マーケティング責任者の年収|市場平均だけでは分からない決定要因
マーケティング責任者の年収の答えは明確で、戦略立案能力だけでなく、MA/SFA設定や実装まで含めた実行力で決まります。
マーケティング職全体の平均年収は511万円(2022年度)で、前年度比45万円上昇しています。一方で、CMO(最高マーケティング責任者)クラスの年収相場は800万〜1,500万円で、役員クラスでは2,000万円以上も可能です。この大きな幅は、年収が単に市場平均で決まるのではなく、業務範囲(戦略のみか、実装・実行まで含むか)、評価項目(戦略立案だけか、MA/SFA設定やツール開発まで含むか)、企業規模、業界、地域などにより大きく変動することを示しています。
よくある誤解として、マーケティング責任者の年収は市場平均を調べるだけで判断できると考えることがあります。しかし、実際には担当する業務範囲や評価項目によって年収は大きく変動し、一律に判断することはできません。
この記事で分かること
- マーケティング責任者の年収相場(業界別・企業規模別・職務範囲別)
- CMO・マーケティング責任者の役割と業務内容
- 年収を決定づける評価項目(戦略立案・実装・実行力)
- 年収を高めるためのキャリアパスと必要なスキル・実績
- 高年収マーケティング責任者の評価項目チェックリスト
CMO・マーケティング責任者とは|役割と求められるスキル
CMO(Chief Marketing Officer) とは、最高マーケティング責任者のことで、マーケティング部門の全体統括に加え、会社の経営戦略立案・実行を担う責任者です。日本国内でCMOを設置している企業は2014年時点で0.3%でしたが、2018年には12%まで上昇しており、マーケティングの経営的重要性が高まっていることがわかります。
CMOは単なるマーケティング担当者ではなく、経営層の一員として企業の成長戦略を担う重要なポジションです。そのため、広範なマーケティング知識、マネジメント・経営能力、データ分析能力、戦略立案能力、そして実行力(MA/SFA設定やツール開発まで含む)が求められます。
CMO・マーケティング責任者の役割と業務内容
CMOの具体的な役割は、マーケティング戦略の立案、予算管理、チームマネジメント、多部門巻き込み、ROI責任、経営戦略への貢献など多岐にわたります。ROI(Return On Investment) とは、投資利益率のことで、マーケティング施策にかけた費用に対してどれだけの利益を得られたかを示す指標です。
マーケティング戦略の立案では、ブランド戦略、製品戦略、価格戦略、販売戦略など、企業の成長に直結する重要な意思決定を行います。マーケティング予算の管理では、限られたリソースを最適に配分し、ROI責任を負います。また、マーケティングチームのマネジメント(採用、育成、評価)、営業・製品開発等の多部門巻き込み、経営戦略への貢献(売上・利益目標の達成)も重要な役割です。
よくある誤解として「CMOは戦略立案だけ」というものがありますが、実際には予算管理、チームマネジメント、多部門巻き込み、ROI責任まで含む経営統括が求められます。戦略を描くだけでなく、それを実行し、成果を出すことが求められるポジションです。
求められるスキルと経験
CMO・マーケティング責任者に求められるスキルは、広範なマーケティング知識(デジタルマーケティング、ブランドマーケティング、BtoBマーケティング等)、マネジメント能力(チームマネジメント、予算管理)、経営能力(経営戦略立案、ROI責任)、データ分析能力(データドリブンな意思決定)、戦略立案能力、実行力(MA/SFA設定やツール開発まで含む)です。
求められる経験としては、マネジメント経験(2年以上)、予算管理・ROI責任の実績(数億円規模)、BtoB SaaS企業での実績(データドリブンな経営統括)などが挙げられます。特にBtoB SaaS企業では、データに基づく意思決定と迅速な施策実行が重視され、MA/SFA設定やツール開発まで含めた実行力が評価されます。
マーケティング責任者の年収相場|業界別・企業規模別・地域別の比較
マーケティング責任者の年収相場は、業界、企業規模、地域により大きく変動します。マーケティング職全体の平均年収は511万円(2022年度)ですが、CMOクラスでは800万〜1,500万円、役員クラスでは2,000万円以上も可能です。この大きな幅は、担当する業務範囲や評価項目、企業の規模や業界により年収が大きく異なることを示しています。
