BtoB経営者を対象とした2025年の調査では、リードの「質」について「理想通りに獲得できていない」と回答した割合は48.6%に上り、2024年比で7.6ポイント悪化しています(2025年版BtoB企業経営者のリード獲得実態調査、ただし調査対象は限定的)。また、BtoB企業のWeb広告運用課題として「費用対効果の向上」47.2%、「質の高いリードの獲得」46.2%が上位に挙げられています(2025年Web広告調査)。
これらの調査結果が示すように、多くの企業がリード獲得には成功しながらも、その後の商談化に課題を抱えています。その原因の多くは、施策ごとのリード獲得数に注目しすぎて、MA/SFAへのデータ連携や育成シナリオの整備を後回しにしてしまうことにあります。
この記事で分かること
- オンラインリード獲得の基本とKPI設計の考え方
- 主要なオンライン施策(SNS、広告、ウェビナー、SEO等)のメリット・デメリット
- リード獲得後のナーチャリングと商談化の流れ
- MA/SFA連携を含む実装チェックリスト
- 施策選定から商談化まで一貫して取り組むためのポイント
オンラインリード獲得の基本とKPI設計の考え方
オンラインリード獲得のKPI設計は、最終目標(KGI)から逆算して設計することが重要です。リード数だけを追うのではなく、商談化率や受注率まで含めた一貫した指標設計が成果につながります。
CPA(Cost Per Acquisition) とは、リード1件あたりの獲得コストを指します。BtoB企業の調査では、リード獲得単価(CPA)は「5,000〜10,000円未満」が目標・実績ともに最多レンジで21.2〜21.8%でした(2025年CPA実態調査、ただし業種・商材により大きく変動します)。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で一定条件を満たした見込み顧客を指します。営業へパスする前段階のリードであり、スコアリングや行動条件によって定義されます。
商談化率とは、獲得したリードのうち商談に進んだ割合です。広告経由リードの商談化率は「11〜20%」がボリュームゾーンで、15%前後が標準的な目標値とされています(2025年広告運用KPI調査、ただし広告経由リード限定の調査です)。
CVR(Conversion Rate) とは、Webサイト訪問者のうちフォーム送信・資料DLなどの行動に至った割合です。
BtoBマーケティング担当者を対象とした調査では、もっとも重視しているKPIは「新規リード獲得数」で32.1%、次いで「受注率」11.1%、「Webサイト訪問件数」「コンバージョン率」各7.9%でした(2024年調査)。
KPI設計でよくある失敗パターン
リード数だけをKPIに設定すると、質の低いリードが増え、営業との軋轢や商談化率の低下を招きやすくなります。よくある失敗パターンとして、施策ごとのリード獲得数に注目しすぎて、MA/SFAへのデータ連携や育成シナリオの整備を後回しにしてしまうケースがあります。この考え方では「リードは取れるが商談に繋がらない」状態に陥りやすくなります。
KPIは「量」だけでなく「質」も定量で追う設計が重要です。具体的には、MQL率(有望リード比率)、商談化率、受注率を組み合わせて、リードがどの段階でボトルネックになっているかを可視化できる設計にします。
主要なオンラインリード獲得施策とメリット・デメリット
BtoB企業のオンラインリード獲得施策としては、SNS、Web広告、ウェビナー、SEO/オウンドメディア、ホワイトペーパー配信などが代表的です。自社の商材・ターゲット・予算に応じて最適な施策を選ぶことが重要です。
BtoB企業のリード獲得施策として、SNSが36.4%で最多、次いで広告29.0%、展示会27.1%という調査結果があります(2025年版BtoB経営者調査、ただし調査対象は限定的なため傾向値として参照ください)。
また、リード獲得でもっとも効果を感じている施策はSNSが33.3%で1位、前年比+11.9ポイントの増加となっています(2025年版調査)。今後強化したいリード獲得施策としては、SNS施策が55.9%、SEO施策が52.4%、CRM施策が47.6%が上位です(2025年CPA実態調査)。
一方、CPAが高騰していると感じる施策は「セミナー/ウェビナー」が53.1%で最多となっています(2025年CPA実態調査)。
【比較表】オンラインリード獲得施策の比較表
| 施策 | メリット | デメリット | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| SNS(X、LinkedIn等) | 低コストで認知〜獲得まで狙える、ターゲットに直接リーチ可能 | リード情報取得には受け皿(LP・資料DL)が必須、短期で受注に直結しにくい | 新市場・新カテゴリで認知と教育が重要な商材 |
| Web広告(リスティング・ディスプレイ) | 短期でリード数をコントロールしやすい、効果計測・改善が容易 | CPA高騰傾向、リードの質にばらつきが出やすい | 短期で一定数のリードが必要な場面、顕在層へのアプローチ |
| ウェビナー/オンラインセミナー | 登録時点で課題意識ありの層が多く質が高い、信頼構築と案件化を同時に進められる | 集客コスト高騰傾向、企画〜運営〜フォローの工数が大きい | 単価が高く顧客教育が不可欠なSaaS・ソリューション系 |
| SEO/オウンドメディア | 上位表示後は広告費ゼロで安定流入、広いキーワードカバレッジを取れる | 成果まで半年〜1年以上かかる、継続的なコンテンツ制作体制が必要 | 中長期でデジタル経由のリード基盤を作りたい企業 |
| ホワイトペーパー/資料DL | フォーム入力でリード化できる、検討段階に応じた資料を用意可能 | コンテンツ制作に工数がかかる、DL後のフォローがないと商談化しにくい | 検討期間が長いBtoB商材 |
| メルマガ | 既存リードへの継続的なアプローチが可能、コストが低い | 新規リード獲得には不向き、開封率・クリック率の維持が課題 | 既存リードのナーチャリング強化 |