年収データは転職サイト・メディアの独自調査が中心で公的統計ではないため、サンプルバイアス(転職希望者中心)で実態より高め推定の可能性があります。企業規模・業種・地域・個人のスキルにより大きく変動するため、「相場」として活用し、個別企業や個人の実績により異なることを理解する必要があります。
【比較表】マーケティング責任者の年収相場比較
| 分類 | 項目 | 平均年収(万円) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 全体 | マーケティング職全体 | 511 | 2022年度、前年度比45万円上昇 |
| 全体 | CMOクラス | 800〜1,500 | 役員クラスでは2,000万円以上も可能 |
| 業界別 | 金融・保険 | 672 | 最も高い業種 |
| 業界別 | IT・通信 | 660 | 高水準 |
| 業界別 | 機械・電気 | 688 | 高水準 |
| 業界別 | 電通グループ | 1,295 | 企業全体の平均年収 |
| 業界別 | 博報堂DYホールディングス | 1,090 | 企業全体の平均年収 |
| 企業規模別 | 1,000人以上 | 777 | 大企業 |
| 企業規模別 | 10〜99人 | 557 | 中小企業、220万円の差 |
| 年齢別 | 30代全体 | 525 | 男性554万円、女性497万円 |
| 地域別 | 首都圏 | 548 | 最も高い |
| 地域別 | 九州 | 409 | 最も低い、139万円の差 |
業界別の年収相場
マーケティング職の平均年収が最も高い業種は「金融・保険」で672万円です。その他、IT・通信(660万円)、機械・電気(688万円)も高水準です。業界選択が年収に大きく影響するため、転職時は業界も考慮すべきです。
広告業界の事例として、電通グループの平均年収は約1,295万円、博報堂DYホールディングスは1,090万円と高水準ですが、これは企業全体の平均年収であり、マーケティング職に限定した数値ではない点に注意が必要です。ただし、広告業界全体として高年収の傾向があることは確かです。
金融・保険業界が高年収である理由は、高度な専門知識と規制対応が求められること、顧客単価が高く利益率が高いこと、データ分析やリスク管理など高度なスキルが必要なことなどが挙げられます。IT・通信業界も、デジタルマーケティングの最先端を行く業界として高年収の傾向にあります。
企業規模別・年齢別の年収相場
企業規模別では、1,000人以上の企業でマーケティング職の平均年収は777万円、10〜99人規模では557万円で、220万円の差があります。大企業・成長企業では年収が高い傾向にあり、予算規模も大きく、より高度なマーケティング施策を実施できる環境が整っています。
年齢別では、30代マーケティング職の平均年収は525万円(男性554万円、女性497万円)です。ただし、マーケティング責任者は通常30代後半〜40代以上であり、責任者クラスではこれより高い年収(800万〜1,500万円)が期待できます。
企業規模と年齢によるキャリアパスの違いとして、中小企業では早期に責任者になれる可能性がある一方で年収は低めになる傾向があり、大企業では段階的に昇進していくため時間はかかりますが年収は高くなる傾向があります。自身のキャリア志向(早期キャリアアップ vs 高年収)に応じて選択することが重要です。
地域別の年収相場とリモートワークの影響
地域別では、首都圏が548万円と最も高く、九州が409万円と最も低く、139万円の差があります。首都圏は企業数が多く、大企業や外資系企業が集中しているため年収が高い傾向にあります。
ただし、リモートワークの普及により、地域別の年収差が今後縮小する可能性があります。地方在住でも首都圏企業の高年収職を狙える環境が整いつつあり、キャリア戦略として首都圏企業のリモート職を検討する価値があります。リモートワークを活用することで、地方在住のまま首都圏水準の年収を得られる可能性が広がっています。
年収を決定づける評価項目|戦略立案だけでなく実装・実行力が鍵
マーケティング責任者の年収を決定づける評価項目は、戦略立案能力だけでなく、MA/SFA実装まで含めた実行力です。年収は市場平均を調べるだけでは判断できません。実際には、担当する業務範囲(戦略のみか、実装・実行まで含むか)や評価項目(戦略立案だけか、MA/SFA設定やツール開発まで含むか)によって大きく変動します。
求人事例を見ると、マーケティング責任者候補の求人で年俸1,200万円(基本給月額100万円)の事例や、BtoBプロダクトCMO求人(売上高2,543億円規模企業)で年収690万〜1,000万円、数億円規模の予算管理・ROI責任を求める事例があります。BtoBプロダクトマーケティングとは、企業向け製品・サービスのマーケティング活動で、リードジェネレーション、データ駆動型キャンペーン、クロスファンクショナルな事業成長支援が主眼です。
これらの求人から読み取れる評価項目は、予算管理能力(数億円規模)、ROI責任、データドリブンな経営統括、MA/SFA設定やツール開発まで含めた実行力です。戦略を描くだけでなく、それを実装し、実行し、成果を出すことが高年収を得るための鍵となります。
【チェックリスト】高年収マーケティング責任者の評価項目チェックリスト
戦略立案能力
- マーケティング戦略の立案(ブランド戦略、製品戦略、価格戦略、販売戦略)
- 市場分析・競合分析の実施
- データに基づく意思決定の実践
- 施策の優先順位付けとリソース配分
- 中長期的なマーケティングロードマップの策定
マネジメント能力
- チームマネジメント(採用、育成、評価)
- 予算管理(数億円規模)
- ROI責任と成果測定
- KPI設定・モニタリング
- 多部門巻き込みとクロスファンクショナルな連携
- マーケティング組織の構築と最適化
実装・実行力
- MA/SFA設定と運用
- ツール開発・選定・導入
- データドリブンな施策実行
- A/Bテスト・効果測定の実施
- 施策の迅速な実装とPDCAサイクルの回転
- マーケティングテクノロジーの活用
経営能力
- 経営戦略への貢献
- 売上・利益目標の達成
- 経営層とのコミュニケーション
- 事業成長への直接的な貢献
- ステークホルダーマネジメント
専門スキル
- デジタルマーケティングの実践経験
- ブランドマーケティングの知見
- BtoBマーケティングの経験
- カスタマージャーニー設計
- コンテンツマーケティング戦略
戦略立案能力とマネジメント能力
戦略立案能力の評価項目は、マーケティング戦略の立案(ブランド戦略、製品戦略、価格戦略、販売戦略)、市場分析・競合分析、データに基づく意思決定、施策の優先順位付けなどです。マーケティング戦略は企業の成長に直結するため、的確な戦略を立案できることが高年収の前提条件となります。
マネジメント能力の評価項目は、チームマネジメント(採用、育成、評価)、予算管理(数億円規模)、ROI責任、KPI設定・モニタリング、多部門巻き込みなどです。特に予算管理とROI責任は、経営層から信頼を得るために不可欠な能力です。数億円規模の予算を適切に管理し、明確なROIを示すことで、マーケティングの経営的価値を証明できます。
実装・実行力|MA/SFA設定やツール開発まで含む
実装・実行力の評価項目は、MA/SFA設定、ツール開発、データドリブンな施策実行、A/Bテスト・効果測定、施策の迅速な実装などです。BtoBプロダクトCMO求人では、数億円規模の予算管理・ROI責任に加え、データドリブンな経営統括が求められます。これは戦略立案だけでなく、実装・実行まで担う責任者の評価項目を示しています。
**MA/SFA設定やツール開発まで含めた実行力が、高年収を得るための差別化ポイントとなります。**戦略を描くことは重要ですが、それを実装し、実行し、成果を出すことができなければ、経営層から評価されません。特にBtoB SaaS企業では、データドリブンな施策実行とPDCAサイクルの高速回転が求められ、MA/SFA設定やツール開発のスキルが直接的に年収に反映されます。
年収を高めるためのキャリアパス|必要なスキルと実績
年収を高めるためには、マネジメント経験と予算管理・ROI責任の実績を積み、MA/SFA実装まで含めた実行力を身につけ、大企業・成長企業・高年収業界への転職を検討することが重要です。
職種別の高年収職種として、ブランド・プロダクトマネージャー(製品やブランドの企画・戦略立案・市場投入を統括する職種で、マーケティング職の中で最も高い平均年収775万円)、データサイエンティスト・データアナリスト(マーケティングデータの分析・活用を専門とする職種で、平均年収657万円)、CRM(Customer Relationship Management)・ダイレクトマーケティング職(顧客関係管理を担う職種で、平均年収650万円)があります。これらのスキルを磨くことで年収アップが期待できます。