施策選びの判断基準
施策選定は、予算・ターゲット・商材単価・求めるリードの質と量によって判断します。
- 短期で一定数のリードが必要な場合: Web広告(リスティング・SNS広告)
- 中長期でデジタル基盤を構築したい場合: SEO/オウンドメディア、SNSオーガニック運用
- 高単価商材で顧客教育が必要な場合: ウェビナー/オンラインセミナー
- 既存リードの商談化率を上げたい場合: メルマガ、ホワイトペーパーの段階的配信
特定のツールやサービスに依存せず、自社の状況に応じて複数施策を組み合わせるのが一般的です。
リード獲得後のナーチャリングと商談化の流れ
リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を育成し、購買意欲を高めて営業可能な状態にするプロセスです。オンラインで獲得したリードは、すぐに商談可能な状態ではないケースが多いため、ナーチャリングの設計が商談化率を左右します。
広告経由リードの商談化率は15%前後が標準的な目標値とされていますが、裏を返せば獲得したリードの8割以上は商談に至らないことになります。そのため、商談に至らなかったリードを継続的に育成し、タイミングを見て再アプローチする仕組みが重要です。
ナーチャリングの基本フローは以下のようになります。
- リードの課題把握: 登録時のアンケートや閲覧コンテンツから課題を特定
- ステージ分類: 課題認識→情報収集→比較検討→意思決定のどの段階かを判定
- トリガー設定: 特定行動(セミナー参加・資料DL・価格ページ閲覧)をトリガーに設定
- コンテンツ配信: ステージに応じたメール・コンテンツを自動配信
- 商談トリガー検知: スコア閾値到達や特定行動で営業にアラート
リードの「質」に課題を感じる経営者が約半数に上る現状を踏まえると、獲得段階だけでなく育成段階の設計が成果を分ける重要なポイントになります。
営業部門との連携で押さえるポイント
マーケティングから営業へのリード引き渡しは、明確な基準とフローの合意が不可欠です。
- MQL/SQLの定義を明文化する: どの条件を満たしたリードを営業に引き渡すかを事前に合意
- 引き渡し方法を決める: CRM/SFAへの自動登録、Slack通知、定期ミーティングなど
- フォロー状況を共有する体制を作る: 引き渡したリードがその後どうなったかをマーケティングに共有
- 定期的なレビューを行う: リードの質に関するフィードバックを受けて、スコアリング基準やナーチャリング内容を改善
引き渡し基準が曖昧だと、質の低いリードが営業に回って不満が生じたり、逆に有望なリードが放置されたりする問題が起きやすくなります。
オンラインリード獲得から商談化までの実装チェックリスト
施策を選定しただけで終わり、MA/SFAへの連携設定を後回しにしていると、「リードは取れるが商談に繋がらない」状態から抜け出せません。以下のチェックリストで、自社の実装状況を点検してください。
【チェックリスト】オンラインリード獲得〜商談化の実装チェックリスト
- ターゲットペルソナ(業種・役職・課題)が明確に定義されている
- リード獲得施策(SNS・広告・ウェビナー等)が選定・実行されている
- LP(ランディングページ)または資料DLページが整備されている
- フォーム送信時にMAツールへリード情報が自動連携されている
- 獲得チャネル・流入元が識別できる状態になっている
- リードスコアリングの基準(属性スコア・行動スコア)が設定されている
- MQL/SQLの定義が明文化されている
- 育成シナリオ(メール配信の条件・タイミング・内容)が設計されている
- 商談トリガー(価格ページ閲覧・資料DL・導入時期回答等)がMAに設定されている
- トリガー発火時の営業アラート通知が設定されている
- 営業部門との引き渡しフローが決まっている
- 引き渡し後の営業フォロー状況をマーケティングに共有する仕組みがある
- KPI(リード数・MQL数・商談化率・受注率)が設定されている
- 定期的なレビュー(週次・月次)の体制が整っている
- 休眠リードへの再アプローチシナリオを用意している
よくある実装の抜け漏れ
実装時に見落としがちなポイントとして、以下のようなケースがあります。
- MAへのデータ連携設定漏れ: フォームは設置したがMAに自動連携されておらず、手動でCSVインポートしている
- スコアリング基準の未設定: MAを導入したがスコアリングを設定しておらず、全リードが同じ扱いになっている
- 商談トリガーの未設定: 特定行動(価格ページ閲覧等)を検知しておらず、タイミングを逃している
- 営業への通知設定忘れ: MQL条件を満たしても営業に通知されず、リードが放置されている
- 引き渡し後のフィードバック欠如: 営業がフォローした結果がマーケティングに共有されず、改善ができない
これらは「ツールを入れたが使いこなせていない」状態の典型的なパターンです。
まとめ:施策選定から商談化まで一貫して取り組む
本記事では、オンラインでリードを獲得する方法と、商談につなげるための実装の進め方を解説しました。
ポイントの整理
- BtoB企業の約半数がリードの「質」に課題を感じており、施策選定だけでは成果が出ない
- KPI設計はリード数だけでなく、MQL率・商談化率・受注率を組み合わせて設計する
- 施策は自社の商材・ターゲット・予算に応じて選定し、複数を組み合わせるのが一般的
- リード獲得後のナーチャリング設計と営業との引き渡しフローが商談化率を左右する
- 実装チェックリストで自社の抜け漏れを点検し、MA/SFA連携まで整備する
まずは本記事のチェックリストを活用して、自社のリード獲得体制の現状を点検してください。どの項目が未整備かを把握し、優先順位を付けて実装を進めることが成果への第一歩です。
オンラインリード獲得は施策選定だけでなく、MA/SFAへの連携設定と商談トリガーの実装まで一貫して整備することで初めて商談につながります。