企業規模別の戦略としては、中小企業で早期に責任者になる(年収は低めだが早期キャリアアップ)か、大企業で段階的に昇進する(年収は高いが時間がかかる)かを選択する必要があります。業界別の戦略としては、金融・保険(672万円)、IT・通信(660万円)、機械・電気(688万円)など高年収業界への転職を検討することが有効です。地域別の戦略としては、首都圏企業のリモート職で地方在住でも高年収を狙える可能性があります。
マネジメント経験と予算管理・ROI責任の実績を積む
マネジメント経験(2年以上)を積むことが、CMO・マーケティング責任者へのキャリアアップの第一歩です。チームをマネジメントした経験がなければ、責任者としての信頼を得ることは難しいでしょう。まずは小規模なチームからでもマネジメント経験を積み、徐々に規模を拡大していくことが重要です。
予算管理・ROI責任の実績(数億円規模)を作ることで、経営層から信頼され、高年収のポジションを獲得できます。予算管理とROI責任は、マーケティングの経営的価値を証明する最も直接的な方法です。限られた予算で最大の成果を出し、明確なROIを示すことで、マーケティング責任者としての市場価値が高まります。
マネジメント経験と予算管理・ROI責任の実績は、求人で最も重視される評価項目です。これらの実績がない場合、いくら戦略立案能力が高くても、高年収のポジションを獲得することは難しいでしょう。
MA/SFA実装まで含めた実行力を身につける
戦略立案能力だけでなく、MA/SFA設定やツール開発まで含めた実行力を身につけることが、高年収を得るための差別化ポイントです。BtoBプロダクトマーケティング、データドリブンな施策実行、A/Bテスト・効果測定などのスキルを磨くことで、戦略を実装・実行できる責任者として評価されます。
実装・実行力を持つマーケティング責任者は市場価値が高く、年収アップが期待できます。特にBtoB SaaS企業では、MA/SFA設定やデータ分析のスキルが直接的に成果に結びつくため、これらのスキルを持つ責任者は高く評価されます。戦略を描くだけでなく、それを実装し、実行し、成果を出すことができる人材は希少であり、その分高年収を得られる可能性が高まります。
大企業・成長企業・高年収業界への転職を検討する
企業規模別の年収差(1,000人以上777万円 vs 10〜99人557万円、220万円の差)を踏まえ、大企業・成長企業への転職を検討することも有効です。大企業では予算規模が大きく、より高度なマーケティング施策を実施できる環境が整っているため、年収も高くなる傾向にあります。
業界別の年収差(金融・保険672万円)を踏まえ、高年収業界への転職を検討することも重要です。業界によってマーケティングの位置づけや予算規模が大きく異なるため、業界選択が年収に大きく影響します。ただし、企業規模や業界だけでなく、自身のスキル・経験、キャリアパスの方向性も考慮して判断することが重要です。
まとめ|マーケティング責任者の年収を最大化するポイント
マーケティング責任者の年収は、戦略立案能力だけでなく、MA/SFA設定や実装まで含めた実行力で決まります。
年収相場は業界別・企業規模別・地域別で大きく変動し、マーケティング職全体の平均年収は511万円ですが、CMOクラスでは800万〜1,500万円、役員クラスでは2,000万円以上も可能です。年収を決定づける評価項目は、戦略立案能力、マネジメント能力、実装・実行力(MA/SFA設定やツール開発まで含む)、経営能力です。
年収を高めるためには、マネジメント経験と予算管理・ROI責任の実績を積み、MA/SFA実装まで含めた実行力を身につけ、大企業・成長企業・高年収業界への転職を検討することが重要です。特に、戦略を描くだけでなく、それを実装し、実行し、成果を出すことができる責任者は市場価値が高く、高年収を得られる可能性が高まります。
次のアクション
- 評価項目チェックリストで自身のスキル・経験を客観的に評価する
- 年収相場比較表を参考に、自身の市場価値を把握する
- 必要なスキル・実績を身につけるためのキャリアプランを立てる
- 転職を検討する場合は、企業規模・業界・職務範囲を考慮して選択する
年収データは転職サイト・メディアの独自調査で、企業規模・業種・地域・個人のスキルにより大きく変動します。「相場」として活用し、個別企業や個人の実績により異なることを理解した上で、自身のキャリア戦略を立てることが重要です。
